道路に唾を吐き、結婚の話をすると機嫌が悪くなる彼。結婚できないのであれば別れるべき?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室329】
✳️今週のお悩み✳️
彼氏は2つ上で、お付き合いして3年になります。私は年齢的に結婚したいのですが、その話題を言うと彼は機嫌が悪くなったので、それから言えてません。ですが、結婚できないのであればこれ以上一緒にいる意味はないのではと最近思って、別れるべきか悩んでいます。
基本、一緒にいると楽しいので別れたくないと思っていたのですが、道路に唾を吐いたりするところとか、機嫌が悪いとトコトン口調がキツいところ等、最近彼の行動に引っかかるところもあり、なんとなく嫌だなぁと思っていますが言えずにいます。私は機嫌の悪くなる彼がとても苦手なので、指摘する勇気もありません。そんなことも素直に言えない関係なんだなぁと思い、別れを意識しはじめています。
ですが、お付き合いにも結婚にも、完璧はない。妥協も大事。私だってダメなところがたくさんあり、彼も我慢してくれてるかもしれない。嫌なところ以外はとても仲良しで楽しくいられている。そんなこんなですべてをはっきり出来ず、宇多丸さんにこんな優柔不断な私に意見が欲しくて相談しました。彼と結婚したい。でも、結婚してもらえるかもわからない、うまくやっていけるかも不安。でも、一生一人で生きていくのは嫌だ。怖い。といったマイナス感情ばかりです。結婚したいです。別れるべきでしょうか?
(いでこ・35歳・埼玉県)
宇多丸:
37歳、道路に唾を吐く男……、正直、僕的には一発ドン引き級のワイルドガイですけど。
唾液が口にたまってしょうがない体質とかなのかなー?
こばなみ:
うーん、私もここが引っかかりました。
でも、いでこさん、「お付き合いにも結婚にも、完璧はない。妥協も大事。私だってダメなところがたくさんあり、彼も我慢してくれてるかもしれない」って言ってるんですよね。
宇多丸:
もちろん、お互いどっちもどっち、という面はどんなカップルにもあるわけですけど……。
最後のところ、「結婚したいです」の直後に「別れるべきでしょうか?」が来るって、なかなか不健全な状態というか、先々週の相談じゃないけど、ぶっちゃけ本音はすでにかなり「別れたほうがいいのかも」に傾きつつあるからこそのブレ方、という感じもしますが。
こばなみ:
結婚だけなら、この彼じゃなくてもいいのでは?と思ってしまって。
このままだと言い出せないまま、ずるずるいっちゃう可能性もありますね。
宇多丸:
いでこさんはまず、とにかく結婚はしたいというプライオリティが高いようだから、そこを基準にとっととジャッジしてしまう、という手はひとつありますよね。
改めて結婚話を本格的に持ち出してみて、案の定ヤツが機嫌悪くなったところで、「結婚できないわ感じ悪いわ、じゃあこいつと付き合うメリットないじゃん!」という現実をこっちももう一度はっきり直視して、ふんぎりをつければいいんじゃないですか?
こばなみ:
そうですよねぇ。このままだとなにも変わらないし、動くしかないですよね。
宇多丸:
ただ、僕がむしろ心配なのは、そこで彼が意外にも態度を軟化させていたりして、トントン拍子でそのまま結婚することに、みたいになっていった場合のほうなんですよね。
ホントにそれでいいのかな……。
優柔不断な私に意見をということなんではっきり言いますけど、道に唾を吐く癖があり、すぐに機嫌が悪くなり言葉にトゲがある37歳男性、というのは、生涯の伴侶としてみんながうらやむような相手とは、やっぱり言い難いですもん、客観的に見れば。
他の部分がよっぽどいいってことなのかな。
こばなみ:
それ以外は楽しいって言ってますからねぇ。でも「それ」がでかすぎる気もしますけど。
宇多丸:
また、彼のそういう怖い面に対して、いでこさんもしっかり怯えぎみだったりするじゃない?
それってけっこうな問題じゃないの?って気もするんですよね。
なんならDV的なニュアンスさえ感じさせるというか。
こばなみ:
ちょっと心配ですよね。
宇多丸:
そうだね。
手を上げているなんてのは一発アウトの論外としても、日々のとげとげしい言葉や態度だって、じゅうぶんハラスメントや暴力たりうるわけで。
こっちがビクビクしなきゃならないほど機嫌悪くなりがちで口調もキツいって、かなりその域に近くないですかね?って感じは正直すごくする。
仮に「そういうとき以外はやさしい人」とかだったとしても、それこそまさにDV男に依存してしまう心理の典型ではないのか、と現状僕らにはどうしても見えてしまって……。
いでこさん的に、「いやいや、ぜんぜんそんな大げさなことではなくて(笑)、本当にいい人ではあるんです」というような感じなんだったら、ぶしつけな推測をお詫びいたしますし、それはそれでなにより、ということではあるんですが……。
ちなみに、お友達やご両親は、彼のことをどんな風に評していたりするのかな? 直接彼のことを見て、人となりも多少は知っている第三者の意見という意味では、そこは当然、僕らが想像でごちゃごちゃ言う以上に参考になるあたりのはずだけど。
こばなみ:
書いてはいませんが、よく思ってないから、ここへ相談を送ってきたのかなとも思ったり。
宇多丸:
あるいは、第三者の視点や意見を受けつけないほど、二人きりの閉じた関係なのか。
だとすると、なおさら危険な匂いがしてくるなぁ……。
こばなみ:
私が友達で、この話を聞いたら絶対反対しますもん。この情報だけでも。
宇多丸:
いでこさんが、それでも彼のことが好き、彼じゃなきゃダメなの!級のテンションなら、そりゃあ仕方ないな、ってことにもなるけど、どうやらそこまでの感じでもないみたいだし。
それより最後のほうの、「一生一人で生きていくのは嫌だ。怖い」ってところが一番、切実な感じがしますもんね。 年齢的に結婚への焦りや孤独への恐怖が増しはじめている、というほうがあくまでメインで、さしあたっていま付き合っているのが彼だからそこでなんとかできればとは思うんだけど、それにしてもコイツでいいのか?って疑念もわくし、そもそも話を聞いてくれなさそうだし切りだすのも怖い……という順番だよね。
こばなみ:
じゃあなおさら、他の人を探したほうがいいんじゃないかと思っちゃいますけども。
宇多丸:
なんつーかさ、人間いろいろ欠点があって当然だけど、これから人生をともに過ごそうっていう相手の条件としては、なんにせよ「やさしい」がベースにあるってすごく大事、というかほとんど必須事項だろと思うんですよ。
ちゃんとこっちのことを慮ってくれるか、ケアしてくれるか。それができてなきゃ、いくら金があろうがハンサムだろうが無意味でしょ。
そして、少なくともこの文面の彼からは、そういう面がほぼ感じられない。 てか、ポジティブなものはなにも伝わってこないくらいですよね。
こばなみ:
心配です……。
宇多丸:
もちろん、さっきも言ったように、それでも彼がいいんです!といでこさんが確信できるようなら、そこは他人がとやかく言う領域じゃないので、皮肉でもなんでもなくお好きにされればいいと思うんですけど。
ただ、もしも、単に焦って目先の「ゴール」に飛びつこうとしているだけなのであれば……、注意一秒ケガ一生! ちょっとだけ立ちどまって、彼という人間、そしてご自分が本当にはなにを望んでいるのかについて、いま一度じっくり見つめ直してみたほうがいいんじゃないかと思いますよ。 その際、僕らよりもっと近しい、信頼できる第三者による彼の評価、というのは大いに参考にすべきではないかと思います。 ま、外ヅラだけはやたらいいヤベぇヤツ、というのも世の中にはわんさかいるので、最後はやっぱり、自分の目で判断するしかないんだけどさ。
とにかく、早まらないでくださいね、と。
こばなみ:
ホント心配なので、事後報告をぜひ。お待ちしております!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2020年7月18日に公開したものを再編集し、掲載しています。