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【愛知】産前産後の女性の支援をメインに活動をしている「コトトモ」

日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、愛知県小牧市で産前産後の女性の支援をメインに活動している「コトトモ」の廣瀬昌美さんに聞きました。


産後ママのサポートをメインに、育児女性を応援!


「コトトモ」は、愛知県小牧市近郊に在住、在勤する人に向けて、親子で学び、親子で遊び、子とともに安心して暮らせる環境の提供を目的に活動しています。

具体的には、産後うつ・虐待の防止のための産前産後女性の支援、育児女性の地域のつながりづくりに向けた社会参加支援です。

メインの活動となっているのは、産後シェア活動。
ママにとって体力的にも精神的にも大変な時期である産後1か月に、手作りのお弁当をお届けし、同じものを一緒に食べて、おしゃべりしたり、沐浴や赤ちゃんの抱っこ、洗濯物、洗い物の片付けのお手伝いなどをしています。
また、兄弟・姉妹がいる場合は、上の子と過ごす時間をプレゼントしたり、産後1か月を迎えたことを表彰したり、産後ママがしてほしいことを1週間から10日に1日のペースで、3〜4回程度のプログラムとして提供しています。

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ほかにも育児講座や英語講座、マネーセミナーといった無料講座がついた、地域のママさんたちとつながれるサロン交流会も開催。

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私たちの活動のメインである産後シェアのサポーターを育成する「産前産後サポーター養成講座」や育児中の資格取得を応援する「マイ資格取得応援活動」なども行っています。

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また、所属メンバーが講師となり、資格・スキル・得意分野を活かしたイベントや講座を開く活動も行っています。


2016年の熊本地震が、ボランティア活動にたずわる糸口に


私は、2016年4月に起こった熊本地震の凄惨さをテレビ画面越しに見て、すごく重く受け止めました。縁もゆかりもない土地だったのですが、現地まで赴いて、ボランティア活動をしたいとまで思ったほどです。当時、私は中1の長女、小2の長男、1歳の次女を子育て中の40歳。

熊本へのボランティア参加の糸口を探るうちに、自分が住んでいる愛知県の小牧市というまちの社会資源や公共施設、さまざまな地域活動やそれらに携わっている方の存在に気づいたんです。それまでいかに自分が住むまちについて無関心だったか思い知らされました。

それから、拠点を小牧市と固め、自分自身の産後を振り返り、子育てのしんどさを共有しあえる場として、愛知県の育児支援団体「ママスタート・クラブ」の小牧支部として2016年5月に始動しました。

活動当初、メンバーは全員女性、一時は最大30人まで増えました。
ただ、なかには、個人事業の営業として参加していたり、ボランティア活動の意思なく参加していたり、「目的」と「手段」を混同していたメンバーも。活動に対する温度差や女性ならではの派閥グループの存在もありました。そのため純粋に産前産後女性への支援活動や団体運営が難しくなっていたのです。

団体内部で反目し合う事態も発生し、メンバーも次々と離反していきました。活動の目的も方向性も見出せなくり、代表として大きく自信を失っていた、とてもしんどい時期でもありました。

この不穏な空気を一掃するために、「ママスタート・クラブ小牧支部」から、2018年7月に「コトトモ」へ団体名を変更。「目的(理念)」だけを見失わないメンバーだけが残りました。
そして、2018年9月からは本格的にSDGsの視点を取り入れた活動へシフト。

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ちなみに、団体をはじめてから苦労したことが、もうひとつあります。

メンバー全員がほぼ女性だった頃、男性がひとりで参加しようとするだけで、「授乳がしづらい」「子ども(女の子)に近づいてほしくない」という批判や不満の声が挙がったこと。

偏った視点や差別的な意見に簡単に流されてしまったり、自分から行動しない立場から行動する人に対して批判的な言動を向けたりする人もいました。

ただ、そのころに読んだ脳科学の書籍で知ったのが、異質なものを排除しようとする「オキシトシン」という、女性ならではのちょっと面倒くさいホルモンがあるということ。

おかげで、常に俯瞰して人を観察し、お付き合いする人間関係をドライに選び、柔軟に距離感をコントロールすることができるようになりました。それが、リーダーシップと責任を求められる団体運営を、しんどくなく行うことができている今につながっている気がします。

そして現在、メンバーは16人。5名の男性メンバーやシニア世代も積極的に活動へ参加しています。SDGsを意識して団体活動をしているだけあって、ジェンダーバランス、ジェネレーションバランスが向上しているという手応えを感じています。

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「産前産後」「パートナーシップ」をテーマに、さらに地域貢献できる団体でありたい!


2019年度は、企業助成金を活用した「産前産後サポーター養成講座」や「マイ資格取得応援活動」という活動で、優秀事業として表彰をいただくなど、実りのある実績を得ることができました。

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産後女性の当事者目線を意識した活動が実施できた手応えを感じられたこと、小牧市内の市民活動団体として、どこよりも先進的にSDGs、男女共同参画を推進してきたという自信が持てた1年でした。

新型コロナウィルスの影響はしばらく続きそうですが、この活動が持続可能なものとなるために、まだまだ挑戦できる選択肢があると思っています。

今後は、SDGsをより掘り下げた「パートナーシップ」という視点の啓発を行う予定です。
そして、引き続き「産前産後」というテーマと、さらに地域貢献ができるよう「誰のことも否定しない、どんなことも楽しみながら、しんどくないアクションができる団体」でありたいと思っています。


「コトトモ」が大切にしている言葉


いい意味で、戦略的に、腹黒く、しんどくなく。

当事者の立場やメリット、デメリットをイメージしながら、相手を承認することを意識し、誰も悪者にしないような公正かつ、やさしい表現をする(ポジティブな言葉を選ぶ)ことで、ことがうまく運ぶような気がします。

コストをかけなくても、“ねばならない”と表現しないだけで、人はワクワクしながら動けるもの。

“ねばならない”と表現しないだけで、ずっとしんどかった人に笑顔が戻ってくるんです。
たったそれだけで、ワクワクして、活力があふれてきます。そして、そのパフォーマンスがすごいのです!

子育ては、何年経っていても(やりなおそうと思えば)いつでもすぐにやりなおしできる。

私が子育てに激しく悩んでいた6年ほど前に、あるベテラン保育士さんがかけてくださった言葉です。
今も産後シェア活動やサロン交流会の活動現場で、悩みを打ち明けてくださった方に、この言葉をバトンのようにお伝えています。

「育児力」とは、助けてほしい時に、自分から助けてと言えるチカラ。

ママさんは助けてほしいときには、ぜひ声をあげてください。
そして、しんどくなっているママが支援に頼ることで、この先、自分がどうしていきたいのかを自ら選択し、そこにかかる負荷を少しずつ乗り越えていくチカラにつなげること。これが、私たちのような子育て支援活動をしている者にとって、重要なことだと思っています。

パートナーシップの条件は、互いにイーブンであること。

パートナーシップとは、すべての属性の人がイーブンであることが前提です。パートナーシップがうまくいくと、家庭やコミュニティが平和になります(SDGsの目標#16「平和と公正をすべての人に」と#17「パートナーシップで目標を達成しよう」はリンクしているんですよね)。
「コトトモ」の活動は、遠くから近くから、産前産後女性の思いに伴走しながら、その方が笑顔になれる方法を、自分で選べるチカラとして育んでいけるような、パートナーシップをアシストする活動になればと思っています。


産前産後の女性や子どもたちが、しっかりと守られる社会になってほしい!


実家などに頼れない状況下にあるママの場合、産後1か月は、赤ちゃんを連れて外へ出られず、上にもお子さんがいる場合は、その子のケアも大変なうえ、家事がおそろかになりがちな自分を責めてしまいます。

だから赤ちゃんとの生活に心身ともに慣れたと言える状態になるまで、産後ママが家にこもっている時間は、実はちょっとつらい時間だったりするのです。

けれど、1か月経っても、1年経っても、ママの悩みやしんどさは新しく更新されていく。
家族以外の誰かにヘルプを出せるようになりたいと願うママが、たくさんいます。

そんな一番大変で大切な時期の産後ママが、精神衛生上健やかでいられるために、私たちは「産後シェア」活動を実践しています。

ママが本当に楽しそうに笑っていると、子どもって泣かないものです。

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小牧市でたったひとりのママがはじめた産後シェア活動から、温かい支援の輪が広がっています。手作り感満載ですが、できる時に・できることを・できる人が・できるだけ楽しく、笑顔で活動しています。

災害時、産後産前女性とその小さな命たちは、社会的弱者となり優先的に守らなければならないはず。その彼女たちや子どもたちも、高齢者福祉のような、訪問ケアやデイサービスといった包括支援が当たり前になるように、それに賛同し協力していただける方が少しでも増えることを願っています。


愛知県小牧市で産前産後の女性を支援する
コトトモ

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愛知県小牧市近郊にて、親子で学び、親子で遊び、子とともに安心していられる環境の提供および次の理念に基づいて活動することを目的としています。(小牧市市民活動団体/小牧市社協ボランティアセンター登録団体/ウィメンズネットこまき参加団体)

<理念>産前産後女性の支援(産後うつ・虐待の防止)、地域のつながりづくり(育児女性の社会参加支援)

●Facebook:「コトトモ」

●Instagram:kototomo1807

●LINE公式アカウント:「コトトモ







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