「彼氏や男友達の女性蔑視が不愉快。反論すると先輩からは『ヒステリックフェミ』のレッテルを貼られ……」の、その後【ライムスター宇多丸のお悩み相談室_事後報告23】
【事後報告(No.213)】
こばなみ:
すごい前のお悩みの事後報告が届きました!
宇多丸:
おお~! たしかにこのケースみたいに、あれで良かったんだ、というひとまずの結論が出るのにも、時間がかかるタイプの悩みというのはありますもんね。
ご報告ありがとうございます!
改めて当時の連載を読み返してみると、まうーさんがおっしゃる通り、僕らの言ってる中身が悪いわけではないと思うけど、なるほど#MeTooムーブメント以前というか、まだ世の中全体にはフェミニズム的な問題意識があまり浸透していないんだなという感じが、すごくしますよね。
そんな逆風のなかで、果敢に偏見に立ち向かっていったまうーさんのアクション、「対話」をあきらめなかった姿勢が、結果的にはたしかな実を結んだ、ってことですもんね。 特に、当時の彼氏との話には、僕ちょっと泣きそうになっちゃいました。
要はさ、前の回答のなかでも言いましたけど、恥ずかしながら何もわかってなかった大学時代の僕に、まうーさんと同じく正論でがんばって立ち向かおうとしてくれた当時の彼女、というのがいたからこそ、その経験がまうーさんの背中を押すような回答につながって、最終的には彼をはじめ周囲の人たちの変化をもうながした……、つまり、大げさな言い方に聞こえるかもしれないけど、30年前に声を上げた女性の勇気が、次世代の女性の力になるところまで、しっかり連鎖していったわけでしょう。
だから、僕たちがお役に立てたというよりは、あのとき僕にさんざん泣かされながらも抗議してくれた君が偉かったよって、本人に会ったら伝えたいですよ。
と同時に、これはすごく普遍的な、とても大切なことを教えてくれるエピソードだなぁとも思って。
世の中には、性差別をはじめとして不公正や理不尽が溢れかえっていて、残念ながらそう簡単には改善されそうもないという現実も間違いなくあり、ついつい絶望してしまいそうにもなってしまうわけだけど……。 やっぱそこで、なんとか腐らずに、自分なりのベストを尽くそうとするのは、決して無駄じゃない!ってことじゃないですか。
いきなりすべてが好転したりすることはまずないだろうけども、だからって完全に無力かというとそんなこともなくて、できる限りのことをすればしたなりに、実は物事というのは目に見えずとも少しずつ動いているもので、いずれはそれが有意義な変化となり、見知らぬ誰かの助けになったりする可能性も、ぜんぜんある……ということの、これは何よりの証明ですよ。 さらにそれは、たとえばまうーさんのこの話を読んだ皆さんの今後にも、波及してゆくことでしょうからね。
それこそ#MeTooムーブメントだって、過去のさまざまな戦いや挫折の積み重ねの先に、ついに目に見えて現れた成果、でもあるわけで。
なんというか、あらゆる問題に対して、今までよりは少しだけ希望が持てるようになるような、すーっごく大事な話だと思いましたよ、これは。
こういう連載の回答者として、それこそ「こんなに嬉しいことはないッ……!」なご報告であると同時に、改めて、責任の重大さも実感させられましたね。
こばなみ:
はい!
引き続き、真摯に取り組んでいきたいですね。
まうーさん、ご報告いただき、ありがとうございました!