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人からの飲みや食事の誘い、社交辞令かどうか見極められません。本当に誘っていいものなの?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室212】


✳️今週のお悩み✳️
人からの飲みや食事の誘いが、社交辞令と本心から言ってくれてるのか区別がつきません。もういい加減「あー、これは社交辞令で言ってくれてるんだな」とわかるお互いに親しくない(かつ、わたしが親しくなりたいと思わない)関係の場合は別ですけど、わたしは本心から飲みたい人や誘いたい人(異性や同性問わず)から誘われると「これって社交辞令だったらどうしよう」と不安になってしまいます。そんな思いをする社交辞令が嫌だから、もうわたしは本心からでしか誘わないんですが、他の人はうまく社交辞令を使ってるみたいです。都合よく社交辞令であってほしくない、本心から誘ってほしいって自覚はあるんですが、かといってグイグイ行くと社交辞令だったときに「何本気にしてるんだ」って引かれるので怖いです。それで失敗したことがあるからです。たぶん「好きな人に振り向いてほしい」問題に似てると思います。勝手にこっちが盛り上がってるみたいな。どうやって大人は社交辞令かどうか、見極めて親しくなってるんでしょう?
(クリスプ・21歳・東京都)


宇多丸:
これ、僕も知りたいくらいですけどね。

たとえば、フェスとかで初めて会った他ジャンルのミュージシャンの方と、まぁ少なくともその場では意気投合して、ぜひ今度飲みに行きましょう!などと言いつつ、連絡先を交換したとします。

でも、この連載をいつも読んでくださってるような皆さんはもうおわかりでしょうけど、僕はそもそも、自分からバンバン段取りを組んで、積極的に人を誘うっていうようなタイプでは、全然ないんですよね。

それは、もちろん単純にめんどくさいからっていう、失礼にもほどがある気持ちもあるはあるんだけど(笑)、それ以前に、「ひょっとしたら社交辞令かもな」「オレなんかがホントに誘っても迷惑かもな」っていうような、要は自信のなさから来る疑心暗鬼、みたいなのも根本にあって。

だから、「まぁとりあえず向こうから連絡来るのを待ってればいいか」とか思ってなにもしないでいるうちに、一年経ち、二年経ち……、まぁそうなるともう、改めてなにか誘いあったりってことは、まずないですよね。

つまり結果として、僕こそが社交辞令を言ってたことになっちゃってる!っていう。

とにかく、概ねそういうようなパターンが、僕の場合けっこうあるんですよね。

ちなみに、相手側がグイグイ話を進めてくれたり、あとはわりとカジュアルに「いまから来ます?」的な誘いをちょいちょいかけてくれるような人だと、やっぱ付き合いも普通に継続するんですよね。

ってことは、結局やっぱりお前が怠惰なだけってことだろ!と言われたらそれまでなんだけど(笑)。

あとは、自分の番組にゲストとして呼びやすかったりとか、自然と仕事でちょいちょい会う機会が多いような人とは、やっぱりより仲良くなってゆく……、ある程度以上の年齢になると、だいたいの交友関係は、そういう感じになってこない? 半分仕事仲間、みたいな。

ただ、それでひとつ思うのが、ある言葉が社交辞令に終わってしまうかどうかって、少なくとも僕の場合は、事後的に決まることが多いかもなぁということ。

つまり、「今度飲みましょう」とか言って連絡先交換した時点では、それが社交辞令かそうじゃないかなんて線引きを、そんなにはっきりしてるわけじゃないっていう。

そこへ行くとクリスプさんは、たいして親しくなかったり、親しくなりたいとも思わない相手(笑)とのやりとりは、別に一律社交辞令ってことで構わないんですけどっていう、なかなかにドライというか、デジタルな線引きを明確にしてらっしゃるようなので、もうちょっと話はシンプルかもしれないですけどね。要は「本当はこちらから積極的に誘いたい相手」限定の悩みなので。

こばなみは社会人として、どう?

こばなみ:
たとえば、仕事で会って、「今度飲みに行きましょう!」と話していたとした場合は、言ったことをすごく気にはしますね。

だから、誰にでも言うわけではないというのは、まずありますね。

行きましょうと言ったら、こっちから誘うほうかも。

色恋とか関係なくですよ。

で、一発「飲み行きませんか? いつ頃がいいですか?」みたいな感じで誘って、向こうから「11月とかどうですか?」と返事がきたら、それはそれで進めるし、「予定考えてまた連絡しまーす」とかだったら、その後はぐいぐいは追わないという感じでしょうかね。

宇多丸:
その「深追いしない」感じは、なんであれ誰かにお誘いをかける際の、基本マナーですよね。

仮に相手からの返答が、「近いうちにぜひ!」的なのだけで、具体的な時期の提示とかがなかったとしても、「まぁ、たぶんいまは忙いんだろう」くらいに受けとめて、それ以上は立ち入らずにいったん引く、みたいな。

僕の場合、偉そうな話で申し訳ないけど、現実問題ホントに忙しくてそう自由に動けないときも多いんで、「いまの仕事がひと段落したら、ぜひ!」的な返しはよくしちゃってるんですけども。

こばなみ:
でもそれは、誘った方からすれば、いい感じに受け取れますよね。

じゃあ、一段落したらまた連絡していいんだって捉えられる。

宇多丸:
そう受け取ってもらえてれば幸いですけど。

でもたしかに、相手を無用に疑心暗鬼にさせないように、「“いまは”これこれこういう理由で無理」っていう部分をはっきり伝えてあげるほうが、親切なのかもね。

人から言われる場合でも、そこんとこを明確にしてくれる人のほうが、連絡取りあってて楽かも。

仮にそれが、実際には結局単なる社交辞令だったとしても、あんまり嫌な感じはしない気がするし。

ちゃんとこっちの感じ方に配慮してくれてる時点で、すでにもう、そんなに無礼ではなくなってるというか。

とは言えね、じゃあその「ひと段落」っていつ来るんだって言われると、なかなかこう、「ここ空いてます!」みたく、先々のことをパキッと決めたくない自分というのもいて……、というのは、僕は特に、毎週土曜夜のラジオで翌週どの映画を評するかが決まるんだけど、その作品の上映環境とか、どれだけ下準備が必要かによって、翌週のスケジュール密度も全然変わってきちゃうんで。それまで厳密な予定は立てられないし立てたくない、という特殊事情もある。

……とか考えていくと、やっぱりめんどくさいよね~、約束って(笑)。

こばなみ:
私はわりと自分から誘ったりセッティングすることもある方ですけど、断られたり、音沙汰なかったりとかしても、あんまり凹まないですね。

あ、忙しいんだ~、くらいに思っておくと気持ちも楽だし、自分も忙しくて断ったり、悪気はないけど返信を忘れてしまったりすることもあるから。

宇多丸:
やっぱ、あらゆる意味で「深追いしない」ってところがキモなんだよね、たぶん。

つまり、そもそも社交辞令ってさ、「曖昧さ」にこそ最大の機能があるわけじゃん。
「約束」はしてないけど、いきなり「拒絶」もしてない、っていう。

そのグレーゾーンのなかにこそ、オトナな社交の距離感、というのがあるわけで。

だから実は、「これって社交辞令なのかしら?」っていう部分を、あんまりはっきり見極めようとしないほうががいい、ということかもしれないよね。

こばなみ:
たしかに~!!!

宇多丸:
ねぇ。

「社交辞令」ってさ、いつの間にか「NO」ってほうのニュアンスが強い言葉として取りざたされがちになってるけど、本来はむしろ、そこまで明快な「NO」感を打ち出さないためにこそ考えだされた表現なわけでしょ。

あえて言うなら……、永遠の「保留」みたいな?(笑)

そういうレベルでも良好に人間関係を保つための、一種の知恵なわけだから。

そこで、やたらとはっきり白黒つけようとしたりするのはさ、野暮というか、やっぱちょっと、失礼の領域に入るんじゃないかな、という気もするんですよね。

たとえば、なんかたまにさ、「僕は社交辞令は嫌いなので、ちゃんと約束しましょう!」みたく言ってくる人っているじゃない。

もちろん、そういう人の積極性のおかげでいろんなことが動いていく、というのも事実だと思うんですよ。

それこそ、僕みたいな超ケツの重いやつを引っぱりだしてくれたりとか、ありがたいなぁと思うときもあるんだけどね。

でもさ、そういう人のなかには、最初の一発目でこっちが誘いを断ると、たぶんその人のなかではその時点で「はいコイツ、社交辞令マン確定!」みたいにカテゴライズされちゃったんだと思うんだけど、二度と声かけてこなくなったりするパターンもあるんですよ。さっき言ったみたいに、ホントに忙しくて断らざるを得なかったようなときだってあるのにさ。

なんつーかこう……、怖いわ!っていうね。

こばなみ:
そりゃ、究極の社交辞令嫌い派ですね。

でも、予定があったり、仕事が入っちゃったら仕方なくないですか?

宇多丸:
だし、だいぶ前に言ったけど、「落ち着いて鼻クソほじるほうを優先させるのもこっちの権利」っていうかさ。断った「本当の理由」に正当性があるかどうかなんてことを、いちいち外から問われる筋合いはないよ、って思うんですよね。

社交辞令っていうのが一種の「気遣い」なのはたしかなんだからさぁ。そこをわざわざほじくり返して台なしにすることないじゃん!って、僕は思っちゃう。

こばなみ:
社交辞令、ほんとあんまりはっきりさせたり、掘り返さないほうがいいですね。

宇多丸:
社交辞令嫌い派はさ、要するにそれを「偽りの好意」みたく思っちゃってるんだろうけど、実際には、言ってるほうもそこまでネガティブな気持ちを込めてるわけじゃないじゃん。

むしろ逆に、嫌われたくはない、嫌な思いをさせたくはない、って思ってるからこその、ボカし表現なんだからさ。

仕事仲間とか友達とか恋人みたく、当然のように顔を合わせる仲じゃない、今後たまには会うくらいの関係になるかどうかの、ファジーな境界線上ならではのコミュニケーション術というか。

こばなみ:
コミュニケーションなんて雑じゃん!っていう話が前にありましたけど、あんまりカチカチと、決めたら会わなきゃダメとかって決めちゃうのは、もうその時点で相手を慮ってないかもしれないですね。

宇多丸:
いっぽう、クリスプさんが悩んでいるのは、相手の「今度またぜひ会いましょう」みたいな言葉に対して、あんまり真正直にグイグイ応えちゃうと、ひょっとしたら迷惑なんじゃないか?っていう心配ですよね。

つまり要は、改めてこっちから誘ってみていいものかどうか、その判断はどこでどうしたらいいのか、ってことだよね。

クリスプさんにひとつ言っときたいのは、社交辞令を真に受けて積極的に応えようとしたら引かれてしまったことがある、ということだけど、それはちょっと、相手もいくらなんでも意地悪というか、そこまですぐ露骨に厳しい態度で返してしまうというのも、それはそれで不躾じゃない?と思いますよ。全然「社交辞令」になってないじゃん、意味ないじゃん!っていう。そいつの人間性がアレだったんじゃないの?とさえ思うよ。

なので、そこに関して過剰に臆病になりすぎないでほしいな、とは思います。常識的な礼儀の範囲を守ってるなら、なんであれ問題ないはずですよ。

まぁ普通に考えたら、たとえば「11月後半でもしご都合よろしい日があれば食事などいかがでしょうか?」とか、具体的かつ幅のある日程提案から入る、というのがまずあるよね。

で、こばなみも言ってたように、それに対する反応で、相手のテンションをある程度推しはかることはできる。

断られるにしても、「11月は難しいけど、12月頭とかはどうですか? 」みたいに向こうからの再提案を含んでいるなら、あっちもはっきり乗り気なのがわかる、とか。

それかさ、もっとピンポイントに、「特定の日時で、もともと開催されることになっているイベント」にお誘いする、という手もある。

要は、その人が断ろうと断るまいとそのイベント自体は催されるし、誘った側もそこに参加することは決まってる、みたいなやつだと、誘うほうも誘われるほうもちょっと気が楽じゃない?

僕だったら、何月何日どこそこでライムスターのライブやるんですけど、よろしかったらいらっしゃいます?っていうのは、比較的カジュアルにできるお誘いのひとつですよね。

誰に声がけしても不自然じゃないし、来れなきゃ来れないでまた今度ぜひ、ってだけのことだし。

たとえばだけど、その人と共通の知人を含む複数名での食事会や飲み会が「たまたま」あるんですけど……みたいな話なら、もろもろのハードルが、グッと下がらない?

こばなみ:
仮に断るにしても断りやすい!

誘う側も、向こうの反応の仕方で、今後の判断材料にもなりますしね。

宇多丸:
で、まずはそういう気軽な場に来てもらうことができたら、その人のことをもっと直接知ることができるわけだからさ。それこそ、こっちの誘いに対して実際にはどういうテンションなのか、とか。

そこから、さらに親しくなるきっかけができるかもしれないし、逆に、やっぱりそこまででもないなということがわかるかもしれないし。

いずれにしても、クリスプさんもとりあえずはそういう、わりとざっくりめな網のかけ方をしてみてはいかがでしょうか。

それにしても……、SNS、特に「既読」機能の浸透以降、本来そこまで明らかにすべきじゃないことまで明らかにされちゃって、人間関係が余計ややこしくなりがち、っていう側面は否めないですよね。

そのうち、メッセージに「社交辞令マーク」がつく、みたいなことになったら嫌でしょ!(笑)

こばなみ:
やだやだ~!!! なんのためのコミュニケーションなんですかね、それ!

宇多丸:
そうそうそう。

コミュニケーションって元来、「伝えたいことを、伝える」ためのものなはずなのに、そこまで伝わってほしくないこと、たとえば「内心」こう思ってる、みたいなことまで、外側からなんとなく見えるようになっちゃって……、一億総「サトラレ」時代ですよ!

でもね、何度も言うけど、そうやってなんでも性急に白黒つけちゃうからいろいろ感じ悪く見えるだけで、そこはグレーに、ファジーに、「とりあえず保留」にしておくっていうのも、立派な生きる知恵のうちだと思いますけどねぇ……。



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年10月21日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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