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自分はがんばるのが当たり前、部下は定時が当たり前。こんなとき、どうする? 《リーダーの在り方編-1》

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
女性リーダーたちが実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

今回は、印刷会社の営業部のマネージャーであるイチコさんのケース。自分は仕事が好きで、水を飲むように仕事をするタイプ。一方、部下は、仕事は定時で終わるのが当たり前というスタンス。チームのリーダーとして、仕事へのスタンスの違う部下をどうまとめていくか。イチコさんがたどり着いた「私についてこい!」タイプとは違う、リーダーの在り方を聞きました。

ニックネーム:イチコさん(40代)
◆職種:通信印刷会社の企画営業
◆部下の数:0人(かつては5人)
就職情報を取り扱う広告代理店に新卒入社した後、知り合いからの誘いを受けて印刷会社に勢いで転職。持ち前の楽観主義と鈍感力を武器に、前のめりでキャリアを築いてマネージャーに。5年前に出産し、現在はマネージャーの肩書きのままプレイヤーとして時短勤務中。


新入社員として入ってきた4人は仕事へのスタンスが全然違う! ……マネージャーとしてどうまとめる?


私は、仕事をするうえで、「これはイヤだ」と思わないタイプ。仕事量が120%までオーバーしていても、それが当たり前だと思ってしまうんです。仕事がしんどくて辞めたいと思ったことは一度もなく、私にとって働くことは水を飲むことのように自然なこと。つまりは、仕事が好きなんですよね。だから、仕事へのスタンスが違う同僚や部下に対しては、「もっと働いてほしい」と思ってしまうこともありました。

今から10年ほど前、印刷会社の営業としてマネージャーになったとき、女性の新入社員4人が部下として入ってきたんです。

上司=リーダーというと、どうしても「引っぱっていくタイプ」を想像しがちですよね。私も最初、そういうタイプをマネしようとしました。でも、やってみてすぐに断念(笑)。「私が全部決めるから、ついてきて!」というのは、私に合わないと気づきました。

そして、4人の新入社員をメンバーに迎えて目の当たりにしたのは、「自分はがんばれるけど、みんながみんなそうではない」ということ。仕事へのスタンスが、ぜんぜん違ったんです。ある部下は、「就業時間が過ぎたら、仕事をする理由はない。だから、仕事は終了するのが当たり前」という言い分でした。

言っていることは正論ですが、堂々と言われてしまい、ついイラッとした顔を見せてしまったかもしれません。でも、スタンスがまったく違うので、私と同じようにしてもらおうとしても、伝わりません。おしりをたたいてもマイナスにしかならないことが目に見えていました。

大切なのは、関わる人に気持ちよく働いてもらって仕事を完了すること


スタンスの違いはどうしようもないですが、その日のうちにやらなければならないことがあれば、仕事の責任として、やってもらわなければなりません。

部下には「私が手伝えることがあれば、もちろんサポートする。でも、誰かが関われない部分については、責任をもって取り組んでほしい。お給料をもらって仕事として請け負っている以上、やってもらわないと困るよ」と話をしました。

自分一人でやってしまった方がラクだと思うこともありましたが、それでは部下が育ちませんよね。上司として、負担を軽くするためのサポートはしますし、できることは協力します。でも、すべてを肩代わりするわけにはいきません。それは、誰のためにもならないから。

上司と部下といえども、結局は「人」と「人」。相手に敬意を払って接することが一番大事だと思っています。そのためには、私も分からないことは、分からないと言うし、できないことはできないと言う。マネージャーとして大切なのは、関わる人をまとめて仕事を完了させることです。そのために、関わる人が気持ちよく仕事ができるように、配慮は欠かさないようにしています。

このスタンスにたどり着くまで、私のなかでも葛藤はありました。自分の考え方や性格に近いリーダーのロールモデルを探しても、なかなか見つけられませんでした。最初は、「自分が部下を引っぱらなきゃ」とがんばっていたのですが、できないことはできない。だから、自分ができる範囲でやれることを考え、自分ができないことをどう補ってもらうかを考えるようになったんです。

結局、当時の部下だった4人はその後辞めてしまいましたが、マネージャーとしては勉強になりました。



イラストレーション:高橋由季




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