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26歳、大学は留年、夢はイラストレーター。しっかり働いていて当然の歳なので、いい加減諦めなきゃいけない?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室234】


✳️今週のお悩み✳️
初めまして。いつも楽しく拝見させて頂いております。初めて相談をさせて頂きたく、メールしました。私は、現在、26歳でアルバイトをしています。実家住まいです。通信の美術大学(通学と通信課題の両方あり)へ通っていますが、学費を払いながら、毎年、卒業が延びてしまいました……。本来であればとっくに卒業しているはずでした。その通信制大学は、卒業が難しいという声もあり、途中で断念する方も結構います。ただ、会社員など働きながら、子育てしながら、卒業された方もちゃんといるので、自分の努力不足なのは確かです。私は、中学・高校と学校へ行かず、家に引きこもっていました。そして、今の学校へ入学し、アルバイトをしながら通うようになりました。年齢と社会経験がずれていて、それも焦っています。父は以前は「卒業にこだわって遅らせるより、社会経験を早く積んだ方がいいんじゃないか」と言っていて、母は「あなたは絵を描く人なんだから。卒業しなきゃもったいない。頑張りなさいよ」と言っています。家にお金は多少入れてはいるものの、余裕のある家ではないので、親にいろいろ心配をかけていると思います。一番いけないのは、決断できず中途半端になっている自分の甘さだと思います。再提出で単位が足らず卒業がまた延びてしまったことにより、いよいよ、就職しなければまずいのではと思うようになりました。その美術大学での学びは、厳しい分、力をつけさせてくれ、確実に価値のあるものでした。先生も真剣に見てくださっています。そして、今までお金や時間を使ってきたのももったいないし、大卒資格がある/ないじゃ違うよ、という風に言われることもあります。しかし世間的にみれば、26歳はもうしっかり働いて当然の歳。課題をやるにはいざというとき融通のきくアルバイトをしていた方がいいのですが、もういい加減諦めなきゃいけないかな……という気もします。イラストレーターになりたいという夢がずっとあり、今は全然仕事ではないですが、最初はほかの仕事をして生活しながら、副業で始め……と考えています。そもそも計画性が甘すぎかと思います。長々と、はっきりしない文になってしまい、すみません。不甲斐ない悩み事ですが、もし何かアドバイスを頂けましたら幸いです。

(なつめ・26歳・千葉県)


宇多丸:
これは僕の意見ははっきりしてますよ。
今さらグラついてんじゃねーよ!
 こんな中途半端なところで引き返すのが、一番もったいないのは間違いないと思う。

そりゃ、ほかの同年齢の人に比べて出遅れてる感に焦る気持ちもわかるけどさ。
きつい言い方をすれば、この状態で今から慌てて社会に出てみたところで、逆にそのギャップの埋めようのなさを突きつけられるだけなんじゃないですかね。

その点イラストレーターっていう仕事には、歳とか社会経験とか基本的にはあんまり関係ないんじゃないの?とも思うし……、ま、僕も専門ではないので実際のところはわからないけども。

とにかく今は、イラストレーターとしてまさにその「世に出るための」スキルを身につけてますよっていう、言っちゃえばお墨付きを得るためにこそ、学校に行ってるわけでしょ? 
勉学環境としてもちゃんと有意義だと感じていて、お金も尽きたってわけじゃないのなら、なんで途中でそれを投げ出すのか、意味がわからない。
このタイミングで辞めたほうがプラスなことってなんかある? 僕には思いつかないんだけど。

たぶんだけど、お父さんだって、もうちょっと手前の段階で「こういう選択肢もあるよ」的な意味で、軽く言ってみただけだったりしないかな。
なんにせよその意見は、僕は完全に的はずれだと思いますね。

なんのためにモラトリアム期間があると思ってるんだっていうかさ。
一家全員飢え死にするわけじゃあるまいし、堂々と親のスネかじっとけばいいじゃん!と思いますけどね、僕は。

こばなみ:
私も働いていたにもかかわらず26歳のときはめっちゃお金なかったですよ。こういう仕事ですし、ぜんぜん給料も少なくて、でも遊んだり飲んだりインプットもしたいから、実家住まいで洗濯とか食事とか全部やってもらってたし、お金も入れてませんでした。

宇多丸:
僕も、金なんて入れない入れない入れるわけない!(笑)

 もちろん、そういうかたちで親孝行するのも立派だとは思うけど、少なくともなつめさんの今の立場で、無理してまで家に金入れる必要、あるかなぁ? 
そんなもんはさ、出世払いでいいんだよ!

こばなみ:
それはいいですね。がんばってうまくいって収入を得たらドカンと返す!

宇多丸:
まさにそうやって、ひとり立ちして経済的余裕も出てくるようなところを目指して、今は勉強しているわけでしょう?
だから、この瞬間はなつめさんが気合いを入れてイラストの道に精進することこそが、真の意味での親孝行じゃないの?と僕は思うよ。

たしかに、普通だったらとっくに社会に出てそれなりに稼いでる年齢なのに……と、焦る気持ちがどうしても頭をもたげてしまうのもわかる。同級生とつい比べちゃったりね。
でもね、そんな「普通」の人生なんて、ただのイメージにしかすぎないんだから。
誰だってなんかしら、それぞれ固有の引け目や欠落、疎外感を抱えながら生きてるんであって、「普通」の鋳型にぴったりハマる人生なんか、現実には存在しないですよ。

なつめさんだってさ、中高不登校で引きこもりで今はバイトしながら絵の勉強中っていう自分だけの人生を、すでにここまで事実として歩んできちゃってるわけじゃん。それを、ほかの誰かの生き方と比較したって、しょうがないでしょう。
この延長線上で、できるだけ胸を張って進んでいくしかないんだから。

ちなみに、イラストレーターの仕事だけで食えるとかは、まだまだまだまだ先の先の先の目標でさ。
さしあたって、それでいくらかでも金をもらえるようになれるかどうか。まずは副業としてやりながら……とか言ってるけど、メインの収入源がほかにあろうがなんだろうが、金取れるところまで行ければ十分大したもんだから!

なつめさんに甘さがあるとしたら、計画性じゃなくて、そのレベルに達してもいないのに「“副業として”ならやれるかも」的に考えてる、つまり実はちょっとイラストレーターという仕事をナメてかかってるニュアンスさえあるという、その部分だと思いますよ。

手っ取り早く言えば、なつめさんは明らかにまだ修行中の身なんだから、家に金入れるとかいっちょまえヅラする前に、勉強に集中しろ!って話ですよ。

こばなみ:
ほんと、夢だったイラストレーターになるということだけは揺るがないでほしいですね。
その熱い思いしかエンジンになるものってないと思うんで。

宇多丸:
思うになつめさんは、無意識のうちに、逃げ道を用意しようとしてしまってるんですよね。
イラストレーターとしてモノになるかどうかわからないという現在の不安を、「もういい歳だし……」とか「家も余裕あるわけじゃないし……」とかいちいち理由を見つけては、「だからギブアップもやむなし」と考えることで、先回りして解消しようとしてるっていう。

もちろんね、イラストレーターを目指すというのには、それなりのコストとリスクを伴いますよ。
でも、そんなことは最初からわかりきってたはずのことだし、ビビって今さら戦線離脱したところで、さっきも言ったように、前以上に悪化した条件と向き合うことになるだけなんじゃないかなぁ。

だからね、なつめさんはもう、覚悟を決めるしかないんですよ!
 一人前のイラストレーターになれるまで、親のスネをかじり倒し、人の助けを受けまくる!
 恩返しなんかは後から、できればでいいんです。
今はとにかく、これまで歩んできたルートの延長線上で、ご自分の人生を軌道に乗せることだけを考えていればよろしい!

こばなみ:
一番の武器って自分なりでいい!って思ってがんばれることじゃないですかね?

宇多丸:
そう。
引きこもっていたことも含め、それはなつめさん固有の人生で、今さらほかに選びとりようがないんだから。
だから、まずは自分で自分を肯定してあげたうえで、どうやったらさらに向上できるか考えて努力するっていう、誰だってそうやってやってくしかなくない?

ホントはさ、今はせっかく美学生なんだから、同級生でも上には上がいるって凹んだり、先生に叱ってもらったり、もっとこの、社会に出たら本当にありがたみがわかる貴重な季節を、全力で満喫すればいいのにね。

こばなみ:
大学とかでも、就職するための学生生活っていうのも、もったいないですもんね。そのときにしかできないことが、バカなことや無駄なことも含め、その後にめっちゃ効いてきますし。

宇多丸:
それと同時に、イラストレーター活動も、今すぐやれることからガンガン始めるべき!
別に資格や誰がの許可が必要な仕事じゃないんだから。

ちなみに編集者は、イラストレーターをどうやってピックアップしてるの?

こばなみ:
イラストレーター年鑑から選んだり、雑誌で描いてる人をチェックしたり、イラストレーターが登録しているエージェンシーのサイトで探したり、もちろん売り込みとかもあるのでそこから選ぶこともありますよ。

宇多丸:
だったら早速、女子部JAPAN(・v・)に売り込みかければいいんじゃない?

こばなみ:
もちろん受付中ですよ。作品できたらこちらへ連絡ください!

宇多丸:
一カ月以内にブックレット作って必ず行くとか、早めのリミット決めろ! ホラ今すぐ!(笑)

で、そういう場でダメ出しされたり、自分の現状の実力の壁を思い知らされたり……、なつめさんがいずれ本当に悩むべきは、そういうレベルのことだから。
そこにせめて一度はタッチするところまで、もう三十ふんばりくらい、がんばってみ!

諦めるかどうかは、そこまでやりきってから、改めて考えてみればいいですよ。



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年4月28日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
こちら


女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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