
セクハラをしてきた得意先の男性が入社してくると聞き……。今後自衛するためにはどうしたらいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室408】
✳️今週のお悩み✳️
今秋かつてお得意先だった男性(60歳超え)が入社すると聞きました。営業として私が担当していたとき、セクハラ(彼氏はいるのかと聞かれたり、腕を掴まれたり)を受けたこともあり、その後上司に相談し担当を外してもらいました。今後自衛するためにはどうしたらいいのか。また、私は出身地や家族など個人情報をその人に知られるのも不快なので、事前に会社にその旨を伝えるにはどうしたらよいのか教えていただけませんか?
※会社は歴史もあるためよくも悪くも昭和の雰囲気があり、なかなか変革に積極的ではありません。
(おかし番長・28歳・営業・東京都)
宇多丸:
還暦越えた元お得意先が入ってくるって、どういうこと?
わかんないけど、天下り的なニュアンスの何か、みたいな?
なんにせよ、すごく不健全な匂いがする話ですよね。
そしてもちろんおかし番長さん的には、そんな人が同じ会社にいるってだけでもう怖くなっちゃうだろうし、顔を合わす可能性があるなら出社したくない、ってレベルの案件ですよね。
これはけっこう深刻な話だと思いますよ。
とりあえず会社にはできるだけ早く、おかし番長さんの懸念を伝えるべきなのは間違いない。
まずは当然、直の上司に相談して……。
あと、歴史があるってことだから、まぁまぁ大きいところなのかな?
だったら今どきはコンプライアンス部門もあるんじゃないかと思うから、そこに訴えてみるとか。
こばなみ:
上司がダメなら人事にも相談ですね。
それかもしかしたら、歴史はあるけど、意外と小さい会社なのかも!?
昭和から続く家族経営的ななにかとか……?
宇多丸:
比較的小さいとこなら、それこそ社長に直談判していいくらいじゃない?
それにしても。過去にセクハラで実際に会社が動いたような件の、よりによって加害当事者が改めてこっちに入社してくるなんて……、なかなかとんでもない話ですよね。
こばなみ:
入れたのはもっと上の人で、以前の件が報告されていないのかもしれないですよね。
宇多丸:
まぁきっとそうなんだろうね。
組織としてなってないよ!
とりあえず、個人情報を他の社員に漏らすってことは、今はさすがにダメってことになってるとは思いますが……。
でもまぁやっぱ、心配だよね。
てか、社内で鉢合わせするのだって嫌だし……って、なんでこっちがこんなに戦々恐々としなきゃいけないんだよ!
理不尽にもほどがある。
ということでこれは、特に実際ヤツが会社に来るってことを考えるとやっぱり、すぐにでもなんらかの手を打つべき、かなりの大問題と言っていいと思うんですよね。
おかし番長さんにしてみたら、トラウマがフラッシュバックしかねない状況なわけだし。
なのに、万が一ですけど、会社が真剣に取り合ってくれなかったとしたら……、ならばもう、しかるべき公の機関に相談させていただくしかないですけど?って話ですよね。
こばなみ:
ということで、関連の窓口を調べてみました。
まず前提として、「男女雇用機会均等法第11条」により、セクハラ対策は会社としての法律上の義務です。
<男女雇用機会均等法第11条(抄)>
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労 働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害 されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
そのうえで、相談できるところとしては、
雇用環境・均等部に電話してみたところ、とくにセクハラ関連の相談であれば、
03-3512-1611(平日8:30~17:15)
にお電話ください、とのことでした。
ほかにも教えてもらったのが
電話相談と来所相談(予約制)を受け付けています。
直接弁護士から助言を受けられる「弁護士労働相談」も実施しているそうです(30分程度、無料)。
今秋っていうから、あまり時間がないですよね。急がねば!
宇多丸:
とにかくまずは、こっち側の責任者に過去の経緯を説明して、しっかり問題意識を共有させるべきだし、会社にはその義務と責任が間違いなくある。
おかし番長さんは、かなり強く主張していい立場だと思いますよ。
それこそがまさに「自衛」につながるというか。
古い体質で変革に積極的じゃないってことだけど、そんなもんにこっちが忖度する必要はまったくないから!
だったら頑張って変われや!ってだけのことですから。
だし、基本旧態依然とした配慮に欠ける体制なのだとしたらなおさら、仮にもしこのままこっちが特に動かなかったら、下手すりゃ同じ部署に偉そうな立場で来ちゃったり、マジでしかねないわけじゃないですか。
悪夢だよ!
ちなみにその元得意先に、かつて自分のセクハラが原因でおかし番長さんが担当を外れたってこと、伝わってんのかな?
こばなみ:
いや~、伝わってたら入社しないと思いますけども。残念ながら、セクハラしたとも思っていなさそう。
宇多丸:
だよねぇ……。
だとしたらやっぱり、「あのときはお世話になりましたぁ♡またヨロシク!」とかって、普通にニヤニヤ近づいてきかねないじゃん?
それだけは絶対に実現してほしくないことなわけだから。
つーことでやはり早急に! アクション起こそう!
こばなみ:
急ぎ!と思いまして、取り上げさせていただきました。
あぁでもこういう問題……、本当になくなってほしいですね。ご自身、そして後に続く人たちのためにも、会社に話してほしいなと思います。大変だと思いますが、無事を祈っております。
【今週のお絵描き】


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※3/4(土)大阪BIGCATなど、ワンマンライブ・シリーズ『ライムスターイズインザハウス』、2023年(新)シーズンの詳細はこちら
※SOIL&”PIMP”SESSIONSにRHYMESTERを添えて「初恋の悪魔 -Dance with The Devil-」(日テレ系ドラマ『初恋の悪魔』最終章テーマ曲)が発売中!

女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。