異性として好意を持たれると嫌悪感を抱いてしまいます。でも楽しくてドキドキする恋愛がしたい……!【ライムスター宇多丸のお悩み相談室372】
✳️今週のお悩み✳️
どうしたら恋ができるのか、恋人とはどういう存在なのか、教えてください。今までに好きになった人や、付き合う直前の状態、などになった相手はいます。しかし、自分の行動範囲や自由度が広がり、大人になるにつれ、誰かを好きになることから遠ざかっています。私には趣味があり、叶えたい夢もあります。そのために時間を使うこと、夢に一歩近づくことが、今の私にとって一番の「ときめき」です。性別を問わず、よい友達にも恵まれ、ありがたく感じる日々です。恥ずかしながら、数年前までは惚れっぽい性格をしていました。頻繁に会う間柄の人で、素敵だな、と思うと、気づけば好きになっていました。しかし今は、親しくなる相手が素敵であればあるほど、「ひとりの人間」として好きになります。つまり、異性としての意識をしなくなります。友達として、ずっと信頼し合える関係でいたいと思います。大事な友達なので、恋愛したいなんて思えませんし、その想像もできません。「仲良いけど恋人なの? 好きなの?」と他人から言われると、気分が悪くなります。こうなったのは、現実の恋愛や、「異性」として相手を見る行為に、強く幻滅したことが理由だと思います。ダメな男性に出会ったり。そういった相手から一方的な好意を向けられたり。大人になって「異性」の良くない側面が見えすぎるようにもなりました。今では「自分に好意(異性としての)を向ける異性」が現れると、嫌悪感を抱いてしまいます。「下心を向けられている」ような感じが嫌なのだと思います。私のことが本当に大事で好きなら、異性として見る必要もないし、友達で良いのでは? この人は私に何を求めてるの?と、身構えてしまいます。そう過ごすうちに、恋愛する意味も、わからなくなってしまいました。「恋人」とは一体何のための存在なんでしょうか? 私も「この人と恋人になりたい!」と強く感じるような人に出会って、友達がしているような、楽しくてドキドキする恋愛がしたいです……!
(リナ・24歳・会社員・東京都)
こばなみ:
いろいろ書いてありますが、仲良くなった人から異性として好意を向けれた途端に、ギャッて思っちゃう。でも本当は恋愛したい……ってことですかね?
宇多丸:
要は、「異性性」に嫌悪を感じるのでせっかくはぐくんだ友情を恋愛関係に発展させたくない、という件と、それとは裏腹に、とはいえ向こうからグイッと来られても嫌じゃないどころか嬉しくなるような、「本当に好きになれる人」にいつか出会えるもんなら出会いたいけども……という件、ふたつの悩みがあるわけですよね。
まず後者に関しては、いつも言ってる通り、それはもう「ご縁があれば」としか言いようがなくて。
こばなみ:
事故みたいなもんで、好きになっちゃってるのですもんね。
宇多丸:
恋愛に限らず、人生の中でどういう人と出会って、その人とどういう関係になるかなんて、誰にもわからないことですからね。
なんつーか、宝くじ当たらないかな~、みたいな話だよ。
こばなみ:
当たった人はいいなぁ~って感じですかね。
宇多丸:
で、当たる確率を上げるにはやはり数打つのが一番合理的ではあるんだけど、リナさんはこれまで、ハズレを引いたときに嫌な思いをしすぎている、と。
こばなみ:
男性や異性性に対する嫌悪が本当に強いのだなとは思いましたけども。
宇多丸:
文にも書かれているとおり、何かしら不快な目に重ねて遭われたのでしょうし、もちろんそれはリナさんの責任じゃないからね。
「そんな男性ばかりじゃないよ」なんてことを言っても、こういう場合なんの気休めにもならないどころか余計に絶望を深めかねないというのも、遅まきながらで申し訳ないけど最近ようやく理解してきまして……。
とりあえずさ、恋愛関係にはなりたくない異性の友人には、リナさんのそういう心情を、比較的早い段階で素直に伝える、ということじゃダメなのかな?
それでどんなふうに思われるか不安にも当然なるだろうけど、これもいつも言っているように、そういうときにまともに耳を傾けてくれないような相手だったとしたら、そもそもこちらも真剣に付き合うに値しない、ってことなんじゃないのかなぁ。友人であろうとなんだろうと。
そうこうするうちに、リナさんもまだ20代前半だし、考えや気分も変わってくるかもしれないしさ。
ちなみに、そんなことはリナさんも百も承知だろうけど、「友達がしているような、楽しくてドキドキする恋愛」なんてのも、あくまで外側から見たイメージ、もしくはホントにあったとしても、いずれなんらかの変質は避けえないものですからね。
こばなみ:
当たり前ですけど、いい面だけじゃないですもんね。
宇多丸:
ドキドキの先には、ドロドロやゲロゲロも、当たり前のように待っているかもしれないんで。
それがわかっててなお、やはりどうにもならずやらかしてしまうのが恋、というものなんでしょうし……、そこには「意味」も「何のため」もない、あえて言えば「その人固有の人生」というものがあるだけ、ということなんじゃないですかね。
その一方でリナさんは、趣味も夢もしっかりあって、そこに打ちこむことにワクワクや喜びもじゅうぶん感じてたりして、要は「自分で自分を幸せにする」ことが、すでにちゃんとできてる人なわけじゃないですか。
つまり、現状でもぜんぜん人生を楽しむ術を知っているんだから、恋人だのなんだのは、ないならないで問題ないし、あったらあったでラッキー……くらいの、プラスアルファなオマケ、程度に考えておけばいいんじゃないですかね。
焦らず、今の自分を楽しみ尽くす!ってことでいいと思いますけど。
で、その足を引っ張りかねない望まぬ色恋沙汰の根は、早めに先手を打って摘み取っておく、と。
ホントにいい友達になれる相手なら、リナさんがわざわざおりいって打ち明けている気持ちを、尊重しないはずはないから。
逆にそうじゃないなら、そんなやつは心おきなく切ればいいだけのことですよ。
こばなみ:
趣味で叶えたい夢があるなんて、素敵なことですよね!
もしかしたら、まわりがラブラブな恋愛モードなので、刺激されてぐるぐるしちゃってることもあるのかもしれないですが、
オマケついてきたラッキー!的な感じで一歩引いてみると、気持ちがラクになりそうですね。