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他の人と比較しないまま、初めての彼氏と結婚するのが不安で……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室143】


✳️今週のお悩み✳️
宇多丸さん、こばなみさん、こんばんは。私は24才のOLで、大学1年生のとき出会った彼氏と5年半付き合っています。彼が家業を継ぐことになったので昨年の8月から遠距離恋愛しており、お互いの仕事の兼ね合い上タイミングもいいので今年の冬頃結婚する方向で、両家の家族ぐるみで話が進んでいます。彼とは2年間の同棲経験もあります。彼氏はイケイケなタイプではないものの誠実で一緒にいて楽しい人ですし、彼の両親も本当にいい人で、結婚するのには申し分ないのですが、初めての彼氏なので他の人と比較しないまま結婚していいのだろうかと薄情な不安があり、モヤモヤして解消できません……。正直、私はモテない方ではないようで、男性から食事などに誘われることが多いです。けれど毎回「楽しそうだけど、彼が嫌がるだろうなぁ。私顔に出るからバレるだろうしなぁ」と思って断ってきました。私と彼の関係は喧嘩はよくするもののまったりのほほんとした感じで、お互い大事にしていますし、幸せではあるのですが、一度くらいは刺激的な異性関係を楽しんでみたいなぁとも思ってしまいます。結婚してから友達を見ていて嫉妬しないかなども不安です。私の両親がダブル不倫だったのもあって、血は争えずでそのうち目移りが本格化したら怖いですし、いつか彼氏が浮気したら立ち直れないくらい落ち込みそうで恐ろしいです。女の性欲のピークは30代とよく聞くので、その頃になって彼にも飽きられててとかだと爆発しそうで恐ろしいです。彼氏大好きなんですけど、真剣に不安です(T_T) 助けてください(T_T)ウッウッ お願いします(T_T)
(ごろん丸・24歳・東京都)


宇多丸:
初めて付き合った彼が「当たり」で、そのまま結婚まで行っちゃって、向こうのご家族とも折り合いが良くて……、わざわざ地元で家業を継ぐってくらいだから、経済的にもそこそこ恵まれたおうちなのかもしれないしね。
これってある意味、特に恋愛とか結婚ってものにまだまだキレイな夢を見てるような年頃の女の子にとっては、ひとつの理想を実現しちゃってるようなもんなんじゃない?

しかも、すでに5年半も交際してるってだけじゃなくて、そのうち2年は同棲もしてるんだから、前からしつこく言ってる「すべての恋愛対象が“一緒に暮らすのが苦にならない”相手とは限らない」っていう現実的問題も、さしあたってはクリアしてる。
普通に考えたら文句なし!のはずだよね。

でもでも!……そうなったらそうなったで、今度はまさにその、「文句なし!すぎること」に心がザワついてきちゃう。
人間ってホント、面白いねー!

こういうとき僕が思い出すのはやっぱり『マトリックス』ですね。
クライマックス手前くらいで、エージェント・スミスが、前の仮想世界は「完璧」に作りすぎて失敗した、みたいなこと言うじゃない。人間という存在は「完全な幸福」には耐えられない、その状態がどうしても信じきれなくなってしまうんだ、って。

あとは、また手前味噌で申し訳ないけど、僕が『ペインキラー』って曲で歌った通り、「正しさだけじゃ生きてけない」って話ですよね、まさしく。

しかもごろん丸さん、ご自分のなかのそういう「正しくなさ」にもちゃんと自覚的な上で、ひとえに彼を傷つけたくないというこれ以上ないほど真っ当な理由から、それを理性で抑え込むことまでできてる。
そこまで含めてやっぱり、文句のつけようもなさすぎ!ではあるんだよなぁ。

つまり、少なくともごろん丸さんのなかで、もうちょっとこのパーフェクトさを崩していければちょうどいい、ってことなのかな? うーん……。

女性のみなさんはどう思われるんですかね。
やっぱ、「なんて贅沢な悩みなの!(怒)」って感じですか?

こばなみ:
アンケートを取ってみました。

「いわゆる、マリッジブルー的なもの? ちなみに私は一度よそ見をしてみた結果、あまり楽しくなかったです」(U子)

「よく言われるマリッジブルーなのでは? 他を見て納得できるなら浮気でも何でもすればいいけど……」(チョビ)

「まじめな人だな~。えらい! やっぱり、この彼と結婚して、若い愛人つくるのがいいのかな(オイ!)。性欲とか彼に飽きられるとか不安って言ってるけど、そうなってから悩めばいいのでは?」(はしぞう)

「”あるかもしれないけど、ないかもしれない”ようなリスクを懸念してたら、いつまでも結婚に踏み切れないのでは? もしかして今の彼の気持ちを信じきれてない!?」(ナッキー)

「私も大学一年からお付き合いしていた今の旦那さんと7年付き合って25歳の時に結婚。初めての彼だったのですが、比べる人がいないからかえってよかったのかも……と思ってます。私の場合は何の迷いもなくって感じでした」(あーちゃん)

「結婚を先延ばしにするのはどうですか? でも彼が大好きで、ご両親も良い方だったり、いろんな条件が揃っている、そんな物件はそうそう現れない!とも思います。私のまわりにも中学や高校から付き合って結婚して幸せいっぱいという人がいますが、一生一緒にいようと言ってくれる相手がいるなんて、どんな刺激的な恋をしている人よりも羨ましい限りでーす」(あちゃ)

「人間はさらなる可能性や見たことのないものを見たくなるものですからね。他の人を覗いてみるのもいいと思いますけど、地獄に落ちる可能性もあるのでお気をつけて」(モチ)

と、いろんな意見が出ました。
マリッジブルーもあるのかも、ですね。で、たしかに贅沢だぞ、こら~!みたいに思う気持ちもありますけど、私自身はこの連載を始めてからけっこう考え方が変わったかも、と。
傷ついたりもするのも経験だし、いろんな人と付き合ったり知ったりするのもなるほどなぁと思うことがあるから、それもいいんだなって思えるようにはなりました。まぁ、すぱっとストレートにうまくいかないから、負け惜しみみたいに言ってるのもあるのかもしれないですけど(苦笑)。

宇多丸:
まぁ、そこそこ恋愛経験積んだ上で今の彼に出会う、というのがベストだったのは間違いないだろうけど。そんなの、言ってもしょうがないことの最たるものですからね。

ひとつ言えるのは、「理想の彼と出会う」とか「その彼と結婚する」なんていう、人によってはともするとそれ自体が「ゴール」みたいに見えかねないような話でさえ、実はやっぱり、人生の「ハッピーエンド」を保証してくれるってわけじゃない、ということだよね。
人生の「豊かさ」っていうのは、必ずしも何かが「上手く行った」部分にだけあるわけじゃないってことらしい、どうやら。
で、ごろん丸さんは賢い人だからそれに気づいちゃってる。

こばなみ:
1人の男性とだけ付き合って結婚した人って、小さい頃は親からの刷り込みとかも含め、それが正しさでありスタンダードだと思ってたけど、当たり前だけどそんなこと全然なかった。たまに友達でも旦那好きすぎる!みたいなパターンもありますけども、私は本当にずっと好きでいられるのかな、と思ってしまうんです。
だから今回のごろん丸さんのお悩みに、こういう人もこういう状況で悩んでもいるんだって、ホッとしたというか親近感がわいたというか。

宇多丸:
まぁさ、その旦那さん大好き!派の方だって、本人が本気でそう思い込めてるならそれはそれでいいんじゃない? 
なんであれ私は幸せなんだーっ!って、半ば意志の力ででも心から信じきれて、そのテンションが持続するんだったら、それはもう「ホントのこと」と変わらないでしょ。そういうのは一種の生きる知恵ですよ。

そこへ行くとごろん丸さんは、なまじ想像力が豊かっていうか、頭が良すぎるんだよね。

経験が貧弱な人ほど歳取ってから性愛デビューすると狂いやすい、ってことも知ってるし、自分のなかのそういう危うさも、重々わかってる。
だからこそ自分を抑えることもできてるんだから、それ自体は悪いことじゃないはずなんだけどね。

こばなみ:
モテないわけじゃないってこともわかってますしね。

宇多丸:
要はごろん丸さん、あとほんのちょっとだけ、図々しくなれればいいんだろうね(笑)。
「顔に出るからバレるだろう」っていう、ここが克服できれば解決なんじゃない? 
……って、今回完全に浮気のススメみたくなっちゃってますけど(笑)。

でも、ホントにマジな話、それでごろん丸さんの気が済むんだったら、結果夫婦関係の安定につながるんだから、広い意味では彼のためにもなること、って考え方もできるわけでしょ?
 ていうか、どうせ一線を踏み越えるなら、そうやってポジティブに考えといたほうが絶対いいよ。後ろめたさを引きずると、それこそ「顔に出る」ことになりかねないし。
もちろんこれ全部、死んでもバレないようにする&深入りしない、というのは大前提ですからね! 
浮気的な行為最大の罪は、「バレること」そのものだというのが僕の前からの意見です。

別に、いちいち肉体関係まで行かなくたっていいんですよ。
ちょっと浮ついた気分を味わうだけでも、ごろん丸さんには十分刺激的だと思いますよ。

アメリカのコメディ映画とか観てるとさ、たとえば『ハングオーバー!』がまさにその話だったけど、バチェラー・パーティっていう、向こうの男どもの風習が出てくるじゃん? 
独身最後の日に、親友たちとバカ飲みしたりストリップ行ったりして、ハメを外しまくる。
要はそうやって徹底的に遊び倒すことで、「年貢を納めた」後に悔いを残すな、っていう儀式なわけでしょ。

ごろん丸さんに必要なのは、あれの女性版的な通過儀礼なのかもしれないよね。

こばなみ:
女性版はバチェロレッテ・パーティと言うらしいです。下着を見せ合ったり、手錠とかちょっと大人のゲームをするみたい(Wiki調べ)。

宇多丸:
なんじゃそりゃ!? それ、友達同士でやるの? そんなんで女性は発散できるんですか?(笑)

こばなみ:
でもでも宇多丸さん、他の男性を知るならですよ、今しかないんですよ! 冬まで遠距離恋愛なので、準備も含め今!

宇多丸:
そうか! 今ならバレにくい!

こばなみ:
この夏とかを逃しちゃいかんのです!

宇多丸:
行け行けー!

あ、でも、お相手探しはどうしたもんかね。
身の回りの男で、ごろん丸さんに本気で好意を抱いてるような人の誘いになまじ乗っちゃうと、後腐れが生じかねないじゃん? 
男性向けには、それこそ風俗とか、手軽なはけ口がすでに豊富にあるわけだけど……、あ、念のため言っとくけど、僕含め、男でもそういうの行く習慣がないって人はかなり多いですからね(笑)。でもまぁ、女性向けにももっとそういうのあったほうがいいのかな、とはちょっと思いますよね。

こばなみ:
一人旅はどうですか? 沖縄の離島とか行くと、男性の一人旅もいて、安宿でコミュニティみたいのが生まれていて、やたらみんな仲良くなったりするわけですよ(経験談)。で、知り合って、ライトなアバンチュール。その土地のみでの恋みたいにできる可能性はあります。

宇多丸:
なるほどね。エロいなぁ(笑)。

まぁ、相手の見極めは大人なんだし自己責任でじっくりやっていただくとして……。

とにかくごろん丸さんは、ご自分のなかの「正しくなさ」を自覚した上であらかじめ自制するっていう、なかなかそこまで行けてない人も多いレベルにはすでに達してるんだからさ。
あとは、そういうよこしまな欲望をコントロールして、適度に発散するってことさえできれば、もう無敵ってことですよ!

一番良くないのはやっぱり、ご自分でも心配している通り、そうして不満の種を密かに抱え込んだまま年月が経って、結局ある日ドカーン!と堤防が決壊しちゃうっていう……、で、彼にもそれがバレバレっていうね。
何より肝心なのは、彼を傷つけない、彼との関係を大事にするってことだったはずなのに、結果として完全に本末転倒なことになっちゃいかねないわけですよ。

逆に言えば、彼との関係第一っていう一線が文字通り死守できてれば、裏でこっそり「適度に発散」は、むしろ夫婦生活を安定的に続けるための必要悪、これもまたひとつの知恵、ってことなんじゃないかと思いますよ。

もっと言えば、バレさえしなければ、それはなかったも同じだから! 量子論における「シュレーディンガーの猫」ですよ! 観測されるまで物事は確定しない!
 後ろめたがるヒマがあったら、そこんとこ、万全にしとくように!

こばなみ:
メール、LINE、証拠隠滅!

宇多丸:
でね、結局そういう結論になる可能性も高いんじゃないかって予感が僕はちょっとしてますけど、試しに他の男性と関係を持ってみたらみたで、彼の良さがいっそう際立つだけだった、ってパターンも十分考えられますから。
だとしたらそれはそれで、彼への愛がもっと深まって、今の恵まれた環境をもっと大事にしようって気持ちにもなるだろうから、結果オーライ!

むしろ、現状でも喧嘩はよくするってことだけど、そうやって負い目を密かに抱いてるくらいのほうが、なんか気に入らないことがあってもすぐ許せるようになって、彼に対してより優しくなれる、円満度が増すって効果もあるかもしれないですよ(笑)。

それと、こういう人としてのちょっととした「正しくなさ」をサラッと共有してくれて、なおかつしっかり口が固い!っていう、信頼できるお友達とかが一人でもいたりすると、またさらに気が楽になるかもですね。
逆に、こういうときに言わずもがなの正論ベースで糾弾してくるだけ、みたいな「友人」はさ、基本「悪いのはあなたでしょ」と本気で思い込んでるからこそ、 「心配でしょうがないから」とかなんとか勝手な自己正当化して、わりと平気で他の人にバラしちゃったりもしがち……っていうのはちょっと偏見がすぎるかも しれないけど、とにかく、秘密を話す対象は、浮気する相手と同じくらい、かなーり慎重に選んだほうがいいですよ、とは一応最後に言っときます!

いやしかしホント、人生における「幸せ」ってなんだろうって、改めて考えさせられちゃうような相談でしたね。
人間、深い!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年4月23日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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