見出し画像

約束に遅れたうえに雨だからリスケを提案してきた親友。その日の夜、彼氏への手料理がインスタであがってた! 彼氏がいる女はなぜ友達を無下にするの?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室362】


✳️今週のお悩み✳️
とびきりの相談がありますので初めて投稿させていただきました。ぜひ解決に導いていただけると幸いです。これは兼ねてより悩んでいたことではありますが、今日親友にされたことにちょっとイラッとしたので聞いてください。悩み相談のタイトルは「彼氏がいる女はなぜ友達を無下にするのか?」です。彼氏という関係に捉われず男好きな人もいますが……。今日私がされたことを説明すると、1週間前から会う約束をしていた(行く所まで決めていた)親友が、当日連絡をしても返信をくれず、いつもよく寝坊するから寝てるのかなと思ったので、いつ招集がかかっても出られるようにばっちり出かける支度をして待っていました。すると、15時頃に今起きたと連絡があり、その日の夜、天気予報が雨だったのを理由にリスケを提案してきたのです! もともと一緒に行こうと約束していた場所はお互いの自宅から1時間以上離れた場所だったので早めに支度していたし、遅れた人がリスケって舐めてんのかとすら思えてきました。さらに追い討ちをかけてその日の夜、彼女が更新したインスタに2人分の手料理の写真が。これは憶測ですが、おそらく彼の家にいて私との予定を面倒くさがったのだと思います。私は恋人がいないのが常で、こういうことを言うと「負け犬の遠吠えだ」なんて思われてしまうかもしれませんが、「親しき仲にも礼儀あり」だと思います。わりとこういう類の女性は多いと思いますが、どのように付き合っていけば良いでしょうか。友達もそんなに多くないので簡単に関係を壊したくないですが、ちょっと見る目が変わってしまいそうです。
(ばんび・24歳・OL・千葉県)


宇多丸:
「とびきりの相談」って、なんか面白いね(笑)。

まずさ、この「彼氏がいる女は友達を無下にしがち」って言い方が……。

こばなみ:
それはひとくくりには言えないんじゃないかなと思いますけども。

宇多丸:
だよね。

そういう乱暴な一般化、ちょっと前まではみんな面白おかしくしがちだったけど、特に、女性同士を分断/対立させるような風潮に加担しかねない「通説」風の物言いに関しては、今の時代、かなり慎重になったほうがいいのは間違いないかと。

少なくとも男性である僕は、厳に慎むよう今は心がけていますが。

まぁとにかく、そのお友達がそれまでどんな感じの人で、彼氏ができたことでどう変わったのか、というのがこの相談文にはあまり書かれていないので、正確なところはわかんないですけど……。

僕が読んでて思ったのは、これってやっぱり、彼氏がいる/いないっていうよりは、そのお友達が、寝坊もよくするってことですからもともとルーズなところがある人だとか、少なくともその約束に関してはばんびさんとそもそもの受け取り方に齟齬があったとか、そういう話じゃないのかな、ってことですね。

向こうからしたら、まぁ当日決めようよ、くらいのつもりで「約束」していたからこそ、ちょっと今日雨みたいだからやめね?もぜんぜんアリでしょと思ってたとか、そんな感じなんじゃないかなぁ、おおかた。

こばなみ:
そのいっぽう、ばんびさんは、準備もしていて、ものすごく楽しみにはしてたんですよね。

宇多丸:
間違いなくテンションの差はすごくあったってことですよね。

そこにばんびさんが激しく失望したり、怒りを感じるのももちろん理解できるけれども、そもそも先方は、そういう意味でそこまで「悪いことをした」っていう意識は、あんまりないんじゃないかなぁ。

シレッと2人分の手料理をインスタにあげたりしてるのも、完全に悪気はゼロっていう証拠でしょ。

今日は予定がなくなったから、彼氏と料理作って食べましたー、みたいな。

こばなみ:
でも、その彼氏とそもそも一緒にいて、なんか行くのが面倒くさくなったんだろうなと思っちゃったという、ばんびさんの気持ちもわかりますよね。手料理の写真を見て、この野郎みたいな。

宇多丸:
ばんびさん側の立場に立てば、頭にくるのも当然ですよね。

ただ、お友達とはそもそもの事態の解釈や、なんなら価値観自体にもそれなりの違いがあると思われるので、こちらの「正しさ」をまんまぶつけても、あんまり嚙みあわずに終わるだけなんじゃないか、という気はするんですよね。

ちなみに僕自身は、これは世代差もあるのかもしれないけど、そこまで自分にとって大事な案件なんだったら、当日になるまで待ち合わせの時間場所さえも決めずにきてるってこと自体が、わりとありえない感じかもしれないですねぇ。

今回の件にしたって、そこさえ事前にコンセンサスが取れてれば、さすがのお友達だって軽い気持ちでドタキャンはしづらかったろうし、なんかあったとしても、責任の程度とか所在は明白だったわけじゃん?

いまどきはスマホでいくらでも連絡とれちゃうから皆さんそこまでカチカチ決めこまない、なんて話もたしかに聞きますけど、今回の行き違いなんかまさに、そういう昨今の約束感覚の「幅」がもたらした事態なんじゃないの、という気もするんですけど。

こばなみ:
私はこのパターン、ありますよ。日程だけ決めといて、今日何時にどこにする?とか連絡を取り合ったりする。あと、前々からきっちり約束していても、当日に確認の連絡したり、されたり。今日だよねー?みたいなやりとり、全然ある。

宇多丸:
いや、僕だってもちろん、それでいいやってときなら、ゆるゆるの約束の仕方することは普通にありますよ。

それこそ当日バラしも余裕でアリ、くらいの気持ちなんだったら……、実際、いざその日になってみたら雨とか降ってて、出かけんのかったり~!とか、すごくわかるもん(笑)。

そのくらいゆるい決めごとだという意識共有が、お互いできてりゃ別にいいですよ、そりゃ。

問題は今回のように、こっちにとっては捨ておけない重要案件であるような場合ですよ。

さっきから言ってるようなゆるふわ約束スタイルだと、「最終的には当日決めればいい程度のこと」って解釈の余地が、あっちには生まれうると思うんですよね。

現に今回の事件は、まさにそのすきまから生じたトラブルなわけだからさ。

それを未然に防ぐためには、やはり、もうちょっとかっちり話し合って、「合意」を固めておくしかないんじゃないかと思いますけどね。何度も言うけどあくまで、そこまで大切なことならば、ね。

僕はだから、あんまり前から計画立てるのとか基本は嫌いだし、当日やっぱり気が乗らねぇなってなっちゃったときに迷惑かけるのも我慢するのも嫌だから、そもそも人と約束とか、ほとんどしないです。

僕のようなやつは、気が向いたときにひとりで行動すればいいだけ!

まぁとにかく、お友達はなんにも悪いことしたとは思ってない可能性もぜんぜんあるし、そのことにもまたムカついちゃうかもしれないけど、あっちはあっちで言い分はあるかもしれないよ、ってことですよ。

こっちから見ると、ルーズなほうが悪いに決まってんじゃん!としか思えないかもしれないけど、ひょーっとしたら向こうからしたら、「なにそんくらいのことでキーキー言ってんの」「一方的なやつだなー」ってこと、なのかもしれないよ?

僕は今回の相談は、そういう考え方の違いの話に見えましたけどね。

どっちの気持ちも、ちょっとずつわかる感じ。

こばなみ:
親友って言ってるので、そこそこの付き合いの長さだと推測しますが、これまではこういうことはなかったんですかね?

宇多丸:
たぶん、だからまさにそこが、彼氏ができたタイミング、ではあるんでしょうね。

今までもそこそこルーズではあっだけど、こんなにひどくはなかった!みたいな。

でもさ、仮にホントにそうだったとしても、ほかのことが目に入らないくらいなにかに夢中になれる状態って人生そう何度もあるもんじゃないと思うし、なんつーか、ならばなおさら今は、ただ生暖かく見守ってあげてもいいんじゃない?って気もちょっとするんですけどね。

「一番楽しい時期なんだからぜひぜひそっちを優先してください!」くらいの、あきれ半分の祝福モードにでもなれればいいんだけど……。

いずれにせよ、今後どう付き合ってゆくかは、お友達とのそうした根本的なノリの違いを、ばんびさんがどのくらい許容できるか、にかかってるんじゃないですか。

コイツはもうこういうヤツだからこっちもそれなりの接し方をする、という感じで割りきれるかどうか……。

たとえば、遅刻常習犯には最初から一時間早く待ち合わせ時間を伝えておく、みたいなのってあるじゃん? 

そしたら、やっぱりしっかり一時間遅れ=本来の時間通りにご登場!とか、マジでやるやつはやるもんな(笑)。

こばなみ:
私、それ、めちゃくちゃ親にやられますよ。

旅行とか法事とか、本当の時間をあんまり教えてもらったことがない。

宇多丸:
えーっ? つまり、対親だと、いきなりすっごく時間にルーズな人になっちゃうってこと?

「親しき仲なら礼儀なし」派、目の前にいたよ!(笑)

早く自己申告してよ!

こばなみ:
いや、友達にはしないなと思って黙ってましたが、はい、すみません! 人によってルーズになっちゃう派の人間です……。

宇多丸:
そういうテキトーなやつ相手にそれでも付き合ってゆこうとするなら、こっちもそれなりの対応しなきゃなんないからね!

約束するにしても、僕なら先回りして、あらゆる退路を絶っておきますよ。

なんなら家まで迎えに行くからって。MKタクシーのアルファード予約してるから!って(笑)。

でもホント、こういうのって人それぞれだからなー。

たとえば、映画を一緒に観に行く約束したとして、僕の感覚では当然、開演じゃなくて「開場」の、遅くとも10分前には劇場に着いて、トイレや買い物もゆったり済ませ、準備万端で着席してから、心をスクリーンに集中させてゆきたいわけですよ。予告も観たいしさ。

でも、人によっては、待ち合わせの時間に平気で遅れてきたあげく、もう開演時間過ぎてるのに、「まだ予告でしょ」かなんか言って、この期に及んでもたもたポップコーンを買おうとしだしたりするじゃん!(笑)

僕からすると「わかった! もう今日は映画はやめよう!(怒)」級の非常識なふるまいなんだけど、向こうは向こうで、「一緒に楽しく過ごすのが一番の目的なのに、何を映画に間に合うかどうかくらいでカリカリしてんの?」ってことかもしれないし、それはそれでなるほど、ひとつの正論だったりもするんだよね。

それって要は、両者の認識にもともと巨大な断絶があったってだけなんだけど、実は親しい者同士ほど、そこの確認やすり合わせを怠りがちだったりもするかもしれないですよね。

今回の一件には、そういう匂いもややします。

359回のときのイラストじゃないけど、同じ方を向いているようでも、実はみんな違う世界を見てるのかもしれない、ってことですよ。

こばなみ:
それをきちんと認識するってことですね。

宇多丸:
なのでばんびさんも、お腹立ちはごもっともですが、それをいきなり「正義の怒り」としてお友達に叩きつけるようなことはしないほうがいいのは、まず間違いないと思います。

無論、カジュアルに文句を言い合えて、結果お互いに真意がわかる、くらいの感じなら、それに越したことはないんだけどね。

「あんたこないだのドタキャン、ありえないから!」「はっ? あたし最初から“行けたら行く”くらいのノリで言ってたよね?」「こっちは死ぬほど楽しみにしてたんだよ!」「それは……、ごめんねごめんねー!」的な。

実際、そういう関係性をこそ親友って言うんじゃないか、とも思ったりしますが。

そこはお二人の距離感次第かな。

まぁ、「友達」のあり方も、いろいろあっていいと思いますしね。

僕も、「仲よく一緒にいるのは5分が限界だけど、それでも一応友達」とか、実際いますから(笑)。

なんにせよ、ばんびさんご自身に無理がないスタンスでいいと思います。

こばなみ:
にしても……、人によって時間にルーズですみません。恥ずかしい~! 気をつけます~!

私にとってもとびきりの相談となりました(汗)。


【今週のお絵描き】

画・宇多丸



【全国書店やAmazonで発売中】
「ライムスター宇多丸のお悩み相談室」、ついに書籍化!! 幻冬舎より発売中!
執拗に、フェアに、意外と優しく、時に興奮しながら、とことん考え答えた人生相談34!
★詳しくはこちら


<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※3/4(土)大阪BIGCATなど、ワンマンライブ・シリーズ『ライムスターイズインザハウス』、2023年(新)シーズンの詳細はこちら

SOIL&”PIMP”SESSIONSにRHYMESTERを添えて「初恋の悪魔 -Dance with The Devil-」(日テレ系ドラマ『初恋の悪魔』最終章テーマ曲)が発売中!


女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



☟☟☟ 新着記事情報はTwitterでお知らせしています ☟☟☟
よかったらフォローお願いします!


最後まで読んでいただきありがとうございます!! 新着記事はX(Twitter)でお知らせしています☞