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友達でもある担当美容師がマルチ商法にハマってしまい……、美容室を変えるうまい口実は?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室431】


✳️今週のお悩み✳️
友達がマルチ商法にハマってしまいました。旦那さんの事業失敗をきっかけに生活苦になり、お金を稼げる方法を彼女なりに調べていくうちにマルチ商法にたどり着いてしまったようです。先日ランチ会なるものに誘われてしまい、お断りはしたものの次に誘われたらどうしようと思う日々です。普通の友達であればここで距離を置くのですが、彼女は私の担当美容師さんでもあります。最近はパーマの待ち時間もマルチ商法のことを延々と語られるので、どうにか理由をつけて美容室を変えることができないかと思い悩んでいます。美容室を変えるうまい口実はないでしょうか? ちなみに子ども同士もお友達のためまったく会わないわけにはいきません。
(ノリコ・35歳・会社員・大阪府)


美容室ぐらい好きに変えればいいじゃんかとは思うけど(笑)、そこはやっぱり、コミュニティが狭いんだよね、きっと。
子ども間の関係性にも影響しちゃうかもとか考えだしたら、たしかになかなか気も遣ってしまうのかもしれないですね。

ただ、間違いないのは、そういう人間関係の機微を容赦なく利用してくるマルチ商法って、やっぱホント最悪だな!ってことですよ。
そこだけははっきりしてる。


宇多丸さんに勧める人なんていないでしょう?


前に一回くらい言った気がするけど、久しぶりに会った人が、なんかソレ系の資料をやおら広げだしたことはありますよ。
その場で即座に「わかってると思うけど、僕はそういうのやりませんよ」って釘を刺したら、「だよね、わかってる」っつってすぐしまってくれて、その後は何事もなかったように通常の談笑に戻ったけども、やっぱりちょっと、小さくない失望は僕のなかに残っちゃいましたよね。
「純粋な友情から会いたいと思ってくれてたわけじゃないんだ……」って。

しかしまぁ、そのお友達も大変だね。
ダンナがコケて生活苦、からのマルチ!って、なかなかな負のドミノ倒しですよね。

ま、そうやって窮状のまっただなかにいる人の、文字通り藁をもつかむ気持ちによりによってつけこんでくるのが、まさにマルチだのなんだの、ってことですからね。
あげくこんな、近しい人間関係まで壊していってさ……、ホント最低だよ。

ちなみにその美容室、そのお友達の上司とか、オーナーさんはいないのかな?
お客にマルチの勧誘してるなんて、客商売としてシンプルにアウトなことしてるわけだからさ。そっちにクレーム入れるっていう手もあるはずだよね。


そうですよね。それか、その友達が経営している美容室だとか?


なんにせよ、どうしてもしつこく勧誘してくるようなら、どこかの時点ではやはり、一度はっきりきっぱり断る必要があるんだと思いますよ。

かたち上はランチ会を断っただけ、とかだと、ノリコさんの意向が先方に正確に伝わってなくて、もうちょい押せばいけるかも、みたいに受け取られてしまっているかもしれないじゃないですか。

ノリコさんも、次に誘われたらどうしようとか気にしてるくらいだから、さぞかし気を遣って遠回しな言い方をしたりしたんじゃないかと思うけど、そここそがまさに、向こうからすればくみしやすし!と判断するポイントだったりするんだろうからさ。

まぁもちろん、こういういまどきのマルチって、「ウチはマルチじゃないですよ!」って自分らでは言ってるもんだろうとは思うけど。


法律的にすれすれセーフなところでやってるんですかね?


いや、別にセーフではないんじゃない? 
一般の人を丸め込むにはじゅうぶんなロジックが磨き上げられている、というだけで、やってることの本質がマルチならそれはやっぱりマルチだよ。
今回のケースだって、現にもう友人関係にヒビが入ってるわけだから。すでにしっかり有害ですよ。


はっきり断るというのは、私はやりませんから!みたいな感じでいいのですかね?


そうですね。
先方も、いま言ったみたく「これはマルチじゃないよ」とかさらに食い下がってくる確率はかなり高いでしょうけど、だとしても私はお断りしますし、私たちの関係を気まずいものにしたくないなら、こっちはこんだけはっきりやめてって言ってるんだから、これ以上無理強いはしないでくれ、と……、できるだけ早めに明確に、こちらの意志を伝えるというのが、結局いちばんなんじゃないかと思いますよ。

それで友情が壊れたらどうしよう、とかって考えがちかもしれないけど、はっきり言って友情を壊してきてるのは、あっちのほうなのよ!
だから、こっちが引け目を感じる必要はまったくないと僕は思う。

だってぶっちゃけ、ノリコさんがもっと気が弱かったり、そういう察知能力が低かっりしたら、まんまとそのマルチ商法に絡め取られて、こっちの家庭や社会的信用だって危機的状況に陥ってたかもしれないんだよ?


それは最悪ですよね。


どれだけ美辞麗句で粉飾しようとも、実質的に人を金儲けの手段として見ている、利用しようとしていることは明らかなわけで、その時点であんたに友情を語る資格なんかないよ!ってことでしょう。


親同士が仲違いしたら、子どもも関係が悪くなっちゃうのかなぁ。まぁ何かあったんだなぁって、察知はしますよね。


もちろん、子どもは子ども親は親、彼らまで仲違いしたり疎遠になったりするべきではないのは言うまでもありませんが。

もし仮に、それであっちの子が態度を変えてきたりしたら、間違いなく親の入れ知恵で何の罪もない子ども同士の友情を引き裂いてるわけで、ますます許しがたい話ですけどね。
そうなったらまぁ、ノリコさんのお子さんには、わかる言葉できちんと話すしかないんじゃないですかね。
◯◯ちゃんはきっとお母さんに言われてそうしてるだけで、ホントはぜんぜん悪くないんだから、あなた側から嫌いになる必要はないんだよ、とか。

しかしホント、そんなことまで心配しなきゃならないとか、マジでやっぱ大問題だよな……。

彼女自身を改心させるのは正直、現状では難しいだろうしねぇ。
今はただただ目の前のことに必死で、客観的にものを考える余裕なんかない……、だからこそ、ひょっとしたら突き放されたことを逆恨みしてくる可能性もあるかもしれないけど。
でも、そんなのいちいち付き合ってられないでしょ、はっきり言って。
向こうこそこっちのことなんてホントにはこれっぽっちも気遣ってない、だからこそそんなのに誘えちゃうわけだからさ。

それとも、恨まれたくないからって、ちょっとだけでも誘いに乗っちゃう?
そしたらもう完全に、あっちの負のスパイラルに巻き込まれることになるだけでしょ。

なので、とにかくやっぱり、きっぱり断る、その話も今後はしないでくれと、正面から言う。
それで、とりあえずノリコさんへの勧誘は本当にやめてくれるようなら、じゃあ美容室だって別に、もう変えなくたっていいのかもしんないしさ。
逆にやめようとしなかったら、それが理由になるじゃん。
その話やめてって言ってるのにやめてくれないから、美容室を変えましたって。
あなたのことが嫌いになったんじゃない。その話はしないでって言ってるだけ、ってさ。

しっかし世の中、これだけマルチ商法の害悪とかが広く知られるようにもなっているのに、まだまだ一向になくならないもんなんですねぇ……。


実際やっぱりそれで儲かっちゃうわけだから?


どうかな。元締めだけはひょっとしたらいっとき稼げたりするのかもだけど、そんな長続きするわけないんだからさ、それも。
ましてそのお友達みたいな末端は、ただただ周囲の信用を失くして終わりですよ。


まともに働いた方がいいのでは、とは思ってしまうけど……。


だし、絶対に破綻するってすでにわかってることなのにね。

ま、そのお友達のことは今はどうこう言っても始まらないから。
とにかくこっちにできるのは、ビシッと断ること。これしかない。
美容室を変えるかどうかとかは、そこからの向こうの出方次第で、決めればいいことじゃないですかね。

あとはもちろん、さっきも言ったようにお店にもっと上の立場の人がいるなら、そこに訴えかけるのもかなり有効かと思われます。
商売的には、めちゃくちゃマズいことをしでかしてくれてるわけだからさ。


ほかの人にもやってて、もっともっと大問題になってしまう、なんてこともあるかもですしね。
とにもかくにも、ノリコさん、早めにきっぱり、ファイトです!!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸





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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※3/4(土)大阪BIGCATなど、ワンマンライブ・シリーズ『ライムスターイズインザハウス』、2023年(新)シーズンの詳細はこちら

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女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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