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気乗りしないお誘いを「ちょっと確認します~」と濁してしまい、きっぱり断ることができません。決断力を鍛える方法は?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室364】


✳️今週のお悩み✳️
断ることが苦手で、気乗りしないお誘いなどをきっぱり断ることがなかなかできません。つい「ちょっと確認します~」とか返事を濁し、後から余計に断りづらくなってしまったり。最初の段階できっぱりお断りすべきなのはわかっているのですが、はっきりNOというのが難しく……。何かいい方法、決断力を鍛える方法などはありますか?
(M・37歳・東京都)


こばなみ:
前も誘いを断れないって相談がありましたね。「苦手な人からの誘いを断れず、ダブルブッキング→ドタキャンをして嫌われてしまいます……」のときは安請け合いしちゃって、という話でしたが、今回はその手前の、断り方の話ですね。

宇多丸:
まぁ、後からだと断りづらいというのはもちろんわかるけど……、だからってさ、いきなり「きっぱりお断り」できる人っていうのも、実際はかなりの特殊例じゃない?

こばなみ:
はっきり断られるのなんて、振られるときくらいじゃないですか(苦笑)。

宇多丸:
振るのだって言葉は選びますよ!

だから別に、Mさんだけが「NOと言えない人」というわけではないんだと思う。

ひょっとしたら実は、街を歩いてる大半の人たちも、少なくとも最初の時点では、気乗りしないなぁとか面倒くさいなぁとか心のなかでは思いながら、やむなく出かけてるのかもしれないよ?

つまり、そもそもは誘う側が、「たいていの人は面と向かって誘いを断るなんてことはなかなかできないものだ」というのを大前提に、相手の負担にならないよう気を使った提案の仕方をするべきなんだと思いますよ。

先方にちゃんと「退路」を残してあげるというか……でも、あんまり逃げ道がありすぎても、逆に断りづらくなったりもするか。難しいな。

たとえば、日時とかはいっさい指定されずに、「○○の会があるとしたら来ますか?」とだけ聞かれたら……。

こばなみ:
それは断りづらい……!

宇多丸:
むしろ逆のほうがいいか。

ピンポイントで、「何月何日何時から○○さんと○○さんが参加する会があるんですけど、その日ってお忙しいですかね……? もちろん急な話なんで難しければぜんぜん大丈夫ですから!」とかなら、単純にスケジュールが合わないだけ、という断り方がしやすいよね。

「わー行きたかったなー、次の機会があればぜひー」とかなんとか、フォローも自然に入れられる。

とにかくさ、「ダメ元で聞くんですが」的なのを毎回付けるというのが、誘う側のマナーとして、世に定着すべきだと僕は強く思うんですよね。

僕の場合、仮にOKが出ても、「ぜんぜんリスケも可なんで! もし予定が厳しくなってきたら、遠慮せずおっしゃってくださいねー」とかまで、付け加えるようにしてますよ。念には念を入れて。

それくらいバイパスを作ってあげてナンボなほど、やはりお誘いって、基本的にはむちゃくちゃ断りづらいものだと思うから。

約束にもクーリングオフ期間が必要、みたいな感じですよ。

こばなみ:
あんまりそう言われすぎると、本当はそうでもないけど義理で誘ってくれてるのかなぁとか、裏の裏をかいてしまったりしませんか?

宇多丸:
ちゃんと気持ちが入った言葉をかけてればそんなこともないんじゃないかなー。

「楽しみが先に延びるだけですから!」とか、言い方次第でいくらでもポジティブな感じにはできるでしょ。

こばなみ:
うまい!

宇多丸:
それに、仮に万が一、そういう印象を与えてしまったとしても、僕はやっぱり、内心ちょっと気が重いのに無理して予定を空けて行動させてしまうよりは、ぜんぜんいいでしょ、という考えですけどね。

お互い気を使いすぎて約束が成立しないというほうが、どちらかがホントは気乗りしない約束が成立してしまうよりは、ずっとマシ、っていう。

なんにせよね、こっちに気を使わせんなよ!と、まずは思っといていいと思いますね。

あ、もちろん内心、ね(笑)。

こばなみ:
これって本当、決断力を鍛える話じゃないですね。

宇多丸:
僕はそう思うなぁ。

声がけしてもらったこと自体はありがたいような申し出だからこそ、この断るのが心苦しい問題というのが生じているわけで、それをなんの躊躇も見せずにバシバシ即断で拒絶しまくれるような人がいたとして、それはそれでなんか……って感じじゃない?

ひとつ、考え方としてあるかもしれないのは、誘われる側のNOと言えない心情にあまり配慮がないような誘い手は、逆に言うと、断られること自体もたいして気にしていないタイプかもよ?という。

気にしぃじゃないから気にしぃの気持ちがわからないのだとしたら、こちらもそれほど気を使う必要はないのでは?という考え方はできるんじゃないかな。

実際そういう人って、断られ慣れていたりもするんじゃない?

それと、「ちょっと確認します~」は僕、ぜんぜんいいじゃんと思うんですよね。

さっきも言ったように、その場であんまり即座に否定的な決断をされると、なんだか「なんであれあらかじめ断ると決めていた」ような印象さえ与えかねないでしょ。

だから、いったん持ち帰ってスケジュール確認したらその日もう埋まってましたごめんなさい~!で、なんの問題もなくない?

前も言ったけど、「先約がある」以上に明白かつ有効な断り方ってあるの?って思うよ。

こばなみ:
ないですね!

宇多丸:
ま、だったらいつがいい?みたいにさらに食い下がってくるパターンもあるだろうけど、そういうとき便利なのは、「ここんとこ立て込んでて」ですよ。

プライベートなお誘いなら「仕事が最近立て込んでて~」、職場関連なら「ちょっとウチのほうが立て込んでて~」、そしたらよっぽど図々しい人じゃない限りそれ以上は踏み込んでこないでしょ。

こばなみ:
「立て込んでる」はいいですね。どんな状況でも使える。

宇多丸:
都合悪さの範囲をアバウトかつ広めにとっておく、というテクニックですね。

「うーん、山を越えるのは夏いっぱいぐらいかなぁ、でもちょっとまだ出口が見えないですけどねぇ、立て込んでて……」。

こばなみ:
具体的な日にちの決めようがないですね。

宇多丸:
なおかつ、そうやって断り続けるのもまた面倒くさいようなら、いっそ6回に1回くらいは行ってしまって、「行った感」を既成事実化しておく、というのも手ではありますよね。

それすらも嫌ならば……、ちょっと改めて考えてみてほしいけど、そこまで徹底して会いたくないような人なら、もう、どう思われてもよくない?

のらりくらり、適当な断りを続けてればいいんじゃないですか。

つまるところ、相手に悪くは思われたくないっていう気持ちがどっかにあるから、断りにくいわけでしょう。

その程度には大事に思ってる相手なんだったら、たまにはあちらの呼びかけに応えてあげてもいい、という考え方もできるだろうし、そうもまったく思えないようなら、そもそも「悪くは思われたくない」対象なのかどうか、考え直してみたほうがいいかもしれない。

さらに根本的なことを言っておけば、なにかを断ることそのものが失礼ってわけじゃないし、ちゃんと誠意を込めて返答するんであれば、先方だってそれをいちいち「悪く」取ったりなんかしないでしょ、って話ではあるよね。

たとえば、仕事の依頼をお断りするときとかに、大変光栄だし本当はお受けしたいんだけど……みたいな言葉を付け足したりするけど、その気持ちは別に、嘘じゃないわけじゃん。

声がけされたこと自体は、ホントに嬉しいわけだしね。

こばなみ:
はっきりNOなんていう必要、本当にないですね。

宇多丸:
ないない。

面と向かって平然とピシャッとやれるってほうが、ちょっとどうかしてますよ。

ということでまとめると、「持ち帰って確認します」からの、アバウトな期間設定の「ここんとこ立て込んでまして」、とはいえそこまで嫌な場というのでもないのならたまには顔出して「行った感」の既成事実化、これらで、たいていの事態には対処できるはず!

そしてやはり、人を誘うときは、最初の「ダメ元で聞きますが……」から最後の「いつでもキャンセル可です!」まで、常に相手に逃げ道を確保してあげる配慮が必要、というのが、一種のマナーとして定着していってほしいものだと思いますよねぇ。

人間はNOと言えない生き物なのです……、日本人に限った話じゃないよ!

でもこれはホント、人間関係全般に言えることで。

「NOと言わなかったじゃないか!」っていうのは一見正論風に響くけど、そもそもそれが言いづらい構造というのが現実にはいっぱいあって、そこに無自覚なままコトを進めると、誰かを暴力的に抑圧することにもつながりかねないわけですよ。

それこそセクハラやパワハラも、そういうなかから起こるものなわけでしょう。

だから、「人は断りづらくて当たり前」というのを常に意識しておくというのは、やはり意外と大事なことだと思いますよ。

こばなみ:
なんかはっきり言うのがいいみたいに思っちゃいがちだけど、そんなこと全然ないですね。私もけっこうお誘いを濁し気味なことがあるので、すっきりしました!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸



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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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