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【ライムスター宇多丸のお悩み相談室127】社内恋愛中の彼と結婚したいのですが、報告すると異動に。踏み切れません……。


✳️今週のお悩み✳️
こんにちは、私(28)には社内恋愛中の9歳上の彼氏(38)がいます。現在1年経ちましたが、まだまだバカップルできていて順調なのですが、今回はその彼氏との今後について相談させてください。今の会社に転職し、同じチームになったことで知り合いました。直属の上司ではなかったこともあり、付き合い始めたのは出会ってから3年後になります。もちろん会社は仕事の場ですので一緒に帰るなんて言語道断。出勤時間もバラバラにしているのでこの1年、周りにはばれずに過ごすことができました。相談としては、彼との今後についてです。お互いに良い歳ではありますので、そろそろ結婚を考えていますが、その場合、どうしても職場に報告しなければならないのですが、そうしてしまうと今のチームにはいられなくなってしまいます。お互いに今の仕事内容に不満はなく、また、仕事も忙しく異動により周りに迷惑がかかることも気にしていて、どうしても踏み切れません(そして、彼氏的には周りに知られて冷やかされるのも嫌な様です)。 会社としては社内恋愛に友好的で、他の方でされている方もいます(その後どちらかが異動していますが)。彼氏の意見もわかるのですが、このままくるかわからない未来を夢みて待てるような歳頃でもありません! 私は待つしかないのでしょうか(思い切って転職!とも思うのですが、仕事が忙しく活動ができなくて)。
(キャサリン・28歳・東京都)


宇多丸:
みなさま、あけましておめでとうございます~!
 この連載も、無事3回目の年越しをすることができました。

こばなみ:
年末のクリスマスイブ100人女子会では、リアルで「女子限定!お悩み相談室」を開催しましたが、恋愛事情もいろいろ飛び出しましたね。恋愛はもちろん、仕事、生活習慣などなど、今年もあらゆる種類の女子のお悩みを、私も悩みつつ一緒に解決していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしますー!!

さて、宇多丸さん、今回は社内恋愛の話ですが。

宇多丸:
ちょっと前にも社内恋愛一歩手前っていう相談があったけど、キャサリンさんのとこは交際を始めて一年、結婚まで考えてるっていうんだから、カップルとしてはなんの問題もないっていうか、ほぼ理想的な関係を築けてるわけだよね。
そのせいで仕事上のトラブルを招いたってこともないんでしょ?
 つまり、事実上なにひとつ後ろ暗いことなんかないはずじゃんよ。

なのに、付き合ってるのが職場にバレるとチームにいられなくなるって……、なんか、すっごく理不尽に感じるんですけど。
僕は会社勤めをしたことがないからよくわかってない部分もあるけど……、それって常識なの?

こばなみ:
よく聞きますけどもねぇ。
私の会社もかなり小さいから部署とかないし、参考にならないかと思って、大きい会社に勤める知人にちょっと聞いてみたんですよ。

社内恋愛禁止!ってルールがある会社もあるみたいなんですけども、だからって恋愛が発覚したり、結婚したら部署移動!みたいな決まりごとがはっきりあるわけではないそうです。人事の暗黙のルールといいますか。慣例みたいなものだそうです。

部員さんからは、関係ないじゃん!的な意見と、やっぱりそれは必要なんじゃないの!的な意見、半々くらいでしたよ。

たとえば……、

<どちらかといえば部署異動反対派>

「意味があるのかなと思う。結婚時に気づいて異動って1年とか付きあってる場合、今更ですよね」(maa)

「以前の会社では、馴れ合いを防ぐ為に移動や配置換えなどがありました。仕事に私情を挟む事態、社会人としてダメだと思うので、仕事と私生活をきちんと切り換れば良いだけ。個人的には必要無いと思います」(じぇるちゃん)

「社内恋愛で部署が変わるなんて、また1から覚えなおしで大変だと思う」(ろみ)

<どちらかといえば部署異動肯定派>

「部署全員が大人な精神を持ってるなら、異動なんてしなくてもよいと思うが、残念ながらそんなことはあり得ないので、した方がいいでしょうね。私には経験はありませんけど、面倒くさいことが起こりにくくしておいた方が良いと思います」(美弥)

「安易だけど、1番簡単な安全策だと思います。離婚するしないの大ゲンカを職場でされたことがあるので……。あとで笑い話になれば良いですが、仕事も滞るしちょっと困りました」(カティ)

「冠婚葬祭で夫婦は否が応でも定期的に同時に休まないとならないので、同じ部署では欠員が2人発生するのはとても迷惑をかけます。部署移転はやむなし」(りらっくま)

ほかにも社内恋愛経験者さんからのご意見もちらほら。

「6年、現在進行形で社内恋愛中です。私の会社にもそのルールあります。付き合い始めの1年目ぐらいまでは、一緒の場所で働きたいよー!と思ってましたが、喧嘩中になると自分達+仲間達が気まずくなるので離れて良かったと思いました。本人達は気にしていなくても、やっぱり周りは凄く気を使うみたいです」 (のー)

「同じ部署で付き合ってたけど、言うとどっちかが異動って言われたので黙ってました。ただ、3ヶ月くらいで別れたので特に不具合はなかったですが……w」(まゆき)

宇多丸:
うーん……、やっぱり、僕はあんまり納得できねーなー。

要は、単純に「プライベートのゴタゴタを仕事に持ち込まないようにする」っていう、社会人として当たり前のマナーを守ればいいってだけの話で、カップルであるかどうかは、ことの本質と関係ないだろって思うんだけど。

こばなみ:
でも正直、まわりの立場としては、知ってしまったら、やっぱりちょっとは気を遣ったり、あーあの時から付きあってたんかーい!とかは思っちゃうかも。

あと、家でいろいろ仕事の話してるのかな、とか。

守秘義務とかある場合はどうするんだろう? チーム内でも上司と部下で結婚したとしたら、話しちゃいけないこともあると思うんですけど、そういうのはないのかな?

宇多丸:
いやいや……、だからそういう会社員としてのルールみたいなことは、単にそれぞれがトラブル起こさない範囲で遵守すればいいだけの話で、私生活で誰とどうしてるかなんてことにまで、それも友人としてとかじゃなく曲がりなりにも会社組織として干渉したりするのは、明らかに『余計なお世話だバカヤロウ』の領域だと思うんだけどなぁ。

あのさ、「ケンカしたり別れたりしたときに気まずいから職場恋愛はやめておけ」っていうのは、あくまで当人同士に対する一般論的なアドバイスであって、外野がそれをルールとして押しつけていいようなもんじゃないじゃんよ。
まして、キャサリンさんのところみたく現にうまく行ってるカップルに、そんな「一般論的なアドバイス」なんてしても、なんの意味もないんだからさ。

百歩譲って、少なからぬ職場でそういう力学が働いているのが現実で、みんなさしあたってそれに従うしかないものなんだ、と言われたとしても……、「へぇ! バッカみてぇ!」が僕の意見なのに変わりはないですね。

だってさ、もともと上手く行ってたチームを解体・再編するコストやデメリットだって当然バカになんないわけでしょ? 
それに対して、職場内にカップルがいることで生じうるとされるトラブルは、つっても「起こるかもしれないし、起こらないかもしれない」程度のもんじゃないですか。
どっちを優先させるのが合理的かは明白だと思うけどなー。
僕に言わせれば、同族経営のほうがよっぽど大きな問題が起きやすいと思うよ!

なんとなく感じるのは、付き合ってるのが判明したらどっちかが異動しなきゃならないってその慣習、みなさんがおっしゃってるような仕事上の能率的な理由っていうのは実は建前にすぎなくて、ホントはどっちかって言うと、「心情的ペナルティ」みたいなニュアンスが強いんじゃないの?ってことですね。抜けがけしや がって!的なさ。
彼の、「冷やかされるのが嫌」っていう比較的低レベルな心配も、大げさに言えばそういうムラ社会的な抑圧の強さゆえ、ってことでしょ。

でもまぁ、いつまでもそういう原則論的な正しさを論じていても相談者の役には立たないでしょうからね。
これから具体的にどうしてったらいいか、「生きる知恵」としての解決策を改めて考えてみると……。

まずさ、なんでもそうですけど、何かを隠してたりウソついてたりするときって、その期間が長くなれば長くなるほど、真実が明らかになったときの問題度も大きくなるもんじゃない?
 「えーっ?! ってことはお前ら、あのときも、あのときも……ずーっと俺たちのこと騙し続けてたわけ?」みたく、累積した欺瞞ポイントをさかのぼってカウントされ出してしまうっていう(笑)。

こばなみ:
後から聞いて、「やべー、この前、彼女の前で彼の悪口言っちゃってたよー!」とかね。そういう「あちゃー!」なことが出てきたり。

宇多丸:
だからね、こういうのは、たとえ建前上は恋愛禁止とされているような場であっても、なんとなーく、いつの間にか……という感じで、身近な人間から順に、じわじわと段階的に周知させていく、というのがベストなんですよ。

それこそ、1年後には、職場のみーんなが暗に「当たり前の日常的事実」としてキャサリンさんと彼のお付き合いを受け入れてる、くらいのさ。
具体的な仕事上の支障がなければ、そこでどっちかが飛ばされるってことはまずないんじゃない?

だから、今からでも段階的カミングアウト、始めておいたほうがいいんじゃないかと僕は思うな~。
まずは一番親しい、信頼できる同期あたりからスタートして、最終的には直属上司まで、それぞれきちんと一席設けるなりして、「ご報告が遅くなり大変申し訳 ありませんでしたが、実は私ども、昨年から結婚を前提としたお付き合いをしておりまして……」と、礼を尽くしてご挨拶するわけですよ。

そうやって、周囲にしっかりと誠意を見せて、地ならしをしといた上での結婚相談なら、みなさんもきっと悪いようにはしないと思ってくれるはずというか、少なくともさっき言ったような「心情的ペナルティ」を課してやろうなんて気はだいぶ薄れると思うんですよね。

幸いにもキャサリンさんの会社は、社内恋愛そのものに否定的というわけではないってことだからさ。
前述根回しの延長線上で、さっき言ったようなチーム再編のデメリットも含め、上司を説得する余地ってないんですかね? 少なくとも僕なら、絶対しつこく食いさがるなぁ。
「もう、わかったわかった! その代わり、一度でも夫婦喧嘩持ち込んだら即左遷だからな!(笑)」くらいのテンションになってくれたり、意外としないもんですかね。

こばなみ:
そうなったらいいですけどね。うちの弟が社内恋愛(のちに結婚)で別々の支店に異動したんですけど、人事に逆らっても無駄だから……とは言ってました。

宇多丸:
それはそうなのかもしれないけどさ……。

これは僕の個人的な意見というか、信条的なものということでいいけども、この程度の問題が本当に「逆らっても無駄」なことなのか、問い直してみる価値くらいはあるんじゃないかなぁ。
だってさ、ホントくっだらない理由で、なんも悪いことしてないのに、異動だの転職だの、自分の人生がねじ曲げられようとしてるんだよ?

二個前の回で言った、何事も「それは元からそういうもの」という決めつけで思考停止しないようにしようよ、という話にも通じるんだけどさ。

こばなみ:
この件に限らず、暗黙のルール、もしくはそう思い込んでいて、その通りにやっていることってありますね。

たとえば、私たちの仕事でいえば、発注元が言うから直さなきゃいけない→でも明らかに変だと思う→ならば一度言うべきだ!と思うんですが、言われたからその通りに直そうって場合もある。

宇多丸:
まぁ、いちいち細かいとこで戦ってばっかりなのも、面倒くさいし疲れるからね。
比較的どーでもいい件とか、敵がホントにホントにマジで強大すぎて、一人で立ち向かってっても消耗してくだけって感じだったら、さっさと見切りつけて逃げるのも当然全然アリ!ですけども。
ただ、順調に行ってたはずの仕事まで変えられちゃうってのはやっぱり、「どーでもいい件」とは言い難いんじゃないかなぁ……。

だから、キャサリンさんの場合も、さっきの「誠意ある告白と説得」作戦が功を奏すかどうかは、会社の体質っていうか、特に上司に恵まれてるかどうかにもよるんでしょうね。
やはり「重要なのは職種じゃなくてメンツだ」ってことですよ。
まずは周囲をちゃんと見回して、ちゃんと話を聞いてくれそうな連中なのかどうか改めて見極めてみる。
そこで明らかに「ダメだこりゃ」な体質なのだとしたら、傷つく前にとっとと逃走準備し始めるのも、たしかにひとつの手なのかもしれないですね。悲しいけど……。

ちなみに、さっきはそれぞれに一席設けて、っていう提案をしましたけど、そういう堅苦しいのは苦手とか、めんどくせぇ!というのであれば、一撃必殺の最終手段として、「職場全員を爆笑サプライズに巻き込んで、懲罰的人事など命じにくい空気に強引にしてしまう」というのはどうですかね? 
たとえば、忘年会新年会など大きめの宴席に、二人でおかめとひょっとこのお面かぶって、どじょうすくいしながら乱入する! で、交際&結婚報告と、「職場の和は乱さないようにするから異動させないで」という気持ちを、朗々と歌い上げる!
 そこまでやればみんなきっと、呆れ笑いしながら許してくれるよ!

そもそも、おめでたい話なんだからさぁ。胸張って「祝ってくれ!」って態度でいいんだと思いますよ。
カップルとしても仕事相手としても上手く行ってるなんて、こんな結構なことはないじゃないですか。
別にこっちが悪いことしてるわけじゃないんだから、というところはブレずに行きましょう!
 

【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年1月2日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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