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脈ありだと確信して告白したのに振られました……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室136】


✳️今週のお悩み✳️
脈ありだと確信して告白したのに振られました……。出会ってからずっと、私に興味を持っているっぽかった人がいました。具体的には、話しかけると嬉しそうににやける、目で追う、過去の恋愛経験について聞き出そうとしてくる。など、典型的なものでした。他の女子と話しているときと明らかに態度が違っていたし、私も彼のことが好きだったので、両思いだと思っていました。しかし、告白すると曖昧ににごされ、追求すると恋愛対象として見たことがなかったと言われました。自分一人で浮かれてたみたいですごく恥ずかしくて落ち込みました。こんなことってあるのでしょうか。私はなぜ勘違いをしたのでしょう。男の人の本当の脈ありサインって上に挙げたものと違うのでしょうか。(その人は女性経験が無いのでそれも関係ありますかね?)

(ウェルダン・22歳・青森県)


宇多丸:
これまで、客観的に見れば明らかに脈ナシでしょそれは!っていうケースはちょいちょいありましたけど、間違いなく脈アリと確信して告白したのに……というのはなんか、珍しい気もしますね。

ただ、ウェルダンさんにはちょっと厳しい話になってしまうかもですが、果たして彼が取っていた態度は、相手に性的な興味がある場合の「典型」とまで言えるようなものだったのかどうか、っていう検証はしといたほうがいいですよね、やっぱり。

まず「話しかけると嬉しそうににやける」……、彼は、これまで女性と深い関係になったことがないということですから、単純に女性慣れしてなくて、ついそういう反応をしてしまってるだけ、という可能性も高くないですかね。
女の人から話しかけられた!ってだけで照れくさくなっちゃって、ドギマギして、顔が赤くなったり頬がほころんじゃったりって、中高6年間男子校だった身からすると、よ~く理解できる話ですけど。

次、「目で追う」……これね、「彼とよく目が合うのー!」的な思い込みをしがちな人みんなが気をつけたほうがいいことだと思いますけど、実は意識してるのはこっちのほうで、単にこっちがよく見てるから目が合う確率も上がってるだけ、っていうことも全然考えられますから!

こばなみ:
それ、私の恋と仕事のバイブル漫画『サプリ』にも書いてありましたよ。やけに目が合うと思ってたら、追ってたのは私だった……って。

宇多丸:
悲しい……。

まぁ、「あの人、よく俺のこと見てるよな……、ひょっとして好きなのかな?」的に、今度は向こうが意識しだしちゃって……っていうような好循環が生じるパターンもあるだろうから、こっち側がつい見ちゃってるってこと自体は、そんなに悪いこととも思わないんだけども。

とは言えやっぱり、本当に自分側が目で追われているのかどうかに関しては、こっちが見ていないときも見ているのかどうかが確認できないと、つまり「ウェルダンさんは気づいてないかもしれないけど、あの人、いっつもウェルダンさんのこと見てるわよ~」的な第三者視点がないと厳密には断定できないことでもあるので。一方的な思い込みによる過信には、くれぐれも気をつけないとね。

で、次の「過去の恋愛経験について聞き出そうとしてくる」ですけど……、僕はこれが一番、「えっ? それって“典型的脈アリ反応”に分類されるようなことなの?」って思っちゃいましたけど。

少なくとも僕は、意中の相手であればあるほど、こんな不躾なこといきなり聞けないし、聞こうとも思わないです。
「いま、付き合ってる人とかいるんですか?」っていう、いずれは絶対ちゃんと確認しなきゃならないような件でさえ、決定的な答えを聞くのも自分の思いを見透かされるのも怖くて、なかなか切りだせないもんだろうに……、男はカッコつけだから、特にその傾向が強い気がします。

百歩譲って、お互いいろんな経験をしてきてるのが大前提のオトナな二人だったら、あえてそういう会話から入って相手の価値観をはかったりする、みたいなことも考えられるかもしれないけどさ。
でも、彼はその正反対、まったく女性慣れしてないわけでしょ。

だとしたら、やっぱり……、単純に、「ウェルダンさんくらいの年頃の女の人って、普通どの程度の恋愛を経てるもんなんスか? 俺、まったく経験ないもんで……」っていうレベルの興味を満たそうとしただけ、って考えるほうが自然じゃないかなぁ。
むしろ、恋愛感情はないってことの証明になるくらいだと思うんですけど。

こうして一個一個考えていくと、「他の女子と話している時と明らかに態度が違っていた」っていうのも、「私も彼のことが好きだったので」そう見えたって順番なんじゃないかって感じもするよね、キツいこと言うようだけど……。

ちなみにウェルダンさん、彼の反応を「典型的」とまで思い込むにあたって、何か参考にしたものとかあったりするんですかね。雑誌の恋愛特集とか。

こばなみ:
うーん、やっぱりネット記事じゃないですか?
 「彼が想いを発してる3つのサイン」とか、あれ系?
 ちょっと調べたら、目が合ったとかもそうだけど、LINEの返信が早いとか、名字ではなくあだ名や名前で呼ぶとか、いろいろ出てきましたけど……。

例のごとく、女子部内でも話し合ってみましたよ。

「中学生男子ならそれで脈ありかもしれませんが……」(サッチャン)

「好き好きサインとも言えるけどこれだけでは足りないのでは? 2人で遊びに行くなど誘われなかったのかな?」(さおりん)

「『ちょっと興味がありますよ』という程度のサインだったのでは? 脈アリと勘違いして全然OKなんだけど、モノにするための手順をすっとばしたなと。2人でお出かけするとか」(KURI)

「典型だと思いまが『典型ステップ1』といったところでしょうか。この後、携帯に連絡がたくさんきたり、二人でご飯に行こうと誘われたりすれば『ステップ2』『ステップ3』と続き、『脈あり』となるのでは?」(しほ)

「他の女子と話しているときと明らかに態度が違っていた、とありますが、具体的にどう違うのかも気になりますね。メールや連絡の回数が圧倒的に多いとか。他の女友達と彼とのやり取りとかがどうなのか、というリサーチも必要だったかも」(うっちー)

宇多丸:
たしかなのは、そういう記事とかに書いてあることを、あんまり真に受けすぎるのは危ないってことですよ! 
僕も思春期のころ、当時の『POPEYE』や『ホットドッグ・プレス』とかによく載ってた、「これが女のコたちの本音!」みたいな、どうせ男の編集者が勝手に書いたような文章にどれだけ惑わされたことか……。

いずれにしても、きっかけがなんだったのかは今となっては確かめるのが難しいかもしれないけど、あるポイントからウェルダンさんのなかで、「好かれてると思うとこっちの好意もどんどんふくらんでゆく」っていう、言わば「好意の高速増殖炉」が回り出しちゃってたのは間違いない。
さっき言ったように、そのサイクルに彼も巻き込めていれば良かったんだけどね……、ま、すべては結果論でしかないけども。

こばなみ:
あとは、仮に彼は彼女のことを好きだったとして、経験ないのでいざ告白されたらビビっちゃった、みたいなこともあります?

宇多丸:
いや~、だとしたら、「恋愛対象として見たことがなかった」っていう言い方はしないんじゃないかな~……。

なんかモゴモゴ言っててはっきりしないってだけならまだ、こばなみが言ってるような可能性もなくはないだろうけど、これはぶっちゃけ、かなりストレートに「脈、ないです」って言ってるほうだと思いますよ。
しかも、「追及」されたあげく本音を言わされたって感じだもんね……、いつも言ってるけど、皆さんちょっと、怖すぎじゃない?
 ハナからケンカ腰だと、上手くいくもんも上手く行かないよ!

ウェルダンさんとしては、あっちから惚れられているとずっと思い込んでいたぶん、どこか彼に対して優位に立ってるような気分があって、それがいきなり逆転しちゃったもんだから、ちょっと腹立たしくもなっちゃったのかもしれないけどさ。
それ、彼にはなんの責任もないことだから……。

ただね、ウェルダンさんが恥ずかしがって落ち込むのもわかるけど、後にどれだけ上手く行くような恋愛でも、最初は大なり小なりそういう、自分に都合がいい誤解から始まるっていう部分はあると思うからさ。

こばなみ:
私だってよくありますよ。そして誰だってある!

思い出したんですけど、数年前に週1で美術館とかデートらしきおでかけをしてた人がいて、4回目くらいのときにこれは脈あり!なんじゃないかと思ってそれらしく聞いてみたら「先週彼女ができました」って……、などなど、人生はいろいろです(泣)。

宇多丸:
でも、その話はちょっと、最初から完全に脈ゼロだったってわけでもないんじゃないか、って気がしますけど。
そうじゃなきゃ週一で4回も会ったりはしないでしょ。

ただ、途中でほかの候補が急浮上するようななにかのきっかけがあって、それがまたタイミングとかもろもろバッチリ合っちゃって、トントン拍子に距離が縮まってゆき……ってことではあるでしょうけども。
でも、だからって、その前のこばなみとの友達以上恋人未満な関係に可能性がなかったわけじゃないと思うし、たまたまこのタイミングではそっちの彼女とのゲージがビシッと一致しちゃったってだけで、別にその人に女性として負けてるとか、そういう問題でもないからね。

そ れこそ、そっちと付き合いだしたはいいけど、後になって、「やっぱりあのとき、早まらずに小林さんとのお付き合いを続けてれば良かった……」って後悔して たり、そこまで行かなくても、「あのとき、小林さんと付き合ってたらまた違う展開だったかなぁ……、むふふ」的な、彼にとっての「思い出箱」に入ってるとかだって、全然考えられるわけじゃん。

つまり、脈がなかったんじゃなくて、古風な言い方をすれば「ご縁がなかった」ってだけの話、と考えたほうがいいんじゃないか。

この「縁」って概念、さすがはいにしえからの知恵と言うか、ホントいいなぁと僕は思うんですよね。
だって、さっきのこばなみの話じゃないけど、いい人と、いいタイミングで出会えるかどうかなんて、結局運でしかないわけじゃん。
だから、さしあたっての意中の人と、結果上手く結ばれなかったとしても、この世の終わりってわけじゃなし、やたらと自己卑下したり相手を責めたりせず、縁がなかっただけ、とできるだけサラッと流して、また別の、もっといい「ご縁」に備えたほうが合理的だし、健康的ですよ。

ウェルダンさんも、彼に本当に脈があったかどうかなんて、実際のところ彼自身を含めて今さら誰にもよくわからないようなことにいつまでも囚われてウジウジしたりするのは、非生産的だからやめたほうがいいのかもしれないですよね。
ま、今後は一方的な思い込みには気をつけるようにする、ってことで反省は十分だと思いますよ。

きっと、いずれ「ご縁」が巡ってきたときは、自分でもびっくりするくらい、サクサクことが進んじゃったりするもんですから!

そのうえで、それすら決して「ゴール」ではないというのがまた、人生というものの難しさであり面白さでもありますけど……。


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年3月5日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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