退職、ヤバい彼氏、家電の初期不良、蛇に噛まれた!! どうしたら不運のループから抜け出せるでしょうか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室409】
✳️今週のお悩み✳️
今年に入って、不運の引きが強いです。
1月に転職した会社は、入社前とは話が違う仕事内容にパワハラ気味の上司など、業務も人間関係もまったく噛み合わず、6月に体調を崩して退職しました。
6年ぶりに彼氏ができたと思ったらいわゆるヤリモクで、付き合って1回目のデートの後、LINEをブロックされました。その後、情報商材ビジネスをやっていたり、まぁまぁヤバい人だったということも発覚しました。
今年新しく買った家電は、本当に、ことごとく、初期不良。Wi-Fi ルーターの不良品を引いたときは、工事のおじさんに「1000分の1くらいの確率」と言われてしまいました。
極めつけに、東京23区内で道路を歩いていただけで蛇に噛まれました。なんで!!!???
この他にもとにかく想定外のことが起こるので、このままずっと不運なことが起こり続けるのでは……、もっともっと大変なことが起こるのでは……と考えると怖くなってしまいます。新しい仕事や恋にもかなり臆病になっていて、および腰です。ネガティブな気持ちのせいで自ら不運を引き寄せているような気さえします。どうしたらこのループから抜け出せるでしょうか? アドバイスいただけますと幸いです。
P.S. 今年一番の幸運は、RHYMESTERサンリオピューロランド公演のチケットが当たったことです! めちゃくちゃ楽しかったです! ありがとうございます!
(なぎさ・31歳・会社員・東京都)
こばなみ:
「東京23区内で道路を歩いていただけで蛇に噛まれました」って、何度読んでもすごいですね!
宇多丸:
こんなことある!? って、本人が何よりまず驚いているのがよく伝わってくる文章ですよね(笑)。
まぁどの件も、なぎささんのせいではないうえに、事前に察知するのにも限界がある話である以上、やはりとりあえずは気の持ちようでなんとかしてくしかないかもしれないですよね……。
たとえばさ、前にも言ったかもしれないけど、物をなくしたり壊したりしたときに、「身代わりになってくれた」と思うようにする、というのを僕は心がけておりまして。
もちろんそれは完全に迷信的な発想でしかないわけだけど、どうせ結果は変わらないことなんだったら、幻想なのは重々承知したうえであえて意識的に「前向きに思い込む」ほうが、いつまでもウジウジを残すよりまだマシでしょ、的な。
そりゃ、ホントにきちんと対処しなきゃならないような問題なら、「気の持ちよう」で済ませちゃダメだけどさ(笑)。
そうじゃなくて、結局はただあきらめたり忘れたりするしかないような小さめの後悔に関しては、そうやってとっとと処理して前に進むというのは、より有意義に人生を過ごすための一種の知恵、と言っていいと僕は思うんですよね。
そんな感じで、今回のなぎささんの一連の不運の連続も、「実は結果的に、もっとずっと悪い事態を回避する役目を果たしていた、むしろハンパなき幸運の連続だったのだ!」と、強引にでも思い込む!……というのじゃダメですかね?(笑)
たとえばその、6年ぶりにできた彼氏モドキ。
もちろんそいつは間違いなく最悪なんだけど、ひょっとしたら、その男と一瞬付き合ってた間に、それこそ殺人鬼みたいなヤツと出会ってしまっていた可能性を、見事に避けることができた……のかもしれない!(笑)
セーフ!っていうね。
1000分の1の確率で初期不良だったルーターだってね、もっと火災につながるような家電の故障とかじゃなくて、むしろラッキー!と考えることもできますよ。
蛇もね……、もし仮に、噛まれないでもうちょっとそのまま歩いてたら、ドーン! 車が突っ込んできたかもしれないし、通り魔に目をつけられていたかもしれないわけですよ。
蛇ちゃんは、なぎささんをガブッと噛むことで、それを止めてくれたんですよ、きっと!
つまり、本来なら死んでてもおかしくない数々の危機から、一見不運の連続に見えるそれらが、実は救ってくれていた!……という思い込み(笑)。
でもね、なぎささんが実際に強運の持ち主であるという証拠に、僕らのサンリオピューロランドライブのチケット、当たったわけでしょう?
あれ、相当な競争率だったはずですから。
うわっ、運いいね~、っていうことですよ!
こばなみ:
あと、退職もしてるんですよね。パワハラ気味の上司、人間関係が全く噛み合わない、それで体調を崩してしまった。
宇多丸:
ひどい会社に入っちゃったのはホントにご愁傷様だし、言うまでもなく悪質さの度合いによっては公の場に訴えるというのも選択肢だろうけど、そういう次元の「解決」とは別に、あくまで自分自身の心持ちとしては、早めに離れることができてまだよかった!というふうに考えておくこともできると思うんですよね。
要するにさっきの蛇と同じで、これ以上やっちゃダメー!って、体調の変化がなぎささんを止めてくれたとも考えられる。
こばなみ:
体が悲鳴をあげたってやつですね。
宇多丸:
なまじ表面上元気だと、結局何年もそのまま我慢して働き続けて、もっとのっぴきならないところに行っちゃってたかもしれないですからね。
そうでなくとも、時間の無駄では確実にあったかもしれないわけだから。
しかも、今後の職場選びの勉強にもなったと考えれば、現状のこれで正解なんですよ、たぶん!
とにかくさ、たとえばコメディとかで、何かに気を取られながら歩いてる人が、そのままだとマンホールに落ちる!というその瞬間、ちょうど穴から顔を出そうとしたおじさんの頭に足が乗っかってセーフ! しかも本人はまったく気づいてない……みたいなギャグ、たまにあるじゃん?
自分の境遇もきっとああいうもんなんだ、とでも考えればいいんじゃないですかね。
なぎささんは、ヘタすりゃ4回死んでたかもしれないところ、奇跡的な幸運の連鎖で見事それらをひらりひらりと回避し、チケット争奪の倍率も突破して、無事ライムスターのサンリオピューロランド公演を楽しんだ。
あなた、ツイてますね!
こばなみ:
ループから抜け出せるでしょうか?ってことですけども、もう抜けかけてる?
宇多丸:
というより、最初から幸運のループのなかにいたんだ、と考える!
要は、ひとつひとつは誰にでも起こりうるあんまり良くないことが、今回はたまたま重なっちゃっただけで、そういうことも当然生きてりゃありうるし、だからってどうすればよかったとか、今後どうすべきかとかいう答えがそこまではっきりあるわけでもない。
つまり、これ以上そのことについてウジウジ考えてもおおむね時間のムダなわけだから、だったらいっそ、結果オールオッケー!とでも思っておけばいいんじゃない?ということですね。
蛇にいたってはもう、どうにもなんないんで(笑)。
こばなみ:
あとあとになって、話のネタにできる日がくるといいですね。
宇多丸:
てか、蛇のオチがついたことで、現時点ですでにどこに出しても恥ずかしくないレベルの「すべらない話」だよ!
滅多にない面白エピソードをゲットできたという点でも、なんなら得してますよ。
ということで、なぎささんは実は、一命、いやさ四命をとりとめているんだと!(笑)
これはすごいことですよ。
守護神が強い!
もっと小さい話で言ってもさ、僕もこの間、映画のチケットを前日に予約してたのに結局行けなくて、一枚分無駄にしちゃったことがあったんだけど、その時は、「いや! もしその回に行ってたら、コロナに感染してたかもしれない!」と思い込むようにしましたよ。
実際、外を出歩かなきゃ感染リスクは確実に下がるんだから、それも間違いじゃないんですよね。
さらに小せぇな!って例では、TBSのエレベーター、なかなか来ないことで有名なんですよ(笑)。
だから、目の前で乗り逃したりするともう、前だったらやっぱりちょっとイライラしたりもしてたんだけど、最近は同じく、「もしすぐ来たやつに乗ってたら、意外と人がいっぱい乗っててコロナがうつってたかもしれない!」とでも考えて、心穏やかに待つようにしてますよ。
それも、局内の感染者数だって今や馬鹿にならないんですから、ホントにそうなっていた可能性も普通にあるわけで。
こばなみ:
想像力が必要ですけど、あらゆるシーンで使えますね。
宇多丸:
なぎささんの件なんか、むしろそうとしか考えられない!
都内のただの道で蛇に噛まれるなんて異常な事態は、たとえば守護神が密かにいろんな手を使ってなぎささんを守ろうとしてて、「もう最後の手段! ちょっと無理あるけど、使いの蛇よ、ゆけーっ!」「はいっ! なぎささんごめんっ!」ガブーッ!みたいな(笑)、そんなバックストーリーがあったとしか思えないですよねっ!
なのであなたむしろ、運、強いです。
持ってる女、なぎさ。
少なくとも、明らかに「主役感」がありますよ。
ラブコメのオープニングとかでも、ありそうじゃない?
「……そんなこんなで、まったくもってサンザンな日々(泣)。そんな私に、あんな奇跡が訪れるなんて、その時は夢にも思っていなかったのです……」
そこでタイトルが出て、主題歌が始まる感じですよ!
こばなみ:
イントロみたいなものだったのですね(笑)。
宇多丸:
とはいえもちろん、そのときの当事者たるなぎささんにとってはホントに、切実に大変だった出来事の数々ではあったでしょうから。こんなふうに面白おかしく話しちゃってちょっとごめんなさい、ということではあるんですが……。
ま、あくまで少しでも気が楽になるのなら、というための、ひとつのご提案でございました。
こばなみ:
もしまたなにかあれば、遠慮なしにご連絡いただければと思います! 話して気が楽になることもあると思うので~!