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1年越しでバレンタインのお返しをくれた会社の先輩。キスもされたのですが、この意味は?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室186】


✳️今週のお悩み✳️
私にはずっと片想いをしている会社の先輩がいます。去年、彼にバレンタインで本命チョコを渡しました。がしかし、その年のホワイトデーにはお返しはなく、なんと今年、1年越しでお返しがきたのです。ただ、それは手渡しではなく、会社のデスク下に置いてありました(笑)。借りを作るのがいやだったんだな、と思っていました。あるときタクシーで2人きりになったとき、ホワイトデーのことを彼から話題にしてきたので「私には興味がないと思ってたー!」と言ったら、「だったら、1年後になんて返さない」といわれ、そのままキスされてしまいました。たしかに、去年、ホワイトデー渡すね!とメールはきていました。ただ、ご飯に誘われたことは一度もありません。逆に飲み会の時はいつもどこかのタイミングで私の隣に移動してきます。単に、好意のある後輩をコロコロして楽しんでいるんだと思って腹が立ち、挨拶しなかったり、露骨にぶっきらぼうな態度を取って嫌われようとしてみたりしたのですが、効果無しでした。私は後輩であるにも関わらず、完全にタメ口でも怒られません(業務外にかぎる)。親密な話こそしませんが、そのような仲です。ちなみに、彼は中高男子校だそうです。男性は、自分に好意があるのがわかっていたら、同じ部署の毎日顔を合わせる後輩にでもキスしたりするんでしょうか? 私がそれを人に話すリスクとか無関係なのでしょうか?? このキスの意味はなんなのでしょうか?? 長くなり恐縮ですが、どうかこの悩みに喝を入れてください。
(ぽよよん・23歳・兵庫県)


宇多丸:
素朴な疑問なんですけど、ぽよよんさんが去年渡したチョコ、「これ、本命です!」感って、どうやって出したのかな?

いまどきは、チョコが多少高級とかぐらいじゃ、なかなか判断できないじゃないですか。

こばなみ:
手紙を入れたとか、他にプレゼントもあげたとか、ですかねぇ。

宇多丸:
なるほどね。そこまでしてりゃ間違いはないか。

ちなみにですね、こないだ、いつもスタイリストをやってもらってる女性二人にホワイトデーのお返しをしたら、二人とも、バレンタインにチョコをあげても返しがない人のが多いって言ってました。

こばなみ:
えええー、まじですか! びっくり。私のまわりはきちんと返してるメンズが多いですよ!

圧力をかけてるのもありますが(笑)。

宇多丸:
まぁね、バレンタインデーのチョコっていうのが、ちょっと形骸化しすぎちゃってるって問題もあるとは思うんですけどね。

大人の世界ではもはや、チョコあげる=告白みたいなドッキドキの構図よりも、明らかに義理チョコがメインになっちゃってるわけじゃん(笑)。

受け取るほうも、そこになんの気持ちも入ってないのがわかってるから、リアクションも相応におざなりなだけっていう、そういう話でもあるとは思うんですけどね。

こばなみ:
わかります、それ。だから私、2月14日になるべく打ち合わせを入れないようにしてる。もらったほうも気を遣うかな、と思うんで。

宇多丸:
そこまで考えてるんだ(笑)。

とにかくさ、あげるほうも、とは言えお金や労力はきっちりかかってるわけで大変だし、そのくせもらったほうはたいして嬉しくもないしで……、完全に誰得イベントと化しちゃってるよ!

義理チョコ習慣、来年から一斉廃止とかしようよ~、女子部JAPAN(・v・)からの提言としてさぁ(笑)。本命チョコの威力も弱くなるし、いいことないですよ、マジで。

で、ぽよよんさんの場合、一年越しでお返しをもらったと。つっても、デスク下にいきなりポンと置いてあったわけだけど(笑)。小中学生じゃないんだから!

その前に、本年度のバレンタインはどうしたのかね、ぽよよんさん。まぁ、特になにも書いてないから、今年はあえてシカトしてたってことなのかな。

いずれにしてもですね……、その先輩が考えてることって、概ねこんな感じだと思いますよ、はっきり言って。

要は、彼にとってぽよよんさんは、確実に自分のことが好きな「持ち駒」みたいなもんで、基本好意だけはキープしておきたいっていう程度のスタンスなんだけど、このタイミングでたぶんなんか、軽くムラムラしたとかで(笑)、「あ~そう言えばあいついたな」的に、一瞬ちょっかい出してみたくなった……くらいのことなんじゃん? 身もフタもない言いかたをすれば。

で、案の定ぽよよんさんは、一年越しのアクションでもまんまと食いついてきちゃったわけだから。

ぽよよんさんには悪いけど、先輩側の心理って、ほとんどこれ以外は考えられないと思いますよ。

だってさ、そうじゃなくて、この一年間実はずっとぽよよんさんのことを密かに想い続けてたんだけど……とか、ちょっとありえないでしょ?

こばなみ:
それは考えにくいですね。

「ご飯に誘われたことは一度もありません」ともありますしね……。

宇多丸:
でも、飲み会とか、すでに同一空間にいるような機会には近寄ってきたりする。

つまり、その程度のコストしか払う気はないし、実際それでじゅうぶんってことですよ、ぽよよんさんの好意をキープするには。

こばなみ:
つらい~、ノーコスト。

あと、中高男子校だそうですが、それはなにか関係ありますか?

ぽよよんさんは、先輩が奥手だからこうなっているのかも、と考えているのだと思いますが。

宇多丸:
まぁ、ものすごーく「広義の奥手」という可能性はあるかもしれないけど。

先輩が高校出てどのくらい経ってるのか知らないけど、少なくとも僕が行ってた中高一貫男子校卒業者は、異性に対する態度が、二極化する傾向はちょっとあった気がします。

当然一番多いのはストレートに引っ込み思案になるパターンなんだけど、いっぽうで、中途半端にモテた経験があったりすると、あれほど恐れていた対象が「恐るるに足らず!」ってことで(笑)、逆に女性を極端にナメはじめちゃうタイプっていうのも、少しだけいるんだよね。

まぁどっちにしろ、女性と人としてのコミュニケーションがちゃんと取れてないって点では同じなので、「広義の奥手」っていう。

ダメだ、男子校!(笑)

ホントにぽよよんさんの先輩もそうなのかはわからないけど……。

こばなみ:
でもたしかに、「親密な話こそしませんが、そのような仲です」という報告も、なんかそのタイプかと思うと、想像できますね。

宇多丸:
それ、要するに「別に親密じゃない」ってことじゃん!(笑)

こばなみ:
ということは、「男性は、自分に好意があるのが分かっていたら、同じ部署の毎日顔を合わせる後輩にでもキスしたりするんでしょうか?」というのも……。

宇多丸:
まず前提として、何度も言いますけど、「男性は」とか、雑に一括りにしないでよ、とは言いたいけど。

「女っていうのはさぁ」とか、わかったようなこと言われたくないでしょ?

まぁ単純に、その先輩はそういうことするような人だったってだけですよ。

でも、ぽよよんさんだって、あっちの土俵にまんまと乗っかっちゃってるわけだからね。

たぶん向こうも、キス「してやった」くらいの気分でしょ。嬉しいでしょ?って。

こばなみ:
「私がそれを人に話すリスクとか無関係なのでしょうか??」はどう考えます?

宇多丸:
そのへんが、この先輩の「広義の奥手」なあたりじゃないですか? 別に「上手く遊んでる」わけでもなんでもないっていう。

たぶんだけど、同僚とかにはほとんどバレバレだと思うんですよね、彼がぽよよんさんの気持ちを利用して、ときどきプレイボーイ気取りなことも(笑)。

もし僕が同じ職場にいたら、ぽよよんさんに「1万円払うから、あいつの口説き文句盗み録りしといて!  次の飲み会の肴にするから!」ってお願いするかもしれませんね(笑)。

こばなみ:
じゃあ、このキスの意味はなんなのでしょうか。

宇多丸:
「あ・そ・び」です!(きっぱり)

でも、それでぽよよんさんの気持ちがグラグラしちゃうのも、当たり前だろうとは思う。

誰だって、好きな人、まして片思いだと思ってた相手からちょっとでも好意っぽいものが返ってきたら、舞い上がっちゃうのは当然でしょ。男女関係なくね。

だから、まさしくこうやって「人の気持ちをもてあそぶ」って、実はやっぱり相当に、残酷なことなんだと思いますよね、改めて……。

こばなみ:
ぽよよんさんは、遊びっていうのを少しはわかってるんですかね。喝を入れてくださいとも言ってますけど。

宇多丸:
逆にさ、ぽよよんさんには、この先輩のどこが好きなのかを聞いてみたいよね。よっぽどかっこいいいのかな。

なんにせよ、客観的に見て脈があろうとなかろうと、どれだけ無下に扱われようと、「それでもやっぱり、好きっ!」って確信があるのなら、それはそれで貫けばいいんじゃない?って話だしさ。

ちなみに、ぽよよんさんにひとつ突っ込んでおきたいのは、「単に、好意のある後輩をコロコロして楽しんでいる」っていう風に、自分でもある程度真実はわかっててムカついてもいるのに、そこでやることが、「挨拶しなかったり、露骨にぶっきらぼうな態度を取って嫌われようとしてみた」って……、いやいや、好きになったのはこっちなんだから、ここでぽよよんさんが試みるべきは、むしろ彼を「嫌いになろうとする」ってことのほうでしょ。

嫌われようとするもなにも、そもそも彼のほうにはそこまで気持ちがないってことが問題なんだからさ(笑)。意地悪なこと言うようだけども……。

つまり、「効果無し」は、まさにぽよよんさん側の、「それでもやっぱり、好きっ!」スタンスだったということですね。

しかしこれ、同性の友達や同僚とかに相談したら、一発で「は~!? そいつキモッ!」って、即時判決が下されるケースじゃないのかね(笑)。

ってことは、ぽよよんさん、しっかり胸の内にしまい続けてもきたってことだもんね……、根の深さをやはり感じさせますよね。

この間、ほかに好きな人でもできれば良かったんだけどね。

そしたら、先輩からの一年越しのホワイトデーお返しも、普通にばっさり「は? 今さらいらねーわ!」で終わりだったでしょ。

まぁ、思わせぶりなこと言われてキスまでされて、ぽよよんさんが彼のことを忘れられないっていうのも、無理からぬところはあると思うけどさ。

結局そのときのキスどまりなわけでしょ? お持ち帰りさえされてないわけでさ。

やっぱ、そこまで深入りする気もないんだろう、と考えるのが自然だよね……、コストもリスクも取る気ナシ!っていう。

だから本当に「遊び」なんですよ。「火」もつかない「遊び」。

こばなみ:
うまいこと言いましたね(笑)。

宇多丸:
ただこの先輩、ぽよよんさんが本気で離れていったら、「あれ? ひょっとしてちょっと、もったいなかったか?」とか思い始めて、逆に向こうから近寄ってくるタイプではあるかもしれないけど。今回の一年越しホワイトデーお返しだって、そんな感じでしょ。

要は「手に入れられる/手に入れられない」って基準で異性の価値を計ってる人っていうか。

逆に言えば、ゲットできたら目的達成、おしまい、ってだけだからさ。どっちにしたって発展性は期待できない相手ですよ。

なので、これからぽよよんさんが、賢明にもその先輩にさっさと見切りをつけて、ほかに好きな人ができたってときに、ひょっとしたら先輩がまたちょっと接近してきたりするかもしれないけど、そこですぐ「ついに私のこと好きになってくれた!」とか、勘違いしないように注意したほうがいいとは思いますね。

こばなみ:
そういうのでずるずるいっちゃうパターンもありますよね。

宇多丸:
まーた思わせぶりなキスとかだけして、「やっぱホントはまだ、オレのこと好きなんじゃん」って確認できたら、もう満足、みたいな。そうやって、絶対にお互いの気持ちは一致しないシーソーゲームになっちゃうだけだからね。不毛ですよ。

だからやっぱり、できればその先輩に固執するのはもういいかげんやめて、さっさと新しい、もっといい人探しはじめたほうがいいよ。せっかくの20代前半、時間がもったいないよ! 目を覚まして!

こばなみ:
まず、この先輩のどこが好きなのか、改めて冷静に考えてみるとか。

宇多丸:
それから、こばなみもやったように、嫌いなとこを10個書き出してみる(笑)

それでもまだ、「1.かっこよすぎる」「2.私に優しすぎる」とかばっかになっちゃうようなら……(笑)、少なくとも今のところはもうあきらめて、だいぶ前の相談にもあったけど、「大好きな人に振り回される私」を、自覚的に楽しんじゃうしかないっすね。

ホント、惚れた弱みはしょうがないってところもあるからな……。



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年4月8日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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