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エッチの最中に笑ってしまって振られました。このトラウマ、どうしたらいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室169】


✳️今週のお悩み✳️
以前付き合っていた彼と初めて夜を過ごしたときに、実に10年ぶりのエッチに緊張と恥ずかしさで私が笑ってしまい、彼がそれに幻滅しておそらくそれが原因で振られてしまったことが今でもトラウマです。その時彼は43歳バツイチで私は28歳でした。「もっと勉強したほうがいい」「興奮しない」「あまりのことにトラウマ」と言われました。私に女性としての魅力がないことと、彼氏がいなかった10年間が否定されたようでショックでした。彼も私に想像以上に魅力がなくてショックだったと思います。現在私はありがたいことに違う人とお付き合いしているのですが、このことがまだ自分の中でうまく整理できておらずたまにフラッシュバックします。何故あんなことになってしまったのか、もっと経験があれば違ったのか、でも10年間私は私のやりたいことを一生懸命やって生きてきたのに、とか……。前の彼には素敵な恋を教えてくれたことに感謝しています。今の彼のことも大好きで大切にしたいと思っています。でもこのことがどうしても辛くて、今まで誰にも相談出来なくて送ってしまいました。お二人に何か思ったことを言ってもらえたら嬉しいです。
(森・29歳・東京都)


宇多丸:
これ、セックス真っ最中っていうなかでも、どの段階で笑っちゃったんだろうね? 最初のほうのさ、服脱いだ前後くらいだったら、お互いまだ気恥ずかしくて照れ笑いしてたりするのも、そんなに変な話じゃないと思うけど……。

あっでも、まさかとは思うけど、男性がパンツ下ろした瞬間に、モノを見て吹き出しちゃった、とか?
 それはダメだー!(笑)

こばなみ:
宇多丸さんは笑っちゃう女子にあったことはありますか?

宇多丸:
やっぱりさっきも言ったように、序盤で恥ずかしがって笑ってる人は普通にいるよね。
いいかげんに慣れろよ!っていうくらい、いつまでも照れ笑いしてる人はいるにはいる。
でもそれはまぁ、キャッキャウフフのうちだから。
男性によっては、むしろ女性が恥ずかしがってるほうがグッと来るって人もいるでしょうしね。

それにそもそも、性的な行為って全般に、冷静に考えると、どう見たって滑稽だし小っ恥ずかしいしで、つい笑いたくもなっちゃう、って気持ちもわかりますよ、もちろん全然。
だからこそ、僕を含めて、酒とかである程度理性を鈍らせないとそこまで踏み出せない、という人も多いわけで。

ということで、10年振りということだし、緊張と照れでうっかり笑ってしまったということ自体は理解できる。
こばなみはどうですか?

こばなみ:
私も笑っちゃって注意を受けたことはあります! 中盤から終盤にかけてのところで、恥ずかしいのと、嬉しいのとでアヒャヒャヒャ~ってやっちゃったんですよね。そうしたら、笑わないで、不気味だからって。

宇多丸:
よりによって、一番盛り上がってるはずのところで、「アヒャヒャヒャ~」!? 
そりゃあ怒られたり、気味悪がられて当然だよーっ!

だって、立場を逆にして考えてみてよ。
行為的に佳境に入って、自分としてもけっこう入り込んで、感じている最中にさ、突然男のほうが、「アッヒャッヒャッヒャッ~!」って笑いだしたら!? 
超怖くないすか?

こばなみ:
たしかに不気味!

宇多丸:
だし、失礼でもあるしさ。
いいか悪いかで言ったら、そりゃやっぱり良くないよ、いきなり笑うのは。

さっき言った、脱いだ途端に笑われる、っていうのもそうだよね。
女性だって、たとえばブラジャー取った瞬間に、おっぱい見た男がケタケタ笑い出したりしたら、普通にムチャクチャ傷つくでしょう?

行為の最中につい笑ってしまう気持ちもわかるけど、同時に、普段は絶対に見せない自分をさらけ出し合う、ただでさえセンシティブな局面で、不意に相手から笑われたりしたら、自信を完全に喪失して、その後は誰かとそういう関係になるのが怖くなってしまったりするかも……っていうのも、全然想像できるでしょ?ってことですよ。

ただ、僕はですね、その43歳バツイチも、相当プライドが傷ついてしまったんだろうけど、それにしたってちょっと怒りすぎというか、大人げなさすぎなんじゃないかなとは思いますけどね。

特に僕が嫌だなって思ったフレーズが、「もっと勉強したほうがいい」。はぁ~!? な~んでそこまで偉そうなこと言われなきゃなんないわけ?
 ナンパレベル含めて、性的アプローチに失敗した悔しまぎれで、女性にこういう捨てゼリフ的なことを言う男って、ちょいちょいいるんだよな、ホントに。
てめぇが上手く持ってけなかったのを棚に上げて、女性が奥手すぎたせい、とか一方的に決めつけることで、プライドを回復しようとしてるんだよね。みっともない! 
女性側にしてみれば、「いや、単にお前がダメダメだっただけなんですけど……」って感じだったりするのにさ(笑)。てめぇが勉強しろ!

ただまぁ、一応フォローしておくなら、歳は離れてるしバツイチだしってことで、彼は彼で、相当引け目を感じながらことに臨んでいたのかも、とは思うんですよね。
それこそ、年齢的に言っても、男性としてちゃんと機能するかな~とか、内心相当ビクビクしてたんじゃないかなぁ。
そこで、彼からしてみたら思いもかけないタイミングで森さんに笑われちゃって、ガーン!と、完全に出鼻をくじかれた格好になってしまったんじゃないかと。

だから、彼にも実は精神的余裕がまったくなくて、森さんの気持ちを慮るところまで行けなかったがゆえの、悲劇的結末ではあったかもしれない。どっちにしろいい歳した大人の男がそれじゃダメなんだけどね! 気持ちとしては、まったく理解できないわけじゃない。

そこでさ、森さんも森さんで、「10年ぶりで、恥ずかしいのと嬉しいのでつい笑っちゃっただけなの! ごめ~ん♡」ってすぐに謝りつつ、甘えてみせるとかなんとかして、傷を深いものにしないようなフォローが、おそらくできなかったのも痛いですよね。
いつも言ってるように、いつでも「素直に」「優しく」接することができさえすれば、たいていの人間関係はそう悪いことにはなってゆかないはずなんですけどね……、まぁ、特にとっさには、なかなかそれも難しいのもわかるけど。

でもホント、それまでの経験の多い少ないにかかわらず、誰かと初めてするときって、最初からそんなに全部がスムースに行かなかったりするのも、別に普通のことでしょ、とも思うんですよね。

それこそ、男のほうが緊張でいまいち使いものにならなかったりとか、余裕であり得ることだしさ。
前も言ったけど、そういうときに女の人から、「え、なになに? どうしたの?」とか、「え、できないの?」とか、あんまり優しくない詰められかたをしたりすると、さらにどんどんショボーンとしてきちゃうもんですから、男性というものは。
ましてそこで笑われたとなると……、ホントに立ち直り不能状態に陥るかしれない(笑)。

要はやっぱり、お互い他の人には死んでも見せないようなデリケートな部分を、相手を信じて、思いきって投げ出し合うっていう、どうしたって神経過敏にならざるを得ない場面なわけだからさ。
いつも以上に「優しさ」と「素直さ」が必要とされる場なはずなんだけどね……、そういうときに限って、両者ともにその余裕がなかったりするんだよなぁ。
今回のケースなんかまさに、それで余計にこじれちゃったというのはあると思いますよ。

こばなみ:
そうですね。プライドを繕う、自分を守ることだけにどっちも必死になりすぎてしまったところもあるのかも。

宇多丸:
ちなみに、さっき言ったみたいな、いざという段になって男性側がいまいち臨戦態勢に入れない、というような事態に関してですけども。
それって別に、お相手の女性に性的な魅力を感じてないとか、そういう話ではまーったくないですからね! 念のため言っときますけど。
むしろ、気合いが入りすぎてそうなってしまう、という面が大きいくらいなので……、女性の皆さんにもどうか、そこで、「なによ、失礼ね!」みたいな風には考えないでいただきたいんですけど(笑)。

その意味で、森さんが言ってることのなかにも、ちょっと気になる部分があるんだよな。
「私に女性としての魅力がないことと、彼氏がいなかった10年間が否定されたようでショックでした」「彼も私に想像以上に魅力がなくてショックだったと思います」って……、なんでそんな話になっちゃうわけ?
 彼はあくまで、行為の最中に笑ったこと、そのデリカシーのなさにキレているだけであって、 別に女性としての森さん丸ごとにダメ出ししてるわけじゃまったくないと思うんですけど、普通に考えて。それに、森さんが思い込んでるほど、その件が本当に別れの原因かどうかさえ、実はよくわかんないわけだし。
まして、「10年間私は私のやりたいことを一生懸命やって生きてきた」ことなんて、誰も否定してないよ!

たまにこの連載でも見受けられるパターンですけど、いきなり極端な、ある意味楽な結論に逃げ込んでしまうっていう……、良くないですよ!

こばなみ:
劇的に持って行きすぎ、という傾向はたしかによくありますね。

宇多丸:
バッサリ言わせてもらえば、森さんがやりたいことをやって生きてきたっていうことと、セックスの経験が乏しいがゆえに笑ってしまったことって、実はというか、別に関係ないことでしょ。
やりたいこと一生懸命やって、なおかつセックスもしまくってる人だってたくさんいるよ!(笑)

「もっと経験があれば違ったのか」っていうのも、そりゃそうでしょうよ、としか言いようがなくて。
前回の回答で言った通り、いろいろ痛い目にも遭いながら自分で経験値を積んでく以外にないんだから、特に性的なことは。ていうか、そうじゃないと意味ないし、っていうくらい。

だから、森さんがこの件から学ぶべきは、「セックスの最中に突然笑い出したりすると、相手を傷つけることもあるから、やはり控えるべきだよなぁ」っていう、その一点だけでしょ。幸いにも、森さんには今の彼がもういるわけだからさ、その反省を今後に活かしていけばいいだけだよ。
事実、前は10年ブランクが空いちゃったのが、今回はこんなに早く次の恋へ移行できたというのも、前の彼と付き合ったことで、ちょっと慣れたから、っていう面も確実にあると思うんですよ。つまり、やっぱり経験は無駄になってないんだよ!

そこで、「どうせ私は女として魅力ないですからね!」みたく、安易な自己卑下~自己憐憫に閉じこもってしまうのは、新たなリスクを避けてるぶん実は居心地がいい部分もあるんだけど、これからもより良い恋愛をしてきたいっていうんなら、やっぱり百害あって一利なしですよ。

付け加えておくと、もし仮に森さんが、いつかまたセックス最中、同じようなところで、同じように笑ってしまったとするじゃないですか。
でもそこで、すべての男が前の彼と同じような反応をするってわけでもないから。
たとえば、人によっては、森さんが笑ったらつられて笑い出して、「えへへ、やっぱ恥ずかしいよね~(笑)」とか、ちゃんと森さんの気持ちにも寄り添ったリアクションで、ライトに流してくれたりするかもしれない。

要は、セックスって結局コニュニケーションだから、違う人と話せば違う会話になるし、話すタイミングが違えばまた違う流れにもなるし……、そのすべてが、それぞれの人にとって一期一会の、まさしく「経験値」となっていくわけだからさ。

ということで、とりあえず今は、過ぎたことは過ぎたこと、むしろそれをただの苦い思い出に終わらせないためにも、教訓は教訓として踏まえつつ、とにかく今度の彼に、できるだけ誠実に向き合ってゆく、ってことしかないですよ。
それがちゃんとできる人は、これからも、どんな恋愛をしようとも大丈夫、とも言えるわけだし。

こばなみ:
そうですよ、今の彼がいるんだもん。いろんなことをごっちゃに考えないで、1つ1つ進めていけば大丈夫ですよ!

そして私も……、今回はいたく反省しました。アヒャヒャ笑いは不気味でしたね、たしかに。この場を借りて、すんません!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年11月19日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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