付き合うのをOKしてくれたのに、遊びに誘うといつも断ってくる彼って……!?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室114】
✳️今週のお悩み✳️
私から告白して付き合ったのですが……、遊びに誘っても、部活で……といつも断られます。だから休みない?って聞いても「ない」と言われます。相手は付き合おうと言ったときに「いいよ!」と言ってくれました……。これってどうなんでしょうか?
(とうか・14歳・福岡県)
こばなみ:
今週は、この連載はじまって以来、最もヤングな方からのお悩みです。
宇多丸:
僕なんか、下手すりゃ彼女のお父さんより歳上だよ!
こばなみ:
私もお母さんと同級生!とか、十分あり得ますよ。
さて、女子部員のお姉さんたちからもご意見ずらり。
宇多丸:
しかし世の中には本当に、中学生同士が「付き合ってください」「はい」みたいな、いわゆる甘酸っぱいやりとりというやつが実在するんですねぇ……、僕は中高一貫の男子校だったので、そんなの都市伝説だと思ってたよ!
こばなみ:
同じく! 私も中高一貫の女子校で非モテ系ですので……。
でもそもそも中学生で「付き合う」って何するんですかね?
ボーリング行ったり?
宇多丸:
ラウンドワンとか?
そういうのと縁遠い青春を送りすぎたせいで、マジで想像がつかねぇや(笑)。
まぁ、中学だったらまだ、一緒に下校するとか、たぶんそんなくらいなんじゃない? 片方は自転車押してたりしてさぁ~。 最初は二人とも恥ずかしくて、あんまり話せなかったりしてさぁ~!
こばなみ:
くーっ! うらやましいぞぉ!!
宇多丸:
一応さらに、「付き合ってる」のもっと普遍的な定義を考えてみると……、LINEや電話のように実際には距離があるやりとり含めて、「“二人っきり”の時間を比較的長く、なおかつコンスタントに持ちましょう、と両者が合意している状態」っていうのはどうですかね。
それに加えて、特にもうちょい大人になると、セックスがまさにその代表格だろうけど、お互い他の人には見せない面をさらけ出せるかどうかみたいな、関係の「深さ」っていう要素がグッと大きくなってくるんだと思うんだけど。
つまり、二人だけが共有している時間の「頻度」×「深さ」=付き合ってる指数……みたいな方程式が作れそうだよね(笑)。
こばなみ:
なんだか偏差値みたいですね。
宇多丸:
その意味では、とうかさんとその彼のお付き合い偏差値、今のところ異常に低いですからねぇ。
「頻度」も「深さ」も限りなくゼロに近いっていう。
実態として「付き合った」形跡は、ほぼないと言っていいよね。
あえて言えば、最初のとうかさんの告白に対して、彼も一応快諾してくれてはいたっていうのが、辛うじて「深さ」要素に当たるのかもしれないけど。実際とうかさんもそれを唯一のよりどころにしてるわけだよね。 ただそれも、少なくともこの文面から察する限り、付き合ってくれませんかっていうお願いに対して、彼側は言わば了承を与えただけで、「……好きです!」「オレも……」的な、たしかな気持ちの通じ合いがあったわけではないんだよね、きっと。
で、その後はとうかさんの求めに誠意を持って応じようという姿勢はいっさい見られない……。
これね、率直に申し上げると、特に大人だったらほぼ間違いなく、完全に脈ナシ!と判断すべきケースですよ。残念ながら、やっぱり。 じゃあなんで最初の告白は受け入れたんだよって当然思うだろうけど、ひとことで言えばソイツ……、調子に乗ってんじゃね!?
僕が中学時代に女の子から告白なんかされたら、文字通り天と地がひっくり返るような、世界の法則がすべて書き換わるような騒ぎになってたことでしょうけど……、悔しいかなその彼、運動部の目立つ選手だったりして、すでにわかりやすくモテモテなんじゃない? だとしたら、異性から好意を寄せられ慣れていて、せっかくの告白にも、それほど重大な価値を感じていないという可能性がある。
「ま~たコクられちまったよ~! ったく、イイ男はツラいぜ~」的なノリで、ホントに軽~くオッケーしちゃったけど、その後きちんと相手をケアしたりするのは、ぶっちゃけめんどくさいっていう。おおかたそんなとこでしょ。 ナメきってんですよ、こっちを!
こばなみ:
そりゃ、サイアクですわ。でも、そんな夢も希望もないことを言っちゃ、14歳にはこたえますね……。
宇多丸:
ただね……、さっき「大人だったら」なんて前置きをわざわざ入れたのは、思春期男子、というか恋愛経験が極度に貧弱な男には、もうひとつのパターンも十分考えられるからなんだよね。
それはズバリ……、「過去に誰とも付き合ったことがないので、単にどうしていいかわからなくなっているだけ」というケースだーっ!
たとえば単純に、照れくさくてつい、つっけんどんな態度を取ってしまうとか。 あるいは、もっともっと精神年齢がガキなんだとしたら、男女の関係っていうような意識までまだ全然行ってなくて、ホントに普通に、友達と遊びに行く約束するような感覚でいる、とかも十分考えられるし。
もしくは、彼はそういうタイプじゃないかもしれないけど、僕が十代の頃とかは、自意識過剰ゆえに、何かって言うといちいち「オレ、やらかしちまった!」とか考えすぎちゃって、「これ以上嫌われるくらいなら……」と勝手に自分から引いてっちゃう、なんてこともちょいちょいありましたよ。
なんにせよ、どれだけ歳取ってもこれは変わらないと思うんだけど、基本、同年代なら常に女の人のほうがちょっとだけ大人、と考えてて間違いないんじゃないですかね。
こばなみ:
なるほど~。
宇多丸:
あと、これも全然あり得ると思うけど、「二人でいるところを友達に見られて、からかわれたりするのを嫌がってる」とか。
だとしたら、一緒の登下校に誘ってもダメだしねぇ。
なら、どっか出かけてデートでもするしかないんだけど、「休みない?」「ない」だもんな~……、取りつく島がねぇよ!
いずれにしても、とうかさんに対して、優しさや気遣いの片鱗も見えないのはちょっと気になるし……、仮にとうかさんが「付き合うって言ったくせに、まったく誠意を見せてくれないじゃん!」みたく真正面から言い分を伝えたとしても、それをきちんと受け止めて関係修復に努めるなんて度量は、今のところあっちにはまったく期待できそうもないわけで。
なんかコイツ……、やっぱ全然、ダメなんじゃないのかな~!?
たとえばそこでね、女子部員さんが言ってるような「押してダメなら、引いてみな」的な提案もまぁわかるし、特に相手がさっき言ったようなモテすぎ調子コキ夫だった場合、「アイツだけはオレになびかないな……、クソッ、なんとか落としてやる!」的な動機から、ひょっとしたらそれなりに効果が出ることもあるのかもしれないけど。
でも僕は、仮にそれで改めて彼の気を引けたとしても、そんなんでホントにいいのかとうかさん?って感じが、どうしてもしちゃうんですよね。 だってそれじゃ結局、彼自身は根本的には何ひとつ反省しないまま、まんまととうかさんを「落とす」ことには成功してしまうんだからさ。 もともとこっちのことナメきってたヤツを、さらにイイ気にさせるだけじゃんよ! 間違いなくソイツ、そのまんま大人になると、単に態度が横柄で話がつまんない、よくいる輩に成り下がるはずですよ!
ちなみに、後者の経験不足タイプに「引き」テクニックを使っても、さらにどうしていいかわからなくなって身動きが取れなくなるだけなので、効果はありません。
ということで、じゃあどうすればいいのか?という僕の意見ですが。
とりあえず、さっき言った「二人でいるところを友達に見られて、からかわれたりするのを嫌がってる」だけなパターンなのかどうかは、メールやLINEでの定期的な連絡の取り合いとかを提案して、確かめてみる。 相手は何しろ10代男子、そのくらいは、歩み寄ってあげてもいいんじゃないかと。 これがオッケーなようだったら、今後お互いの気持ちが近づいていく余地も、まだまだあると言えそうですよね。
でも、それすらあんまり乗り気になってくれないようならば……。 ぶっちゃけ、よっぽど「それでも好きなのーっ!」っていうテンションじゃない限り、こっちからさっさと、切るのをお薦めしますね!
「あんた、いったいどうしたかったわけ?」って、最後にキレてもいいくらいだと思いますよ。 そうやって自分の落ち度を自覚させたほうが、彼のためにもなる!
そんで、もっと上手くこっちをリードしてくれるような、もうちょい年上の人でも探す! そしたら今の彼なんてもう、一気にただのガキにしか見えなくなってくるはずですよ。
こばなみ:
今回、ヤングな悩みではありますけど、我々大人も学ぶことはありますね。
宇多丸:
むしろ、何か本質的なものがより浮き彫りになったような感じすらあるよね。
誰だって、こうやって「授業料」払って勉強して、成長してくしかないんだから……。
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年9月24日に公開したものを再編集し、掲載しています。