【山口】地元愛でUターン。女性の視点で地域を盛り上げる、おのあやかさん
日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、山口県岩国市の地域おこし協力隊として活動されている「おのあやか」さんに聞きました。
地元愛で、地域の新しい魅力を生みだし隊!
私は、山口県岩国市で地域おこし協力隊・地域ブランド担当として活動しています。
地域おこし協力隊としては、特定の地域だけでなく市内全域の生産物の掘り起こし、新商品の開発のお手伝いや、時には関東で販売促進を行うこともあります。現在は岩国ブランドの推進のために、岩国ブランドカードの取材・編集・発行に取組んでいます。
岩国ブランドカードでは、岩国ブランドに定められている9品目を歴史や特徴についてまとめています。観光客だけではなく市民の方にも身近に感じてもらうため、手に取りやすいようにはがきサイズで作成し、絵本のような見た目に仕上げました。現在は市役所内や観光施設へ置いてありますが、今後は市内の飲食店などでも手に取れるようにできればと考えています。
岩国ブランド9品目についてはこちらhttps://iwakunimade.jp/
その他、地域おこし協力隊の活動以外に、ボランティアで3つのプロジェクト「いわくにまるごとasoviva!プロジェクト」、「岩国エール飯プロジェクト」、「ドライブインシアタープロジェクト」のメンバーとして地域活動をしています。
<いわくにまるごとasoviva!プロジェクト>
「いわくにまるごとasoviva!」とは、岩国出身の東京に住む同級生たちによって、「遠く離れた故郷を盛り上げたい!」と2016年に結成されました。岩国をまるごと遊びのフィールドにして、大人も子どもも一緒になってともに遊びともに学ぶ、岩国と人が繋がる未来へ続く場所づくりを目指し、映画やアート、ワークショップを軸とした活動を行っています。
地域の盆踊や、県内で行われている野外音楽フェス『WILD BUNCH FEST』でのキッズエリア、東京浅草にある「まるごとにっぽん」館内など、様々な場所で岩国の魅力とアートを感じられるキッズ向けワークショップも行っています。
2020年3月には中山間部にある廃校の学校を使用して、地域を巻き込んだ映画祭「The 3rd asoviva! cinema」を企画し準備をしていましたが、新型コロナウイルスの影響から延期となってしまいました。現在は、コロナ禍が落ち着いたらすぐに開催できるよう、準備を整えています!
<岩国エール飯プロジェクト>
コロナ禍により打撃を受けていた飲食店にエールを送るため、2020年4月からSNSを中心に、市内飲食店のテイクアウト情報の拡散を行ってきました。(2020年6月終了)
<ドライブインシアタープロジェクト>
「ドライブインシアタープロジェクト」は、新型コロナウイルスの影響でイベントや多くの楽しみが奪われた2020年夏に、コロナ禍でも開催可能なイベントとしてドライブインシアターを岩国でおこない、最高の夏の想い出を作るお手伝いをしました。
第一回目は、8月1日に岩国市地方卸売市場の駐車場で「ドライブインシアターいわくに~SPECTACLE Night Market~」として開催。
当日は、コロナ対策をしっかりと行いながらも、映画上映前にはDJ&VJパフォーマンスで盛り上げたり、映画の世界観に合わせた装飾・飲食物の提供など、細部にこだわった演出を実施しました。
初めてのことばかりだったため、天候やコロナ、当日の運営など多くのことが不安でしたが、当日は天候にも恵まれ、多くの方のご協力により大盛況のうちに終幕。蓮の葉が綺麗なこの時期に、蓮畑に囲まれた卸売市場の中に建った大きなスクリーンで、みんなと一緒に映画を観られることにとても感動しました。
30歳の節目にUターンを決意! 人とのつながりが新たな活動を生みだした
私はもともと岩国市出身で、大学進学時に東京へ上京。舞台が好きだったことから舞台の裏方スタッフとして働いていましたが、地元が好きで「いつか帰りたい」という想いが捨てきれず、30歳の節目にUターンを決意しました。
しかし、決意したのはいいのですが、Uターン直前にも関わらず転職先は決まっていませんでした。これからどうしようかと漠然と考えていたUターン10日前(!?)、山口県への移住定住相談を行っている「YYターンカレッジ」で『いわくにまるごとasoviva!』の代表がセミナー講師を務めると聞き、参加しました。
そこにいたのが、現在所属している岩国市役所商工振興課の職員の方々でした。そこで地域おこし協力隊の話を聞き、特産品を通して岩国市を活性化させていくという仕事内容に魅力を感じ、応募することを決めました。そして『いわくにまるごとasoviva!』の代表に、「地元でおもしろいことをしている人たちの仲間に入れてほしい!」と直談判。そんな経緯を経て、初期メンバーではない私が、地元メンバーがいなかったため岩国支部長に抜擢されました。
asoviva!の活動は地域に根差したものばかりなため、地域おこし協力隊の活動と同じく、地域の理解や連携が必須となります。そのため、イベントを開催する地域には足繁く通い、地元のおじちゃん達と一緒に農作業をしたり、会合に参加したりと会う機会を増やして顔を覚えてもらいました。
私は地域ブランドという枠組みで市内全域を担当しています。何度も生産者さんに会いに行き一緒に作業をすることで、まずは人となりを知ってもらうことから関係構築を図ります。足を使ったアナログなやり方ですが、それが一番私に合った方法であり、生産者の方とも色んな話しができるような関係を築くことができました。
2020年春、コロナ禍により開催予定だった「3rd asoviva! cinema」が延期となってしまいました。協力隊としても何をしていいのかが分からず、何が自分にできるのか悶々とした日々を過ごしていました。そんななか、知り合いのイベントプランナーさんが、当時大分県別府市で行われていた「「別府エール飯」を一緒にやってみないか」、と声をかけてくださって。お話を聞いて、「ぜひ、やりましょう!」と即答。集まった有志3名でSNSを立ち上げました。
岩国エール飯では、SNSのシェアを基本としていましたが、シェアをしながらポストする方たちの岩国愛を感じ、エールを送るはずの私たちが逆に勇気づけられました。
この取り組みは早くからメディアに取り上げていただいたこともあり、当初はSNS上のみでしたが、地域のスーパーのご厚意により店舗内で実際に飲食店のテイクアウトができるブースが誕生したり、地元の銀行ロビーで行員の方が実際にテイクアウトしたメニューを展示したりと、「リアル岩国エール飯」としても広がっていきました。
そしてなんと! 岩国市観光プロモーションからの援助もあり、当初から念願だったテイクアウトMAPの発行もされました!
岩国エール飯が盛り上がっていた2020年4月末頃、市内でクラフトビール醸造所を営む方から、「岩国でドライブインシアターをやらない?」と声をかけられました。岩国エール飯で一緒に活動していたイベントプランナーの方も一緒に盛り上がり、メッセンジャーグループを作成。
このグループには、こんな時だからこそ同じ境遇にある人々と一緒に、2020年最高の夏の想い出を共有したい、地域の人たちの元気と未来への希望を増やしたい、という想いに賛同した人たちが集まってくれました。
結成は緊急事態宣言真っただ中の5月。オンライン上で打ち合わせを重ね、宣言が解除されてから初めての会合を行いました。メンバー同士は初めましての人が多かったのですが、日々の密なやり取りからずっと以前から知っているような不思議な感覚に陥っています(笑)。
このような状況ではありますが、コロナでなければ出会えなかったつながりに感謝しています。
協力隊退任後も出会いを大切に、活動を継続していきたい
地域おこし協力隊の任期は3年間です。地域おこし協力隊員退任後(2021年3月に退任予定)も、この土地で、特産品を中心に地域活性化につながる取り組みを仕掛けていく予定です。
協力隊活動とその他の活動が一本の線につながれば、「地元の人がもっと地元を好きになれる」そんなコンテンツに生まれ変わらせることができるのではないかと思っています。
私は一人では何もできないので、まずは自分自身が楽しめる街になるように、人と人とをつなげながら、出会いを大切にしていきたいと思います。
また、岩国は映画館のない街ですが、映画を身近に感じられる街になるよう、映画に関するイベントを少しずつ増やしていきたいです。そこには「映画×農業」など、新たな切り口から岩国の魅力を感じられる、そんなおもしろい仕掛けを盛り込んでいけたらと思っています。
全国の女性へメッセージ
私が活動している団体は、どこも女性の力が強いです(笑)。最近は「女性だからできないこと」よりも「女性だからこそできること」がよく見えるようになってきました。周りの女性たちを見ても、輝いている人が多く、勇気をもらっています。
そんな輝く女性になるための一番の近道は、‟何より自分が楽しむこと”なのかなと思います。忙しい毎日をお過ごしと思いますが、ぜひ誰よりも楽しんでください!
★好きな言葉★
座右の銘ではないのですが、ここ数年、毎年の抱負としている言葉です。
私は笑うことが好きです。笑うと楽しい!というシンプルな理由もあるのですが、「笑うこと」で心のもやもやや苛立ちなどもリセットされると感じています。「何かおもしろいことはないかな?」と、いつも探している気がします(笑)。一日一回はただ笑うだけでなくて、爆笑ができるような毎日を過ごすようにしています。
山口県岩国市地域おこし協力隊
「おのあやか」
岩国市地域おこし協力隊 https://www.facebook.com/1892lrand
地域の特産品を通して岩国市の魅力を伝えています。
いわくにまるごとasoviva!とは、「キョウのキオク、ミライのココロ」をテーマに子ども達のココロとキオクに残る時間を遊び(asobi)を通してつくりたい。岩国のまるごと全てが遊びのフィールド!いつもの風景や暮らしを、記憶に残る非日常な遊びの空間に!大人も子どもも一緒に遊び、岩国と人が繋がる未来へ続く場所づくりを目指す活動です。
岩国エリアの飲食店をテイクアウトで応援するプロジェクト!飲食店のテイクアウト料理の写真、お店情報に合わせて「#岩国エール飯」とハッシュタグをつけてSNSに投稿するだけ!お気に入りの飲食店のテイクアウト料理を岩国エリア民13万人で共有、応援することで、一緒にコロナウイルスの荒波を乗り越えましょう!(2020年6月リポスト終了)
2020年、パンデミックが起きた。当たり前だった日常がどんどん狭まり、断たれ、多くの人たちは不安や孤独感を抱えてしまった。こんな時だからこそ、同じように苦境にいる人たちと一緒に、何かポジティブなことをやりたい。他にはないようなとびきりのやつを、この岩国でいつか雑誌で見て憧れていただけのドライブインシアター。離れていても繋がれる。2020年を忘れがたい最高の夏に。