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乳がん検診を避けている人へ、もう1つの選択肢。痛くない乳がん検診『ドゥイブス・サーチ』

生涯で、日本女性の9人に1人が乳がんに罹患すると言われる現代※1。女性にとっては決して他人事にできない乳がんですが、早期発見できれば90%以上の人が治癒する病気でもあります※2。そのため、早期発見のための定期検診が重要とよく聞きますよね。

しかし実際は「検診に行かなきゃ」とは思っていても、マンモグラフィは痛いと聞いて怖くなったり、胸を見せるのが恥ずかしくて勇気がでなかったり……、なんて方もいるのではないでしょうか。今回は、そんな乳がん検診から足が遠のいてしまっている方に朗報ともいえる‟痛くない検診”があると聞き、株式会社ドゥイブス・サーチの高原太郎先生にお話しを伺いました。

※1国立がん研究センターがん情報サービスがん登録・統計サイト「最新がん統計」より

※2国立がん研究センター発表「全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2010-2012年診断症例)」ステージI、Ⅱの生存率より

痛くない乳がん検診『ドゥイブス・サーチ』開発者の高原太郎先生

日本の乳がん検診受診率は、約47%。先進国のなかでも低い理由とは


——現在、乳がん検診ではマンモグラフィやエコーが主流ですが、どのような課題があると感じていますか?

国では、40歳以上の女性に対してマンモグラフィの検査を2年に1度、無料で受けられるようにしています。これはとてもありがたいことですが、2つの課題があると感じています。

1つ目は、受診率がなかなか上がらないという現状です。日本の乳がん検診受診率は47%※で、様々な方の努力により近年上昇傾向にありますが、それでもOECD加盟国の7〜8割と比べると、まだかなり低い状況です。

※厚生労働省「国民生活基礎調査」より(2019年/40〜69歳の女性/過去2年間)

2つ目は、日本人に多いと言われる乳腺組織が多い高濃度乳房(デンスブレスト)の場合、がんが見えづらいという問題が解決していない点です。検出率が半分となるClass D(Class 4)の高濃度乳房は、最新のマンモ(トモシンセシス、3Dマンモ)でも解決できていません。また、ご自分が高濃度乳房かどうかを受診者が知らされないことも多いんです。

高濃度乳房は乳房全体が白く写ってしまうため、がんの発見が難しい。


——受診率は、そんなに差があるんですか!? 他国と比べて日本の受診率が上がらない理由は何なのでしょうか?

原因としてはやはり、「痛い」、「恥ずかしい」など、受診者の心身的負担が考えられます。技術者側からも、「検査中に痛みを感じている患者さまに対して、申し訳なく思いながら日々検査している」、という苦労話を聞きます。

マンモグラフィー検査を受けても、日本人は高濃度乳房が多いため、がんを見逃されやすいという難点をよくご存知の方のなかには、検査を受けても仕方がないと考えてしまう場合もあるようです。

超音波検査(エコー)を併用すれば高濃度乳房でもがんを発見できる率は高まりますが、日本では超音波検診を担当する技師の数が足りていないため、高濃度乳房をすべての受診者に通知することには慎重な意見があり、まだ通知する制度やきまりはありません。


服を着たままでOK。約15分で検査できる「無痛乳がん検診」


——マンモグラフィとエコー、それぞれが問題を抱えているんですね。胸を見せなければならないうえ痛みがともなうと聞くと、なかなか検診には行きたくないのが本音かもしれません。実は私も40歳になる前に一度検診しておきたいとは思うのですが、なかなか行けていないのが現状です(苦笑)。それで、「無痛MRI乳がん検診」に興味を持ちました。

無痛MRI乳がん検診「ドゥイブス・サーチ」は、私が考案して科学的評価を得ているドゥイブス法(DWIBS)※3を用いた乳がん検診です。ドゥイブス法とは、MRIで撮影できる拡張強調画像(DWI)を改良したもので、もともと全身のがんを見つける方法として使われていました。
※3 2021年10月現在において、原著論文は1100回以上もの引用がある(Google Scholar)[Takahara T et al. Radiation Medicine: 22(4), 275–282, 2004]

検診では、乳房を圧迫せず、着衣のまま検査を受けていただけます。検査は15分ほどで終わり、病院の滞在時間も1時間程度。X線を使用しないので被曝の心配がゼロで、造影剤も使わないため注射も不要です。また、マンモグラフィーで乳がんが見つかりにくい高濃度乳房での検出率も高いため、高濃度乳房で不安を抱えている方にもおすすめしたい検査法と言えます。


——服を着たまま検査ができるんですね! 見られないうえ、痛くもない。病院滞在時間が1時間ほどですむのも、忙しい女性にとって大きなメリットだと思います。

——がんの発見率はマンモグラフィやエコーと比べてどうなのでしょうか?

ドゥイブス法を用いた検査の陽性的中率(PPV)は現在20%程度です。厚生労働省が指標としてマンモグラフィに課している基準はPPV2.5%以上であることを考えると、従来検査の数値を遥かに超える成績だとわかってもらえると思います。


——痛くなく、恥ずかしくない、その上検査性能まで良いとなると、ぜひ受けたいですね。検査費用が気になります。デメリットはないのでしょうか?

価格は2万円程度と、他の検査に比べると高いと思われるかもしれません。でも、検査をした方には詳細な検査レポート「乳房マップ」をお渡ししています。これを見て、ご自分の乳房の状態をしっかり把握していただくことができます。

乳房マップ例

——「乳房マップ」いいですね。自分に乳がんのリスクがどのくらいあるのか把握できるのはとても嬉しいです。リスクが低そうなら、その後は2年に1度の検診を受ける、リスクが高いようなら、毎年検診を受けるなど、今後の検診予定も立てられそうです。



乳がん検診を受けられない人、躊躇している人の受け皿になりたい。


——先生が無痛MRI乳がん検診を開発したきっかけは何だったのでしょうか?

私は、小児科医として従事したのち、放射線科医になったのですが、若い頃は乳がんの研究をしていて、学位論文も実は乳がんでした。

放射線科医として2004年にドゥイブス法を開発し、その当時から乳がんの検出ができることの手応えは得ていました。その後オランダで、ドゥイブス法を用いた全身のがんを見つける技術について研究生活を送りました。

帰国後、乳がん検診の受診率がなかなか上がらないことを痛感し、ドゥイブス法ならばその悩みを解消できると確信し、事業化することにしました。もちろん乳がん用に改良は必要でしたけどね。


——無痛MRI乳がん検診を提供するまでに、壁となったものや大変だったことはありますか?

ドゥイブス法自体はがんの診断法として科学的に有効であることが証明されていますが、乳がんの検診に用いることに対しては、医学界でかなり否定的な意見が多くありました。

一般的には、拡散強調画像(DWI)の画質がとても悪いため、「そんな悪い画像で十分な診断ができるわけない」という医療関係者からの不信に悩みました。

DWIBS画像は装置のチューニングが重要

それでも開発した自分はこの技術が優れていることを知っていましたし、自分自身だけが分かる精度の高め方、精度の保持のしかたがありましたから、批判されても勇気を持って進めていきました。その結果、PPV(陽性反応適中度)約20%という、従来の検診を遥かに超える成績を、乳腺外科の先生が次々に発表してくださり、手応えを感じています。
しかし、成績自体よりも、いままでマンモグラフィを受けていなかった人を救えるようになったことが重要だと考えています。例えば、「痛い」、「恥ずかしい」と避けてきた方、豊胸手術をしている方、乳がんの術後の方、といった人たちです。現在、乳がん検診を受けている人は、全国で300万人弱(全体の47%ほど)です。何かしらの理由があって「受けていない残りの300万人」を救い上げる、それが重要だと考えています

そのため、本来検診が必要となる残りの300万人に検診の機会を届けていきたいです。


——無痛MRI乳がん検診はどんな人におすすめですか?

すべての人におすすめできますが、とくに重要なのは、症状(しこりや痛み)を感じるけど乳腺外科に行くのを躊躇する人、今まで検診をまったく受けてこなかった人、2年以上間隔が開いている人、豊胸術や乳がん術後の人、マンモが痛くて受けられない人(平素より乳房に痛みを感じる人)などです。

9人に1人が罹患する、今後はさらに増えることが予想される、という事実がある以上、がんをステージ1のうちに発見し、1ヵ月で元の生活に戻れるようになってほしい。そのためにも心理的ハードルの低い、痛みのない乳がん検診を提供していきます

マンモとDWIBSの見え方の違い

——無痛MRI乳がん検診は、どこで受けられますか?

2021年11月現在では、全国30ヵ所の病院で受けていただくことができます。お近くに受けられる病院があるかどうか、Webサイトから検索してみてください。

現在、無痛MRI乳がん検診が可能な病院は30、年間5000例程度ですが、今後300病院、受診数が年間30万例程度となれば、検診を受けていない残りの300万人の10%には届けられることとなります。まずはそこを目指していきたいと思います。


——多くの女性が無痛MRI乳がん検診をするようになれば、検査費用も少しずつ安くなるかもしれませんね!

そうですね。そのためには、検診が必要な多くの女性に「認知」してもらうことが重要だと感じています。理解が広まると、費用を補助してくれる会社が増えて、受診費が安価になると思います。将来的に自治体が補助してくれるようになると最高ですね。

またその一方で、MRI画像を正確に診断できる担い手を育てることも必要。現在後進の育成にも力をいれています。

——女性の社会進出が進んだこともあり、女性特有の健康に対する意識も高まっています。最後に、仕事に取り組む女性の健康について、アドバイスなどがあればお願いします。

女性は、自分のことよりも、周り(家族など)を優先して行動しがちだという印象があります。そのため、自分自身のことが後回しになってしまうことも。まずは自分自身に気づいていただくこと(アウェアネス)が必要だと思います

そして、家族や友人などの周りから、心身のケアを促す機会を作ってあげられると良いですね。たとえば、プレゼントとして痛くない検診を提供するのも方法の1つ。日常のなかに、自分のケアをしたり、検診をしたりといった機会を自然と持てると、より素敵な社会になるのではないでしょうか。無痛MRI乳がん検診が、その一助になれればと思っています。


★高原先生の好きな言葉★

・良いことがあったら、慢心せず、なにか慎重になるべきこと(落とし穴)があると考えてチェックする(自分の失敗経験から)。
・困ったことやつらいことがあったら、その後3倍ぐらい良いことが起きる前兆(神様が困難と解決を用意してくれている)なので、つらくても信じたことに対する努力を続ける(すぐにほかを探すのではなくて、その場でまずは全力を尽くす)。

無痛MIR乳がん検診「ドゥイブス・サーチ

痛みや恥ずかしさのない乳がん検診(世界初)。ドゥイブス(DWIBS)法®というMRI技術を用いる。乳房を圧迫せず着衣のまま検査可能な乳がん検診で、短時間(15分)で終わり、病院に1時間寄るだけでOK。X線を使用しないので被曝がなく、造影剤も使わないため注射も不要。乳がんが見つかりにくい高濃度乳房での検出率も高い。全国29施設で受診可能(2021年9月現在)。

株式会社ドゥイブス・サーチ
・お問い合わせ連絡先:
https://form.os7.biz/f/15cf0509/ 
・公式HP:https://www.dwibs-search.com



(テキスト:女子部JAPAN編集部 尾関)



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