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2回目のデートで男女の関係になった後、全く連絡が来ない。今後の発展はない……?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室97】


✳️今週のお悩み✳️

最近、気になる彼がいました。この人なら!と思い、2回目のデートで彼の家に遊びに行きました。結果、男女の関係を持ってしまいました。それ以降、毎日とっていた連絡もまったく来なくなり、少し寂しい気持ちに。自分でも家に行くのは早すぎたと後悔していますが、彼のことが頭から離れません。付き合ってもないのに男女の関係を持ってしまったら、今後の発展はないのでしょうか? こちらから連絡はしない方が良いのでしょうか?
(りー・23歳・東京都)


宇多丸:
だいぶ前に、「初めてのデートで家に誘われたけど、男性ってそういうことしか考えてないの?」って相談がありましたよね。

そのとき僕は、「でもじゃあ、昔の雑誌とかによく書いてあったみたく、“キスは3回目のデート”だの、”エッチは何回目以降”だの、律儀に“回数”守ってりゃ上手く行くっての? スタンプカードじゃないんだからさー!」と、そういう「回数主義」に異議を唱えさせていただきましたが。

ただ、女の子たちの現実問題として、今回のりーさんみたいなことがちょいちょい起こりがち、っていうのも事実ではあるんだよなぁ、残念ながら……。

こばなみ:
こういう話は、私の周りでもちょくちょく聞きますし、実は心当たりもあり……。

宇多丸:
なんて話を聞くと、スタンプカード制、やっぱあったほうがいいのかなぁ……とか、一瞬こっちも考えがグラついちゃいますけども。
いやいやいやいやいやでもやっぱ! 
前に言った通り、僕はこれ、家に行くとか、男女関係になるとかをどれだけ引っ張ろうが、結局は同じ結末だったんじゃないの?って思うけどな。

だって、一回ヤった途端に「毎日とっていた連絡も全く来なくなり」なんて、いくらなんでも露骨に態度変わりすぎだろ!って感じの人がさ、セックスまでの期間を多少長めに取ったところで、そんなにころっと都合よく、「誠実なパートナー候補」に変化なんかしてくれるもんですかねぇ?

まぁね、ひょーっとしたらだけど、それこそあっちはあっちで、りーさんと早めにそういう関係になっちゃったことを「チャラい男だって思われたかも?」みたく気に病んじゃってたり、あとこれは童貞に近い人にありがちだけど、デートや性行為などに重大な不首尾があったと勝手に思い込んで落ち込んでたり、そういう要は「単に彼が極度の気にしいで、一方的に気まずくなって連絡しづらくなっちゃってただけ」というような可能性も、ゼロではないけど……、ゼロではないけども!

普通に考えるとやっぱり、りーさんには厳しい言い方になっちゃうけど、「一回ヤってはみたけど、それ以上関係を続けたいと積極的に思うようなテンションにはならなかった」ってことじゃんよ、残念ながら。
で、それって、行為に至るまでちょっとばかり慎重になれば、好転するような話なの?ってことだよ。
同じバッド・エンディングを迎えるタイミングを、単に少しだけ遅らせてるってだけなんじゃないの?って気が、どうしてもしちゃうんだけどな~、僕は。

だいたいさ~、ちょっと早めにセックスしたからって、彼がホントに人のことを一方的に「軽い女」として見始めちゃうような男だったとしてだよ、そんなヤツをだましだまし「釣って」までお付き合いする価値なんて、そこまであるか~?

女性の皆さんに言っとくけど、もちろん強引に性行為に持ち込もうとするような男は犯罪者なので論外として、一線越えるのを多少待ってくれるからって、イコール「私を大事に思ってくれている」とか考えるのは、ほとんど当てにならないんで、ホントやめたほうがいいっすよ! 
ただヤるのが目的、みたいな人も、むしろ目的はハッキリしてるからこそ、「待つ」だけなら全然できる!
 でも、ひとたび目的達成!となれば……ってことだからさ。
男の本性は「ヤった後」に初めて出ると心得よ!

逆に、りーさんのことが本当に好きだったり、会ってみたら最高に相性がいい!って感じてくれてるような相手だったら、早めだろうがなんだろうが深い関係に到達できたことを単純に喜んで、それを継続していきたいって思うはずじゃないのかなぁ……。
少なくとも自分に置き換えると、絶対そうだと思うんだけど。

だからやっぱさ、スタンプカード制なんか時間の無駄遣いだよ! 
むしろ「コイツじゃないわ」ってのが早めにジャッジできてお互い良かったじゃん、って考えようよ、とりあえず今は。
そいつはもともとハズレだったの!

まぁ、今はもっぱらりーさん側の視点から話をしてるから、どうしても彼を悪者っぽく扱っちゃいがちだけど……、別にこの彼も、自分が本当に好きになれたり、合う!って感じられる相手をフリーな立場で探し中、ってこと自体が「悪い」わけじゃないだろうとも思うんですよね。
もちろん、りーさんが悪いわけでもない。
試してみたけど、ダメだった。少なくとも両者一致して「バッチリじゃん! 今後もよろしく!」とは、残念ながらならなかった。それだけのことですよ!

りーさんに関してあえて言えば、今回を教訓に、今後は最初の「気になる彼」選びの精度をもうちょい上げることができるようならベストだけどね、くらいの話じゃないですか? 
さっさと次行こう、次!

こばなみ:
なるほど。そう考えると、後々のためにはこの時点でわかってよかったってのは納得できます。でもねぇ、どうしても女子からすると、ヤッたってこと はあなただってそれなりに好きだったからでしょ!とは思ってしまい、希望といいますか、未練といいますか、なかなかスパッとはいけないものなのですよ……。
実はですね……、私この相談と似た体験をついこの冬にいたしまして……。
8回くらい会ってたんですけど、そっからパタリと連絡がなくなってしまい、いろいろ恋愛コラムも読んだんですけどね。

お恥ずかしながら、占いなんかも相当読んだのですが、だいたいはすぐ連絡するなだの、距離を取れだの、相手の趣味を学べだの、自分の魅力的な部分をそれとなく語れだの、メールはこう返せ、などいろいろと作戦が書いてありまして。最後には何のために読んでるのか、よくわからなくなってしまいました。

宇多丸:
生々しいエピソードだなぁ……。

こばなみ:
突然、すみません。で、結局はどうしたかっていうと、1~2ヶ月くらい、恋愛コラムの類似例を読んだりして、もしかしたら忙しいから連絡がないのかもとか、都合のいいように考えながら、もやもやもやもやしてましたけど、つまるところ連絡よこすほど好かれてなかったわけですよ。

うすうすわかりかけてたけど、あのとき楽しそうだったとか、この人がそんなことするわけはないとか、いいように考えて……。だがしかし、実際問題連絡がない。
で、いい加減、連絡がないのは好かれてないんだ~と腑に落ちました。ガーン!

だけどもこの連載でもよく出てきますが「好き」と思えたのは本当なので、感謝の気持ちも含め、20年ぶりくらいにロングロングラブレターを書いてみました。もうどう思われてもいいやって。
で、送信!

宇多丸:
頑張ったね~。返事きたの?

こばなみ:
「りょーかい」「ありがとう」って。
で、これまたこのリアクションで「私のこと好きじゃなかったんだ」ということがハッキリしましたね~。残念。
でも、とことんやって、納得できたわけですよ。

だからりーさんの「頭から離れません」って気持ち、わかるんですけど、現実を見つめるのも大切っていいますか。そのほうが次にいけるかな、と。

宇多丸:
そうだね。
僕がさんざん疑問を呈してきた「早めに関係を持ってしまうと、上手く行かない」って考え方も、実は、上手く行かなかった理由を「早めに関係を持ってしまった“から”だ」というところにすり替えることで、「上手く行った可能性」を夢見ようと、つまり「単に自分がフラれただけ」というミもフタもなさすぎる現実から必死で目を背けようと、防衛本能的にしてるのかもしれないですね。

ま、そうやって自己欺瞞してでも、傷ついた心を守るのが必要なときも、やっぱあるよね……。
でも、そのせいでズルズル脈もない相手への未練を引きずってしまってるんだったら、ねぇ。

こばなみ:
わたしもおそらく、このままだらだら引き延ばして、仮にまた会ってヤッホー!とかもできたのかもしれないけど、遅かれ早かれ、先方に気持ちがない限りはダメだったということがわかったんだと思います。身を以て体験した2015冬!

あとですね、女友達って心配してくれるからこその助言なんですけど、雑誌の恋愛コラムとかと似ていて、やっぱり「作戦」を考えるんですよ。いま連絡すべきじゃないとか。
でも結局、どんなやり方でも好きか好きじゃないかは「作戦」ではひっくり返らないんじゃないかな、と途中で思いました。

宇多丸:
りーさんもまさに、「こちらから連絡はしない方が良いのでしょうか?」なんてことを書かれてますけど。
仮にそういう心理テクニックで、彼のこちらへの興味を復活させたり少々持続させることができたとしても、そんなの超一時的なものでしょ。それはホントの「好き」とは違うと思うよ!

こばなみ:
恋愛コラムとかって、本当にそんなんばっかり書いてありますよね。

宇多丸:
相手を「操作」しようっていう術ばっかりだよね。ロクな了見じゃないよ。
百歩譲って、それが功を奏したようにいっときは見えたとしても、そんなのは本当の気持ちと関係ないので、いずれにせよ長続きしませんよ。

で、同性の友達への相談はまた別でさ、そうやってキャッキャキャッキャ、女同士で男どもの悪口言いながら、「我が軍vs敵軍の決戦!」に備えた作戦会議するのが楽しかったりするわけじゃん? 
それはそれで全然いいんですよ、ストレス発散の仕方としては。

ただ、ホントはさ……、恋愛相手って、「敵」じゃないはずだよね。
少なくとも、相手を「敵」扱いしてるような関係で、お互い幸せになれるわけがないんじゃないの、と僕は思うんですが。

もちろん、女の人が疑心暗鬼になるのも当たり前だとは思うんです。
やっぱり現実として、まだまだ性差別的な意識がものすごく支配的な社会、っていうのがまずあるわけだし、そのなかで女性は、ちょっと気を抜くとあっと言う間に、文字通り性的に搾取される立場にも堕ちてしまいがち、というのも間違いなく事実なので、そりゃ防衛的なスタンスにもなるわ!っていうのは、すっごくわかる。

でもさ、だからってそういう風に、要は「ヤらせたら負け」とか「ヤったんだから責任取れ」みたいな、セックスというものを男に対する「貸し」とか「釣り餌」のように捉える考え方ばっかりしてると……、それこそ「喰い逃げ男」との駆け引きばっかり上手くなるだけで、結局どの道あんまりハッピーなことにはならないんじゃないの?って僕は思っちゃう。

本来は、大の大人が合意の上で選択した行為なんだから、お互い立場はイーブンでフラットなはずなんだけど……、かなり前、上司と不倫しちゃったっていう相談文の中の「上手く言い寄られて」って表現に、責任転嫁のズルい匂いがする!って指摘したことがありましたけど、なんかそういう、被害者意識みたいなものがどうしても入ってきちゃいがちですよね、女の人の場合。

こばなみ:
「関係を持ってしまいました」じゃないんですよね、きっと。「関係を持った」と、あくまでも自分の意志でヤったって思ったほうがいいかなって。
友達(先輩)がね、「抱かれたじゃなく抱いた」と思え!と、こういう場合によく言ってたんですけど、本当にそうで、意志があっての関係性だったと思った方が自分のためにもいいじゃないですか!

宇多丸:
さっきも言ったように、そうやって自分は性的に搾取される側だと多くの女の人が感じがちなのにも、ちゃんと妥当性があるとは思うけど……、そういう言ってみれば社会全体の問題を、目の前の男性個人に一般化して投影しすぎると、つまり「あいつらみんな敵だ!」と思ってばかりいると、せっかくの信頼できる味方=パートナー候補まで、見逃しちゃったりしかねないんじゃない?とはホント思います。

「そんな男、どこにいるっていうんだよ! キレイごとばっか言ってんじゃねぇよ!」って声もあるかもしれないけど……、それにしたってやっぱり、釣った釣られたの駆け引きが結局不毛だってことには変わりないと思うなぁ。
で、その象徴がしつこいようだけどスタンプカード制ですよ!

こばなみ:
ということで、最後にりーさんの「こちらから連絡はしない方が良いのでしょうか?」という問いに答えるならば……、彼のことが頭から離れなくて、まだ本当に好きなのだったら、おそらく発展はないと思うけど、ラブレターを送ることをオススメします。

宇多丸:
そう、直球勝負が一番! 
さっきのこばなみのケース同様、そのリアクションのテンションで、彼の気持ちや人柄も改めてはっきりわかるでしょうからね。
そのへんをしっかり見極めて、踏ん切りをつけるためにも、ぜひ!

とにかくりーさんだって、一度は「この人なら!」とまで思って、つまり「ヤることになっちゃうかもしれないけど、それでもいい」って覚悟を固めて、彼の家に行ってるわけでしょ。
その結果として、ちょっと傷つくことにはなってしまったかもしれないけど、それ含めてほかの誰でもない自分がした選択と、それによって得た経験なんですから。胸張って引き受けろ!

いつも言ってるけど、みんなそうやって「授業料」払いながら、少しずつ成長してくしかないんだからさ……。ユーミンも、「傷ついた日々は 彼に出逢うための そうよ運命が 用意してくれた大切なレッスン」って歌ってますよ。
もっとバッチリな相手、他に絶対にいるって!

こばなみ:
付き合わなくてラッキーって思える日が、きっと来ますよ。私もそう信じております!


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年5月23日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
こちら


女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。



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