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仕事で怒られると泣いてしまうからか先輩に嫌われ……。どうすれば強く生きられる?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室104】


✳️今週のお悩み✳️
社会人3年目ですが、すぐに泣いてしまうクセを直したいです。私はAさんという女性先輩社員から嫌われているのか、挨拶をしても反応してもらえず、仕事のことで話しかけても、素っ気ない態度をとられます。以前、少しミスをしたときに、こっぴどく叱られ、耐えきれずに人目のないところで泣いてしまいました。その後、目が腫れているのを気づかれてか、他の先輩Bさんに「泣いても何も解決しない、涙は女の武器なんかじゃない」と言われてしまいました。私はAさんから、ほぼ無視をされている状況も悲しいのですが、自分の仕事のできなさにも悲しくなり、泣いてしまったのだと思います。泣いても何も解決しないのはわかっていますが、辛いことがあると、すぐに泣いてしまいます。もちろん人前では泣かないようにしています。Bさんに、女の武器だ、と思われていることも悲しく思ってしまいます。そんなつもりで泣いているわけではないのに……。叱られることに慣れていないわけではありませんが、最近はAさんのことを避けるようになってしまいました。私はこれからどうすれば強く生きられるでしょうか。
(ちび・26歳・福島県)


宇多丸:
こばなみは職場で泣いちゃったりしたことある?

こばなみ:
そりゃ、悔しかったり、力不足だったりで、今でも泣きたくなることはありますよ。ときには目がうるっとしちゃったり。でもこらえてますね。新人時代は思わずぐしゃーっと涙が出ちゃったりしたことも。でも、泣き方が汚くて、笑われて終わったり、そういう日もありました。

宇多丸:
場が和むほど汚い泣き顔って、どんだけ~?(笑)

こばなみ:
それは3枚目のキャラ得だったのかもしれないです。てへへ。
今回、女子部員さんからもいろいろとご意見もいただいてますよ。

Q.あなたは職場で泣いたことはありますか? また、泣いている女子に対してどう思いますか?

「怒られて泣いたことはある。泣きたくないのに涙が勝手に出てきて非常に不本意だった。泣いてる女子はかわいければいいけど(感動したとか美しい涙ならいいけど)、それ以外は見ていてあまり気持ちのいいものじゃない!?」(夜桜・20代)

「新人の頃は怒られて泣いてました。怒られるのはまだ成長できるから。成長して欲しいから怒る。怒るほうもとてもしんどいことだということが経験してわかりました。怒るからには責任がかかってくるから。泣いてる子にはそのように伝えてきました。何も思わない人には怒りもしない。怒るのは頑張って欲しいからこそ怒るんだ、ってことを。後はその子のフォローをちゃんとします」(ユミ・40代)

「泣いた事はあります(遠い昔、若い頃)。言葉が上手く出ずに泣いてしまうのをやめるのは訓練ですね(笑)。泣けばいいと思っている女子はすぐわかるので放置です」(hayano・40代)

宇多丸:
まぁ僕だって、さすがに今はもうおっさんですから人前で泣くってことはまずないですけど、それでももちろん、泣きたくなるときっていうのが完全になくなるわけじゃない。

当然ご存じの方も多いでしょうけど、宇多田ヒカルの『time will tell』っていう曲の有名な歌い出しに、まさに「泣いたって 何も変わらないって言われるけど 誰だって そんなつもりで泣くんじゃないよね」っていうのがありまして。
この曲書いた頃、宇多田さんまだ15歳やそこらだからね! その年齢で、どんだけ人生に対する洞察力があればこんな歌詞が書けるんだ?って、90年代末当時仰天したのをよくおぼえてますけど。

とにかく、特に仕事上では「泣いても何も解決しない」というのがグゥの音も出ない正論だというのは百も承知の上で、それでもなお、どうしてもこらえきれず涙が出てきてしまうときがある、っていうのもまぁ、人間だから仕方ないとも言える。

たださぁ……、ちびさんの場合、ひょっとしたらだけど、本人は無論そんなつもりじゃなくても、周囲からはいつの間にか、「泣けば済むと思ってる人」みたいに見えちゃってる可能性は、残念ながらあると思うな。

Aさんの対応がしょっぱくなっていった原因はわからないけども、文面から推察するに、自覚してらっしゃる通り、恐らくはちびさんの「仕事のできなさ」に対す るイラッ!というのがまずあって、なのにちびさん側はウジウジするばかりで進歩の兆しが一向に見られない、というのにさらにイライラッ!っていう、負の評価サイクルに入っちゃってるんじゃないかな。

今回泣いてしまうきっかけになった叱責だって、そもそもはちびさんのミスに対するものなんだからさ。
たとえ言い方がキツすぎたり、悪意がこもっているように聞こえたとしても、そして、それでつい悔し涙があふれてきてしまったとしても、それはそれとして、まずは自らの落ち度に対しても素直に反省して、「同じミスを繰り返さないよう、これからはこうしてきますっ!」とか、今後の糧にしていく姿勢を見せるべきことでもあると思うんですよね。

なのに、少なくともこの相談文は、「Aさんに辛く当たられている」ということを嘆いているばかりで、そういう前向きな対処をしていこうという気概が、まったく感じられないじゃん?
 だから、Bさんの「涙を女の武器的に使うな」発言も、まさにそういう「メソメソするだけで終わっちゃう」パターンが、結構毎度のことだからなんじゃないの?って気が、ちょっとしてしまうんですよね。

こばなみ:
こうやったほうがいい、こうしなきゃダメじゃんっていう先輩としての意見に対して泣いてるのだとしたら、先輩も身も蓋もないといいますか。「ええー!? マジ泣くの? じゃ、もう放っておこう」って思っちゃって、素っ気ない態度をとってしまっているのだったら、私もAさんの気持ち、ちょっとわかる。

宇多丸:
さっきも言ったように、大の大人に対して別に推奨もしないけども、やむにやまれず泣いちゃうようなときがあるのはまぁ、仕方ない。
ちびさんも、一応は人前で泣かないようにしていたり、別に「泣けば済むと思ってる」わけじゃまったくないのはわかります。
でも、いつもそこで、凹んだまま終わっちゃってるのも事実じゃないですか? そのへん、ご自分でもちょっと客観的に考えてみてほしい。

「どうすれば強く生きられるでしょうか」ってことですけど、じゃあ単にちびさんが「泣かない人」になればいいのかっていうと、そういうことでもないわけでしょう。
言っちゃえば、相変わらず泣き虫だっていいんですよ。そのぶん、前に進む努力をするんだったら。
ミスして怒られて泣いても、その後は同じミスをしないよう、ちゃんと努力や工夫を重ねる。
で、別の件でまたミスして怒られて泣く。そして、またまたそれをきっちりその後の糧にしていく。
その繰り返しに耐えて少しずつでも成長していくことこそが、「強く生きる」ってことなんじゃないの? 
ホント、ただただ真っ当なだけのこと言ってて申し訳ないですけど……、でも、実際そうしてくしかないんだもん!

だからちびさんも、まずは普通に、ミスをしないよう努力するところから始めようよ。
今はまぁ、失礼ながら本当に「仕事ができない人」なのかもしれないけどさ、前の「私は仕事ができません。わかってもらうにはどうすれば……?」って相談でも答えた通り、最初からなんでも「できる」人なんていなくて、「できるようになった」人がいるだけだから!
 むしろ、自分の「できなさ」を自覚するのって、「できる」への第一歩だったりしますから。
一番厄介なのは、自分では「できてる」つもりで全然「できてない」ヤツなので……、その意味でちびさんはまだマシですよ。

いずれにしても、「泣くかどうか」はあんまり本質じゃないってことですよ。
今みたくそこに気を取られるあまり余計にウジウジしちゃうくらいなら、いっそ気にせずガンガン泣いて、そのぶんガンガン取り返してく!みたいなスタイルになってったほうがいいんじゃない?

むしろ、「ちびさんが泣くとパワーアップする!」くらいのさ。
要は、『噂の刑事トミーとマツ』みたいになってけばいいんですよ!

こばなみ:
古いっ!
 ちびさんは歳から考えても知らないでしょうよ(笑)。
でもあのドラマ、私は好きでした。

補足)『噂の刑事トミーとマツ』は1979年から1982年に放送されたアクションコメディドラマ。ちなみにトミーは国広富之、マツは松崎しげるが演じている。詳しくはこちら

宇多丸:
国広富之演じる普段は気の弱いトミーが、松崎しげる演じる相棒のマツに「お前なんか男じゃない、オトコオンナのトミコーッ!」って言われると、耳がピクピク動いていきなり超強くなるっていう……、こうやって説明していてもわかってもらえる気が全然しない、完全にどうかしてる設定でね(笑)。

まぁとにかくそんな感じの、「泣き虫チビコ」になってけばいいんじゃないでしょうか。
怒られて泣くたびにバージョンアップしてってやる!くらいの気持ちでいてくださいよ。
先輩からすると、それって、叱ったぶんだけその後きっちり進歩する、叱りがいのある後輩ってことだからさ。

こばなみ:
怒られてもへっちゃら~、なんていう人もいるけど、そうじゃないですもんね。

宇多丸:
そうそう。叱られても「気に病まない」くらいならいいけど、ホントにまったく「気にしない」ヤツは、それはそれで大問題だよ!

で、そうやって順当に努力を重ねていって、泣くほど叱られるようなミスがだんだん減っていくようになれば、きっとAさんも、少なくともその進歩は認めて、多少は態度を軟化させてくれるんじゃないかな。
ひょっとしたら、「アンタ、最初はホントにダメダメで、私も正直ずっとイライラしてたけど(笑)、あれからずいぶん頑張ったね!」とかって認めてくれる、最高に嬉しい瞬間が訪れるかもしれないし。
それって、ある意味理想的な先輩後輩関係じゃない?

逆に、はっきり結果も出してるのにAさんの態度がまったく変わらないようなら、それはもうちびさんの責任でもなんでもない、単にAさんの性格の問題なんだから、気にせず胸張ってりゃ良し! 
きっと、Bさんみたいな先輩はそこも含めてちゃんと見ててくれるはずだからさ。

やっぱり、どんなときも腐っちゃダメ、ってことなんだと思います。
頑張ってね、この、泣き虫チビコーッ!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年7月11日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。



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