息子の友達と恋に落ちてしまった私。こんな母親、許されない?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室86】
✳️今週のお悩み✳️
家庭内別居約5年、昨年離婚しました。子供が2人居ます。高校1年の息子とは仲も良くいつも可愛がってくれる先輩などたまにお礼もかねてお家に呼んでご飯を一緒に食べたりしてました。そのうちの1人が仕事で遠くに行ってるのですがお正月に帰って来ていたので皆で新年会をしました。その日皆はそれぞれに帰り(息子は父親の家に残っているので自宅に帰ります)そのうちの1人だけ途中寝てしまいそのまま寝かせてあげることに。私は母親感覚ですね。毛布をかけてあげそのまま私も寝ました。翌日お昼まで寝ている彼も目覚めるのですがまた、ゴロゴロ……、合間で2人でお喋りしてそして夜に帰ったのですが、その後からLINEでのやり取りが始まり、母性本能というか、その彼の仕事への意気込みや色々話した時に1人の男の人として応援してあげたい感情が出てきました(一切身体などの関係はありません)。そんな中でのLINEのやり取りで彼から迎えに行くので帰りを待ってて欲しいと。仕事の修行として遠くに行っている為、一人前になり帰ってくるのはいつになるかわかりません。長期連休なとで一時帰省はあるかもしれませんが……、42歳の私。彼は22歳。あまりにも離れた年の差。彼は、歳など関係ないし、お正月も会いたいから行ったと言って私の全てを受け入れると。息子の先輩という繋がりが……、この先息子との関係、息子を傷つける結果になると……、でも、私も彼を信じて待っていようと思っています。こんな母親……、許されないですよね。
(yucca・42歳)
宇多丸:
ポエティックな調子なのでちょっとわかりにくいけど、息子さんの先輩、つってもほぼ同年代の友達みたいな人たちのなかのひとりと、お母さんであるyuccaさんが恋に落ちちゃった、ってことだよね?
こんなこと、ホントにあるんだね……!
こばなみ:
宇多丸さん、前にもちょっと会話に出ましたが、今回はついにリアル・ペタジーニがきましたよ!
注)ペタジーニ_ベネズエラ出身の元プロ野球選手。日本ではヤクルトスワローズなどで活躍。24~5歳年上と言われる妻は、もともとは友達のお母さんだった。
宇多丸:
ホントホント、まさかの類似ケースだよね。
でもさぁ、そのペタジーニのときも、要はものすごーく珍しい、言っちゃえば「普通じゃない」関係として報道とかされてたわけだけどさ、こうしてyuccaさんの話とかも聞くと、意外と世の中にはよくあることなのかもしれない、って気もしてくるよね。 これ、こばなみ的にはヒューヒュー? それともドン引き?
こばなみ:
完全にヒューヒューですよ! こんな素敵な出来事、そうそうないですよ。それに年の差があるから好きになったというより、たまたま好き!と思った相手の年が離れてたってことですもんね。
宇多丸:
それに、単にyuccaさんが若い男の子にときめいちゃってるってわけじゃなくて、「迎えに行くので帰りを待ってて欲しい」「歳など関係ないし、お正月も会いたいから行った」「全てを受け入れる」とまで言ってるんだから、彼のほうもはっきりこっちに気持ちがある、相思相愛だってこともわかってるんだもんね。ヒューヒュー!
ちなみに「仕事の修行」って、彼、職人さんかなんかってことですかね。
しっかしこれ、今のところはまだプラトニックな関係に留まってるぶん、逆に濃密ないやらしさを感じるよな~。 とくに「翌日お昼まで寝ている彼も目覚めるのですがまた、ゴロゴロ……、合間で2人でお喋りして」のくだり。ゴロゴロしながら、どんな空気が二人の間には漂っていたんだ~!?
こばなみ:
ドキドキしてきました。で、相談についてですが、息子さんを傷つけるかもってことですが……。
宇多丸:
まぁびっくりは間違いなくするだろうけどね。
でもどうかな、どんなに最初は驚愕したような話でもさ、そのうち慣れてきちゃうっていうか、いつの間にか「そういうもんだ」ってことになってくもんじゃない? 5年も経てばもう、大抵のことは、「そう言えばあの頃は大騒ぎだったなぁ……、今はそれがデフォルトだけど」って感じになってるもんでしょ。
こばなみ:
そうですね。私も同僚同士が密かに付き合ってたのを知ったときは、びっくりたまげましたけど、結婚した今は、もう普通のことになったというか。たしかに慣れますね。
宇多丸:
それに、離婚したり旦那と死別したりで独身になっちゃったお母さんを持つ息子さんって、僕のまわりにもちょいちょいいますけど、みんな「誰かいい人が見つかればいいんだけどね」って言ってますよ。
パートナーが20歳も年下なら、老後の世話も心配ないし!
だから、さっきこばなみも言ったようにたまたまその相手が息子の先輩だったというだけで、むしろ人柄とかに関しては息子さんも当然信頼してる人なんでしょうから、逆に安心なくらいじゃない? 自分との相性も何もわからない知らないおじさんがいきなり「新しいお父さんです」なんてやってくるより、ずっとすんなり家族として受け容れやすかったりするかもよ。
よく考えてみれば、息子さん高1で先輩22歳、6歳くらいは上なんだから、息子さんから見れば十分に「大人」カテゴリーの人だったりもするのかもしれないしさ。若いときほど年上って大人に見えるもんだし、息子さんとの関係をそこまで気に病むこともないのかもしれないですよ。
なんにしても、結局のところ息子は息子、yuccaさんはyuccaさんなんだから。 自分が理由で大事な人生の選択を断念したなんてことになったら、そのほうがよっぽど息子さん、嫌なんじゃないかなぁ。「オレのせいにすんなよ!」って。 なので、一対一の人間として、ちゃんと話をしてあげればいいだけのことですよ。息子さんだっていつかは独立した大人にならなきゃならないんだからさ。
ただまぁ今はたぶん、何よりご本人が、この関係の「普通じゃなさ」にドラマティックに盛り上がってるのかもしれないけどね……、「こんな母親、許されないですよね……」って。 それはそれで全然悪いことじゃないよ!
こばなみ:
あと、「信じて待っていようと思っています」ってありますけど、こんなこと言ったら悪いですけども、先のことはわかりませんしね。彼だけじゃなく、yuccaさんにだって、他にも出会いがあるかもしれないし。
宇多丸:
どっちにしろ現状、彼を待ってるぶんには、な~んの問題もないわけだからさ。
今はその「こんな恋……、許されないわ♡」ってテンションで、密かにドキドキする楽しい毎日を満喫すればいいんじゃない?
たぶん、一生で一番こころときめく数年間になるよ!
こばなみ:
その間に会えなくて辛い~!とかって、胸が締め付けられたりもするんでしょうね。いや~ん、恋だわ!
宇多丸:
いつやっちゃうのかな?
こばなみ:
早くてGWじゃないですか!
宇多丸:
や~ら~し~い~!
ちょっと意地悪なことを言えば、これ、実際に彼と付き合ったり、結婚までしたとしたら、後はもうただただ「リアルな」生活が待ってるだけですからね。ここまでロマンティックに盛り上がれるのは、ホントに今だけだと思いますよ。
映画『卒業』の、あの有名なクライマックスからラストシーンの流れみたいなもんでさ。結婚式の最中に花嫁強奪!というのはたしかに、世間的には「正しくない」行為だからこそ、二人の関係としては最高潮に盛り上がる瞬間なわけだけど、その高揚感が永遠に続くはずもなく……というね。
いずれにしたって言えるのは、波風が立ちようもないような何もない人生よりは、こういう風に「何かある」人生のほうが、やっぱり豊かなんじゃないの、ってことですよ。 この恋が順調に成就すれば、もちろんそれはそれで結構だし、もし仮に成就しなかったとしても、こういう恋ができたってこと自体がもう、yuccaさんの人生にとって、プラス以外の何ものでもない。
前にも言ったけど、成就しなかった恋こそ、「美しい思い出として、宝箱からたまに取り出してはネプネプと舐める」愉しみに変わるってこともありますからね!
いまどきはどうしても好きな人が出来なくて困ってるなんて人も大勢いるなか、ここまで劇的で、しかもばっちり相思相愛!な関係を見つけることができたyuccaさんは、相当ラッキーな人だと思いますよ、マジで。
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年3月7日に公開したものを再編集し、掲載しています。