好きなものが見つからない。この先、一生懸命になれるものは見つかるでしょうか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室262】
✳️今週のお悩み✳️
本当に好きなものが見つかりません。小さい頃からどちらかと言えば要領がいい方で、勉強も部活も習い事も、だいたい何をやっても平均より上くらいでした。そのせいか、あれもこれも手を出してみては全て中途半端で、突き詰めたい!と思うほど熱中することができません。高校時代に私よりも下手だった部活の友達は、大学でもサークルで続けて私よりずっと上手くなりました。文法めちゃくちゃだけど英会話が大好きだった友達は、留学に行ってペラペラになって帰ってきました。この先、一生懸命になれるくらい好きなものは見つかるでしょうか? 心の中で誰かを見下してるうちに一生が終わってしまいそうで怖いです。
(マサキ・21歳・大学生・東京都)
宇多丸:
いつも言ってるけど、「本当に好きなもの」が強固にあるような人は、それだけですでに、人生おおむね救われてるようなもの、というのは確実にある。
ただ、だからって、「じゃあ逆に言えば、好きなものがないヤツは救われないんだ!」みたいに、短絡的にキリキリ思いつめるような考え方をしたりするのも、なんか違うよね。
あくまで、「あればあるに越したことはないが」くらいに考えておけばいいことだと思います。
でもって、マサキさんは21歳、大学生。 ぶっちゃけ、まだまだこれからもいいとこな年齢であり立場なので、単に今まで見てきた世界が狭すぎるからでしょ、というバッサリ回答もできてはしまう。
ひとつ気になることがあるとしたら、なぜかやたらと「得手/不得手」の話に結びつけているところですかね。 もちろん「得意だから好きになった」という動機はよく理解できるものだし、なまじなんでもそこそこうまくこなせるだけに器用貧乏で終わっちゃう、という人がいるのもわかるけど……、とはいえやっぱり、「なにかを好きになる」って、それだけが条件じゃないだろう、とは言いたくなる。
恋愛で言えば、「さしあたって簡単に落とせそうな相手とばっかりデート~いざ落とせたら飽きる、を繰り返してるうちに、気づいたらちゃんとした恋愛経験がないままここまで来ちゃって焦ってる」、みたいな感じかな……、失礼なたとえで申し訳ないけども(笑)。 ならばやっぱり、まずは自分から好きになれる誰かと出会うこと、なわけだけど、それも結局は、「ご縁」次第ではあるからねぇ。
なんにしても、これまでは見てる山が低すぎた、というのはあるよな。 ちょっと丘に登っただけで、登山家気取りかよ!みたいな(笑)
こばなみ:
見てる山が低すぎるなら、難しいことをやったらいいんじゃないですかね?
宇多丸:
でも、単にハードルが高いってだけで根本のモチベーションがなかったら、続かないんじゃないですかね、やっぱり。
まぁでもマサキさんの場合、今はとにかく、もっと見聞を広げるというのが先決だろうな。 今んところはまだ、単に見てる世界が狭すぎるし、目線も低すぎる。
じゃあ、てっとり早く見聞を広げるにはどうしたらいいかというと……。
こばなみ:
宇多丸さんの番組を聴いたらいいんじゃないですか?(笑)
宇多丸:
たしかに!
アトロクのバックナンバーをたどってみれば、なんかしら引っかかるもの、あるはずだと思いますけどねぇ。
あとさ、前に番組のゲストに来ていただいたバックギャモン世界チャンピオンの矢澤亜希子さんという方は、年に1つ、なにか新しいものに挑戦して、極めてゆく、というのをご自分に課していて、それでバックギャモンにも出会ったとおっしゃってましたね。
こばなみ:
番組で見つけたものを月に1つチャレンジしてみるとかでもいいですね。
宇多丸:
それでもピンとくるものがないようなら……、あとはもうあれですよ、スカイダイビングでも極めればいいんじゃないですか?
こばなみ:
出た! スカイダイビング!!
だってさ、まずスカイダイビングを一度でもやったことがあるっていう人自体、かなり限られるわけじゃん? やるだけでもう、人から一歩抜きんでることができるんですよ! それをさらに、ある程度習熟するところまで持ってったなら……、「趣味とかなんにもないつまんないヤツなんですけど、まぁスカイダイビングくらいですかねぇ、人より多少やってるとしたら……」なんつったらさ、どこの酒場でも、即人気者ですよ!
こばなみ:
珍しいものがいいかもですね。
参考になるか分かりませんが、わたくし今、餃子を皮から作るのにハマっておりまして。料理が上手じゃないので、普通の料理はもう諦めて、珍しいところを極めようかと始めまして。
宇多丸:
料理いいじゃん!
食えるし(笑)。
こばなみみたいな一点突破系もいいし、正攻法でどっか有名な料理教室に通ってみる、みたいなことでもいいし。
料理はさ、とりあえずやればやったぶん、最低限でも「食っておいしい」っていう見返りがあるわけじゃん。 努力が比較的無駄にならないというかさ。頑張り甲斐があるんじゃないのかな。
なおかつ、作ってふるまえば、友達とか家族とか彼氏とかにも喜ばれる!
こばなみ:
そこまでお金もかからないですしね。
宇多丸:
要はホント、部活だのサークルだの、見てる山が低すぎんのよ。
ま、まだ21歳なんだし、あれこれ手を出しては、あれもダメだったこれもダメだったって、ちょいちょい乗り換えてくのも全然アリだしね。 今はとにかく、数打つべきとき!
僕なんかホントね、アトロクやってると、世の中に楽しいこと面白いものがあふれすぎてて、ちょっと困る!ってくらいなんだけど。 つまんねぇとか言ってるやつはただ怠惰か極度の情弱なだけでしょ、って思うよ。
ちなみに僕、餃子つつむのマジうまいんですよ!
こばなみ:
そしたらほんと、皮から作ってみてください。美味しさが全然ちがいますから。
宇多丸:
そういう一点突破方向の食べものの趣味で言うと、そば打ちとか、燻製とかっていう手もあるよね。
まぁいろいろトライしてみたらいいよ。 そしたら、そのなかにいつかはきっと、「特に自分に向いている」と実感できるなにかが見つかるはずだから。世界の広さナメんな!
こばなみ:
ぜひ、事後報告くださいませ。
そうだ! あと女子部JAPAN(・v・)でも初めてのことや難しいことをみんなで一緒にやってみるというイベントがあるので、ぜひ遊びにきてくださいYO!!
いまはパラスポーツの「ボッチャ」にハマっていますよ!
来週、体験会もありますのでよろしければぜひー!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年12月15日に公開したものを再編集し、掲載しています。