付き合って3カ月、一緒にいたがる彼とひとりの時間も楽しみたい私。気持ちの熱量が合いません……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室189】
✳️今週のお悩み✳️
こんにちは。いつも楽しく読ませていただいています! 私の悩みを聞いてください! 付き合って3カ月の彼がいるのですが、熱量が合わないといいますか……。好きじゃない、というわけではないのですが、私は友だちとも遊びたいし、仕事もがんばりたいし、習い事(ヨガ)にも行きたいので、もっと無理せず彼と付き合いたいのですが、彼はものすごく一緒にいたいみたいで、いろいろな誘いをしてきます。束縛とかはないので、嫌だとかそういう気持ちはないのですが、断るときに申し訳ない気持ちにはなります。もっと各自のこともやりながら一緒にいるときは楽しみたい、というのが私の希望なのですが、そのままストレートに伝えて大丈夫でしょうか。彼は5つ年上で、友だちの紹介で知り合い、とてもやさしい人ではあります。
(ゆかっぺ・東京都・34歳)
宇多丸:
これってけっこう、どっちの立場的にも、あるあるなお悩みじゃない?
こばなみはこういう気持ち、わかります? どっち側でもいいんだけど。
こばなみ:
久しくそういう縁がないので、思い起こしてみる限りで話しますと、私はこの彼のパターンみたいなことはあります。で、あまりうまくいかなくなっちゃって、振られて終わったとか。
「キミは優先順位が低い」みたいなことを言われたことはあります(笑)。
宇多丸:
ええっ? そ、それは……、仮にそう思っていても、直接口に出す人って珍しいと思うよ(笑)。
こばなみ:
そうですよね。なんかネタみたいですけど、実際に言われて……(苦笑)。だからこの場合、ゆかっぺさんには、彼にもうちょっと合わせてあげて~!とは思いましたけど。
宇多丸:
まぁ、ゆかっぺさんの彼も、別に「束縛とかはない」ってことだから、本当にあくまで、お互いのペース感が微妙に異なるってだけの問題というか。
カップルの悩みで、このくらいどっちも悪くないっていうのも、珍しいかもですね。
こばなみ:
宇多丸さんはこういうことあります?
宇多丸:
僕は両方わかるかな。
基本的には自分のペースがすごくはっきりあって、干渉するのもされるのも大っ嫌いっていうタイプだから、どっちかと言うとゆかっぺさん側なんだけど、同時にパートナーに対しては、いろんな経験を共有してゆきたい、という気持ちもけっこう強くあるから。
特にゆかっぺさんたちの場合、まだ付き合って3カ月だしね。
付き合いを重ねて、ゆかっぺさんは単にそういうテンションの人なんだってことがしっかり伝わりきれば、彼もいずれ「あぁそっか、じゃあたまには一緒に行ってね」ってくらいの感じに落ち着いてくかもしれないけど。3ヶ月じゃまだまだ、お互い探り合いしてるところも多い段階だろうからさ。
相手のちょっとした言動で、いくらでも不安になれちゃう時期でしょ。オレのことそんなに好きじゃないのかな、みたく。
要は、ゆかっぺさんの気持ちが薄いとかそういうことではないってことを、彼に心底納得させることができさえすればいいんだけど。
まぁさ、基本的には人間誰しも自由に行動する権利があるわけで、どっちかと言えば、ゆかっぺさんが彼に合わせるよりも、彼がゆかっぺさんに合わせるほうが、まずは優先されるべきだろうとは思うんだけども。
ただ、僕は彼の気持ちもよくわかります。
別に、なんでもかんでも一緒にやろう、常に一緒にいようっていうんじゃなくても、たとえばどこかに行って、すごくいいところだったら、これは連れてきたかったなぁとか、この景色は見せたいなぁとか、そういうのはやっぱすごい思いますよ。
とにかく、なにはさておきゆかっぺさんのスタンスと気持ちをちゃんと理解してもらわないことには始まらないんだから、「そのままストレートに伝える」しかないんじゃないですか?
「とてもやさしい人」ってことだし、まぁ大丈夫だろうと思うしかないでしょ。
こばなみ:
うまく伝わらなかった時に、彼側がイラッとすることはあるかもしれないですね。
宇多丸:
でも、それを怖がってなにもしないでいても、事態が悪化するだけだし。
あえて言えば、こちら側の主張を受け入れさせるだけじゃなくて、こっちも彼側の気持ちをくみ取って、ちょっとだけ歩み寄る余地というのもあると思うんですよね。
たとえば、もしその彼がさっき僕が言ったのと同じような心情であれこれ誘ってきているのだとしたら、要は同じ時間とか同じ経験を共有したい、ってことなんだから、それぞれ別の場所で別のことをしていたとしても、「いまこんなことしてるよ」「今日こんなことがあったよ」というようなことをこまめにメールとかで報告し合って、擬似的にでもできるだけお互いの人生をシェアするよう心がける……、要は密にコミュニケーションを取り合うってことだけど、それだけでも、だいぶ違うんじゃないかなぁ。
少なくとも僕は、それでかなり満足度上がりますけど。
こばなみ:
共有事項を増やすということですね。
宇多丸:
まぁ、マイペース派は、そういうのすらめんどくさく思っちゃいがちなんだけどね。そっちの面も僕はあるからわかるけど。
会った時に言えばいいや、とか思ってたり。
でもね、そういう風に億劫がっているのを相手側が実は不満に思っていたりした場合、それをこじらせると、最悪、おなじみの疑惑という病の種を植え付けかねないから。
もしそうなると、これまではせっかく束縛までは行かない程度に自制できていた彼も、どうなっちゃうかわかんないし。
これ、別に男女問わず普遍的な話だと思いますけど。
ここで気をつけなきゃいけないのは、ゆかっぺさん側がいくら「ホントに彼のことは大切に思っている、単に自分のペースを守りたいだけ」的に考えていたとしても、彼側にそれがちゃんと伝わっていなかったら、そのための努力もしてなかったら、なんの意味もないってことですよ。
さっき言ったように、基本的にはゆかっぺさんの自由が尊重されるべきなのは当然なだけに、「私に悪気はないのに!」で、話が完結してしまいがちというか。
結果的に、彼にしてみたらそれは、ただばっさり切り捨てられただけ、「あぁ、やっぱオレのことはどうでもいいんだな」っていうのと同じことになっちゃうから。
要はさ、相手の都合お構いなしでグイグイ来たりするのはもちろん論外だけど、今回のケースみたく、どうやらお互いのペース感とか、なんならパートナー観からちょっとズレがあるのかも、というときに、そのすり合わせもしないうちから「私には私のペースがあるのに、ウザい!」みたく一方的にイラッとしたりしちゃうと、それはそれで相手のペース全然見れてないじゃん、って話になると思うんですよね。
そんなのめんどくさい、って言うなら、じゃあそもそもパートナーって何?って気もしてきちゃうし。
こばなみ:
なるほどね~。
宇多丸:
逆に言えば、たとえ別々の場所にいて、そんな頻度では会えてなかったとしても、がっちり信頼ができあがってるというか、ちゃんとつながってる、リンクしてる、シンクロしてるという実感がしっかり持ててるっていうのが、持続的なパートナーとしては理想なわけじゃん?
『サイレント・ナイト』でも歌いましたが、「ひとりがさびしくないのは ひとりじゃないからさ」って、ちゃんと思えるならいいんだけど。
でも、どんなカップルだって、テレパシーがあるわけじゃなし、いきなりその域まで行けるってもんでもない。
ゆかっぺさんのところはまだ、まさにそのための信頼関係を積み上げている最中なんだからさ。共通のルールが確立するまでは、とにかくめんどくさがらず決めつけず、互いを理解し尊重できるよう、怖がらずコミュニケーションを取り合って、それぞれ歩み寄れるところは歩み寄ってみましょうよ。結局やっぱり、「素直に」! 「優しく」! これしかないんだよホントに!
さしあたってさっき提案した「こまめに連絡~擬似的な経験の共有」、彼ともちゃんと話し合ったうえで、心がけてみてはいかがでしょうか。
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年4月29日に公開したものを再編集し、掲載しています。