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6年ぶりにできた彼氏が好きすぎて、男女交際の常識がわからない!【ライムスター宇多丸のお悩み相談室141】


✳️今週のお悩み✳️
はじめまして。いつも楽しく拝見しています。さて、この度実に6年ぶりに彼氏ができました! 前の彼氏と別れてから、セフレや不倫など散々自由奔放に遊んできた私ですが、今回出会った人は本当に大切にしたいと思っています。しかし、男女交際における正しい立ち振る舞いが分からず、振られるんじゃないか、引かれるんじゃないかと、恐々としてしまいます。出会いは某SNSです。初めて会った日に彼の家でセックスしてしまいました。そのときはまたいつものパターンか、と思いましたが抱き方に情熱を感じてしまってすぐに付き合うことになりました。まだ付き合って10日くらいですが、なぜだか彼のことがすごく好きになってしまいました。しかし、泥酔して電話をかけて好きーと言いまくって怒られたり、会いたいとかのLINEを送っても仕事優先だから。笑。と言われてしまったりするとすごく不安になります。彼は毒舌ではありますが会ったときは優しくしてくれます。可愛いと言って抱きしめられたり……、年は2つ上です。色々不安に思って、その不安を伝えたところで面倒くさいと思われるのも怖いです。今まで相手のことを考えない、割り切った関係ばかりだったので、男女交際の常識がわかりません。最低限のルールや、相手に嫌われないためにはどうすればよいのか、またずっと好かれる自分でいるためにはどうすればよいのか、どうかご教授ください。よろしくお願いします。乱文失礼致しました。
(みゆ・29歳・福岡県)


宇多丸:
今回の相談は、なにしろまず、可愛いよね!

恋愛って、別に「駆け引きに勝つ」のが目的じゃないはずでしょ、むしろホントは、好きになった相手に「降伏」するしかないっていう体験なんじゃないの?って話、前回を始め、この連載でもちょいちょいしてきたと思うんですけど。
今のみゆさんが、まさにその状態ってことですよね。

海千山千のプレイガールだと自分では思ってたのに、恋してしまった途端、「乙女」に戻っちゃった!っていうね。まさに『ライク・ア・ヴァージン』!
 カッコつける余裕もなく、まるごと身を投げ出すしかなくなっちゃってるわけでしょ。

ここまで素直に「好きーっ!」って出せてる人も珍しいからさ。
読んでてつくづく、可愛らしいなぁ、美しいなぁと思っちゃいましたよ。

あとね、これまでの連載との関連で言うと、今回の恋って、それこそワンナイト・ラブから始まってるわけじゃん?
大人同士には、こういうケースだってあるんだってことですよ、「スタンプラリー」派とか、「あくまで“契約”が先!」派の皆さんに言いたいのは! 
セックスから始まる恋も愛もあるってこと。

とにかく、これだけ経験豊富な方だって、こうやってあるとき突然、その他大勢とははっきり違う、これだ!って人に出会うタイミングが訪れたりするわけだからね。
今、パートナーやパートナー候補についつい文句ばっかり出ちゃってる皆さんもさ、要はこれだけ夢中になれるような人に、まだめぐり合えてないってだけのことなのかもしれないよ?

こばなみ:
うらやましすぎる!!!

宇多丸:
で、何を悩んでるんだっけ? 
好かれるためには、嫌われないためにはどうすればいいか、か。

僕は、今まで通り、「好き好き好きーっ!」っていう気持ちをストレートに伝える、っていうことでいいんじゃないかと思いますけどね。

こばなみ:
好き好き言いすぎて、うざいとか思われないですかね?

宇多丸:
好かれること自体が嫌だって人とはそもそも付き合おうってことにはならないだろうし、問題ないと思うけどなぁ……。

逆に、どこまで行ったらウザいってことになっちゃうんだろうね?

こばなみ:
私も教えてほしいくらいです。
でも、私は気をつかってしまいがちかもしれません。忙しいのかな? じゃメールはしないほうがいいのかな?とか。

たとえば、くだらないこと思いついたとしても、伝えたいけど邪魔かな……!?とか、けっこう考えすぎちゃって、悪い妄想が連なってどよんとしてる……。

宇多丸:
まぁ、単に図々しかったり無神経だったりするよりは、そうやって常に相手の事情や気持ちを気づかってるっていう姿勢自体は、全然いいことなんじゃないですか。

むしろ、そういう気ぃつかいな人が、ちゃんと距離感をはかりながら感情を解放してゆく、くらいが一番ちょうどいいんじゃないですかね。

ただ、こばなみが言ってるみたいに、引っ込み思案が行きすぎて、勝手に妄想一人相撲したあげく、気持ちが悪循環に入っちゃうなんてのは、本末転倒だからさ。
それは本当の意味で「相手を気づかってる」ことにはならないでしょ。

こばなみ:
あと間違って、束縛みたいになっちゃうと……。

宇多丸:
まーねー。
相手のことが好きすぎて、不安になっちゃったり、つい嫉妬してしまったりっていうのは大なり小なり誰にでもあることだろうけれども……、たしかに、それで束縛っていう方向に行っちゃうのは怖いよね。
そんなことしてもなんの解決にもならないどころか、向こうの気持ちを遠ざけることにもなりかねないのにさ。

でもね、それもやっぱり、「気持ちを素直に伝える」っていうのと、相手の幸福を第一に考えて行動する、要は「できるだけ優しくする」っていう、この二大原則からブレてなければいいってだけのことなんじゃないかなぁ。

たとえば、好きすぎて不安になるときがあるんだったら、素直にそう伝える。
まともな相手なら、「不安にさせてごめんね、これからはそんな思いさせないようこっちも気をつけるから」みたいなこと言ってくれるよ。
勝手にネガティヴなバイブスをためこんでこじらせてしまう前に、まずはこっちから心を開いて、心中をわかってもらう努力をしたほうが、少なくとも大切な人相手なら絶対いいに決まってますよ。

ただそこで、こっちが一方的に怒りすぎてたり、結局こいつ愛情より支配欲を満たしたいだけじゃん?みたく見えちゃってたら、当たり前だけど、向こうからもポジティブなリアクションは返ってきづらくなるわけでしょう。
何はさておき、相手の立場を考えて、優しく接するようにする……って、恋愛に限らず、すべての良好な人間関係の基礎ですよ。これも本来ホンッッットに、当ったり前すぎる話なんだけどさ!

でも、その当たり前のことができてないどころか、他人からなにか「してもらう」ことばっかり考えてるせいで、いっつも不満ばかり募らせてるから、人当たりも きつくなるいっぽう、結果なにひとつ得られないまま……みたいなとこに陥っちゃってる人、かなりいるんじゃないの?って感じがしますけど。

年末のクリスマス女子会で、「そんなにモテたいなら、まず人に優しくしなよ」って言ったのもそういうことですよ。
特に今どきの男たちは、「優しい女の人」にホント飢えてるから!(笑) 
マジな話、「優しく接してくれる」ってだけで、余裕で好感度大幅アップしちゃうと思いますよ。

ということでね、とにかく「素直になる」「優しくする」、極論すればこの二大正攻法以外に、人から好かれるようになる方法などない!

こばなみ:
道徳の授業みたいになってきた(笑)。「素直になる」「優しくする」、女子部サイトのトップに書いておこうかしら!

宇多丸:
でもまぁホント、恋愛だけじゃなくどんな人間関係も、突きつめてゆけば結局そういう、シンプルな真実に行き着くもんなんじゃないですかね。

こばなみ:
そうですね。
だから友達との付き合いでしてることを普通にすればいいんですよね。女友達には優しくするじゃないですか。

宇多丸:
そうそう。ちゃんと敬意を払って接し合うのが当たり前っていうかさ。
たとえば会う約束するにしたって、お互いの事情を考慮して、予定をすり合わせて決める……って当然のことが、まぁ当然のようにできてるわけじゃん(笑)。
要は、そうしないとこの関係が維持できない、っていうのが、友達同士なら言わずともわかってる。

でも、こと男女間というか恋愛関係に関しては、むしろ、そういう気づかいが要らないことこそが特別な親密さの証明なんだ、と思っちゃってる人も多いんじゃないですかね。

もちろんね、たとえば、ほかの人には絶対見せないような弱点をパートナーの前ではさらけ出せるとか、そういう距離感の近さは全然あっていいんですよ、言うまでもなく。それこそまさに「素直になる」ってことなんだから。

でも、そこでもうひとつの原則である「相手の立場を考えて、優しく接する」を忘れちゃうと……、それは一気に、相手に対する一方的な「甘え」になりさがっちゃう。
こっちはロクに「ギブ」もできてないくせに、「テイク」ばっかり求めて不満を募らせるっていう、例の嫌われサイクルに入ってしまいかねないからさ。

こばなみ:
でも、そこへいくとみゆさんは、ここまで彼のことを考えてる時点で、実はもうけっこういい感じなのでは?

宇多丸:
そうだね。
まさにさっき言った「そういう気ぃつかいな人が、ちゃんと距離感をはかりながら感情を解放してゆく、くらいが一番ちょうどいい」ってバランスが、ちゃんと体現できるような資質は間違いなくあるはずですよね。

相談文にある、好きが高じてついグイグイ行きすぎちゃって、彼に怒られたとかたしなめられたとかいう話だって、彼側はあくまで、苦笑まじりって感じでしょ。
基本的には、「しょーがねぇなぁもう♡」って、むしろより愛おしく感じてくれてるんじゃないじゃないかと思いますけどね。

そこでさらに、まさに今回の相談で言ってるような、「こんなに人を好きになったことがないから、どうしていいかわからないの……」って心情まで正直に伝えれば、この彼なら嫌だとは絶対思わないって!

彼がみゆさんの奔放な男性遍歴をどこまで知ってるかわからないけど、まぁそこそこ余裕もある大人みたいだから、「私も年齢相応に恋はしてきたつもりだったけど……、こんな気持ちになるの、初めてなの!」とか言われれば、普通にメチャクチャ嬉しいと思うけどな。
前にも言いましたけど、「こんなの初めて」は男の大好物ですから!

と同時に、彼に注意された部分は、その都度素直に反省して直していく。
それで十分じゃない?
 なのでやっぱり、今はそのまんま、好き好きモード全開放!ってことでいいと思いますよ。
余計なこと考えてウジウジしたり、小手先の「恋愛テクニック」に走ったって、どうせロクなことになりゃしないんだからさ……。

ということで今回は、恋してる人ってホント可愛いね!っていう結論ですよ(笑)。

こばなみ:
本当に素敵な事例でしたね!

宇多丸:
僕が連想したのは、アレクサンダー・オニールとシェレールのデュエット曲『Never Knew Love Like Thisですね。誰かと恋に落ちたことはもちろんあるけども……、こんな愛は初めて!っていう、大人なラブソング。僕は昔から超好きなんですけど。
彼にこの曲、「これが今の私の気持ち!」つって聴かせてみれば? そんなみゆさんが余計に可愛くなって、きっといつも以上に優しく激しく、ギューっとしてくれるよ!(笑)



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年4月9日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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