【岐阜】生理について話し合う場をつくる「SAYRING」
日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、岐阜県で生理について話し合うためのイベント活動をされている、「SAYRING」の長谷川花歩さんに聞きました。
生理について誰もが気軽に話せる空間を作る「SAYRING」
私たち「SAYRING(セイリング)」の活動目的は、“さまざまなコミュニティで生理について話し合うイベントを行う”こと。生理=タブーという考えから脱することを目指し、生理について話し合うことを軸に、イベント活動などをおこなっています。
さまざなコミュニティというのは主に職場を指しています。職場は社会人が1日の大半を過ごす場所であり、異性が混在する場所でもあります。その中で切り離せないのが、ほとんどの女性に毎月訪れる生理。多くの女性は生理についてたくさんの悩みを抱えています。
しかし今現在、生理について正しい情報がどれくらい知られているでしょうか。
性別問わず職場の人同士で生理について話し合うことは、働きやすさにつながり、職場環境をより良くすることにつながると思います。また職場での話し合いをきっかけに、パートナーや周りの異性とも共有し合える話題になれば嬉しいですね。
私たちの最初の活動は、「生理のとき何たべたい?」というワークショップイベントでした。生理のときに食べると良い料理を食べながら、生理の話をせきららに語らおう!というものです。
生理について、「どんな風に痛い?」「そういうときはどうするのがいいの?」「自分たちの生理に対する認識って本当に正しいの?」男性も女性も、そういうことを話す場が日常的にあっていいはずですよね。そんな普段はしちゃいけないと思われていた話を、気負わずにできる空間を作りたい。そのために考えたのが、「生理ごはん」でした。
生理ごはんとは、生理のときに食べるとよい成分がつまった食材を使って作るお料理。どんな風にいいのか、ちょっとした栄養分の話を聞きながら、生理ごはんを食べることをとっかかりにして、生理について話し合うのはどうだろう?と考えました。おいしいごはんとあったかい空間があれば、男性も話題に参加したいと思うかもしれない。
当日集まってくれたのは、年齢も幅広い11名の男女。女性は「生理についての具体的な知識」を求めて参加した方が多く、男性は「女性の考え方を知りたくて」など、「女性への接し方、解決策が知りたい」という理由で参加された方が多くみられました。
「血の巡りをよくしよう!」というテーマにあわせて用意した食事メニュー
ゲームやテーマトークをとおして、参加者のトーク熱はなかなか衰えることなく、予定時間を過ぎても話し合いを続けるテーブルもあるなど、イベントは大盛況のうちに終えることができました。
「生理」というものについては本当にたくさんの意見があって、オープンにしたいか否か、女性自身の気持ちもさまざまなので議論にも終わりがありません。でも多くの人が共感することについて触れられる、話し合える場があることはやっぱり大事なことなのだと、イベント開催をしてみて改めて感じました。
その後は「LOOKING FOR THAT~アレを探して~上映会」という、生理をテーマに扱った映画をきっかけにしたイベントも開催。監督の朴基浩さんをお招きして、男性目線の生理のお話を聞くことで、性別問わず、生理について理解を深められる場になったと思います。
最近はパートナー間で生理についてどう話し合うかを考え、パートナー同士でできるコミュニケーションゲームの開発をしたり、生理グッズ制作などを中心に進めています。
生理のとき食べるといい「生理ごはん」レシピをまとめた本『生理ごはんレシピ本』も出版。 岐阜県大垣市にあるカジュアル洋食屋「南原食堂」さんと考えた、自分で作るもよし、誰かのために作るもよしの、手軽でおいしい8品目をまとめたレシピ本です。
当たり前のことなのに、話しづらい「生理」。でもそれっておかしくない?
SAYRINGは女性3人組なのですが、もともとそれぞれが生理について悩みを持っていました。
めちゃくちゃな鈍痛持ちだったり、眠くなりやすかったり、貧血がひどかったり。 でもそれは当たり前の生理現象で、世の中の大半の女性も同じつらさを抱えながら毎日がんばっているわけですが…。当たり前だからこそ、「なぜこんなにも生理について話さない空気があるんだろう?」と純粋な疑問を感じていました。 「むしろ聞きづらいからと蓋をしていた生理に関する疑問や触れなかったことを、共有してみたい人って多いんじゃないだろうか? 」「気負わなくていい話しやすい空間でなら、素直な気持ちを話せるかもしれない!」そう思い、イベントを開催してみたのがきっかけです。
初開催となったワークショップイベント「生理のとき何たべたい?」では、まず参加者を集めることが課題となりました。 いきなり「生理について話しましょう!」と言われても腰が引けてしまう人も多いですよね。ということで、「食」をイベントの前座に持ってくることにしました。運のいいことに、SAYRINGメンバーが普段働いているオフィスに、『南原食堂』というカジュアルレストランが入っていて、レシピ開発などに協力してもらえることになりました。結果、南原食堂監修という形でフライヤーを打ち出し、参加者は食堂の常連さんを中心に定員まで呼ぶことができました。
生理については、誰もが「人と話したい」と思うわけではありません。映画上映会イベントの時、参加者の方から「問題じゃないことを問題にされてる感じ」という意見をもらったときは、自分の生理に対する認識がまだまだ狭いことを学びました。男性だけではなく、生理に対する考え方はさまざまで、それぞれが共生していくためにはどうすべきかを自分でも考え、みんなが考えられるような場づくりをしていきたいと思っています。
開催だけで終わらない、次につながる施策を準備中
今後のイベント活動については、前述のゲームをきっかけにしたプログラム作りを考えています。またwithコロナの世の中でも、より多くの人が広い生理観を持てるよう、おうち時間に焦点を当てた内容の活動も進めていく予定です。家で使える生理ごはんのレシピや、生理グッズなどです。
イベントに関しては、開催してその結果をどう次につなげていくのかが重要だと感じています。イベント開催自体のコスト面でもまだまだ課題が残っています。話し合ってよかったね、はい終わり、では啓蒙活動だけで終わってしまうので、費用を捻出するためにも話し合いを録音やメモで記録し、その記録を活用したツールの開発なども視野に入れています。
活動拠点が岐阜県大垣市という地方であることは、強みになります。人口減少など解決しにくい課題が多いからこそ、アイデア次第でいろいろなことができますし、知らないだけで近くには存在し合っている新しい人との出会いも望めます。 女性が働き方をより自由に選べる社会へ。生理休暇や婦人科通院など、生理のときにどう過ごすかの選択肢と手当てが、どこの職場環境にも自然に、当たり前にあることが、女性にとってのよりよい働き方につながると思います。
全国の女性へメッセージ
生理前や生理中、どうしていますか? 生理が重い人も軽い人もさまざまですが、ホルモンバランスに影響されながら生活している人はたくさんいると思います。 すべて私たちにとっては当たり前にあることだからこそ、普段から自分の身体を労わりたいですよね。
忙しいなか時間のやりくりをするのはなかなか難しいですが、自分を大事にできるのは結局自分です。決して無理はせず、ぜひご自愛‟のんびりタイム”をつくっていきましょう。
SAYRINGは生理とゆるく、なんとなく前向きに向き合っていける方法を模索しています。生理に日々悩む同志を始め、生理に特に興味がないあなたとも、身近な物事から生活をよりよくできる道筋を一緒に考えていければと思います。例えば「食べること」などから。生理のレシピ本なども出していますので、ぜひお試しください!
★好きな言葉★
落ち込んでいる時に友達に言われた言葉で、ずっと心に残っています。
生理について話し合うコミュニティ
「SAYRING」
「SAYRING」https://note.com/sayring
メール:sayring.info@gmail.com
(運営母体)
株式会社GOCCO. HP:https://gocco.co.jp
「生理」がタブーから脱する世の中を目指して活動中の3人組です。食など身近な物事をきっかけに生理について考える場づくりを。「話し合い」を軸にイベント開催などおこなっています。