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振られても諦められない彼とつかず離れず3年。引っ越しても遠恋状態で、新しい恋や結婚もしたいけどうまくいかず……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室306】


✳️今週のお悩み✳️
2016年頃、彼氏が好きすぎてどうしようという相談をして、その後事後報告で振られてしまったという投稿をした者です。2回も掲載していただき、あたたかい励まし、ありがとうございます。
あれから数年経ちますが、まだその彼といろいろあり、お話を聞いてほしくて投稿させていただきました。周りの友人はもういい加減にやめろと話を聞いてくれません。31歳で彼と出会ったわたしも、2020年で36歳になります。
2016年に振られてしまってからもどうしても好きで諦めきれなくて、ずっと連絡を取っていました。最初は取りあってもらえなかったのですが、徐々に向こうから連絡をくれたり、また会えるようになっていましたが、終電がなくなったときに泊まらせてもらうことを口実にわたしが彼の家にいくことがほとんどで、休みの日にデートするとかそんな感じではなく、なんとなくな関係がずっと続いていました。そんな関係から脱することができず、諦めることもできなかったため、わたしは2018年一大決心をしました。
福岡に住んでいましたが、彼のことを忘れて新しい恋愛をするために転職して地元の広島に引っ越すことに決めました。そのことを事前に彼に相談しましたが、「あなたの人生だから好きにしたらいい、さみしいけど」という返事でした。
広島に帰ってきて、新しい職場では修羅場が続き、なんで広島に帰ってきたんだろうという後悔しかなく、彼に連絡を取り続けてしまいました。また、わたしも福岡での生活が長かったので、福岡に遊びに行ったり、彼も何度か広島に遊びにきたりして、実際は遠距離恋愛のような感じになっています。会ったときには離れているぶん、今までのような扱いではなく、すごく優しくしてくれたりして、ますます忘れられなくなっています。
離れて1年、先日彼に「もう一度福岡に戻ってもいいから結婚してほしい」と伝えましたが、「結婚するならあなたかもしれないけど、今は誰とも結婚する気がない、いつ結婚したくなるかはわからない、待つかどうかは任せる」という返事でした。しかし、本心は転職して1年、修羅場にも耐えて仕事も軌道に乗ってきつつあるため、また福岡に戻るという選択肢は自分の中でも疑心暗鬼な面もあります。また、両親はわたしが地元に戻ってきて(別居ですが)とても喜んでいるため、また福岡に戻ることになったらどう思うのか不安もあります。
本当は、広島で新しい恋をして結婚もしたいのですが、どうしてもできません。婚活パーティーに行ったりアプリで知り合った人と食事に行ったりしていますが、うまくいきません。広島で婚活しながら、いい人がいれば前向きに考えていくことも並行しながら彼が結婚したくなるまで待って、その時にまた福岡に引っ越すのがいいのか、こんなわたしに何かアドバイスをいただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
(みゆ・35歳・病院職員・広島県)


★★★★文中に画像あり★★★★★★★★


こばなみ:

過去2回、この連載に登場しているみゆさんのお悩みをまずは振り返ってみますと……。

1回目は「6年ぶりにできた彼氏が好きすぎて、男女交際の常識がわからない」ということで、私たちは「好き好き好きーっ!」っていう気持ちをストレートに伝えるってことでいいじゃん!と言っていましたね。宇多丸さんはアレクサンダー・オニールとシェレールのデュエット曲『Never Knew Love Like This』をオススメしていました。

当時のお絵描きはこちら↓

★全文はこちら


で、しばらくして、「『私のことを本当に好きなの?』と聞いたら逆ギレされ別れました。彼は私のこと好きじゃなかったのかな……?」と事後報告が来たんですよね。

その時は、この彼とは「ご縁がなかった」ということを話しておりましたが。

当時のお絵描きはこちら↓

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おたかさ~ん! 似てますね。

そして今回ですよ。まだ彼とつながっていたんですね。

宇多丸:
ここまで来るともう完全に、いわゆる「腐れ縁」ってやつそのもの、という感じですよね。

お互い、決して望ましい状態じゃないのはわかっていてなお、切るに切れない関係性。

正直これは、外野がいまさらとやかく言ったところで、結局はまた元の木阿弥になるだけなんだろうな、って感じがしちゃいますよね。

ご友人たちも半ばさじを投げているようだけど、そりゃそうでしょうね!って僕らもちょっと思いますもん(笑)。

ただまぁ、それでも好きなもんは好きなんだからしょうがないよね。

誰かを好きになってしまうって、そもそもそういう理不尽な体験なんだから。「正しさ」に従って惚れるわけじゃない。

とはいえ同時にそれは、なにをどうしたってすぐには事態が好転することもほぼ期待できない、ということでもあるんだから、あんまりあわててジタバタすることもないんじゃない?

せっかく広島での生活も軌道に乗ってきたのに、まーた福岡に戻ろうかなとか、いちいち浮き足立っててもキリがないですよ。

もうちょっと、この彼と付き合ってゆくってことに対して覚悟を決めて、過剰な期待はせずに気長に構えたほうがいいんじゃないか、って気がしますけど。

だから、福岡~広島の遠恋でちょうどいいくらいなんじゃないの、実際のところ。彼も、離れたことで相対的にみゆさんのことがより恋しくはなってるようだしさ(笑)。

こばなみ:
今、みゆさんが思ってる「広島で婚活しながら、いい人がいれば前向きに考えていくことも並行しながら彼が結婚したくなるまで待って……」ってことでいいですよね。

宇多丸:
どうせ関係は切れないんだし、それでいいんじゃないの。

ちなみに、「婚活パーティーに行ったりアプリで知り合った人と食事に行ったりしていますが、うまくいきません」って、この連載に寄せられる相談で、かなり頻繁に見る展開っていう気がするんですけど。

要するに、婚活パーティとかマッチングアプリとかって、出会いの機会を増やしてはくれるけど、そこに「好きになれる人」がいるかどうかは保証の限りじゃない……どころか、システムとして整えられた場なぶん、誰かを好きになって「しまう」という、言わば事故的な飛躍が起きにくい、冷めた心境にもなりやすい面はあるのかな、と。

まして、今回のみゆさんだけでなくほかの人もそうだけど、どうしても忘れられない誰かへの思い、執着を引きずったままそんなとこ行っても、逆に比較ばっかりしてしまったりして、逆効果なだけに終わりがちだったりもするのかもね。

こばなみ:
好きな人って、会おうと思って会えるもんでもないですしね。

宇多丸:
なんかこう、誰かに恋してしまうとはそもそもいったい何か?ということから改めて考えてみたくもなっちゃうよね。

なんかの拍子で、客観的に見たらそんなことまーったくないのに、当人的には「この人に好かれないと自分には価値がない!」みたく思えて仕方なくなってしまったりするわけじゃないですか。

気味悪い現象ですよ、ホントに。

こばなみ:
説明不可能ですよね。

宇多丸:
同じ人と会っても、そのとき恋愛テンションのゲージがお互いちょうど合ってるかどうかとかで、また話もぜんぜん変わってきたりするしさぁ。

たとえば、妙に惚れっぽくなってる時期とか、人生にはやっぱり、あるじゃない?

こばなみ:
あるある。身近な友達に対していいかも!とか思っちゃう時もあるし。

宇多丸:
そういうモードのときにこそ、さっき言ったような「とりあえず出会いを増やしてゆく」ようなアクションが有効なんだよね、きっと。

いろんな人のいいところにこっちもオープンになっている状態というか。

いまのみゆさんは、その逆だもんね。

離れて暮らしててたまにしか会えないという飢餓感もあいまって、彼のことが余計にキラキラ見えやすい状況。

でもさ、意地悪なこと言えば、もし仮にいつかこの彼とゼロ距離になるところまで持っていったとして……、たとえば結婚までなんとかこぎつけたとして、この彼がその先、本当にいいパートナーになってくれるかどうかは、また別問題なわけでしょう。

いざ手に入ってしまえば、ただの性格悪い男じゃん!って面とリアルに向き合ってゆかなきゃならないだけ、だったりするかもしれないよ?

こばなみ:
あ、言っちゃった!

でも、だから、みゆさんの周りの人たちもいい感じがしなくて、もう話を聞いてくれないんでしょうね。

宇多丸:
しかしだからと言って、この連載でも何度も言ってるけど、結婚が幸福のゴールってわけじゃもちろんないし、まして、たいして好きでもない人とあわててかたちだけ整えたって、誰も得しないことになりかねないわけだからさ。

だからやっぱ、いまはほかに相手がいないんだから、とりあえず現状維持でいいんじゃないの。

だってしょうがないじゃん!

恋愛感情というのはつくづく呪いのようなもので……というのを改めてかみしめるためにも、映画『寝ても覚めても』や『愛がなんだ』などを観ていただいて。前者なんかほとんどホラーだけどね。

ああいう作品に人が集まってるのも、みんなある程度はそういう思いをしてるから、でもあるわけじゃないですか。

みゆさんが特別不幸というわけじゃなくて、もっと普遍的な話なんですよ、きっと。

ということで、ひとまずまとめると、彼のことが本当に心底嫌になるか、彼がどうでもよくなるほどの他の人が出てくるかするまでは、このままでいい、というより、実質このまま行くしかないんじゃないかと思います。みゆさんとその彼の場合はね。

彼は彼で、何を働きかけたって今のところは無駄なんだろうし。

だからって、彼への思いを断ち切るためにあわてて無理やり相手を見つくろって結婚、とかは、のちのちその人の人生にも深刻なダメージを与えかねないし、僕個人はまったくおすすめできない。

なので、いまのところはやはり広島ベースで、彼とは「お互いそこそこ心地いい≒都合のいい」距離感をあせらず保ちつつ、とりあえずはもっとフラットな、恋愛対象に限らない人的ネットワークを広げてゆくことを心がけてみたらどうですかね。

そしたらそのうちいいご縁もめぐってくるかもしれないし……、こないかもしれないし。

いずれにせよ、いまはまだ彼のことが好きなんだから、しょうがねぇ!

「あきらめて、どっしり構える」くらいの感じでいればいいんじゃないですかね。

こばなみ:
柳のように風の吹くままに、人生のなかでそういう時期があってもいいですよね。というわけで、よろしくお願いいたします!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2020年1月11日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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