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外食では絶対おいしい店に行きたい!でも家族や友人に流されて適当な店に入ってしまうと、機嫌が悪くなってしまいます……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室463】


✳️今週のお悩み✳️
たいした悩みではないので恐縮ですが、聞いてください。外食の際、絶対においしいものを食べたくて、適当なお店で妥協することができません。おいしくなくてがっかりするという状況になるのが本当に嫌で、確実においしいものを食べて帰りたい。だから、家族や親しい友人と外食となると、特に下調べなどに躍起になります。

ですが、もちろん、家族や友人のなかには特に食べ物に興味がない人もいて、私があれやこれや調べていると「別にどこでもいいじゃん、早く食べに行こう」という感じになり、なんならケンカのようになってしまうこともあります。しぶしぶ行きたくもないチェーン店などに行くと、恥ずかしながら私は機嫌が取り戻せなくなります。ぶーたれた私と食事する相手にも申し訳ないと思うのですが、お金と時間を費やしてまで大しておいしくないものを食べるというのがどうしても許せないのです(関係の薄い人との食事の場合は、緊張もあって何を食べても大丈夫なのですが……)。

自分でもなんでも受け入れられるようになると楽だよなと思います。おいしいと思い込めばいいのかもしれませんが、それは無理。”おいしいものが食べたいのに!”、”おいしいものが食べたかったのに(怒)”という気持ち、拭い去るにはどうしたらよいでしょうか。
(くいしんボール・42歳・パートアルバイト・東京都)


いやこれ、気持ちはわかります。全然わかります!

たとえば僕も、すぐそばにちゃんとおいしいお店がいくらでもあるのがわかってるのに、たいした理由もなくどうでもいいところで一食済ますことになりそうになってたりしたら、「なんで?」って、全力で戦おうとすると思いますよ。
最悪、「だったらオレは一人で間違いないもん食ってくるから、お前らはそのへんで適当なエサ食ってろ」くらいは平気で言いかねない(笑)。
特に上野・御徒町あたりでよくわかんない店に入るとか、想像するだに絶対許せないよ!

ただ、みんなを待たせたままその場で調べだす、みたいな事態も、正直、同じくらい避けたいですけどね。
ネットで点数が高いところが本当にいい店ともま~ったく限らない!ということも、骨身に染みてわかっているので……(笑)。
あわてて検索なんかして、あげく迷ったり待ったりするくらいなら、それこそチェーンやファストフードだって確実に一定ライン以上うまいところはあるんだから、ここはひとまずそっちにしとく、みたいな選択も、場合によっては普通にすると思います。

それが嫌なら、やっぱり事前に、自分でがっつり段取りを組んでおくべきですよね。
なんかの後にみんなで食事、という流れになりそうなのがわかってるなら、当日までにさっさと信頼できるところを予約でもしといちゃえばいいだけの話だし……。
あと、よく行くような町なら、あのへんならあの店がある、この時間ならあそこがまだ空いてる、みたいに、自分のなかにいくつかストックを持っておくのも大事。
僕なんかほぼ、そのローテーション内で回してる感じですよ。


うたログ的な?


そうそう、自分が一番信用できるグルメサイト(笑)。

この時間帯じゃこのあたりのいいところはもうやってないから、あのへんまで移動してあの店に行こう、とか、そういう手持ちの安牌カードを常時いくつか用意しておく、という感じですよね。
なんにせよ最終的にはあそこに行きゃいいや、みたいなのもあるといいし。

まぁでもたしかに、店取るのが下手なヤツとか、いるよな~。
それこそ、ネットで検索して頭のほうに出てきたやつを、何も考えずに選んじゃったような……。

でもさ、そこで「お前これ、どんな探し方したんだよっ!(笑)」みたいになるのも、ご飯的には損した感があるかもしれないけど、思い出的、ネタ的にはプラス、という考え方もできると思うんですよね。


その状況を楽しんじゃう、ってことですよね。


そうそう。
実際そういう件で、何度も蒸し返しては毎回みんな爆笑、みたいなこともいっばいあるし。
元はじゅうぶん取ったよ!(笑)


これ、でもちょっと厄介なのは、ぶーたれてるわけですよね。
機嫌が取り戻せなくなるのは、ちょっと一緒にいる方としては嫌ですけどね。


もちろん、ほかの人からすれば些細なことでいちいち不機嫌になるのが褒められた態度じゃない、というのは、ご本人も重々わかっちゃいるけど、という話でしょうけど。
でも、それがくいしんボールさんなんだから周りの人もいいかげん理解してあげなよ、という気も、僕はちょっとしますけどね。自分が似たタイプだから(笑)。

そのうえでくいしんボールさんにアドバイスできることがあるとしたら、やはりさっきも言ったように、そんなにこだわりが強いなら、自分で事前に打てる手はきっちり全部打っときましょうよ、というのと、それでもどうしても不本意な一食が回避できなかったときは、逆にその状況をネタにして楽しむモードに切り替えるようにはできないですかね?ってことでしょうね。

たとえばライムスターの全国ツアーだと、泊まりじゃなくて、終わってすぐ車で帰る、ってことも結構あるんですよ。
で、都内に着くころには当然もう深夜過ぎだから、途中どこかでご飯は食べようよとなるんだけど、だいたい時間が時間だし、寄るにしたって地方の国道沿いだったりして、そんなに選択肢もなく。
ファミレスすらろくに空いてないし、だったらもう、びっくりドンキーでいいだろ!となったことが、以前ありまして。

そしたら、意外とそれでみんな、盛り上がったんだよね。
時ならぬびっくりドンキー行きを、一種イベント化したというか。
「ツウはびっくりドンキーで、何を頼むんんですかね?」
「やっぱプレートじゃないすか? 全部入ってますからね」
「酒のバリエーション、あんまないのな……逆に、甘いもんがやたら多い!」
とかなんとか、メニューいじりから始めてさ(笑)。

以来、車で帰るときはいつも、「今日は“いつもの店”行かないの?(笑)」って、半ば楽しみになりつつありますもん、びっくりドンキー祭りが。


祭り、ウケる! 気持ちを切り替えられたら本当にいいですよね。


「ハンバーグ通ならね、『さわやか』より、今は逆にびっくりドンキーですよ!」とか、プレイ的に楽しんでますよ(笑)。
そんなふうに考えられるなら、それはそれでいいですよね。

あと、都内にいて財力に余裕があるなら、思いきって歌舞伎町とかの叙々苑に行っちゃう!というのもひとつの手ではありますよね。確実にやっていて、そりゃ間違いなくうまい。
そんな高いところじゃなくても、TBS近くの韓国系のお店とか、遅くまで開いてるところもわりとあるし……奥の手として、24時間営業の中国茶房8(エイト)だってあるわけだから!
そうやって、こういうときはこう、みたいに、いざというときの作戦を立てておくのも、楽しいしさ。

それに、さっきも言ったけど、チェーンだってもちろん、使いようによっては全然バカにしたもんじゃないですからね。
サイゼリヤでワインと生ハムとか、普通に最高じゃん!って話だし……。

こないだも、週末の夕方くらいかな、『アフター6ジャンクション2』のスタッフや火曜パートナーの日比ちゃんとひと仕事終えて、軽くなんか食べようかとなったんだけど、ちょうどいいお店があんま見つからなかったときに、ロイホが通り道にたまたまあって。
そこでみんなで白ワインとムール貝キメたら、マジで最強だった! あれはアガった!

とかとか、いずれにせよ要は、準備はできる限り万端にしといたうえで、それでもなお絶対に起こりうる計算外の展開も、「それはそれでそれなりに全力で楽しむ」姿勢を心がける、みたいなことですかね……逆に、なんであれ「ただ我慢する」のが一番良くない、と僕は思います。

とりあえず、もし仮に本当に、いつもそのときになってスマホをいじって調べていて、その間ほかの人を待たせたままにしてたりするようなら、そこはもうちょい、その前にやっておけることはあるかもよ、という感じでしょうかね。

あとさ、食事に無頓着な人も、こっちがしっかり「本当においしいもの」を食べさせてあげて……たとえは悪いけど「餌づけ」してゆくことで(笑)、「どうせ同じくらいのお金出して食べるなら、やっぱりこっちのが断然いいよなぁ」という感覚、さすがにだんだんとわかってきてくれるんじゃないかな?とも、個人的には思うんですよね。
その意味でもやっぱり、こちらが事前にしっかりしたところを押さえといたりして、きっちりすべてを計画しておいてあげる、というのは、今後のためにも重要なことと言えるのかもしれませんよね。

まぁでもホント、くいしんボールさんのイライラ、僕はよくわかる!
めんどくさいとされがちな人同士、お互いくじけず、頑張りましょうよ!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:30の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※昨年10月からは「アフター6ジャンクション2」に!

ライムスター宇多丸の聴くカルチャー・プログラムは、あなたの"好き"が否定されない、あなたの"好き"が見つかる場所。大人気週刊映画時評「ムービーウォッチメン」は毎週木曜日22時20分頃~にお引越しです。

※ライブ情報はこちら


こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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