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自分ひとりで仕事を抱えてしまう人へ! 小田木朝子さんに聞く、周りに助けを求めるビジネススキル「ヘルプシーキング」の考え方【前編】

リーダー職を担う女性たちの悩みのひとつが「仕事をひとりで抱え込んでしまうこと」。そこで、著書『仕事は自分ひとりでやらない』で、ひとりで抱え込まず、周りに助けを求めるビジネススキル「ヘルプシーキング」を提唱する、NOKIOO取締役の小田木朝子さんに、周りへの助けの求め方についてお伺いしました。
(聞き手:F30プロジェクト 小林奈巳)


仕事をひとりで抱え込む前に! お互いの心のブレーキを開示しよう


F30プロジェクトで管理職やチームリーダーの立場の人の話を聞いていると、「仕事をひとりで抱えてしまう」という悩みが本当に多いと感じます。「助けてくれる人がいない」、「周りに助けを求められない」、「部下のやる気に温度差を感じる」などなど……。
こういったとき、どうがんばればいいのでしょうか。


まず、「助けが求めることが難しい」と思う感覚、つまり「心のブレーキ」は3パターンに分類できます。

  1. 助けてほしいけれど助けてくれる人がいない

  2. 助けてもらうのは申し訳ないなど、自分の心理的ハードルが越えられない

  3. 仕事はひとりでやり切ってこそ成長!と思って抱えてしまう

何が自分の足や腰を重くしているのかを自覚することが、ヘルプシーキングのためのスタートラインです。


チーム長が自分自身の心のブレーキを自覚しようとすることも大事だし、まわりのメンバーに対して「この人の心のブレーキは何だろう?」という視点を持つことも大事ですね。


そうですね。周りと助け合うためには、自分の心のブレーキを知ることと、相手の心のブレーキを知ることが大事だと思います。いきなりうまく助けを求めようという話から入るのではなく、「お互いの心のブレーキを開示し合いません? 私、わりとスポ根で〜」みたいな会話から入るとか。

ちなみに私自身は、そもそも日本に根付く迷惑をかけてはいけないという土着文化(2.)と、仕事はひとりでやり切るべきだというスポ根的な思い込み(3.)、みんな忙しいから無理じゃん!という思い(1.と2.)が強かったです。


なるほど。わたしももともとはスポ根で 3. の気がありましたが、絶対もう間に合わない!ってことがあって人に助けてもらってからは、わりと「手伝ってよ〜」とか言って人を巻き込むタイプになったかも。まわりに多いのは、その仕事は自分にしかできないと思い込んでほかの人を信じられず、ひとりで全部やろうとするパターンですかね……。


助けを求めるハードル、上がりすぎてない? 「仕事を代わってもらう」の手前から始めよう


ブレーキを開示し合った先に、徹底的に助けを求めたり頼ったりするハードルを下げることが必要です。


たしかに。でも、それって一体どうやって下げればいいんですかね?



そもそも、仕事を代わってもらう前提で助けてくれる人を探すこと自体が、最高難易度です! そのもっと手前で「疲れてない? 困ってない?」って言ってもらうだけでも、助かりますよね。

たとえば、社内のグループウェアに書き込んだときに誰にもリアクションをもらえないと孤立感が半端ないですよね。そんなとき、誰かからの「いいね!」がもらえるだけで助かったと思うことはあるだろうし、何か探していて困っている人がいたら「自分は分からないけど、あの人が知っていたかも」と人をつなげるだけでも助けになると思います。


「助ける=自分と同じことをしてほしい」という意識が大きすぎちゃうのかなって思いました。実際にそうできるケースなんて多くないですよね。


そうなんです! 仕事を代われるかが助け合えるかどうかの判断になってしまっているから「助けを求めることが難しい」って話になっちゃうんです。そこで、まずはハードルをぐっと下げて、ひと声をかけるだけでも、ただ話を聞くだけでもいいじゃん?って、そのくらいからやってみる。結果、自分だけで抱え込まずに助け合うことが根付いていって、本題に届く機会も生まれやすくなると思います。


部下に助けを求めることもスキルのひとつ!? 「助ける側」「助けられる側」を固定せず、連携しよう


お話を聞いていて、ハードルを下げるとともに、助けてほしいことを分解することも必要なのではと思いました。助けてもらう側が何に困っているかを明確にして言語化できないと、どう助けてほしいかが伝わらないまま、「助けてくれないなら、もうひとりでやるからいいよ!」となっちゃっているのかもしれません。両方の歩み寄りが必要だと思いますが、まずはどうしたらいいのでしょう。


たしかに、「どう助けて欲しいか」を伝えられることは大事ですね。少なくとも助けを求めることが迷惑だと思っているうちは、それを開示することは難しいと思います。もし、「助けを求める」という言葉そのものへのハードルが高いのであれば、「連携」などと言い換えることから始めるのはどうでしょうか。

あともう一つ大事なのが、助ける側と助けられる側を固定化しないことです。固定化すると、助ける側は疲弊をし、助けられる側は「いつも私、助けられている」と罪悪感を抱えて、ますます助けを求めにくくなります。


具体的に、リーダーを担う立場や管理職側からできることはありますか。


一番効くのは、上司の方から、「助けてくれない?」「力を貸してくれない?」と部下に頼ることです。まずはリーダーやトップがやることで、これは組織全体でやるべきことなのだと、みんなは無言で学習します。私も普段から「ちょっと無理〜」とか「〇〇さん頼む!」とか、よく言っていますよ(笑)。

そうやって上司が助けを求めていれば、部下の方から「今日、元気ないっすね?」などと声をかけることもできますよね。誰もが助ける側になれるし、誰もが助けられる側にもなれる、その考えが連携につながると思います。

さらに、助けた側が称賛される、開示した側も承認されるなど、何が組織やチームにおいてグッドなアクションか分かることで、そういった空気感が周りにも浸透していくと思います。


嫌な顔をされたらどうしよう……!?って思っちゃうかもしれないけど、頼られたら協力してくれる人もいるだろうし、まずはヘルプシーキングが広まるまで、自ら続けてみるしかないですよね!


助けを求めたことに対して「はあ?」と言われようもんなら、それこそがその組織・チームにおいてやってはならぬことだ!という認識が広がるように、空気を醸成していきたいですね。

私たちが提唱する「ヘルプシーキング」では、周りに助けを求めて連携することをひとつのビジネススキルとして捉えています。助けを求めることは、最後の切り札であったり性格的にできるかどうかというものではなく、仕事の成果を上げるためのビジネススキルのひとつとして認識されていくことで、助けを求めることの世の中的なハードルも下がると思っています。


<次回はこちら → 人に助けを求めるのが下手……、心理的なハードルを乗り越えるには? ヘルプシーキングの専門家・小田木朝子さんに聞きました【後編】


株式会社NOKIOO 取締役
小田木 朝子

ウェブマーケティングの法人営業などを経て、株式会社NOKIOOの創業メンバーとして参画。組織と個人の持続的な発展を実現する”これからのチームワーキング(=パフォーマンスワーク)”を体系化し、企業の組織開発・人材育成を支援。2020年より、組織で働く女性がチームで成果を上げるためのスキルを体系的に学ぶオンラインスクール『スクラ』を事業化。「仕事が好きだし、楽しい」と言い合える女性が増えることが喜び! 著書に、ヘルプシーキングの入門書『仕事は自分ひとりでやらない』など。
株式会社NOKIOO
スクラ
◆Voicy
『今日のワタシに効く両立サプリ』
◆note
『WOMANLifeStyle&CarrerInterview』
◆著書
『仕事は自分ひとりでやらない』(フォレスト出版)
◆著書
『人生の武器を手に入れよう!働く私たちの育休戦略』(Book Trip)


F30プロジェクト 代表
小林 奈巳

2010年、iPhoneの使い方が分からなかった自身と女性に向けた簡単解読本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは『F30プロジェクト』と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。”女性”という枕詞がなくなる世の中を目指している。自身も2021年に株式会社都恋堂の代表を継承し、現在絶賛奮闘中。
F30プロジェクト
ライムスター宇多丸のお悩み相談室







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