仕事が遅い&効率も悪い私。なのに現実逃避でゲームに熱中、ダメダメで泣けてきます……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室121】
✳️今週のお悩み✳️
入社して3年目なのですが、仕事が下手すぎて毎日会社に行くのがつらいです。 一番の問題は時間管理が下手という点。元々のんびり屋さんな性格で、時間管理も苦手な方でした。それでも今までの人生ではそれでも特に問題なく生きてこれたのですが、そのツケが社会人になって来たんだと感じています。今は朝早く出社したり、夜も少し残って溜まった仕事をしたりして現状はなんとか問題は起きずに済んでいます。私の部署はほかと比べて比較的ラクとされている部署なのですが、それでも優先順位をつけてテキパキ効率よく片付けないと終わらない程度には仕事があります。部署を見渡してみると、みんなテキパキ仕事をしており本当に尊敬します。「自分なりに必死で仕事をするけど終わらない→プラスαの勉強や現状を改善するための時間が作れていない→明日も仕事が終わらない」という悪循環です。部署内でも私だけ仕事が遅い&効率も悪いため、まわりに迷惑ばかりかけてしまっています。申し訳なさすぎて先輩と話すのも怖いです。最初のほうは「いつかは自分も成長して改善されるだろう」と思っていたのですが、二年半ほど経っても先輩の背中が見えません。今はまだ頑張れてますが、いつか疲れてしまうのではないかと思うと怖いです。「自分はこのまま一生仕事ができない人間のまま生きていくのではないか」と将来に悲観してしまう始末です。要は自分のマイペースな性格を直す必要があるのですが、それもなかなか治らず、家では仕事に疲れてダメダメな現状からの逃避するためにゲームとかをしています(泣)。自分がダメダメすぎて本当に泣けてきます。私は一体どうすればいいのでしょうか。
(yuki・25歳・京都府)
こばなみ:
女子部員さんの意見としては、
などがありました。
宇多丸:
たださ、「そんなことしてる場合じゃないってときに限って、非生産的な行為に逃避してしまう」っていうのは、もちろんyukiさんだけの話じゃないはずでしょ。むしろ、誰もが身に覚えのある、超普遍的な「人間あるある」だよ!
たぶん、人間にはそういう「余白」的な時間が必要なんですよ。その余地がまったくないような、言わば効率化されすぎた生活をずっとしてると、結局心身ともに壊れちゃったりして、元も子もなくなっちゃうよ、きっと……みたいな話、前にもしたよね。
こばなみ:
そうなんですよね……、わかっちゃいるんですけども、私もやらなきゃと思いながらも、気分転換にビール飲んで、もう寝ちゃえ!なんてことはよくあります。
でも、ヤバさがMAXになることで、朝早くシャキッと起きて集中してパコーンとできたりすることもありますしね。火事場のクソ力みたいな。ただこれに頼って、失敗すると大変危険ではあるのですが。
宇多丸:
yukiさんもさ、ゲームやっちまうならやっちまうで、「こんなことしちゃってて、私ダメダメだ~!」とか、いちいち後ろめたさを引きずりながらやるのは、とりあえずやめたほうがいいと思うよ。
せっかくの息抜き時間が、それこそ無駄になっちゃうじゃん。
自分を甘やかすときは、思う存分甘やかす!
何事も、メリハリが肝心ですよ。
ちなみにこばなみはさ、部下や後輩で、どうにもこうにも仕事効率が悪い人がいたらどうする?
こばなみ:
細かく時間を区切ったりはしますね。「これは何時までにやろう」というように。
宇多丸:
たしかにね。僕も締め切りを設定されないと何ひとつやんないですね、永久に(笑)。
こばなみ:
私もです。だから締め切り設定なしで、自分でできる人って本当にすごいですよね。
あと、なんだろ、痛い目をもっとみると恐怖心で仕事のスタイルも変わるんじゃないですか?
藤子不二雄の「まんが道」の話、前に宇多丸さんしてくれましたよね?
宇多丸:
「先延ばし癖」のときね。今回の相談とも通じるものがあるかもだけど。
ただ、yukiさんは別に、サボってるわけじゃないもんね。 精いっぱい頑張ってるんだけど、遅い。
じゃあ、早きゃいいのか?って問題もあるけど。 早いけど、雑!みたいな人だっているわけじゃん? 後から直しが必要になったりなんだりで、結果それはそれで効率悪くなっちゃったりとか、全然ある話でしょ。
だったらまだ、多少ゆっくりめでも着実に丁寧に仕事してもらったほうがいい、ってことだってあると思いますけどね。
こばなみ:
一番最悪なパターンとしては、すっごい時間かけてるんだけど、すっごい抜けてるとか。
宇多丸:
遅くても丁寧か、雑だけど早いか、最低限どっちかにしてくれ!と。
その点yukiさんは、さしあたってその最低レベルは余裕でクリアしてる、ってことではあるんだよね?
あとさ、経験不足な人ほど、自分だけで考えてもどうにもなんない問題を一人でなんとかしようとしちゃって身動き取れなくなってる場合ってない?
こばなみ:
それ、ありますね。だったら、早く聞いてよ~!って。
宇多丸:
最初の女子部員の意見とも近いけど、yukiさんから見て「できてる」と思う人たちに、聞けばいいじゃん、普通にさ。
効率が悪いのが悩みだと伝えた上で、○○さんはどうやってやってるんですか?って。
そのやり方がそのままyukiさんに当てはまるとは限らないけど、他の人と自分の違いとか、一人で悩んでるだけではわからなかったことが、必ず見えてくるはずだからさ。
あと、先輩や上司に聞くなら、そもそもyukiさんの仕事っぷりがどう見えてるのか、ホントに効率が悪いと思われてるのか、ってところから確かめてみたほうがいいよね、たぶん。 意外と「え? よくやってるほうじゃね?」くらいの感じだったりするかもよ?
もちろん、わかってる人に客観的に見てもらって初めて気づくような、たとえば「あっ、そこは省いていいし、そっちも後回しでいい」「最悪こっちだけ最優先できちんとやってあれば大丈夫だから」みたいな、効率アップに直接役立つアドバイスがもらえれば万々歳だし。
とにかくさ、これ、仕事に限らず、勉強でもなんでもそうだろうけど、自分だけではどうしてもわからないことについて「適切に質問できる」って、立派に能力のうちなんですよ。
まず、自分には何がわかっていないか、何ができていないかを明確にできてる時点で、たいていの問題はもう、ほとんど解決してるようなもんでしょ。
ホ ントにわかってないやつっていうのは、たとえわざわざ「何かわからないことがあったら聞いてくださ~い」とか言ってあげたところで、てめぇが何をわかって ないかもわかってない、ヘタすりゃわかってないこと自体もわかってないもんだから、なにか解決すべき問題があったとしても、一人で密かに抱え込んだり放置 したりしたまま、ただただいたずらに事態を悪化させてゆく。
逆に、ネットとかでよく見かける、自分でも調べりゃすぐわかるようなことすらやたらとすぐ人に聞いて済まそうとするようなタイプも、「適切に質問できる」能力を欠いているという意味では、完全に同類ですよね。
そこへ行くと、yukiさんの場合は、現状の自分の課題や欠点を、しっかり自覚することはできてるわけじゃん? しかも、とりあえず自力で行ける限界まで、すでに達した上での悩みなわけでしょう。 だったらもう、「ここまで頑張ってはみたんですが、どうしても超えられない壁にぶつかってしまったので、どうかお知恵をお借りしたいです」つって、胸張って先輩なりなんなりに教えを請いに行く、権利があると思いますよ!
こばなみ:
先輩と話すの怖いって書いてありますけども、世の先輩のだいたいは、聞かれることがうれしいので、大丈夫だと思いますよ。
そしてそこまでいけば、問題解決は早そうですね。
宇多丸:
そこで、その先輩やら何やらが、指導やヘルプといった立場上果たすべき義務をちゃんとこなしてくれるような人物なのかどうかは、また別問題ですけど……、ま、まともな人なら、鼻の穴おっ広げて力になってくれるはずですよ。
一番良くないのは、yukiさんが、自分で勝手に自分の能力を決めつけて、投げやりになってしまうことですよ。 「時間管理が下手」って、別に人としての属性ってわけじゃないでしょう。言っちゃえば、単に技術の問題じゃん。 だとしたら、それを向上させる方法は必ずあるはずですよ。 この連載でも何度か言ってますけど、「できる人」って、要は「できるようになった人」ってだけのことですから。そこに至る労力や道のりはそれぞれだとしてもね。
その意味で、今のyukiさんはやはり、先を歩んでいる人からの導き、と言うより客観的な視点が必要な段階にさしかかっているのは間違いなさそうですよね。 でも、それはなにひとつ恥じるようなことじゃない。むしろ、ようやくそこまで到達したんだ、ってことでもあるじゃないですか。
自力で頑張ってダメなら人の力を借りる! 気分転換中はウジウジしない! ……行き詰まったときは、物事をできるだけシンプルに、合理的にわりきって考えてみるのが、意外とやっぱり有効なんじゃないかと僕は思いますね。
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年11月21日に公開したものを再編集し、掲載しています。