やるかやらないか、リーダーとして判断することが難しい。こんなとき、どうする? 《リーダーの在り方編-7》
リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。
そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
リーダーになってから苦労していることといえば、判断に伴う責任の重さ。実際、その立場になってみないとわからない苦労がたくさんあったというミナトさん。 リーダーとして1年弱、何に悩み、どう考え、どんな行動をしたのでしょうか。
リーダーになったものの、「判断する」というプレッシャーがツライ
リーダーに就任してから1年弱。部下だったときと比べて、今何が一番大変か。それは最終判断をしなければいけない立場であることです。
現在、私がリーダーを担っているのは販売施策や広告の運用などを考えるチーム。
どこにお金を投資していくか、その施策は実施する価値があるのか。日々、判断の連続です。結果がハッキリと数字に表れる世界なので、毎回、胃が痛い(笑)。前例がなく「やってみないとわからない」というケースも多々あり、プレッシャーに苦しむことも増えました。
まずは自分を納得させるところから。決断のための材料を徹底的に集める
そんな胃が痛くなるような決断とどう向き合っているかというと、まず、納得させるべきは自分自身。決断するに足る判断材料をとにかく集めます。
以前、新規で実施するか否かチーム内で悩んだ広告があったんです。額が大きいうえに過去に実施例もナシ。効果予測が立てづらく、やらないという選択も大いにあり得る内容でした。
でも、私は新しいことに挑戦してみたかったんです。やらないで後悔するより、やって失敗しても、それがその後へのフィードバックになると思ったからです。
思い切って「やる方向」で進めることにした後は、ありとあらゆる材料探しに奮闘しました。過去の類似の事例はもちろんのこと、他社の事例など、あらゆるデータを収集。「もしかしたら、こんなことも起こるかもしれない」と懸念材料が生まれてきたら、それを覆す材料をさらに探す。はたから見たら過剰な準備だったかもしれません。
昔は上司が最終的にジャッジしてくれるという安心感がありましたが、今やその責任を負うのは自分。そう考えると、部下だったときとはリサーチの方法やデータ集めなどに対するスタンスが一変。自然と、実施した後のリスクなど、より深いところまで考えて行動するようになりました。
リーダーとして、決断したことへの納得性や、スピーディな判断力が求められていることも肌で感じました。
迷ったときは「新しいことをやってみる」を判断基準のひとつに
結果的にその広告は成果を挙げ、ほかの部署の売り上げにも貢献することができて、ひとつの成功例にもなりました。もしビビってやらなかったら、新しい知見も生まれていなかったと思うと、本当にいい経験になったと思います。
このこともあってか、最終判断に迷ったときは、新しいことをやろうと考えるように。もし効果予測で同等の広告があったとして、片方はやったことがないものだとしたら、迷わずそちらを選択。その方が新しい経験を得られるし、ワクワクするし、面白いと思うんです。
とはいえ、これまで実施例のないことに挑戦するのは、本当に勇気がいることです。その最終判断をすることはしんどいですし、実施を決定した後は毎回とても不安です。
「これで良かったのだろうか」「チームのメンバーに迷惑かからないだろうか」など、リーダーになってから、不安やプレッシャーの量は増えるばかりです。
ゴーサインを出した後は開き直る気持ちも大事に
ただし、回数を重ねるに連れて判断のコツがつかめてきたりと、自分自身の成長を感じるのも確か。大変なぶん、やりがいにもつながっています。それに、どんなに残念な結果が訪れたとしても、死にはしない。次、がんばればいいんです。
少し極端ですが、こうやって不安やプレッシャーに押しつぶされないために、ゴーサインを出した後は開き直る気持ちも大事にしています。いくら不安になったところで、結果が良くなるわけではありませんから。
イラストレーション:高橋由季