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処女だから!? 婚活・恋活パーティーなどにトータル20回ほど参加していますが、未だに恋人はできません。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室216】


✳️今週のお悩み✳️
24歳処女で、生まれてから今まで誰とも付き合ったことがありません。このままだと一生処女だなと思い、約2年前から合コンや街コン、婚活・恋活パーティーなどにトータル20回ほど参加し、出会いバーなどにも足を運んでいるのですが、未だに恋人はできません。良いと思った人には振られるか音信不通か一度食事に行きそれっきり。言い方は悪いのですがどうでもいい人からは好意を寄せられ、失礼にも程があるのですが、(私は所詮この程度なんだな……)と絶望することを繰り返しています。活動を始める前は、「自分はブスだしデブだし頭も悪い。取り柄がない。誰かに好いてもらえるなら奇跡。恋人というものができれば、誰だっていい」という考えでいたのですが、いざ好意を寄せられると誰でもよくないということに遅ればせながら気づきました。「全然話し合わないし無理……、もうちょっとかっこいい人がいい……」と高い理想が頭をもたげ、それらはお断りするか、思いあがりかもしれませんが、次に会ったら告白されるぞという雰囲気の際はこちらから連絡を断ったりと、人の気持ちを踏みにじるようなこともしました。 行動しないとなにも始まらないと今まで動いてきましたが、動き方を間違えているというか、かえって理想ばかりが跳ね上がってしまっている状況です。出会いばかり増やしても自分がこんな姿勢では誰とも良い関係築くことができないと、活動を一旦停止していました。 ここ最近は平静を失っており、とりあえず処女を適当に捨てる目的で、いくつかの恋活・婚活のアプリに登録しました。男性側もそういう目的の方が多いようで、予定すり合わせが進む中「経験ないんですがそれでもいいですか」と申告すると、重いと思われたのか、ピタリと返信が止まりました。あー、私はスタートラインにさえ立ってないのか、と落ち込みました。適当に嘘ついて騙して実践に持ち込めばよかった、なんても考えてしまいました。そして先日、ハッと我に帰る出来事がありました。 アプリで知り合った3つ年下の男の子とご飯に行き、そのあともやりとりを続けていました。彼が「次はぼたの家で会っちゃう?」と言ってきたので、そういう目で見られているのかな、会って2回目か。まあ早いけどこっちもそれが目的だし利害が一致しているならいいか。と内心思いながら「実家暮らしなので家はちょっと、もう少ししたら一人暮らしする予定なのでそうしたら来て」と返信しました。すると、「じゃあ俺の家くる?」(彼は一人暮らし)という内容のメッセージが来たので、これはそういう対象に見られていると判断していいのかな、と憶測を深めつつ、「どの辺りに住んでるの?」と聞くと、「来るなら教える」と言われ、これは完全にそういう解釈でいいかな、あとは私がこの白々しい茶番に乗っかるだけか、と「じゃー遊びにいくから教えて」と返したらしばらく既読がつかず、何時間か経ってから「来てなにするんだよ(笑)」という返信が来ました。考えすぎかもしれませんが、性欲を茶化すようなその返信に傷ついてしまい、ショックで即ブロックしてしまいました。少し落ち着いた今であれば、欲望丸出しの自分を棚に上げ、「お前を殴りに行くんだよ」くらい思う余裕があるのですが、カマしておいて、それにこちらが乗ったら手を離すんだ……(あるいは最初から必死な年上のブスをからかう目的もあったのかもしれませんが)、腹が立つのと同時に、性欲に突き動かされている自分のがっつきが、とても気持ち悪かったんだろうなとも思います。飢えてるからといって、通り魔的に欲を向けすぎていたな……と反省しました。3歳年下の男の子に呆れられ & おちょくられ & バカにされ、「私って、本当になにしてんだろう……」と落ち込みました。恋人は無理そうだからセフレを作るか、という計画でしたが、それも達成できそうにありません。あらゆることがうまくいかないです。一生誰とも関係を深められないまま死ぬんだろうな……と近頃しみじみ思います。みんなとっくにそんなことはクリアして、その先に存在する悩みを抱えているのを見ると、人と比べることではないと頭ではわかりつつ、その扉の前で右往左往してるだけの自分の情けなさに消えたくなります。何かうまくいかないことがあると、「処女だからかな」と思ってしまう。セックスしたくらいでなにか変わることはないと思うんですが、それをしてから「変わらないわー」と言いたい。もう傷つきたくないなあ、でも自分から行動しないと本当になにも起こらないしなあ、という気持ちが交差しています。入り口付近でモタモタしてる自分が本当に嫌いです。「処女なんて恥ずかしい。早く捨てたい」その気持ちに捉われすぎではないか、ほかのことでのめり込めることを見つけた方が運も回ってくるのかな、と思ったりもします。成人して幾年も経つ年齢になって、「あ~セックスしてみたいな~~」と常に考えてる自分が本当に気持ち悪いです。求めてる癖に、どんどん男の人に対する憎しみが深くなっていきます。本当になにしてるんでしょうね……。性欲の部分を取り除けたらもっと人生楽なのになと思う日々です。長々と文章を書き連ね申し訳ありません。宇多丸さん、こばなみさん、私はこれからどうすればいいでしょうか……?
(ぼた・24歳・広島県)


宇多丸:
でも、そもそもさ、24歳で処女なんて、別に普通じゃない?

こばなみ:
そこらじゅうにいますよ!

宇多丸:
「成人して幾年も経つ年齢」って、たかだか24歳でなに言ってんの!

それと、ご自分でもしっかり自覚はあるようですけど、どう考えてもセックスとか処女とかを、重く捉えすぎだよね。

だいたい、これはぼたさんの責任じゃないけど、いまどき処女を「捨てる」だの、逆に「捧げる」だの、日本語表現がいちいち大げさなのが問題だよな。

「あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ」的な(笑)。いつの時代のセックス観だよっていう。

そんなもんさ、実際にはただの「1回目」だよ!

もちろん、慣れてないからそこまでこぎつけるまでもひと苦労だし、その後もしばらくはもろもろスムースに行かないことも続くだろうけど、そんなの誰だってそうなわけで……、なんなら、いくら歳とって経験を重ねようが、結局は毎度毎度同じように、緊張したり焦っちゃったりもするもんだしさ。

ぼたさんは「みんなとっくにそんなことはクリアして」もっと高いレベルで悩んでるんだろう、って思ってるようだけど、いやいや! たいていの人はやっぱり、いくつになっても入り口あたりでウロウロしては、そんな自分をふがいなく感じてたりするもんで。要は、実質としてみなさん、そこまで大差はないんじゃないかと思いますよ。

ただ、一番の問題はそこじゃなくて、ぼたさんの意識が、最初から完全に、過剰に自己卑下のほうに向かっちゃってるということですよ。

「自分はブスだしデブだし頭も悪い。取り柄がない。誰かに好いてもらえるなら奇跡」とまで思っていたぼたさんが、勇気を出していろんな出会いの場に足を運んでみたら、異性から好意を寄せられることも全然あるし、そのうえで自分も、誰でもいいってわけじゃないんだな、ということがわかった……と、ここまでは全然いいんです。

ちゃんと自分から一歩を踏み出して、その経験から新たな知見を得ているわけだから。確実に前進はしてるじゃないですか。

で、とは言えまだ、意中の人にはやっぱりなかなか相手にしてもらえないことが続いたと。これだって、普通っちゃ普通のことですよね。誰だって、好きになった相手から自分も好かれ返すなんて、そうそう都合のいいことが毎回あるわけじゃない。

まぁこればっかりは運というか、例によって「ご縁」の話でもあるんで、そこで我々にできることと言えば、せめて良縁とめぐり合う確率がほんの少しでも高まるよう、できる範囲で自分磨きをするとか、そういうことしかないわけだけど……。

なのに……、なぜそこで、「自分の値段をさらに下げる」ほうに行ってしまう?

当然のように買い手市場になっちゃって、舐められるから、事実クソみたいなやつしかひっかからなくなっちゃったわけじゃん。

ご自分でも言ってるけど、根本的に「動き方を間違えている」よ!

若いんだし、ブスとかデブとか頭悪いとか言ってふてくされる前に、おしゃれする、エステする、何かに打ち込む……、やれることいくらでもあるはずだと思うんですけど。

前から何度も言ってるけど、カード交換もしないまま、たまたま回ってきた手札だけで、「こんなんじゃどうせ勝てない」とかぼやいてばかりいるようなもんでさ。

それこそ、20回も勝負したのに……って言うけど、20回とも同じ手で勝負してりゃ、そりゃ同じような負け方しかできないの当たり前じゃん。

かの有名な『101回目のプロポーズ』とか観ててもさ、「いやいや、100戦も連敗する前に、ちゃんと敗因を分析して、戦略を変えるとか、戦力アップをはかるとか、なんかしら手は打たなかったのか?」って。バカなの?と(笑)。

こばなみ:
101回目も手を変えてはないですよね?

宇多丸:
最終回のあれはでも、大富豪で「一番弱いカードが揃うと最強になる」的な、「革命」みたいなもんだから(笑)。

とにかくね、自己卑下して済ますのはやめれ!って前から言ってるよね。

この連載、バックナンバーとかちゃんと読んでる?(笑)

はなから勝負を投げてるヤツが勝てるわけないでしょう!

まず、「自分はブスだしデブだし頭も悪い。取り柄がない」で済ましちゃってたら、自分のいいところを伸ばして人に伝えるっていう、要は適切なプレゼンもできないわけじゃないですか。

こういう投げやりなこと言ってて、それでも人が寄ってくるなんていうのは、単にもともとよっぽど可愛い子ですよ(笑)。

僕はなんとなく、ぼたさんは実は、ご自分で思っているほどはブスでもデブでもバカでもないんじゃないかと思うんですよね。曲がりなりにも複数の異性からアプローチはされてるわけだからさ。

でも、もし仮に本当に、現状はわりとダメめな感じなのだとしたら……、それこそ、欠点と長所を正確に認識して、できるだけ前者をカバーして後者を伸ばす努力をしたうえで、的確にプラス面をアピールする、っていうようなことをさんざんやって、それでようやく勝負になるかならないか、って話じゃん。

でも、本来はそうやって自分の価値を高める方向に努力すべきところを、ぼたさんは、あろうことか「安くすりゃ売れるんでしょ」とばかりに、100円ショップで自分を叩き売るようなことをしちゃったわけですよ。

そんなことしたら、そりゃあ買い手はつきやすいかもしれないけど、100円均一商品なりの扱いしかされない、ってことにもなっていっちゃうじゃん。使い捨て前提っていうかさ。

実際、それでぼたさんは余計に傷つく思いをしてしまったわけで。

そのすべては、「自己卑下に逃げ込んで済ます」考え方から来てるんだと思いますよ。

こばなみ:
まずは、自分を高める努力をしようってことですよね。

宇多丸:
値下げ作戦が有効な人というのがもし仮にいるとしたら、もともとちょっとお高く見えすぎて、手が出ないと思われがち、みたいなタイプですよね。

とにかく、セックスをするとかしないとか、処女をどうするこうするっていう、その一点にこだわりすぎ。それもまぁ、ひとえに若さゆえ、なのかもしれないけど。

でもやっぱり、そんなことばっかウジウジ考えてるより、もっと広い視野で、ちゃんと人として魅力的な女性になれるよう心がけて生きていく、ってほうが……、当然人生はより豊かになってゆくし、人にだって好かれるだろうから、そこに質の高い恋愛体験が入ってくる機会だっておそらくは増えてくわけで……、本来はやっぱり、そういうところをこそ目指すべきなんだと思うんですけどね、誰だって。

こばなみ:
「性欲の部分を取り除けたらもっと人生楽なのにな」って、そこが原因じゃないですよね。

あと「求めてる癖に、どんどん男の人に対する憎しみが深くなっていきます」ってのも、マズいので至急やめたほうがいいのでは?

宇多丸:
ぼたさんの悩みは明らかに、単純な「性欲」って括りからきてるようなもんでもないしね。

まぁ、その年下の男とのやりとりで受けたショックがやっぱり大きいんだろうけどね。

個人的には正直、彼の最後のその返信、単に照れ隠しでしょーもない余裕ぶっこきポーズを取ってみただけで、そこまでぼたさんをコケにするという意図は別になかった可能性もあるのでは?って気はしますが……、少なくとも、即断できるほどの内容かな、とはちょっと思わなくもないけど。

もちろんそいつも、しょーもないは間違いなくしょーもないんで、そこに固執することもまったくないと思いますが。

言うまでもなく男ったっていろんな人がいるし……、男女問題に限らず、乏しい知識やサンプルをもとに「ある集団一般」に対するヘイトをため込むとか、マジ不毛の極みだから!

まぁね、経験があまりにもなさすぎて自信がないから、まずは手ごろなところで最初の一歩を踏み出して、せめてスタートラインにつきたい……みたいな発想自体は、理解できなくもないんですよ。

それこそね、北方謙三の有名な「小僧ども、ソープへ行け」っていうフレーズだって、要はそういうことを言っているわけだから。

ただね、北方先生には申し訳ないけど、あんまり手段選ばずの経験至上主義っていうのも……、もともとコンプレックスを解消するためのアクションだったはずなのに、「オレは結局、風俗でしか童貞を捨てられないのか……」とか、「アタシは結局、どうでもいい男相手に処女を投げ売りするしかないのか……」みたく、かえってコンプレックスをこじらせてしまいかねない危険性も、実はけっこう大きいと思うんですよね。むしろそこに陥っちゃうような人のほうが、全然多いんじゃないかって気がするくらい。

ぼたさんだって、まさにそういう負のサイクルにはまりかけてるわけでしょ。

だから僕はやっぱり、もっと正攻法の戦い方……、「自分を高め、人生を豊かにするための努力を地道に重ねて、そっちでプレイヤーレベルを上げてゆく」というような方向に、発想や労力を転換してくことをおすすめしたいですね。

こばなみ:
もったいないですよ。ダイエットなんて、24歳だったら代謝もいいし、すぐできますし!

宇多丸:
実際ぼたさんはさ、どうやら誰でもいいってわけじゃないんだとか、がっつきすぎてもダメなんだとか、ボロボロになりながらも、ちゃんと学習してるんだからさ。

で、自分だけではどうにもならなくなって、こうやって人に相談もしてる……って、全然まっとうな成長のプロセスじゃん!

まして24歳なら、そんなのまるっきり、普通だよ!

ぼたさんは「自分だけが特別にダメなんだ」みたいに思いがちっぽいけど、そんなわけないじゃん。

痛い目に遭って傷つくのも普通、どうしていいかわからなくなるのも普通。なにも特別なことじゃない。

むしろ、ぼたさんの人生全体を本当にいい意味で「特別」なものにできるかどうかは、ここから先の選択次第でもあるわけで。

痛みすらも糧として先に進むのか、それとも、「どうせ」思考で壁を作って防御的に生きるのか。

もちろん、あえて後者を選ぶ、という生き方だってあるわけだし……、あとはまぁ、自分でその都度よく考えてみてくださいよ。

とにかくね、処女だろうがなんだろうが、セックスはセックス! ただの経験に乏しい1回目、ってだけですから。

にしたって、もうちょっとマシな相手はいるでしょうけどね(笑)。

こばなみ:
結果的に、この男とヤらなくてよかったですよ!

自分磨きもきっと楽しめると思うので、ポジティブ変換を願ってます~!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年11月18日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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