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田舎だしアラフォーデブスだし出会いがありません。八方塞がりです……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室67】


✳️今週のお悩み✳️

アラフォーになると出会いがことごとくありません。特に田舎は結婚が早いので同世代はもう家族持ち。結婚を10年超える友達ばかり。出会いがないと言うと、出歩け!外の出ろ!と言われますが、外に出て何かを始めても何の変化も生まれません。むしろ、ひとの幸せが目についてしょうがない感じです。婚活の話題は東京中心、独身であふれてる街の話でピンとこないことばかり。地方は何もないんです。 出会いを見つけるって大変なことなんですが、やっぱり結婚したい。子供が欲しい。アラフォーデブスがどんなに頑張っても見てくれる人はいません。八方塞がりです。アドバイスをください。
(まりりん・38歳・新潟県)


宇多丸:
最初に言っておきたいことがある!
 「アラフォーデブスがどんなに頑張っても見てくれる人はいません」……自分でこんなこと言ってちゃダメだよ! 
だって、ハナから勝負を投げてますって、自分から宣言しちゃってるようなもんなんだもん。
「八方塞がり」って言うけど、そのうち何方かは、明らかに自分で塞いじゃってない?

例えば、デブってご自分で仰ってるけど、「どんなに頑張っても」って言うくらいなら、継続的な運動や食事制限、それもそれなりにハードなメニューに挑んでみたりとか、ちゃんとしてるんでしょうね? 
まさか、前にもそんな話ありましたけど、三十路越して特に何もしてない、なんなら食っちゃ寝してるだけなんだからそりゃ太るのも当然なのに、焦るフリしたりボヤいてみせたりだけは年中欠かさずやってるっていう、そういうよくあるウザ~いパターンじゃないでしょうね……!?

こばなみ:
ギクリ……。そうなんですよね、ダイエットって本気でがんばれば結果がでるもんなんすけどね、なかなか……。あ、でもこれは極端な例ですが、元後輩が久々に会ったら1年かけて35キロくらい痩せてて、別人になっとりましたよ。

宇多丸:
ブスっていうのもさ、それが一応ホントだとして、ブスはブスなりにそれをカバーする努力とか、全力でしてます?

これも前に言ったけど、メイクの正しいやり方を勉強するだけでだいぶ違うだろうしさ。
洋服だって、今は安くて可愛いのが新潟だろうがどこだろうが余裕で買えるはずなんだから、せめてそっちのセンスだけは磨いておくとかさ。
それこそ姿勢良くするよう心がけるだけだって、見え方全然変わってくるから。

とにかくブサイク分を補うためにやれることって、無数にあるはずなんですよ。
それ全部ちゃんとやった上で言ってんの?っていうさ。
アラフォー「だから」恋愛できないなんて決めつけはやめたほうがいいよ、という話も、前にしましたしね。

こばなみ:
これまでの回答の集大成的な感じでもありますね。過去記事をぜひ参照くださいませ。

宇多丸:
僕も、アラフォーどころか今やアラフィフの男ブスとして言わしてもらうけどさぁ。
ポーカーで言えば僕らは、最初に配られたカードがあんまり良くなかった人たちなわけでしょ。

だったらどうするの? 
手持ちのカードをベースに作れるマシな役をいくつか考えて、それが出来上がるまで、どんどんカードをめくっていくしかないわけでしょ?
最初はいわゆる「ブタ」だったかもしれないけどさ、何度かカード交換するうちにワンペアくらいは出来るかもしれないし、もっと頑張ればツーペアからスリーカード、上手く行けばフルハウスくらい狙えるかもしれないよ?

しかも、幸いなことにこのゲーム、寿命が続く限り何枚カードめくってもいいってことなんだからさ!
 僕はだから、頭使ってできるだけいい役狙って、時には実際に出来てる手以上のはったり勝負に出たりもして、投げずにゲームを戦ってるつもりですよ。今んところ結構善戦してると思うんだけど。

で、この例えで言うと、まりりんさんみたいな態度の人はさ、カード交換もせずに最初に配られたカードが悪いってボヤいてるだけって感じなんですよ。
勝つとか負けるとか以前の問題っていうかね。

逆にね、最初に配られた手札がわりと恵まれてても、そこに甘えて頭を丸っきり使わないと、結果として勝負には勝てない、ということだっていくらでもあり得るわけですよ。

例えばさ、アラフォーどころか、アラフィフ、アラカン(還暦)までいっても、まだまだ全然キレイなままの女優さんとかいらっしゃいますけど。
あいつら、みなさんみたいに寝っ転がってポテチかじりながらテレビばっか観てて、ああなってると思います? 
……狂ったように努力し続けてるに決まってるだろ! 
もともと手持ちのカードがいいこと以上に、そここそがそのへんの「若い頃はモテたんでしょうねぇ」な人たちとの最大の差なんですよ。
もちろん金もかかってるだろうけど、そこも含めて彼女たちの労力だからさ。
「え~別に何もしてません~」とかいうのはただのカマしなので素直に信じちゃわないように!

とにかく、デブだブスだアラフォーだ、あるいは地方在住だでもいいですけど、いちいちハンデ的な条件を挙げて言い訳にすることは、誰にだって無限にできちゃうわけでね。
それをやってるうちは何ひとつ具体的には解決しないと思いますよ。

ただまぁ、僕もそういうところちょっとあるから気持ちはわからないじゃないけども、そうやって過剰に自己卑下することで、結果が出ないことに対する防衛線をあらかじめ張ってるってとこもあるんだよね、たぶん。
人生に対する期待値を相当低めに設定しておけば、能動的に動かないぶん、すっごくいいことはそんなに起きない代わりに、決定的に傷つくのも避けられるっていう。
「八方塞がり」という安全壁の中に閉じこもってるとも言えるかもしれない。

こばなみ:
しかしながらまりりんさん、はっきりと「結婚したい」、「子どもが欲しい」と言ってるので、やる気はあるんじゃないかと。

宇多丸:
同世代でちょうどいい相手がいなくなってる問題ってのは確かにあるんだろうけどね。
ただ、アラフォーくらいになると今度は、そろそろバツイチが増えてくる頃でもないですか?
 日本の今の離婚率からしても、まりりんさんの周りにもボチボチそういう人が出てきてるはずなんですよ。
つまり、二度目のサイクルが来てる可能性もあるわけだからさ!
その点でもやっぱり、年齢を理由に引っ込み思案になってしまうのは、ちょっともったいないかもしれない。

念のため言っておくけど、お見合いだってバカにしないでちゃんと選択肢に入れておくようにね!
 それにさ、いまどきは新潟でだって、街コンとかそういう催し、ちょいちょいやってたりするんじゃない?

こばなみ:
ちょっと検索したらいろいろ出てきましたよ!

宇多丸:
どうしても新潟にいい男がいなかったとしても、東京でもどこでもいいけど、もっと賑わってるとこにちょいちょい遊びに行きゃあいい話じゃない? 
一応名目上は「女磨き」ツアーってことでさ。

そもそも、30代後半の独身女性が結婚前提の交際相手を探している……ということに対する世の中の理解も、昔とは比べものにならないくらいある状態なわけでしょう。
それこそ「アラフォー」とか「婚活」とかって言葉が広まったおかげもあると思うんだけど。それはそれでフツーのこと、とみんながいつの間にか思えるようになったというかさ。
とにかく、昭和に比べたら何万倍も開けた社会になってるはずなんだからさ。

百歩譲って本当に「地方は何もない」のだとしても、今はインターネットだってあるんだし、例えば趣味を通じてとか、意気投合できる相手を見つける窓口はいろいろあるはずだと思うんだよなぁ。

もしもそういう、趣味でもレジャーでもなんでもいいんだけど、きっかけになるような「何か」すらないんだとしたら……、キツい言い方するようだけど、「何もない」のは新潟という地方じゃなくて、実は自分自身なんじゃないか?とは改めて考えてみたほうがいいんじゃないですかね。

これも前に出た話題だけど、誰だって受動的に「面白いこと待ち」ばっかしてたら、そりゃ人生は先細りしてくに決まってますよ。
自分の生活に対する「なんもない」「面白くない」なんて愚痴は、全部自分自身に返ってくるブーメラン形容詞だと思ったほうがいい。
大事なのは、それを「見出す」「感じる」能力のほうなんだと思います。

こばなみ:
逆に何か行動を起こせば、何かは絶対起きますからね。それが直接男性との出会いじゃなかったとしても、楽しかったな!とかドキドキしたな!とか、現状からの変化はあるはずですもんね。

宇多丸:
時には起こせよムーブメント!
 
とは言え、一番最初、エンジンをかけるのが大変なんだよなぁ……。一緒に頑張れるお友達でもいればいいんだけどねぇ。
とりあえずライザップでも行っとく?

こばなみ:
あ、一緒にダイエットしましょうよ!! 私、iPhone女子部のなかに「本気のダイエット部」をつくりたいなって思っていて。現状を報告し合って励まし合う。どうですかね?

宇多丸:
いいじゃん! これぞインターネットの恩恵!
 それにさ、女の人って、特にスタイルに関しては、男ってより対同性の目を気にするじゃん?
 その意味でも女友達と一緒のほうが、切磋琢磨していきやすいんじゃないかと。

こばなみ:
まりりんさんがどれだけぽっちゃりかはわからないけど、痩せると確実に自信につながりますからね。私も痩せたい~! とくに腹まわり!!

宇多丸:
そんな感じでちょっとお腹がヘっこんだけで、「八方塞がり」の少なくとも一方はもう、ちょっと開いちゃってる感じじゃない?
 だったらあとは、そこからさらに一歩踏み出すだけじゃん!
 「本気のダイエット部」、結成のあかつきにはぜひ参加してみてくださいよ。

要はね、モテるとかモテないとか、結婚できるとかできないとか、そういう、外部要因も関係してくるようなことはもっと後で問題にすりゃいいことでさ。
一番肝心なのは、「自分が好きになれる自分でいれるかどうか」ってことだと思うんですよ。
体型にしろ服やメイクにしろ……、いや生き方から何から、全部そうでしょ。

逆に言えば、そこが達成できてれば、他は別にどうでもいいじゃないですか。
それこそ太ってたって生涯独身で子供いなくたって、いや、寝っ転がってポテチがじってテレビばっか見てるだけだっても、我が生涯に一片の悔い無し!って言えりゃあ、それでいいんだからさ。

相談文には「ひとの幸せが目についてしょうがない」ってあるけど、それだって、たぶんまりりんさんが、「自分にとって幸せな状態」を能動的に作り出す方法――それこそ趣味やレジャーだったり、嗜好品やペット、人によっては仕事っていう場合もあるだろうし、逆にもっと取るに足らない日常的な「セッティング」、例えばただの散歩や食事や入浴だったりもするわけですが――を、自分でもまだあんまりよくわかってないからなんじゃないか、って気もするんです。

だからやっぱり、たとえさっき言ったような自己防衛的な機能があるのだとしても、やたらと自己卑下して済まそうとしているのが、僕には一番の問題に思えるなぁ。
せめて自分のことは好きになってあげようよ! 人から好かれるのはそこから先の話だよ。

こばなみ:
でも、もしかしてまりりんさん、そうは言ってるけど、会ってみたら全然違ったりして!? 謙遜してるとか!?

宇多丸:
全然デブでもブスでもねぇじゃん!とかね。
客観的に見たら、まさしく「過剰に」自己卑下してるように見える可能性もあるよね。
本人的には本気で言っててもね。

でもね。
だったらなおさらだよ!

さっきのポーカーのたとえで言うならさ、ロクにカードも交換せずに「もう、全然ダメ! 降りる!」とか言ってんだけど、よくよく手札を見せてもらったら、「お前、いきなりツーペア来てんじゃん……、な~にが全然ダメ!だこの野郎、こっちは何枚めくってもまだブタだぞ?」みたいな。
わざと言ってんなら油断ならねぇヤツだってことだし、本気で言ってるなら「えーと、バカなの?」ってことになっちゃうじゃんよ。

なんにせよさしあたっては、自分の手持ちカードをもっと冷静に分析することから始めるべき、ってことじゃないですかね。

まぁとにかく、たった一度の人生、どうせ誰もが手持ちのカードでなんとかするしかないんだからさぁ。
文句ばっかつけて終わるより、せめてその中でベストを尽くそうとするほうが絶対楽しいし、ハタから見てても間違いなく魅力的だと思うけどなぁ……。



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2014年10月25日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。



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