見出し画像

アピールが激しい人にムッとしてしまう私は心が狭い? この嫌な性格を直すにはどうしたらいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室479】


✳️今週のお悩み✳️
私は心が狭いのでしょうか?
仕事でも友人関係でもそうですが、私がやりましたアピールが激しい人に対して、ムッとしてしまったり、たいした話じゃないのにそんなにアピールしなくてもよくない?など思ってしまうことがたびたびあり、そのたびに私は心が狭い、私は嫉妬しているだけなのかな、など落ち込みます。落ち込むわりにまたそうケチをつけたくなってしまい、また落ち込みます。この嫌な性格を直すにはどうしたらいいと思いますか。
(R子・45歳・会社員・東京都)


まぁ、話を聞いてると結局これ全部自慢話だな、っていうこと、たしかにありますよね(笑)。

もちろん、人間そうなるタイミングがあるのはある種仕方ないことだと思うし、自分だって無意識にそうなってるときはいくらでもあるだろうし……そもそも自己アピール自体、悪いことってわけじゃないはずですからね、本来はまったく。

でも、それをそばでずーっと聞かされ続けると、やはりどうしてもイラッとしてきてしまうという心情も、当然よくわかります。


宇多丸さんは、そういうときどうしてるんですか?


うーん、基本的にはさっき言ったように「人間だもの」精神でやりすごす、っていう感じだと思いますけど……。

こばなみはどうですか?


うまく流せないときはあるかもしれない。自分のコンディションが悪いときとか。
はいはいはいはい、ってやればいいんだろうけど。


でもそこで、せっかくいい気持ちになってるとこに水差すようなことをわざわざ言うのも、なんかねぇ……それはそれでやっぱ明らかに、おとなげない感じがしちゃいますよね。


それで相手を傷つけたーと思って、自分で勝手にこじれたーってなるパターン、あるあるですね。

でもそもそも、なんでそういうふうにアピールするかっていうと、承認欲求が満たされてないから?


まぁ、そうなんじゃないですか、普通に。
ただ、誰だってそうっちゃそうでしょうからね、それって。

たぶんだけど、なんで聞かされる側はイライラするかというと、まさにその「誰だってそうっちゃそう」ってところが根本なんじゃないですかね?
要は「そんなこと言ったら自分だっていろいろ褒められたいことはあるのに」って、むしろこちらの承認欲求が刺激されだしてしまうから、本来ならただほっとけばいいのは頭ではわかっていても、どうしても何か一矢報いたい気持ちが湧いてきてしまう、だけどそれをホントに口に出しちゃうとそれはそれでちょっとみっともないのもわかってるから実際にはやはり何もできず、さらにイライラを溜め込むことになってしまう……まぁだいたいこんな構造なんじゃないですかね、おそらく。

そして、そう感じることがあるのは、R子さんだけでは絶対にない。
ほぼ全員、身に覚えがある感情の流れだと思いますよ。

だからこれ、よろしくない性格を根本的に直すべきとか、そういう話ではまるでないんじゃないんですかね。
あえて言えば、生じてしまったイラッ!を、いかに健全に解消してゆけるか、ってことじゃない?
この件に限らずですけど、いろいろ「感じてしまう」のは生き物として仕方ないことなんだから、無理に止めたり自己否定に向かったりするのは非常に良くなくて……問題はそれをどうコントロールするか、ということなんだと思います。

僕個人はそういうとき、あくまでその場のモヤモヤを和らげるための対症療法でしかないと言えばそうなんだけど、とりあえず相手のアピールを素直に認めてあげる、つまり本気で「なるほど、たしかにすごいね!」と思うようにする、なんなら積極的に褒める、というのを心がけてますかね。

要は、R子さんもそう自己分析されている通り、これもまた妬み感情の変形、みたいなものではあるわけだから。
そういうときは、さっさと相手のことを認めちゃったほうが、気も楽になるしこっちの勉強になるとも言えるしで、逆に実質の損は何もない、と思うんですよね。

それに、人のことを褒めるって、気持ちいいことでもありますからね。
さらには、人の長所をしっかり認めてちゃんと言葉にもする人って、絶対嫌われないでしょ? 
つまり、結局は自分のためにもなるんですよ、そのほうが。

ただ、これはあくまで理想論でもあるのでね。
それこそ人間だもの、本当に気の置けない者しかいない場などでは、多少のガス抜きは必要かもしれません(笑)。


褒めたり、ガス抜いたり、どっちも適宜やってく感じですかね?


いや、でも!
表ではめちゃくちゃ褒めるのに陰口はしっかり叩く人、って、印象サイアクだからな(笑)。
褒めるなら褒める、本気でそう思う!というのが肝心かもしれないです、マジな話。

あとはもう、「なんでも率直に言う人」になってくか、ですよね。
おなじみの自慢タイムが始まったら速攻で「は~?」っつって(笑)。


面と向かって「は~?」って言えたら、相当仲良しですよね。


「はい、ごちそうさま~! いやいやホントに大したもんだとは思うけど、もう10分もその話ばっかりしてるからさ、さすがにしんどいわ~!(笑)」とかって。


何でもオモシロで切り返せたら解決、っていうやつですね。


そうそう。普通だったらぶしつけな率直発言も、要はユーモアの域まで持っていけてれば、アリになったりすることもある。言うまでもなく、対象との関係性にもよりますが……。

「ホントすごいねぇ……でもごめん、途中から聞いてなかった!(笑) 長いんだもん!」くらいスカッと言えるなら、陰口よりはずっと気持ちいいかもですよね、全員にとって。
ただまぁこの方向は、言う人のキャラクターとか立ち位置が、かなり限定もされますからね。
ヘタすりゃ致命的な大惨事になる可能性も、なくはない。

だからやっぱり一番のおすすめは、褒め上手作戦ですよ。
結局は自分の得にもなるし、ハタから見たら人徳までアップ……ダブルのトクがついてくる!

第一、褒めて褒めて~!なんて、子どもみたいで可愛いじゃない?
それに対して、自分はそう思えるだけの余裕ある大人なんだ! 偉いぞ自分!と、自分で自分を密かに褒めてあげることも忘れずに。
そうこうしているうちに、いずれそこに気づいて褒めてくれる誰かも、出てきたり出てこなかったり……まぁそこは期待しすぎは禁物だけども(笑)。

いずれにせよ、R子さんの感情的反応はめちゃくちゃよくあるものなので、とくにご自分を責める必要はまったくないと思います。
そこを根本から解決するというより、うまく付き合ってゆけるといいですよね、くらいの感じで行けばいいんじゃないですかね?


私ももうちょい余裕ある自分になって、褒め上手になる! 
あ、でも褒め上手になれば余裕が出るってこともありますよね!?
まずは行動から変えてみようと思いまーす!




【今週のお絵描き】


画・宇多丸


↓↓↓ バックナンバーもチェック! ↓↓↓



【全国書店やAmazonで発売中】
「ライムスター宇多丸のお悩み相談室」、ついに書籍化!! 幻冬舎より発売中!
執拗に、フェアに、意外と優しく、時に興奮しながら、とことん考え答えた人生相談34!
★詳しくはこちら


<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:55の生放送)をはじめ、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

アルバム『Open The Window』リリースツアー大団円、豪華ゲストと新たな境地に挑んだ17年ぶりの武道館公演が映像化!
Live Blu-ray / DVD『King of Stage Vol. 15 Open The Window Release Tour 2023–2024 at 日本武道館』発売中!! 詳しくはこちら


こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



最後まで読んでいただきありがとうございます!! 新着記事はX(Twitter)でお知らせしています☞