38歳で初恋! 結婚願望はないけど、もっとディープな関係を築きたい! どうすればいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室219】
✳️今週のお悩み✳️
いつも楽しみに拝見しています。38歳にもなって初恋をしてしまい、それがどうも脈なしであるという相談です。かつて男性と付き合ったことは何度かあったんですが、どれも関係を続けるほど私が相手を好きになることができず、結局全部私からお別れする形で終わりました。自分は人を好きにならない人間なのかも……と思っていたところ、3年前に中途入社した現在の職場で、同僚の10歳も年下の男性に「この男が気に入った!」という初めての感情を抱きました。彼は地味で奥手な感じの人で、私と趣味や感覚がとても合い、話しているとほかの人では得られないようなピッタリくる感じがあり、彼の前では自分をまったく偽らずにいられ、ぶっちゃけもうメロメロです。勇気を出して二人だけの飲みに誘うとOKされ、今まで6回ほど食事をしたあとバーで飲むというデート(?)をしました。毎回盛り上がり、明日の仕事がヤバいギリギリまで話し込みました。結婚観や好みのタイプなど突っ込んだことも互いに話したりもしました。が、私が誘うと必ず「行きます」とのってくるわりに、彼から誘われたことはありません。「店とかくわしくなくて、連れて行ってもらってばっかですみません」とは言っていますが。さらに彼は年下好きを公言しており「年下ならもう誰でもいいから付き合いたいっすわ」などと言っており、彼と付き合えたらいいなと夢想する一方で完全に脈なしだと思ってはいます。しかし私としては好きだから欲情するので、付き合うのが無理ならセックスだけでいいからしたいなーと思うのですが、奥手そうな彼が簡単に乗ってきてくれるとも思えませんし、そういうお楽しみに持ち込むには私の好きが重すぎ、大体私自身が奥手であり、そんなかっこいい関係に持ち込むテクニックもありません。私には結婚したいという欲求が全然なく(結婚は好きな人と暮らすのに社会的に便利な制度、くらいの感覚)、子どもが欲しいという気持ちもありません。私はただ、生まれて初めて私が見込んだ男である彼と、よくわかりませんがなんというか、今よりもっとディープに楽しみたいのです。好きだと告白して、結果いいにせよ悪いにせよスッキリしたいとも思うのですが、その勇気が出ません。もうどうすればいいのかわからなさすぎて、彼の前では完全に挙動不審です。受け身ゆえの奥手女子として、40年近くほったらかしておいた乙女心に今まさに逆襲されている気分です。人を好きになるとこんな精神状態になるのですね。私を好きになってくれた僅かな男性方に土下座して謝りたい。私はあなたがたにもっと優しくすべきだった……。宇多丸さん、こばなみさん、趣旨のはっきりしない相談ですが、どうかご助言をお願いします。
(ヘレニズムともこ・38歳・京都府)
宇多丸:
「人を好きになるとこんな精神状態になるのですね。私を好きになってくれた僅かな男性方に土下座して謝りたい。私はあなたがたにもっと優しくすべきだった……」
ここ読んで、僕はちょっと泣きそうになっちゃいましたよ。
誰かを好きになったことが本人の人間的成長にもつながっているというケースの、これはひとつの理想形じゃないですかね。
人の痛みをひとつ知ったというだけでもうじゅうぶん、「この恋、元とれた!」ってことだろうし、そもそもそういう風に考えられる時点で、ヘレニズムともこさんは、とても素敵な人だと思いますよ。
やっぱこう、イイ歳した大人が、慣れない恋を前にカッコつける余裕もなく全面降伏!してる姿って、可愛いし美しいよね(笑)。
と同時に、ヘレニズムともこさんは、ご自分が望んでいることを、わりと冷静にというか、理知的に自己分析もされてますよね。
結婚や出産願望は別になくて、付き合いたいは付き合いたいけどそれが無理ならセックスだけでもいい、要は「友達以上」の関係になりたいんだ、という……。
ここまではっきりどうしたいのか自分でわかってるなら、解決の糸口も比較的簡単に見つかるんじゃないかって気もしますけどね。
こばなみ:
具体的にはどうします?
宇多丸:
とりあえず、毎回ついつい長めに一緒にいてしまうってくらいなんだから、お互いめちゃめちゃ気が合ってるのはたしかなわけじゃん? 「オレたち、チョー気が合うよね!」っていう認識も、おそらく共通して持ってる。
つまり、それが恋愛感情まで行くかどうかは別にして、彼もヘレニズムともこさんに、他の人より一段高い親愛の情を抱いているのは、まず間違いなさそうなわけじゃん?
だとしたら、少なくともヘレニズムともこさんに好かれるの自体が嫌だってことは、まずないと思うんですよね。
しかもこちらは、付き合って!的なプレッシャーをかける気もなくて、ただただ距離をもうちょい縮めたいだけ、その一環としてできればセックスしたいだけっていう、言ってみれば比較的あっちの負担は軽いようなことしか望んでいないわけだからさ。
越えるべきハードルとしては、まだ低いほうじゃない?
彼の年下好きアピールもねぇ……、そこまで真にうけるような発言なのかどうかもわかんないし。
こばなみ:
「どういうタイプが好きなの?」とか聞かれて、ただ言ってるだけってパターン、多いですもんね。実際には別にそこまでではないっていう。
宇多丸:
でも、そうやって口にしてしまうことで、それ以外の可能性をあらかじめ潰してしまうってこともあるわけだからさ。みなさんも、日頃からあんまり軽々しく、タイプタイプ言わないほうがいいと思いますよ。個人的には、なんかガキっぽいとも感じるし。
そういうのは、まさにその「タイプ」が目の前に来たときに、満を持して投下してナンボだよ!
まぁ、万が一その彼の嗜好っていうのが、「いや~オレ、ガチロリなんすわ!」的なことだったら、そりゃもういろんな意味でどうしようもないけど……(笑)。そこまでだったらむしろ、諦めもつくでしょ!
でもホント、向こうに恋愛感情があるかどうかは置いといても、わりと奥手だけどバイブスはばっちり合ってる20代後半男性を、飲みの流れでなし崩し的に「寝ワザ」に持ち込むってこと自体は、それほど難しいことじゃないんじゃないかな、って気がしますけどね、やっぱり。
「彼から誘われたことはありません」っていうのも、単に「ホントに奥手だから」ってだけのことじゃない?
「店とか詳しくなくて、連れて行ってもらってばっかですみません」とも言ってるんだからさ。これ、たぶん本音でしょ。
こばなみ:
このまま会い続けて、明日の仕事がヤバいギリギリまで話し込み続けていたら、自然とそうなる気もしないでもないですが……。
宇多丸:
あのー、これはちょっと、提案するのも恥ずかしいんだけど……。
お互い適度に酩酊したたところで、
「◯◯くんが年下好きだって言ってるのは知ってるし、付き合ってくれというんじゃないけども… …」
と相手を怖がらせないよう予防線を張りつつ、
「ただ、私は◯◯くんと今より深い関係になりたいし、ぶっちゃけ性的魅力も非常に感じているので… …」
「ちょっとチューしていい?」
と、聞く!
こばなみ:
ホッホ~!
そっから先は?
宇多丸:
仮にベロチューまでしっかり行ければ、後は話も早くない?
こばなみ十八番の袖引っ張りを駆使しつつ(笑)、とっととホテルに引きずり込むとか(笑)……、もしくはこれ以上ないほどストレートに、「後から面倒くさいこと言いだしたりしないから、一回してみない?」って提案しちゃうのも、ナシではないと思うし。
まぁ、いきなりそこまで大胆に行かなくとも、「チューしていい?」とか、「手を握っていい?」とか、そういうライトなところからじわりじわり距離を縮めていく、というのはひとつ手ではあるよね。
で、「良かったら、今夜はもううちに泊まっちゃわない?」とか。
昔の男のやり口みたいなもんですよ。「なんもしないから!」っていうやつ(笑)。
で、いったんは「布団も別にするから~」つって寝るんだけど、結局「……そっち行っていい?」みたいな(笑)。ハズカシ~!
でも実際さ、チューしました、手をつなぎました、同じ布団で寝ましたっていう直接的なスキンシップの積み重ねは、ロクに恋愛経験もない野郎の寝言同然の「好み」なんか、一気に吹き飛ばすほどのパワーがありますから、やっぱ。
身体感覚のマジックっていうか……、それこそ、ヤッてみたら好きになっちゃったとか、全然あるわけじゃん?
こばなみ:
重くないからっていうのを先に言うっていうのは、本当にポイントですね。
ヘレニズムともこさんのこの38歳という年齢って、相手が若かろうが同年代であろうが、付き合う → 結婚って考えてると、デフォルトで思われがちなんですよ。私も経験あり! 本人はそんな重たいつもりじゃないんだってば!
宇多丸:
まぁ、「ヤッてみたら好きになっちゃった」があり得るということは、ヘレニズムともこさんが、現状のクールな割り切りスタンスをその後も絶対にキープできる、という保証もまたないわけだけどね……。
ただ、ひとつ思うのは、今回の一件でヘレニズムともこさんは、「人を好きになるとはどういうことか」を、身をもって知ったわけでしょ。
そのことで、他者に対する想像力も、飛躍的に働くようになった。
だったらここから先は、人への共感力が上がったぶん、さらに誰かを好きになる余地も、格段に広がった、ってことなんじゃないかな?
たとえば、次に誰かから好意を寄せられたときには、その人の気持ちを慮ることができるようになったぶん、「こんなにも自分のことを好きでいてくれるなんて……、好き!」という風に、自分も好意を寄せ返す可能性が、だいぶ上がったんじゃないかと。
そしてもちろん、そもそも「他者への思いやりがある人」は、モテる!
つまり、「人が好きな人は、人からも好かれる」という好循環のなかに、ヘレニズムともこさんは、ついに入ろうとしているってことなんじゃないか。
こばなみ:
どっちにしろ、いいことしかない!
宇多丸:
ヘレニズムともこさんは、すでにこの恋愛の経験からしっかり学習して、人間的に成長してますからね。
どんな結末が待っているにせよ、あなたにはプラスしかないですよ。
まず、ここまでほぼほぼ無風で来た人が、いきなりこうまで思える相手を見つけられた、っていう事実自体が、ものすごくラッキーなことだと思うし。
こばなみ:
同世代としても、とてもうらやましい!
とにかく相手を怖がらせずに、素直に優しく、レッツ・チュ~!!
事後報告、待ってますよー!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年12月9日に公開したものを再編集し、掲載しています。