妊活しつつ管理職をこなしたいけれど、両立が難しい。こんなとき、どうする? 《ライフステージ編-3》
リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。
そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
管理職を打診されたタイミングで、すでに妊活を始めていたことがミナトさんの悩みでした。内容が内容なので、誰にも言えず抱え込みますが、社内の人事部の女性部長に思い切って相談することに。それで解決の糸口が見つかります。
妊活と管理職を両立できるか? 不安が多いけど、男性上司には相談もできない
管理職のオファーが来たとき、すでに妊活中。頭の中には、「両立は無理なのではないか……」という大きな不安がありました。一番恐れていたのは部下に迷惑をかけること。物理的に通院の時間をとることが必要になってくるので、業務上で迷惑をかけたり、「頻繁に病院に行ってるけど、何かの病気なのかな……」と心配をかけたりすることがとても怖かったのです。
やっぱり妊活となると、会社で誰かに相談するにも抵抗があります。仕事に関する相談事は元上司によくするのですが、今回はかなりプライベートかつセンシティブな内容。話せば受け入れてくれたとは思うのですが、男性であるその方に相談するのは気が引けていました。
信頼できる社内の女性に思い切って相談。背中を押されて部下に事情を話すことに
一人で頭を抱えていたところに、女性の人事部長から、社で携わっている女性活躍推進にまつわるイベントへの出席を打診されました。そのメールをきっかけに、思い切って相談してみることにしたんです。
部署も違いますし、ほとんど接点がない方。いきなり妊活の相談をするのは少し勇気がいることでした。でも、社内での信頼も厚く、この方なら理解を得られるのではないか……。思い切ってコンタクトをとりました。
「チームメンバーに直接話してみては?」。人事部長にもらったアドバイスです。話しても迷惑なんじゃないか、困るんじゃないか、言わない方がいいんじゃないか。漠然とした不安が頭を駆け巡っていたのですが、その方と話しているうちに、気持ちが楽になりました。
育児中の社員が、子どものお迎えで勤務時間を調整することはよくある話。それくらいの感覚でいいのでは?と思えるように。この方のおかげで勇気を出してチームメンバーに事情を話すことができました。
働き方をフレックスに変更し、妊活の予定に合わせてスケジュール調整
「話してくれてありがとうございます」「できるだけフォローするのでがんばってください」。結果的に、チームメンバーには理解を示してもらうと同時に、励ましの言葉も。全員の気持ちがスッキリする形で事なきを得ました。
その後は、会社と相談のうえ、働き方をフレックスに変更。コアタイムにメンバーとの打ち合わせなどを集中させ、朝と夜は一人でやる作業に当てるなどして調整。妊活にまつわる通院などの時間を最初におさえてから、仕事の予定をスケジューリングする形で進めています。
正直、ラクではありません。たまに業務時間外にコソコソ仕事をすることもあります(笑)。でも、なんとかうまく回っています。
一人で抱え込んでいても前に進まない。そんなときは言いづらいことでも思い切って信頼できる人に相談した方がいいと思いました。
話をしないと道が開けない。軸になるのは、何より自分を大切にすること
今回の一件で学びになったのは、もっと「自分を大切にするべき」ということです。
ひとりで抱え込んで無理をしないことはもちろん、自分にとって最善と思える選択をすることも同様。「妊活」と「管理職」の両方をとることで、私は自分を大切する選択をしたのだと思います。
簡単な道ではありませんし、現在、社内でその両立をした人がおらず、私がファーストペンギン。手探り状態で苦戦することも多々あります。
でも、「妊活」に限らず、育児や介護など、個人のやむを得ない事情で仕事との両立に悩むことは誰にでも起こり得ること。私のこの経験を活かし、お互い様でカバーし合いながらチームみんなで働いていく。そんな体制を整えていきたいと考えています。
イラストレーション:高橋由季