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「女性活躍」と言いつつ、働き続けていないと不利な状況にモヤモヤ。こんなとき、どうする? 《ライフステージ編-2》

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

ライフステージやライフスタイルが仕事の評価に影響してしまう現状にモヤモヤしていたきなこもちさんは、社内でさまざまな取り組みを実施。病気や出産などを機にキャリアチェンジを重ねてきたきなこもちさんが考える、皆が働きやすい職場とは?

ニックネーム:きなこもち(30代)
◆職種:サービス・販売系企業 執行役員CFO
◆チームメンバーの人数:8人
新卒で投資銀行に勤めた後、結婚を機に転職。その後、上場準備責任者としてベンチャー企業に入社。小学校時代から国際協力や世界平和に興味を持ち、20代で執行役員に。目下の目標は、皆が生き生きと働ける職場をつくること。結婚・出産・育児とライフステージが変わるなか、自分らしく楽しむ働き方を模索中。


働き続けないと結局、損? ライフステージによっては不利な状況にモヤモヤ


「いつか社会にインパクトを与えるような会社を作りたい!」という大きな夢を抱いて働き始めた私は、キャリアを順調に築いてきました。ところが、これからもっと挑戦するぞと思っていた矢先に難病を発症。その後、出産もあって、これまで通りの働き方ができなくなり、思いがけずライフプランを変更することになってしまったんです。

それまでは、とにかく上を目指してバリバリ働いていた私ですが、そのことをきっかけに、働きづらさを抱える人の気持ちを当事者として理解できるようになり、働き方の多様性について真剣に考えるようになりました。

ふと社内に目を向けてみると、専門性が高いにもかかわらず子育てのために履歴書に空白期間があるせいで、ほかの会社では採用してもらうことができなかった女性からの応募があったり……。

対外的には働き方の多様性を謳っていても、結局働き続けていないと不利になってしまうケースがまだまだ存在することを実感。そんな現状をどうにかしたいと思っていました。 


時短も、ブランクも、キャリアには関係ない! 本質的に働きやすさを支える取り組みを実行


そこで、働き方によって不平等が生まれないような取り組みを社内で実行。まず、チームでの懇親会は夜開催の飲み会ではなく、ランチの時間もしくはコアタイム終了後の16:00開始で実施し、全員が参加できるようにしました。

そのほか、原則出社のルールを、状況や職種に応じてリモートワークが可能な体制に変更したり、実際の稼働時間や稼働内容がフルタイムと同等であれば、フルタイム従業員としての給与支払いとしたり。

また、先ほど紹介した、ブランクがあるせいでなかなか採用してもらえなかった女性についても、その専門性を買って採用を決定。入社後はかなり成果を上げてくれたため、昇進・昇給を勧めました。結果的に、当社から転職する際にも引く手数多になったようです。


女性活躍のためには、画一的な評価基準ではなく、さまざまな観点で評価がなされるべき


皆が皆、フルタイムで仕事を続けられるわけではありません。だからこそ、働く条件が仕事のパフォーマンスや評価に影響を与えないように会社の環境を整えたわけですが、こういう取り組みによって誰もが働き方にとらわれることなく、キャリアアップできるようになればいいなと思います。

今、ほかの企業でも自由な働き方をサポートする制度を導入したり、女性を管理職に登用したりといった取り組みは行われていますが、人事評価の場に女性がいることはまだ少ないと思うんです。評価する人が男性であれば、必然的に評価基準は男性。男性から見て適任だと判断される女性のみにキャリアアップの道がある時点で、本当の意味で多様性が実現されているわけではありません

最終的な意思決定の立場に多様な人材が混じれば、自然と評価の軸が増えます。そうすれば、ライフステージに変化が大きい女性でもキャリアを継続できるようになるはずです。

私自身も、結婚や病気、出産を機に働き方を変えていますが、仕事と家庭、どちらかをはっきりと優先するようにしているわけではありません。もちろん家族のために諦めることもないわけではありませんが、それまでのキャリアを活かして、楽しみながら、かつ自分がやることで意味がある仕事を探し、選択していこうと考えています。

ライフステージが変わっても、仕事を通して自己表現を続けていきたい。そして私だけでなく、誰もがそうなれるような社会を築いていきたいです。

そもそも私自身も、男性社会の中で昇進を重ねてきており、“名誉男性”のようになってしまっている部分は少なからずあると思います。本当の意味で皆が平等で、働きやすい職場づくりに必要なものは何か、これからも考え続けたいですね。



イラストレーション:高橋由季








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