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怒鳴ったり窓口をドンドン叩いたりするお客様への良い対応は? 謝れば済むとわかっているけど、どうしてもできません……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室455】


✳️今週のお悩み✳️
理不尽にキレるお客様への良い対応の仕方ってありませんか? 接客のあり方って何でしょうか?
私はある施設のチケット売場で働いていますが、突然キレる人が結構います。理由は様々で、駐車場から遠すぎるとか、いつも通りの対応で話していて突然態度が悪いと言われたりとか(態度に関してはこちらも無意識の場合もあるかもしれませんが)。
こちらが悪くなくても、とりあえず「すみません」と謝れば済むというのもわかってはいるのですが、それが私にはどうしてもできないんです。態度が悪く映ってしまったのなら謝るべきですが、その理由がわからないままで謝ってしまっていいのか?と疑問の方が先に出てきてしまって。
でも理由を聞こうにも、頭に来て怒鳴ったり窓口をガンガン叩いたりと興奮している方がほとんどなので、こちらの話も暖簾に腕押しで対応に困ることがなぜか最近多いし、とても疲れます。
海外、特にアメリカの話を聞くと、そういう人がいると「他のお客に迷惑だから帰ってくれ」と店員が言い放つこともあるそうで、日本でもそれができたらなぁと羨ましく思ってしまいます(^^;)
もともと苦手な接客がさらに進んで嫌いになりそうだし、お客さんに来てもらえるのは本来喜ばしくありがたいことなのに、もう来ないでくれと思ってしまいます。
(ソイミルクミ・43歳・派遣社員・岐阜県)


たしかに、駅員さんに大声で怒鳴ってるおじさんとか、やっぱりいまだにけっこう、よく見かけたりしますよね。
誰しも年とると無自覚に短気にはなるんでしょうけども……それにしたってあーなっちゃおしまいだと、僕自身、我が身を戒めております。

とにかくまずひとつ、言うまでもなく明白なのは、どんな理由にせよ、人に対して声を荒げたり何かを叩いたり、要は示威行為と受け取れるような言動を取った時点でもう、いまどきは公的にアウト、ということで。
悪質と判断されるようなら、それこそいわゆるカスタマーハラスメントとして、程度次第では法的措置や警察への通報まで含め、断固たる態度でのぞんでまったく問題ないと思います、当然ながら。


ただ、ソイミルクミさんは、現場の人ですよね。
普通はトラブルが起きたら上司を呼ぶのだと思うのですが……。


もちろんそういう対応もやってはいるのかもしれないけどね……。

さらに企業の規模によっては、そういうときに対処する用のマニュアルや部署も、がっつりあったりはするんでしょうけども。

きっとソイミルクミさんも、ここまで僕らが言ってきたようなレベルのことは百も承知だし実践もしてきたうえでなお、どう思いますこんな世の中!?って心情を吐き出したい、というところが大きいのかなとお察しいたしますが。

ちなみに、「お客様は神様です」ってあの有名なフレーズ、オリジネーターとされる三波春夫自身は、あくまで「常に神様の前で歌うような清らかな気持ちで舞台にのぞみたい」的な心構えのことを表そうとしたのであって、客の要望はなんでも受け入れろなんてことはひとことも言ってない、というのが現在の公式見解となっているようでして(笑)。

だから、客側が「神様」論を都合よく振りかざすとか、あらゆる意味でただただ間違ってるんですよ!


こっちは金払ってんだからよー!みたいなやつですよね……。


だいたい、何を要求してもいいってほどの額じゃねぇだろどう考えても!っていうね(笑)。

とにかく理由はなんであれ、怒鳴ったりモノに当たったり、なんらかの威嚇的・暴力的な振る舞いをしちゃってるような人はその時点でもう、まともな客として扱う必要なし!なので、すみやかに上司なり警備員なり場合によっては警察なりを呼んで、とっととお引き取り願うということでなんの問題もない、というのは大前提として。

ただ一方で、客側の立場から考えてみると、自分としては正当な、ちゃんと理由がある苦情や質問を投げかけてるつもりなのに、ハナからまともに話を聞く気がないのが丸わかりな機械的反応しか返ってこなかったり、それこそいきなり悪質クレーマー扱いされているように感じられてしまったりしたら、むしろ「怒り」方向の感情が余計に増しちゃったりもしかねないというのは、正直、理解できるところもあると思うんですよね。

たとえば、コールセンターとかに電話したときにさ、ぜーんぜんつながらなくて、同じ待ち受けのメロディが何周も何周も流れたりして、「これ、ホントにいつかは出てくれんの?」「そもそも自力では解決できなくて困ってるから言われたところに連絡しているのに、すぐには応えてくれないって、なんのための窓口なの?」みたいについイライラッとしてしまう瞬間とか、我々も普通にあると思うんですよ。


もちろんサービス改善のためということはわかっていても、長い待ち時間の最後に「記録させていただいております」とか言われると、え!? 私そんなに変なこと言わないよ!と、余計にイライラを募らせちゃう自分がいたりもします。


そうそう!
で、こっちが悪いわけ?みたいな、あんまり良くないサイクルにそれでさらに入ってっちゃうような人も、絶対いると思うんだよなぁ。
やっぱお客さんも一人ひとり人間だから、十把一絡げで対応されたらいい気持ちしないのも、まぁわかるっちゃわかるじゃないですか。

その意味では、相談文にある「駐車場から遠すぎる」も、もちろん「そんなこと私に言われても」な無理筋クレームの典型であることは間違いないようにも思えるんだけども、ひょっとしたらその本質には、たとえば歩行になんらかの障害や不自由がある方たちに対するアクセシビリティ的な配慮が、実際その建造物周辺には足りてない、みたいな問題があったりするのかもしれない、と考えることもできるじゃん? 可能性として。

それゆえ、足が痛いのにここに手すりないのかよ、階段しかないのかよ、みたいなことが重なって、肉体的な辛さが溜まりに溜まった状態だったとか。
あるいは、老いた母親の車椅子を押してきたんだけども、建物の導線が悪すぎて、さんざん冬風吹きすさぶ表を遠回りさせられて、母さん具合悪くなっちゃったよ!とか。
そんなふうに、事情はいろいろ考えられなくもないんじゃないかと思うんですよね、「駐車場から遠すぎる」でさえ!

あとはたとえばさ、ずーっとしつこくどうでもいいことを質問し続けて窓口に居座っているご年配の方とか、よくお見かけしますが、当然明らかに迷惑は迷惑なんだけど、でもなんか、要は「話したい」だけなんだろうな、寂しいんだろうな、ってことでもあるわけじゃない? きっと。
だから、あんまり邪険にしないであげて、みたいに思ったりすることもあるわけですよ、担当の方のご苦労もわかりつつ……。

いずれにしても、いきなり激昂してて会話にならないような手合いはさっきから言っているように論外としても、パッと聞き主張が理解しがたいからと言ってハナから悪質クレーマー認定して一律対応、みたいなのも、それはそれでどうなんだろ、という気が個人的にはすごくします。

要は、店員に怒鳴りちらすのも、客に決まり通りの返答しかしないのも、「相手をひとりの人間として見ていない」という点ではどこか似ているというか、表裏一体の事象であるような気もするんですよね。

これ、すべての接客業務に関して言えるかもしれないけど、同じ職場っていうのはないわけだから、うちの場合はこうだよね、っていうようなことを、常に自分たちで話し合って考えて、準備しておくべきではあるんでしょうね。


みんなで、ですよね。


もちろんそう。
現場の従業員に負担を押しつけて済ますのでなく、かと言って「上の指示」まかせというのでもなく……。
もちろん最終的にそれは一種のマニュアルになってはゆくんだけど、面倒くさいからこういうふうに言っとけばいいよ、ということとは似て非なるもので、たとえば「うちに来るお客さんはこういう人が多いから、こういうことがたまにある、ならばこうしたらどうだろうか」みたいな、そこの職場や顧客の実態に応じた、柔軟性のある対応策をその都度当事者たちで作ってゆくような環境があれば、少なくとも働いている人たちの安心度や納得度は、だいぶ違ってきたりしないですかね。


お客様センターの部署で働いている知人に聞いたんですけど、その会社では、まずお客様から恐怖を感じていることを言葉で相手に伝えるそうです。ついつい怒っちゃったという人は、そこでハッと我にかえり冷静にお話しできるようになることもあるんだとか。
たくさんの経験値をもとに、そういう会社ごとにカスタマイズされたマニュアルができあがっていくといいですね。


そだね。
そしたら、ただ怒りたいだけとか、本当に悪意を持って来ているヤツ以外は、ひょっとしたら前述したような余計なお怒りモードに入らずに済む人も、ちょっとは増えてくれたり、するかもしれないしさ……。
そこまで虫のいいことにはなってくれなかったとしても、職場一丸でなにが問題なのかどうすればより良くなるのか考えて、みんなで対処してゆくんだ、というような体制がしっかりあるってだけで、トラブルがあったときも、比較的落ち着いて適切な対応が、取りやすくなるのはたしかだろうと思うんです。

で、何かあったらまた話し合って、改善できるところがあれば改善して。
ホントにどうしようもないヤツが相手だったなら、ねぎらいあって(笑)。
それでもまだ良くなりそうな余地があるなら、それはそれでまた次回に生かして。
そういう建設的なモードに、職場全体がなってゆければいいんじゃないですかね。

それこそこの4月から、障害を持つ方々に対する「合理的配慮」の義務化が始まったりもするんで、マジでそういう必要、より出てきてるところもあると思うんで。

これでソイミルクミさんのご心労に正しく応える回答になっているかは心もとありませんが、とりあえず僕の考えは、そんな感じかなぁ。
ホント、お疲れ様ですよ……。


個人的には今回のお話、接客業だけでなく、仕事全般でトラブルに遭遇したとき、職場でどう解決に向かって動いていくか、ということを考えるヒントになりました。
そして自分自身も、お客さん側としても、スタッフ側としても、つい雑にやってしまってるところあるなぁって、改めて反省。振り返るきっかけにもなりました。
そういう感想の人が私含め、少しずつ自分の態度や姿勢を変えていけたら、もう少しギスギスしない世の中になるのかなぁって、希望的観測ですがそう願っております。
ソイミルクミさん、お仕事本当に本当に大変だと思いますけれども、応援しています!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:30の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

10月から「アフター6ジャンクション2」に!
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こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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