それぞれの部署のこだわりが強すぎて企画がまとまらない。こんなとき、どうする? 《チームマネジメント編-5》
リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。
そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
今回は、メーカーのマネージャー職であるケイさんが経験した、部署間の相互理解について。さまざまな部署が関わって製品を作るのに、それぞれの部署のこだわりが強くて足並みが揃わない。互いの言い分は理解できなくはないけれど、なんでわかってくれないの!とモヤモヤは募るばかり。それでも互いを尊重しながら、チームをまとめるに至ったケイさんの考え方と行動を紹介します。
それぞれの部署の言い分はわかるけれど、常にモヤモヤ……
私は研究開発職としてメーカーに入社したのですが、数年後に企画部門へ異動となりました。いつかは異動したいと考えてはいましたが、予定より早かったので正直戸惑いがありました。とはいえ、企画部門は製品開発を主体で進める部署なので、まずは挑戦してみようと気持ちを切り替えました。
企画部門は、製品の企画立案はもちろん、販売マーケティングや営業支援に近い業務も担う、いわゆる何でも屋さん。「こんな商品を作りたい」と思ったら、開発部門や生産部門などさまざまな関連部署を巻き込んで企画を実現していきます。
ところが、部署間に壁があり、それぞれの立場の言い分やこだわりが邪魔をして、企画がなかなか前に進まないのが現実です。
例えば、「お客様からのご要望で、いついつまでに〇〇な商品を作りたい」と依頼をしても、「そのスケジュールでは難しい」「今まで作ったことないから作れない」などと断られるケースが度々ありました。お互いの立場の違いは理解していますが、その押し問答にすごくモヤモヤしていました。特に新商品を作るときの抵抗が大きかったですね。
"愛嬌"と”理詰め”という2つの武器で、交渉がスムーズに!
それでも、若さゆえの勢いや自己流のコミュニケーション術やらでなんとか押し通していたのですが、経験を重ねるうち、いつまでもそのままではいけないと感じるように。物事を円滑に進めるためのスキルを身に付けようと、ビジネススクールに通って自分を見つめ直すことにしたのです。
そこで学んだのは、まずは相手のニーズを考え相手によってアプローチ法や説明を変えるなど、ちょっとした工夫で受け手側も変わるということ。それに気づいてからは、まずは相手の話を受け止めることを心がけました。また、信頼関係を築くために向こうからのお願いに対しては全力で返し、言い方は悪いですが少しずつ“貸し”を作っていきました。それを積み重ねることで、「ケイさんが言うなら仕方ないな」という空気をつくると交渉が上手くいくように。私に“貸し”を作った人をどんどん増やしていったのです(笑)。
また、「やりたくない」という人には「なぜやりたくないのか? なぜできないのか?」を、対話することで論理的に紐解いていき、1つ1つ解決していくように心がけると仕事がスムーズに進むようになりました。
結局は、人と人との丁寧なコミュニケーションが仕事を円滑にするので、“愛嬌と理詰め”両方の武器を持つことが必要なのだと気づかされました。
イラストレーション:高橋由季