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自分と違うタイプの人たちにイライラ。こんなとき、どうする? 《リーダーの在り方編-3》

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

今回は、現在IT企業でプロジェクトリーダーを担っているリナさんが、自分なりのリーダーとしての在り方を見つけるまでの経験談を伺いました。「体力に自信もないし、引っ張っていくタイプでもない」というリナさんが、がんばってきた甲斐があったと思えるまでになった経緯とは?

ニックネーム:リナ(30代)
◆職種:IT系企業 エンジニア職
◆部下の数:2人
広告会社を経て、IT業界に転職し、現在2社目。任されたことは全てやり遂げる責任感と、メンバー一人ひとりと丁寧に向き合うきめ細やかさが評価され、部下2名を抱えるチームのプロジェクトリーダーに。新入社員のOJT担当としても活躍中。


何事もちゃんとやらないと気が済まない。抱え込みすぎて体調を崩してしまったことも……


IT業界に転職してまだ2年目くらいのときに、無理をして体調を崩したことがありました。当時のマネージャーが「とりあえずリナさんを入れておけば何とかなる」と言い始めて、最終的に4つのプロジェクトを任されてしまったのが理由です。

それで、カウンセラーの先生に相談しに行ったんです。そこで言われたのが、「自分一人で無理をして解決しようとしているけれど、本来は上の人が人員を追加するなど調整すべき。リナさんが体調を崩してまで乗り切ろうとすることではないですよ」。客観的に見ていただいて、目が覚めました。

今となればそりゃそうだなと思えるけれど、当時はまだ2年目。任されたからにはやらなきゃ! という気持ちから一人で抱え込み過ぎてしまっていたんです。

カウンセリングがきっかけで自分が置かれている状況を冷静に見られるようになり始めたころ、久しぶりに実家に帰省し、父と仕事の話をしました。そこで言われた言葉が、これまでの仕事観を変えるきっかけになりました。


仕事人間だった父に相談したら「人には人の正解がある」。 その言葉でふっきれた


疲労とストレスで肌もボロボロだった私に、父が心配して声をかけてきたんです。仕事が忙しく平日の疲れから休日も寝てばかりだった父とは、連絡も頻繁に取るような間柄ではなかったのですが、勢いで会社でのあれこれをすべて吐き出しました。

もともと何事もちゃんとやらないと気が済まないタイプの私は、一人で抱え込みすぎるだけでなく、そうでない人に対して「なんで!?」とイライラしていました。例えば、同じチームの先輩が自分の予定を優先し仕事を残して帰ってしまい、そのツケが全部私に回って来たことがありました。あまりにも理不尽だと父に愚痴ったら、「その人はそうやって生きてきたんだよ。その人なりの正解がある」と言われました

自分には「やって当然」みたいな思いがあったけれど、その感覚は自分にとって当たり前なだけで、ほかの人は違うんだと気付かされたんです。

自分とは価値観が違う人がいるんだと思って仕事をするようになったら、周囲を見る目も少しずつ変わっていきました。仕事を置いて帰ってしまった先輩もそうですが、今の上司も良くも悪くも細かいことに拘らないタイプです。一方の私は気楽に受け流せずいろいろと気にしてしまうタイプ。だからこそ上司の大胆さに救われることもありますし、逆にこちらから締め切りのリマインドを出すことも。性格が正反対だからうまく回る部分もあるんですよね。


メンバーそれぞれの状況や特性に目を向け、お互いに働きやすく


そのうち、社長から直々にお願いされ、初めてリーダー職を任されました。最初は断ったのですが、懇願されて仕方なく引き受けた感じです。

そのとき私がイメージしていたリーダー像は、周囲や組織を引っ張っていくようなタイプでした。私は逆で、影で人を支える方が好きなタイプだし、また体調を崩してしまうのではないかという不安もありました。

でも今は、周囲の人に意識が向きやすい自分のような人間だからこそ、作り上げられるチームの雰囲気もあると思っています。いつもより返信が遅いなとか、ちょっと様子が違うなとか、メンバーの些細な変化をキャッチしながら仕事量を調整したり、任せる仕事内容を変えてみたり。

それぞれの特性を見極めて仕事を割り振るように意識できているのは、自分が無理をしすぎた経験や、父からの言葉がきっかけになっているように思います。得意なことを得意な人に任せることは、本人はもちろんチーム全体の幸せにもつながっていくと私は思います。


いろんなタイプのリーダーがいていい。私は私らしいリーダーとして活躍したい


今は2名の部下をマネジメントする立場ですが、それぞれ1年目と2年目で、まだまだこれからといった感じです。でも先日、2年目の部下から「リナさんをフォローする人がいないから、私がフォローできるようにがんばります」と言ってもらえて、さすがに泣けました。マネージャーからも、チームになくてはならない存在だと言ってもらえているので、がんばってきた甲斐があったなと救われています。

リーダーを任されたときは不安でいっぱいでした。でも今は、メンバーそれぞれの特性を活かすことでチーム力が高まっていくように、リーダー自身も特性を活かせば十分に活躍できると思えるまでになりました。

もちろん売上目標を達成したり、滞りなく進行したりするためには、冷静な推進力や全体を見渡せるスキルは必要です。でも、それだけだとプレッシャーに押しつぶされてしまうメンバーも出てきてしまいます。だから、メンバー一人ひとりに寄り添えるようなリーダーもいた方がきっといいだろうし、いろんなタイプのリーダーがいる組織が理想なのかもしれないですね。

これからもメンバーと互いに支え合いながら、私らしくやっていきたいです。


イラストレーション:高橋由季






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