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恋愛経験がないからか、自分に指導してくれる異性をすぐ好きになってしまいます。簡単に惚れない方法は?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室458】


✳️今週のお悩み✳️
自分に指導してくれる異性をすぐ好きになってしまいます。

私は彼氏ができたことがない25歳の女です。何かを自分につきっきりで教えてくれる異性の人をすぐ好きになってしまうことに気づきました。 今までの経験として、教習所の40代後半のおじさん教官や、会社の教育係の先輩(見た目はまったくタイプではない)をすぐ好きになってしまいました。指導する姿を見て好きになっただけなので、容姿も年齢も関係なく教え方が上手いだけで魅力的に見えてしまいます。仕事だから教えているに過ぎないのに、私のために時間を割いて指導してくれる、その頼もしさを感じ、どんな人でもすぐ惚れてしまうのです。ちょっと優しくされたり、雑談をしてくれると、「相手も私に好意を持ってくれているかも?」と妄想してしまう癖もあります。それでもって自分が好意を向けると脈ナシだったりと空回りしてばかりです。叶わぬ恋だし仕事にも支障が出るのでこの惚れっぽい性質をなくしたいです。こんな癖があるのが嫌で嫌でたまりません。

なんでこんなにすぐ好きになってしまうんでしょうか? そもそも「恋」を勘違いしているのでしょうか? 自分が男性とお付き合いしたことがないから、単純になってしまっているのが原因なのでしょうか? すぐに好きになってしまう原因、簡単に惚れない方法があれば教えていただきたいです。
(りり・25歳・会社員・東京都)


いわゆる「惚れっぽい」人ってことですよね。
ものすごく無責任なスタンスで言わせてもらえば、要は「いろんな人の美点を感じ取りやすい」ってことなんだから、まぁ素敵なこととも言えるんじゃない?とも思うけど(笑)。


文句ばっかり言う人が多い世の中で……。


そうそう(笑)。
特にりりさんの場合、表面的なカッコよさとかじゃなくて、曲がりなりにも、その人の人柄とか能力に惹かれてるわけだからさ。
その気持ち自体は、そこまでおかしなことでもない気がしますが。

ただまぁ、もちろんたしかに、実際に恋愛「関係」にまでなった経験がまだ乏しいから、相手に一方的な幻想を抱きがち、投影しがち、というような面はやっぱり間違いなく、あるはあるんでしょうね、ご自身でもおっしゃっている通り。

言うまでもなくですが、職務の中で発揮される好ましいふるまいというのは、なんであれその人の、あくまでごくごく一面にすぎなくて。
仮にホントにパートナーとしてお付き合いするとなれば、そんなこっちに都合いいところばっかり見ているわけには、当然ゆかなくなってくるわけですから。

おそらくはやはり経験を積むほどに、誰かを「あら素敵」って思うことと、実際に深い関係になってうまくゆくかどうかは、また別の話、ということがわかってくるというか。
後者はもっと、なんというか、ある程度一緒に時間を過ごしてわかってくる互いの相性とか、いつも言ってるようにタイミングなどを含む「ご縁」とか、言っちゃえばあまりロマンティックとは限らない要素も大いに関係してくるものだろうと、僕自身は考えていますが。


で、りりさんは、惚れっぽいゆえ、仕事に支障が出るのでやめたいってことなのですよね……!?


別に「あの人、素敵!」って内心思ってるぶんにはなんの問題もないはずなんだけど、りりさんは現状、それを本気の恋愛感情みたいなところまで煮詰めちゃって、ついには先方を困惑させたり自分が傷ついたり、ということを繰り返しちゃってるわけですよね。
それはたしかに、ちょっと難儀かもね。

要はその「惚れっぽさ」、それ自体は、さっきから言ってるように別に悪いことじゃない……どころか、身の回りを常に輝かせるとても素晴らしい視点ですらあるかもしれないんだから、あとはそれを無害な範囲でうまくコントロールする術をおぼえましょうか、ってことじゃないですかね?

たとえば、りりさんが指導役の男性に感じがちなその好意って、厳密に区分けするならば、「憧れ」と呼ぶべきものなんじゃないかと思うんです。
それってつまり、スターやアイドルとかとも近くて、言ってみれば「遠きにありて思うもの」。
離れたところからあおぎ見てるからこそ成立するやはりある種の幻想であって、本人の実像とはまた、別物なわけですよ、実は。

だから、そこは一種の「エンタメ」として自分の中で楽しむにとどめて、恋愛含めた実人生の人間関係とは、しっかり切り分けて考えるように意識的にでもしてゆく、ってことじゃないですかね。

それこそ、パートナーや家庭は当然のごとく大切にしながら、それとは別に、自分の中での「推し」をそのときそのときで見つけて、とかく単調になりがちな日々をなんとか楽しくする、なんてことは、わりと普通にみなさんやってることだろうと思うんですよね。
その対象が、芸能人の人もいれば、二次元の人も、指導係のおじさんの人もいる、というだけのこと……というふうに考えることは、できないかなと。

逆にさ、少し意地悪なことを言えば、仕事場ではりりさんに優しく接してくれたそのみなさんも、ひとたびプライベートになれば、ひょっとしたら、ただのよくいる不機嫌な中年でしかない可能性、ぜんぜん低くはないわけですから!(笑)


ほんと!
本性とか本質とかなんて、なかなかわからないですもんね。
自分だって、そんなにすぐには本性を出してないわけだし、出す相手も限られてるわけだし。


あと、それとは別に、「好意を向けると脈ナシ」って、いまどきその立場にいる男性は、まともな人ほど、そういう一線を越えるような領域にうっかりでも踏み込んでゆかないよう、めちゃくちゃ気をつけてるもんだから!
そこでホイホイ乗っかってくるようなヤツは、むしろはっきりヤバいから、絶対やめたほうがいいよ!


たしかに!


逆に言えば、りりさんが好きになったその人たちは比較的ちゃんとしてた、ってことかもしれないですけどね。

そして、人としてちゃんとすべきなのは、もちろんこっちだって同じで。
自分の中だけで育んだ強めの好意を、いきなり相手に直接ぶつけるのって、ストレートな迷惑、なんならハラスメントにも直結しかねないことなんで。
これは我々みんなに言えることですが、大人なんだから、そこは最低限、自制しましょうね……。

逆に、あくまで密かな推しとして言わば「エンタメ消費」するぶんには、誰にも迷惑かかんないし、責任も当然ないから、飽きたり嫌になったりすれば、いつでもやめたり、乗り換えたりしていい。
最高じゃん!(笑)

……みたいな方向に考えを持ってゆくよう心がける、ということで、いかがですかね?


「好き」を「推し」に変換していけるといいですね! にしても、教官や先輩がうっかり一線を超えないまともな人で本当によかったと思います。最近、周りで一線を超えている人の話をよく聞くので……(汗)。

原因に納得して、よい方向に考えを変えられ、辛さから解放されることを祈っております!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:30の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※昨年10月からは「アフター6ジャンクション2」に!

ライムスター宇多丸の聴くカルチャー・プログラムは、あなたの"好き"が否定されない、あなたの"好き"が見つかる場所。大人気週刊映画時評「ムービーウォッチメン」は毎週木曜日22時20分頃~にお引越しです。

※ライブ情報はこちら


こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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