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独身で猫を飼うと終わりなの? 人生最大の夢が叶ったのに、気にしてしまいうっすらしんどいです……。 【ライムスター宇多丸のお悩み相談室450】


✳️今週のお悩み✳️
私は6歳ぐらいの頃から高校卒業してしばらくするまで実家で猫と暮らしていました。その子が本当に本当に大好きで、学校や塾、人間関係が苦しく何もかも逃げてしまいたい毎日の唯一の支えになっているくらいでした。その子が亡くなったことが当時は本当に悲しく、1年以上の深すぎるペットロスから立ち直ってもなお、自分の中に空いた穴が埋められず、趣味や友達との時間を楽しんでいる時間でさえも強い孤独感が抜けず、これからの人生何も無くても良いから死ぬまでにもう1度だけ猫と暮らしたいという願望に駆られる毎日を過ごしていました。

そんな私ですが今年ご縁があり、1匹の保護猫ちゃんと一緒に暮らすことになりました。一人暮らしを始めるタイミングでペットOKの物件に住んでいたこと、残業があまりない職種であることからなのかトントン拍子で事が運んで人生最大の夢が叶いました。実家の家族や動物好きの友人も私の夢の実現を喜んでくれたり、「動物愛護で社会貢献になってるよ! 素晴らしいね!」とお褒めの言葉をいただいたりしました(私のエゴで家に連れてきた感覚なのであまりピンとは来てませんが笑)。また猫ちゃんのお世話を出来ることがとても嬉しく楽しいし、ネガティブなことが多かった毎日がとても穏やかで健やかになり、お迎えできて良かったと心から思う毎日なのですが、どうしても気になってしまうことがあります。

周囲の人に猫ちゃんの話をした時に一部の方(主に男性)から「独身なのに猫を迎えたら終わりじゃん」や「まだ20代なのに人生諦めちゃっていいの?」と言われてしまうことです。猫をお迎えするというのは私の人生の中で一番強い夢だったので、なんなら始まったばかりの感覚でいたので驚きました。確かにネットやSNSだと「独身女性がペットを飼うと婚期が遅れる」や「猫中心になるため人に興味がなくなり出会いがなくなる」という記事がたくさん出てきました。

正直、私は深い人間関係があまり得意ではないようで、恋愛や職場での人間関係は結構キツい思い出の方が多い私には「終わってる人生」の方が生きやすそうに感じるのですが、終わってるとは思いたくないです。でも私の人生最大の夢が叶い、家族や友人、アパートの管理会社の方など私が猫と暮らすのに反対する人は誰一人としていないはずなのに、正しくないことをしているのかな……?とうっすら考えてしまいます。事実無根(だと思いたい)の噂のせいで、心から今の毎日を満喫出来てない状況がうっすらしんどいです。こんなことを気にせず今をエンジョイするにはどんな心持ちが良いでしょうか?

P.S.猫ちゃんはとても懐いてくれており、仲良しです!
(くろちゃんマム・28歳・会社員・大阪府)


これはぶっちゃけさぁ……こういう悩みが寄せられたときに、この連載がどう答えるか、だいたいもうわかんだろ!って気もするけど(笑)。
結論は最初から出てますよ。

すなわち、「一発アウトのクソ馬鹿どもなんかほっといて、猫ちゃんと末永くお幸せに!」。
以上!ですよ。


今日これで終わり!?


に、したっていいくらい。
答えは歴然としてますもん。

要は、くろちゃんマムさんの周囲にたまたまのさばっていた無神経な人たちの暴力的な物言いに、激しく気分を害されてしまった、というシンプルな話ですから。
言うまでもなく、こちらに何か正すべき要素などいっさいない。

なので、そいつら全員口が聞けなくなるまでぶん殴ってまわる、というのももちろんいいですけど……。
とりあえず取るべき行動としては、ヤツらが発する有害な騒音からは物理的にも精神的にもできるだけ距離を取って、当然のように何よりまず猫ちゃんのかわいい鳴き声や、あとは同好の士とか良き理解者たちの言葉にこそじっくり耳を傾け、改めてご自分にとっての幸せを噛み締めていただく、という、それに尽きるんじゃないですかねぇ。

この件に限らず、愚劣な連中の下劣な発言ばっかり聞いてたら、頭では明らかにそんなの間違ってるとわかっていても、どうしたって気持ちは、そっちに引っ張られてもしまうじゃないですか。
なので、人生、時間は限られてるんだから、わざわざそっちに出向かないようにする、というのもひとつの知恵ですよ。これはSNSも含めてね。

まずもってさ、仮に一生独身だとして、何が悪いんですか?
そこにごちゃごちゃ言ってきてる時点で、さっきも言ったようにいまどきは一発アウトでしょ。
普通にハラスメントですよ。


シングルハラスメント? マリッジハラスメントともいうみたいです。


もしくは、前にも言った「生きハラ」ね。

婚期が云々とか、発言した場やその人の社会的立場次第では、公的に問題にしていいレベルだと思いますよ。


まだ言う人いますけどね。悪気なしに。


むしろ、自覚的な悪意もなしで、そういうほとんど暴力的な価値観の押しつけを日常的にしてしまえていることこそが、ものすごーく問題だと思いますけどね。
セクシズムだし、エイジズムだし……もう本当に話にならない。

まぁ、くろちゃんマムさんも、そいつらの言ってることのほうがおかしいってのは重々わかったうえで、なお悩んでしまっているってことでもあるんでしょうが。


そんなことないよって、一緒に怒って欲しかったのもあるんだと思います。


僕らは怒ってますよ!

そして、当たり前だけどくろちゃんマムさんの人生の価値を決められるのは、くろちゃんマムさんだけ!なので。
この連載の単行本の帯コピーにもなってますけど、「そいつらがこっちの人生に責任とってくれるわけじゃなし!」ですよ、マジで。


先日、「子どもがいない人が感じている職場でのしわ寄せ」というテーマで取材をしたんですけど、不快な経験、不利益な経験のなかには「”子どもがいて一人前”、”子どもを育ててこそマネジメントができる”など、子どもがいないと仕事上の成果が劣るといった意味合いのことを聞かされた」とか、「そんなだから旦那さんが抱く気にならないんじゃないの?」とか、けっこうなフレーズがありました……。


え。ちょっと、想像を超えてひどいんだけど……。  


あと、やっぱり自分自身もそうですけど、そういうことをしれっと言われることで「別に不幸と思ってなかったけど、もしかしたら私の人生ってなんかダメなの?」とか不安になってきちゃうっていうのはあるかもしれないですね。聞かなきゃいいんだけど、耳に入ってきちゃうこともあるし……。


僕、単純に不思議にも思っちゃうんだけど……「生き方や価値観なんて人それぞれなんだから、他人の権利を侵害したりしてない限りは各々が尊重されなければならないし、自分の狭い了見を頭ごなしに押しつけるなどもってのほか」なんてことは、他者同士がひしめき合うこの世界で生きてくなかで、嫌でも学んでゆかざるを得ないことなんじゃないの?と思うんだけど。

いい歳した大人ならなおさら、そこをまるで理解しないままどうやってここまで来ちゃえたの?って聞きたい気分にもなりますけど。
べつに直接いろいろ経験してなくたって、それこそ本読んだり映画やドラマ観たりしてるだけでも、そこは自ずとわかってきたりするもんじゃないかなぁと思うんだけど……。

なんにしてもそういう人って、自分側の無神経さや暴力性には本気で無自覚だから、反論するのも逆ギレが怖くて、めんどくさくなっちゃったりもしますよね。
要は「話が通じない」相手なのだとしたら、そもそも話をしないようにする、というのも、繰り返しますがひとつの生きる知恵ですから。

言うまでもなく、そのような社会の風潮そのものが、もうちょいしっかりマシなほうへ変わってゆくべきだし変えてゆかねばならない、というのは大前提として……。


逆に、女性の問題なんだから女性同士で解決してよね、みたいなにほったらかしにしちゃう上司とかもいるらしいです。あ~あ。

だから、宇多丸さんの冒頭のひと言に尽きますね。
嫌な人とか嫌なこととかに引っ張られると嫌になっちゃうだけだから、自分の軸で生きるしかないなって私も改めて思いました。

くろちゃんマムさん、猫ちゃんと心ゆくまで仲良く、幸せに過ごして、人生をエンジョイして欲しい! そう願っています!!


【今週のお絵描き】

画・宇多丸



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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:30の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

10月から「アフター6ジャンクション2」に!
ライムスター宇多丸の聴くカルチャー・プログラムは、あなたの"好き"が否定されない、あなたの"好き"が見つかる場所。大人気週刊映画時評「ムービーウォッチメン」は毎週木曜日22時20分頃~にお引越しです。

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こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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