オシャレに興味がなく、メイクのやりがいがない童顔ブスな顔立ち……、どうやったら垢抜けることができますか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室305】
✳️今週のお悩み✳️
28歳にもなって垢抜けてないのが悩みです。元々学生の頃からオシャレに興味がなく、メイクのやりがいがない童顔ブスな顔立ちで、全く外見に磨きをかけず今まで生きていました。この年になって田舎くささが抜けず垢抜けてないので、初対面の人には高校生に間違われたり20代前半と思われて話をされます。実はもういい年なんですって伝えると毎回気まずい空気が流れます。まるで自分が年相応に生きていない証のようで、いつも傷つきます。年上の友達にも「あなたは童顔だから年相応に見られるのは難しいかも」って言われました。若く見られていいじゃんって人がいますが、そういうことじゃないんですよね。私の場合若いというか子どもっぽく見られてるんです。まわりの年相応に見える人達や、垢抜けてる人達が羨ましいです。どうやったら垢抜けることができますか?
(マボロシ・28歳・沖縄県)
宇多丸:
垢抜けと童顔問題は話がまた別では?という気もするけど、そこがごっちゃになってしまうくらい、劣等感でがんじがらめになっているってことですよね。
まず大前提として、いまのマボロシさんはさ、「オシャレに興味がなく、メイクのやりがいがない童顔ブス」って言うけど、実は、最初に自分を「童顔ブス」って自己規定しちゃっていて、そこから先には思考を進めなかったからこそ、どうせなにしても無駄だってことで、オシャレにも興味が湧かないし、メイクのやりがいがないタイプって自分で決めつけたりして半分結論が出た気になっちゃってる、って順番だと思うんですよね。
もちろんそうなってしまった同情すべき事情というのも当然あるんだろうけど……、前にも「田舎だしアラフォーデブスだし出会いがありません。八方塞がりです……」の回とか、他でも何度も言ってますけど、誰だって人生、まずは配られたカードからスタートして、勝負してくしかないんだからさ。
自分が持ってる資質をどこまで使えるか、伸ばせるか、化けさせるか……、もしくは単純にそのまま受け入れる、というので良ければそれが一番かもだけど、要はやっぱり「自分が好きな自分でいる」ためにどうするか、ってことじゃん。極端な話、そこさえクリアできてれば人生オールオッケーなくらいで。
でもそこで、配られたカードが悪い!ってだけですべてを「投げて」しまったらどうなるか。
だとしたらまぁ、そのまんま、どうにもならないまんま、なのも当たり前ですよね。
マボロシさんも、少なくとも外見に関しては、「投げた」まんまここまで来てしまったわけですよね。
しかも、そういう自分に満足してるなら別になんの問題もないけど、強い自己否定の気持ちだけは残っちゃってるから、マボロシさんが考える理想の実年齢感とのギャップが拡がってゆくにつれ、コンプレックスもどんどんキツくなってきてる。
「実はもういい年なんですって伝えると毎回気まずい空気が流れます」っていうのも、ひょっとしたらマボロシさんがそこに引け目を感じすぎているからそう思うだけで、実際はみなさん「あ、そうなんだ」ってくらいなのかもしれないですよ?
こばなみ:
自分でそう感じるより、まわりは気にしていなかったりしますしね。
宇多丸:
要はこれ、自意識の問題だからね。
とは言え周囲の反応とそれは無関係でもないので、マボロシさんがそう感じるなりの理由というのも、きっとあるのでしょう。
たとえば「初対面の人には高校生に間違われたり20代前半と思われて」っていうのも、おそらく服装とかのラフさ、カジュアルさみたいのが、間違いなく拍車をかけてはいるんでしょうね。着こなしのAD感が強い人とか、たしかにいるもんな(笑)。
前にさ、「上司なのに部下と思われる」っていう相談があったけど、あれにも近い感じなのかな。
ちなみに昔はこばなみ、アウトドアルックばっかりしてたよね?
こばなみ:
あれは、AD感、満載でしたよね(笑)。
宇多丸:
そういう僕も黒いホラー映画Tシャツばっかり着てたしさ。
その意味ではお互い、いまはそれなりにアダルトな方向にシフトしたよな。
とにかくさ、マボロシさんは、そのまんまだったら子どもっぽく見られがちというのはどうやら避けがたい持って生まれた資質なのだから、それが嫌だって言うなら、ただウジウジしてるんじゃなくて、とっととファッションやメイクの勉強を始めなさいよ、ということなんだけど。
現状、服装などの垢抜け具合に関して周囲と差がついてるのも、当たり前っちゃ当たり前なんですよ。みんなそこは努力も失敗も重ねてるんで。
ただ、そんなのは学習次第で後からなんとでもなることだから。
28歳なんかまだぜんぜん若者のうちだもん。余裕ですよ!
たとえばトミヤマユキコさんの『40歳までにオシャレになりたい!』なんか、まさにマボロシさんの心情にドンピシャで寄り添ってくれる一冊じゃないですかね。
あと、最近文庫化された野宮真貴さんの『おしゃれはほどほどでいい 「最高の私」は「最小の努力」で作る』も、実はものすごーく実践的なアドバイスが満載で、そういうのに自信がない人にこそオススメな内容でした。
メイクに関しては僕はさすがにうといけども、この手の顔立ちには基本こうするといい、みたいな、基礎となるメソッド的なのはあるよね? それとか、ちょっとしたコツみたいのは、いまさら独学でやるよりやっぱり、プロや詳しい人に一度軽くでも指導受けたほうがいいんじゃないかな?
要は「絵」なんだしさ。
こばなみ:
顔が濃いと「やりました!」っていうメイクになってしまうっていう声はよく聞きますけど、薄い顔で目が細い私としては、しっかりメイクができるようになりたいですけどね。
宇多丸:
目、別に細くないと思うけど。
こばなみ:
そうですか!? ありがとうございます!
あ、私そうしたら1つオススメがあるんですけど。「まつ毛エクステ」をやったら人生が変わったんですよ。自分的には、目が大きくなった!
マスカラとかいろいろやってたんだけど、あまり変わらないもんで、33歳のときに思い切ってやってみたら、いままで約10年間やり続けるほどハマったというか、日常になりまして。
お風呂上がりとかすっぴんとかでも自分的には目が以前よりはっきりしているので気に入っております。メイク時間も減りますし、サイコー!
宇多丸:
自然にマスカラしてるようなもん、ってことでしょう?
こばなみ:
そうです! だから本当にオススメ! 最初はまつ毛がバサーってなりすぎてギャルみたいだったらどうしようって思ってたけど、慣れてきたら全然平気。
逆に、今はやり続けないとダメな体になっております。
面倒臭がりの人、自分でできない人で目をなんとかしたい人はぜひ一度トライを!
宇多丸:
不精な人にこそ、というのはいいね。
ファッションに関しては、とりあえずファッション誌を定期的にめくって、いまはこういう感じなのかー、というのをフワッとつかんでおきつつ、そのなかでも私はこれが好きだなーというラインを、やはりフワッとおぼえておいたりするといいんじゃないでしょうか。
で、これは前にも提案したやつだけど、そのテイストに近そうなファストファッションブランドの、それもできるだけ「垢抜けた」場所にある大きめのフラッグシップ店に行って、たとえばいわゆる「マネキン買い」をしてみる。
試着だってし放題なんだから、これかも、というスタイルに当たるまでそれを繰り返してけばいいじゃん。
無論それでも、いざうちの鏡で見てみたら「あちゃー」ってことはあるかもしれないけど、誰だってそういうところから積み上げてくしかないんだもん。てか、「あちゃー」にたぶん終わりはない(笑)。
みんなそこは努力も失敗も繰り返してきてるんですよ。おしゃれに見える人ほどね。
あと、これも前に言ったけど、無印良品のコーディネート講座みたいなの行ってみればどう?
少なくとも自分に似合う色の傾向、とかはわかってくるんじゃないかな。
こばなみ:
お店によってはスタイリング相談会を開催しているようですよ。
宇多丸:
子どもっぽく見られるのがイヤということだから、無印のモノトーンでキメたりするのは、アリじゃないかな。
あとはやっぱり、ZARAとかも良さそうじゃない?
それとさ、マボロシさんが目標にできるような、ロールモデルを見つけるのはどうかな?
ベースはかなり童顔だけど、しっかり大人っぽくもあって超オシャレ、みたいな人。
ファッション誌に出てくるブランドのプレスの方とか、絶対そういう人、いるよ。想像つくもん、ショートボブとかが似合う感じでさ(笑)。
極端な話、安達祐実さんとか見てくださいよ。
完全に童顔だけど、しっかり年相応に素敵でもあるじゃないですか。
こばなみ:
ちょっとお姉さんだけど、あの感じはいいですよね。目指せ、安達祐実!
宇多丸:
あとたぶんだけど、有村架純さんとかも、気を抜いたカッコとメイクしてたら相当幼く見えたりするんじゃないかって気がしますよ。
でもやっぱり、そこを生かした見せ方、ちゃんとできまくってるわけじゃないですか。
なんにせよさ、つい自己卑下して済ましたくなる気持ちもわかるけども……。
たとえば僕が、「初老メガネハゲ」かなんか自分で言ってヘコヘコしてるだけだったら、そりゃその通りでもあるんだから、そのイメージのまんま、そうとしか見えないしょんぼりした人に、どんどんなってくいっぽうなわけじゃん?
でも、年齢や資質にはさからえないものだとしても、そこを前提に「自分が好きな自分」でいることはぜんぜんできるはずだし、僕は実際ずっとそうしてきたつもりだからさ。
いまの自分にそれなりの誇りを持ってるし、「いやぁ僕なんか」とか言ってるのも、周知のとおりぜんぶポーズですから(笑)。
でもそれは、そのために考えたり試行錯誤したりもさんざんしてきたからでもあって……、若いころはやっぱ、コンプレックスをこじらせるいっぽうでしたけどね。そこをバネにした部分も小さくないかもしれない。
マボロシさんも、今の自分は、ちょっと嫌なんだよね?
だったらなおさら、安易に自分を貶めて済ますのは、もうやめましょうよ。
どんな人にだってその人なりの輝き方はあるはずだよ。問題はそのはるか手前で勝手にあきらめちゃうことだと僕は思いますけどね。
ホント、思いきって髪型をガラッと変えたりするだけでも、だいぶ気分変わるかもよ?
童顔の人とか意外と、グッとショートにしたら一気に大人っぽくなったりとか、ぜんぜんありますからね。
ま、そのへんは信頼できる、それこそ名のあるプロにまかせてみるのも手ですよ。
たぶんマボロシさんは、顔立ちだけじゃなくて、背丈や体型、立ち振る舞いなども含めて、全体にやっぱり「かわいく」見えやすいタイプなんじゃないかと思うんです。
だとしたら、そこは長所として生かしつつ、ご自身が理想とするような大人感やオシャレ感も同時にきっちり醸し出すようなバランスのファッションやメイク、絶対にあるはずですから。
こばなみ:
年末年始、じっくり研究するのもいいですね。セールもあるし、いいタイミングでは!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年12月28日に公開したものを再編集し、掲載しています。