業務をこなしたくても、とにかく時間が足りない! こんなとき、どうする? 《リーダーの在り方編-14》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
介護支援の仕事に邁進するジュリさん。あらゆる場面に真剣に向き合っていますが、仕事を抱えきれなくなるときもしばしば。熱い思いがあるからといってこなせるわけではありません。そんなとき、頼りになったのは上司。助けてもらった経験があるからこそ、自身のチーム作りにも活かしていきたいと語ります。
すべての仕事にしっかり向き合いたいけれど、時間には限りがある
自分の中で優先順位を決めるにしても、1日でできる仕事量って限界がありますよね。
私の場合は、利用者さんからの要望や介護スタッフからの悩みなどに、一つずつ対応していたら、やるべき業務が間に合わなくなったり。
だんだん自分の心にも余裕がなくなってきて、早く次の問題解決に着手しなきゃいけない、次はこれにも着手しなきゃと、気持ちだけが焦ってしまいます。
そんなときにメンバーから相談事を持ちかけられると、しっかり寄り添って話を聞いてあげなくちゃいけないのに、上の空になってしまう。そのせいでさらに問題が生じて事が大きくなって、見事な悪循環が生まれるんですよね。
上司に助けを求めたら……。その対応で、リーダーの在り方を学んだ
そんな経験をくり返してしまっているうち、こういうときこそ、日頃のコミュニケーションが大切なんだと、強く実感しました。
やるべきことが多すぎてどうにもならなくなってしまったとき、書類関係や期限のある業務を上司の方に担っていただいたんです。
女性の利用者さんの支援担当や、メンバーからの相談対応など、私が出て行った方がいい部分になるべく時間を費やすために。
自分の得手不得手が自覚できてきた頃です。
「これとこれは時間的に難しいので、お願いしてもいいですか」。
正直に事情を話し、具体的に頼みました。
そうやって部下の立場でお願いすることができたのも、ふだんから頼りやすい雰囲気を作ってくださっていたからこそ。その点でも感謝すると共に、自分も頼ってもらえるリーダーでありたいと考えるようになりました。
メンバーの方も、熱い思いがあるからこそいっぱいいっぱいになりがち
一方、私のチームのメンバーも、この仕事に対して熱い思いがあって責任感が強い人ばかり。状況を心配して様子を伺ってみても、帰ってくる言葉は「大丈夫、やります!」「大丈夫ですから」。
でも、肩に力を入れて踏ん張るような仕事の仕方って、どこかで必ず失速をして、心がポッキリ折れてしまうんですよね。そうなると、復活してくるまでにかなりの時間がかかったり、もしくは、もうそこでリタイアしちゃう。
そういう人もたくさん見てきたので、そうなる前に「少し余裕を持って、無理せずありのままの自分でいられるような働き方にしましょう」と、声をかけるようにしています。
リーダーだからこそ、コミュニケーションはいつも優先順位の上位に
介護業界の仕事というのはもちろん利用者さんがあってのお仕事なんですけれども、リーダーやマネジメントする側に立つ人は、利用者さんだけでなく介護スタッフのこともきちんと見てあげなきゃいけないんですよね。
どんないいことをしたかだけでなく、どんな失敗をしたかも、把握しておく。メンバーの失敗には、リーダー自身もきちんと向き合って、対応策を教えてあげなくてはいけません。
もし自分の経験や知識だけでは対応できないようなことであれば、おそれず周囲に聞き取りをして、ときには頼って。
ほかにもお願いできる人がいる業務はチーム内で割り振って、まさに適材適所。
私はチームのリーダーであるからこそ、メンバーとのコミュニケーションは常に優先順位の上位に置いておくようにしています。そうしないと、お互いに余裕がなくなったときにも、気づくことができませんから。
いっぱいいっぱいになって、人に助けてもらった経験を何度もしてきたからこそ見えてきた、私なりのリーダーシップです。
イラストレーション:高橋由季