女性管理職が増えない社内。男性同士は見えない契約を結んでいる様子……。こんなとき、どうする? 《ジェンダーギャップ編-7》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
男性ばかりの上層部の元で、数少ない女性リーダーとしてキャリアアップに挑むふみさん。オールド・ボーイズ・ネットワークもはびこる社内で、現状を冷静に見つめ、自分なりにできるコミュニケーションのコツを掴んでいきます。
社員数で見れば女性比率は多いけれど、リーダー層となると……
うちの会社は、比較的新しい会社の割に男社会。女性社員は半数近くいるけれど、女性役員となると1人もいません。
私は最近ゴルフを始めたんですが、そこでいわゆる“オールド・ボーイズ・ネットワーク”を目の当たりにするようになりました。
よ〜く見ていると、男性の上司と部下って、見えない契約を結んでいるパターンがありますよね。「僕はあなたの言うことを聞くんで、出世させてくださいよ」っていうような、暗黙の契約。男性と女性の間柄や女性同士にはあまり見ない関係性。
これって、いいとか悪いとかではなくて、上司とうまくやるためなら、女性であっても一つの手段になると個人的には思っているんです。
女性と男性だからこそ、あえて意思表示ははっきり!
今の部署には、上司に引っ張られて異動してきたんですが、当初はすごく迷っていたからこそ、私の方から契約めいたことを話しておきました。「私はあなたを助けるために異動するんで、バックアップをしてください」というような内容です。
ボーイズ・ネットワークのなかで男性はそういうふうに明言しないと思うんですが、私はあえて、面と向かって意思表示しました。「上司と部下は一蓮托生のところもありますよね」と。
相手の性格やバックグラウンドのことも考えると、言葉にした方が伝わって、互いに仕事がしやすくなると判断したんです。
ただ、これは作戦なので、悟られてはいけないんですよね。
場合によっては、知っていることでも気づかないふりをすることもあるし、上司の言動の意図が見え見えでも騙されたふりをすることもあります。
人間関係で使える何よりの武器は、やっぱり「ニッコリ」
今でこそ、そうやって自分をコントロールしていますが、実は以前は感情が思いっきり表に出ちゃうタイプだったんです。
30代の頃に女性上司にからはっきりと、「ふみさんは感情が顔に出すぎているから気をつけなさい」と注意されたぐらい。
それが上司との関係性にも支障が出るとわかり、性格を変えていかなくちゃと意識するようになりましたが、実際に変えるのは本当に大変でした。
でも、トライアンドエラーを続けていくと、偶然でもうまくいったときに「あっ、今のが正解なんだ!」って、実感するんですよね。一度ヒットが打てると、つかめてくるんです。そこからは、できる!できる!できる!と成功体験をくり返していって。
感情のコントロールがうまくなってくると、すごく腹が立つ人にでも、ニコッて笑えるようになるんですよ。なんだかんだ言って、笑顔は結構使えますよね。その効果の大きさを身をもって知ってしまうと、もうやらずにはいられない(笑)。
メンバーや同僚に対しても人当たりがよくなったと思うし、嫌な先輩の言葉も笑ってかわせるようになりました。対上司だけでなく、人間関係のちょっとしたところでも、副次的な効果が出ている気がします。
表情や態度は変えようと思っても簡単ではなく、ここ2年ぐらいでやっと身についてきたなと思っています。
こんなふうに、私の場合は上司に契約のようなことをはっきり言葉にするのは難しくなかったけれど、怒りの表情や態度を抑えるのは大変でした。でも、言葉にする方が大変だと感じる人も多そうですよね。
どちらにしても、この話は、特に男性には秘密です(笑)。「なんてしたたかなんだ……」って引かれちゃいますよね。でも、処世術も人それぞれ! こういう作戦もありだなと思ってくださる人もいると思います。
何を言葉にして、何を口に出さないでおくか。道半ばですけど、自分のキャリアのための最善の方法を常に模索しています。
イラストレーション:高橋由季