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心の声、ちゃんと聞けてる? 米金融業界で管理職25年、ライフ&ビジネスコーチに転身! 吉川ゆりさんの半生から、人生好転のヒントをたどる

対話を通じて心の声を引き出すことで、深い自己理解を促し、本当に自分が求める人生とキャリアをつなげていく「コーチング」。日本育ち、サンフランシスコ在住のライフコーチ吉川よしかわゆりさんは、実際に自分がコーチングを受けて人生が180度好転した経験から、オンラインや対人でのプログラムを通して、世界各地の500名以上の女性をサポートしています。グローバルに活躍する吉川さんですが、コーチングにたどり着くまでには「ミッドライフクライシス」に陥るなど、苦しい時期も経験されてきたのだとか。今回は、そんな吉川さんの半生に私たちが人生を好転させるヒントをたどります。
(聞き手:F30プロジェクト 武田明子)

順調にキャリアを積んできたのにモヤモヤ。私の人生、これでいいの!?


吉川さんが提唱されているコーチングメソッドは、ご自身の実体験から生み出されたものだそうですね。


そうなんです。自営業の親の元に育った私は、子どもの頃から「自営業は大変」という言葉を聞いていたこともあって「高収入のサラリーマン」を目指してきました。アメリカの大学院に進学して、そのままアメリカの金融企業に入社すると、20代後半には管理職に。しかし、30代を迎えたあたりから、自分の人生、これでいいのだろうか?という葛藤を抱くようになったんです。


一見順調にキャリアを築いてきたように見えますが、何かきっかけがあったのでしょうか?


最初は漠然とした感情でしたが、その気持ちが膨れ上がったのが双子の子育て中です。産後数カ月で子どもたちを預けて職場復帰をしたのですが、あるとき知人から、「今日はうちの子が初めてプールに入りました。」と、幼児のかわいい写真を添えたテキストが届いたんです。そのときに、「私は我が子の“はじめて”を全部逃しているな」と気づいてしまって。不妊治療をして、こんなにがんばって産んだ子どもなのに、子どもたちの成長を見届けられずに何のために生きているのだろう、と後悔の念でいっぱいになりました。


今まで築き上げてきた世界がガラッと崩れるような瞬間だったんですね。


その後、二度転職したのですが、なんと二度とも社内の政権闘争に巻き込まれたんです。そんななかで40代になり、もう自分には同じような仕事しかできない、一生ここから出られないのだと錯覚するように。上司や同僚さえも信じられなくなってしまい、言葉では言い表せない絶望に似た気持ちになりました。「ミッドライフクライシス」(中年期特有の心理的危機)に陥ってしまったのです。それと同時に、いくら環境を変えても自分自身が変わらないと人生は好転しないのだと痛感しました。


コーチングとの出会い。自分の心の声を聞いたことで、見える世界が変わった!


ミッドライフクライシスからは、どうやって抜け出したのでしょうか?


自分の内面と向き合うために、さまざまな朝活や、頭の中を紙に書き出す“書く瞑想”と言われるジャーナリングなどを始めました。それに加えて、自分に合うライフコーチを探してコーチングをお願いしたんです。何のジャッジもなく話を真剣に聞いて、ただ受け止め、理解してくれようとするコミュニケーションは私にとって初めての体験で、当時、本当に衝撃を受けました。


コーチとの対話では、どのように自己理解を深めたのでしょうか。


まずは、過去をたどって自分のベースにある価値観を知ることから始まります。幼少期、親のしつけに息苦しさを感じてきた私は、「自由」を求めてきました。抑圧から解放されて自由になるために、トップサラリーマンを志してここまでやってきたつもりだったんです。
でも、コーチングを受けて気づいたのが、私が本当に求めていたのは親からの「愛」だったということです。


ご両親に反発して過ごしてこられたけど、心の奥底ではその「愛」を求めていたと……。


私の親は、かつてバブル崩壊で経済的に大変な思いをしています。そのため私は「ずっと会社員として生きていきなさい」と言い聞かせられてきました。潜在意識のなかでは、そういった親の価値観に迎合することで、親から褒めてもらいたいと思っていたんです。


子どもの頃の体験にヒントがあったんですね。


コーチングで引き出される心の声は、もともとその人の内面にあるものなんです。
モチベーションとなるものが「自由」から「愛」に変わったことで、見える世界が変わり、自ずと行動も変わっていきました。


なるほど。私も自分の心の声が聞きたくなってきました……。


朝の5分で変わる!人生を好転させるための時間術


それから、コーチングを通して自分自身に起きた、人生が180度好転する体験をほかの人にも伝えたいと思い始めて、ライフコーチになることを決意しました。ただ当時、私は3人の子育てをしながら、サンフランシスコのスタートアップ企業で勤務していたんです。そこで、まずは副業でコーチングを始めました。


3人を育てながら、本業に加えて副業も……?
それぞれを並行させるためには、時間の使い方がかなり重要だったかと思いますが、どのような工夫をされていたのでしょうか?


生産性を上げるためのポイントのひとつが、ワーキングメモリをできるだけ使わないことです。認知の容量は1日で限られているので、「今日は何をしよう」「昼ごはんは何を食べよう」などのちょっとした決断でも、どんどんキャパがすり減ります。そうすると、夕方にはもう、「なんかしんどいからコーヒーを飲みます」みたいな、いいものが生み出せない感じになってしまうんですね。

だから私は、朝の5分で今日1日のタスクと何時に何をやるかを全部決めておいて、あとは、決まった時間にひたすらそれをやるだけ。この習慣を取り入れることで、1日のうちの自分の認知のキャパと身体的なエネルギーが一定に保たれて、生産性が向上。副業では一期で年商2,500万円を達成しました。


すごい……!!
朝の5分でできるのであれば、私たちも取り入れられそうですね。


このときの学びは、今の私のメソッドにも活きています。

★吉川さんのメソッドを詰め込んだジャーナリングシートはこちら

クオリティオブライフを保つためには、「今日絶対にやり遂げること」を決めるのが大切です。こういうことをいうと、キチキチしていてイヤだ!という人もいるんですけど、実はクリエイティブなことこそ、枠を作ったなかでやるのが一番効率がいいんですよ。


それでいうと私は、Googleのカレンダーに今日1日のやることをどんどん入れていくようにしています。でも、「緊急のメールを返さなきゃ!」とかそういうことをやっていると、予定通りにいかないことが多くて、結局後ろ倒しになるんです。それって、やっぱり見込みが甘いんですかね?


事前にメールチェックの時間を予定に組み込んでおくのがいいかと思います。本当は1時間半から2時間くらいおきにした方が人はフローに入れて集中できるのですが、もしそれが本当に、会社の存続が関わるくらい緊急のメールなのだとしたら、30分おきにするだとか。

あとは、私はアプリを使って作業にかかる時間を毎回計るようにしています。だから、「これくらいの作業なら何分くらいかかる」というのをそもそも分かったうえで予定を組むことができるんですね。


なるほど! 今から部署のメンバーにも教えて、一緒にやってみます!



後編はこちら → メンバーとの対話は「傾聴」だけじゃない!? 仕事のチームの力を上げる、吉川ゆりさん流コーチングメソッドとは?

<お話を伺った人>

■キャリアとビジネスのサクセスコーチ
吉川よしかわ ゆり さん

株式会社HEA Coaching International 代表
Mental Breakthrough Coaching ™Institute運営
サンフランシスコ在住、人生を変えるキャリア&ビジネスをサポートするサクセスコーチ。ミッションは「女性が心から湧いてくる使命に気づき、能力を最大限に生かして未来を創るお手伝いを通して、女性のエンパワーメントに貢献する」。

note
 https://note.com/yurid_media/

インスタグラム
 https://www.instagram.com/yuri_happily.ever.after/

HEA Coaching International
 https://mentalbreakthroughcoaching.com/




<聞き手>

F30プロジェクト 企画・運営
武田 明子たけだ あきこ

クリエイティブエージェンシーでコピーライターとして経験を積んだ後、2017年から「女子部JAPAN」のコンテンツ企画・制作に携わる。本音と建て前の入り交じった女性の生の声を引き出す座談会やアンケート調査などを数多く実施。2022年からは「F30プロジェクト」の企画・運営に参加し、女性ミドルマネジメントへの共感型の取材を通して言葉にしにくい声を引き出している。








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