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痩せないと誰にも認められないの?周りから体型のことを言われ続けて、もう疲れました……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室452】


✳️今週のお悩み✳️
周りから体型のことを幼少の頃からずっと言われ続けてもう疲れました。太っているのは自分でも健康的に良くないとはわかってはいます。けれど過去の嫌な出来事が蘇ったとき、いろいろな方法はありますが、美味しいものを食べることで気持ちを落ち着かせて生きてきました。自分なりではありますが、ジムに通って筋トレしたり、(ほんの少しずつではありますが……)食べるものを少しずつ身体に良いものを摂ろうと努力しています。しかしいつもいつも家族から「痩せた方がいい」と言われ続けてきて、そろそろもう嫌になるし疲れてしまいました。痩せなきゃ誰にも認められないんだろうな、とさえ考えてしまいます。そこまで痩せないといけないんですか? もうわからないです。
(みそまんじろう・29歳・会社員・沖縄県)


ルッキズム的な「痩せろ」と、健康上の懸念から出る「痩せろ」は、当然ながら本来似て非なるものではあるはずだけど……前者が論外だというのは、もはやいちいち言うまでもない、現代的良識の範囲でしょうが。
しかし、みそまんじろうさんはすでに、どっちにしろウンザリだ!ってところまで、ストレスがキちゃってる感じですよね。

ご家族はもちろん、後者的な意味でおっしゃってるだけなんでしょうけども……。
それでも、みそまんじろうさんにしてみれば、自尊心が低下せざるを得ないようなことを絶え間なく言われ続けている、ということに変わりはないわけですもんね。

まず、べつに本人がいいなら太ってようがなんだろうが、他人からとやかく言われる筋合いなどない!というのは大前提として……。

ただ、僕個人の考え方を言っておくならば、やはり健康面に関しては、いったんはきっちり精密検査とかを受けて、もろもろのリスクを把握した上で、改めて自分はどうするのか?を自身の責任で選択する、というプロセスは踏んだほうがいいんじゃないかな、とは思います。

もちろん自分の身体なんだから、自分の好きにすればいい。
ただしそこで、肝心のその「自分の身体」に関する情報がしっかりあったほうが、より納得できる、よりはっきり責任を取れる選択が出来るんじゃないか、って話ですね、僕の考えとしては。


私もいつもオットに痩せるべし!って言っちゃってます。
ここ数年ですごく太ったんですよ。0.1トン突破!

メタボで脂肪肝だけど健康に問題ないと言うのです。健康診断の結果も今後リスクがあるかもよ、というくらいなんだと思いますが。

でもやっぱり心配だから、ドーナツとか大量に食べてるのを見ると言ってしまうんですよね。で、うるさいなぁってだいたい雰囲気が悪くなる。

そのあと必ずと言っていいほど、私もここ数年ですごく太ったから「そっちこそ痩せるべき」と言われ、言い争いと貶し合いにて終わるという。悲しい……。


まあ、パートナー同士なら互いに対して責任も負ってるわけで、特に健康に関しては注意し合うこともある、というのは、当然程度問題ではありますが、まあ理解はできる話ですけどね。

ただまあ、何に人生のプライオリティを置くかも、結局はその人の勝手ではありますからねぇ。
それこそ、「たとえ健康を害したとしても、なんなら早死にしたとしても、私にとっては好きなものを好きなように食べることこそ生きる喜びで、仮にそれを取ってしまったら、そもそも何のために生きてるのかわからなくなっちゃう!」的なことを本人が確信持って言えてるようなら、他人の出る幕なんかないわけじゃないですか、もはや。

その意味で今のみそまんじろうさんには、「私はこうなんだ!」という言わば自己確信が、もう少しガッチリ欲しい、ってことかもしれないですよね。
ちゃんと心から自信を持てる人生観を、他の誰でもない自分自身で確保する、というかさ。

これはいつもこの連載で言ってることですけど、人の言うこととか、世の中の風潮とか、そういう「外部要因」は、絶対にこちらの思い通りにはなってくれないわけだからさ。
そんなことよりも、そこにおいそれとは左右されない、言ってみれば「自分で自分を気分良く保つ方法」をしっかり把握しておく、ということこそが、人生をより楽しく豊かにする上で、非常に大事な秘訣なんじゃないか、と僕は常々考えてますけども。

みそまんじろうさんもさ、外野のごちゃごちゃに右往左往する前に、本当にはどうしたいのか、どう生きてゆきたいのかを、もっとちゃんと自分自身と話し合って、こうだと確信できるまで考え抜く、ということをするべきなのかもしれないですよ。

「痩せなきゃ誰にも認められないのか」とおっしゃるけれども、人から認められるためにじゃなくて、まず、あなた自身がどうしたいか?が大事なわけでしょう。

そこで、体型のことなんかどうでもよくなるくらい、やっぱり美味しいものを食べることこそが無上の喜びだというなら、心おきなくそれを優先させればいいし。
「へえ~、こんなうまいもん食うの我慢してまで、腹筋割ったりして……なにが面白いの?」とか言ってりゃいいんですよ(笑)。

一方、その食道楽をずっと続けるためにはある程度の健康管理も必要らしく……みたいなことが判明したならば、そこはじゃあなんとかバランス取ってゆく、ってことでももちろんいいんだし。
あるいは、んなもん全部シカトして欲望のまま食い続ける!という決断だって、自分で選んだことなら、ぜんぜんアリなわけですしね。

なんにせよ要は、「自分の人生は自分で決める」という、ある種その一点だけなんですよ、肝心なのは。

なので、とにかくみそまんじろうさんは、他人の言葉より、自分との対話をもっとちゃんとして……ご自分ともっと、仲良くなってください!

心の声だけでなく、どこどこの具合が悪いとか、「身体からの声」にもちゃんと耳を傾けて……たとえばさ、美味しいけど食後なんか重い、だるいとか、翌日ちょっと調子悪くなるとか、あるでしょう?
そんな自分からのSOSも、敏感にキャッチしてあげてほしいし。

たぶんみそまんじゅうさん、小さいころから周りにいろんなことを言われすぎてきて、自分の感覚を信じられないようになってしまっているところも、ひょっとしたらあるのかなと。
だとしたら、それはあなたのせいじゃないから。
毎度言ってますが、こっちの人生に、他の誰かが責任取ってくれるわけでもないのにね。それは家族も含めて。

とにかく、あなたの最強の味方はあなた自身であるはずだ、ってことですよ。
そう思えてようやく、たとえば他人に優しくする余裕とかも生まれてくるんだろうと思うし。


起点は自分ということですね。


毎度お馴染み、『グレーテスト・ラブ・オブ・オール』ですね。

ホントはさ、「嫌なことを打ち消すために食べてきた」と言ってるけども、それもできれば、食べることそれ自体の喜びが先にあって、嫌なことを忘れるのはあくまでその結果、という順番になってってほしいなとは思いますけどね、精神衛生的に。
要はやっぱり、世界なんか不愉快なことだらけで当たり前、だからこそ自分の人生の価値だけは、他の人間には絶対ジャッジもタッチもさせないものでありたい、って話なんですけど。

なんか、食いまくる方向にばかりエールを送ってる感じになっちゃってるかもだけど(笑)、逆に、自分でももうちょいシェイプアップした自分でいたいとホントは思ってるとか、そもそも健康じゃないと美食どころじゃないから最低限は気をつけたいとも考えてるとか、そういう気持ちがご自身の中にも実はやっぱり大きくあるのであれば、それはそれで、そっちに向かえばいいだけの話でさ。

なんであれ、「自分が決めた」なら、それでいいんです!
人に何か言われたから……は、できれば今後は、脱してゆきたいところですよね。

あとはしつこいようですが、自分のことをより理解する一貫として、現状の健康リスクというのが実際にはどのくらいなのか知っておく、というのも、個人的には無駄ではないことかなと思いますが。
それも含めて、あとはみそまんじろうさんご自身の判断で!


今日は身にしみる話でしたわ……。何ごともそうだけど、自分で決めないと後悔したり、そもそも気分も乗らないですしね。
みそまんじろうさん、「もうわからないです」状態から抜け出すことを祈っております。
ちなみに私、筋トレジムに通い始めて5カ月目なんですが、全然痩せないです(泣)。やっぱり痩せるには食生活の改善しかないみたいですよ。朝ごはんを食べよ、タンパク質をもりもり摂れ、酒ダメ、など言われるんですけど、でも酒が好きならやめることはないし、でも痩せたいなら少し我慢しなきゃだし、あ~、本当に自分がどうしたいか、ですね。私も優先順位を自分で決めてがんばります!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:30の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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