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いざ管理職へとなると湧いてきた不安。さらに周囲からは嫌味が……。こんなとき、どうする?

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

管理職に就くことを入社時から思い描いていたミナトさん。でも、いざ昇進となると、出産や育児を考えたライフステージとの両立に大きな不安が……。しかも、社内では「女性管理職」に過剰反応した心ない声も。女性だからこそのモヤモヤが炸裂した今回のケース、ミナトさんはどう乗り越えたのでしょうか。

ニックネーム:ミナト(30代)
◆職種:メーカー 営業職
◆部下の人数:5人
新卒でメーカーに入社後、営業部へ配属。6年間、現職種の経験を積み、2023年4月から管理職に。悔いなく考え抜くので失敗しても切り替えが早い。そして挑戦が好き。現在は妊活と仕事の両立に奮闘中。


管理職へのキャリアップはかねてからの希望……でも、モヤモヤが止まらない


「ついに、そのときがきてしまった」。昇進を言い渡されたときの率直な感想です。かなり複雑な心境でした。
もちろん、嬉しくなかったわけではありません。キャリアアップとして、管理職に就くことは入社時からの希望。その気持ちは、同年代の中でも強かった方だと思います。

しかも私の場合、もともと次期管理職候補として今の部署に配属されていました。数年前に新設された部署で、当時のリーダーは、数年以内に異動が決まっているという状況。私は立ち上げメンバーでありながら、現場でマネジメント研修も受けていました。

そんな経緯があったので、「やっと、そのときがきた!」と、感極まってもいいはずだったんですが……。そうはならなかったのは、女性として直面するライフステージの問題があったからです。

オファーをいただいたときは、まさに妊活を開始したタイミング。私の頭の中にあったのは「両立できるのだろうか?」という大きな不安です。

それまでの5年間、仕事にはやりがいを感じていたものの、管理職の大変さをそばで見ていましたし、おまけに当時のリーダーは、社内でエースと呼ばれているほどの優秀さの持ち主。その人の後任を担うことに強いプレッシャーも感じていました。出産、子育てと両立はできるのだろうか。年次が進むにつれて、不安はすでに肥大化していたのです。

でも、今の仕事内容は好きだし、自分にも合っている。管理職に挑戦するならこの部署でしたい。だから、オファーを「断る」という選択肢はない……、でも……。

「なりたかった管理職にやっとなれてうれしい」と、単純にはいかないものだと痛感しました。最終的に2023年4月に昇進しましたが、それまでいろんな感情が複雑に絡みあっていました。


「女性だからでしょ」「上長のお気に入りだもんね」という心ない声で不安をあおられる


さらに、私の不安をあおるかのように聞こえてきたのが、社内からの心ない声でした。「このご時世だし、女性だからでしょ」

確かに女性管理職の割合は15〜30%が推奨されているご時世、私の会社は5〜6%。「女性だから下駄を履かせてもらえている」という嫌味を散々言われました。また「上の人に気に入られているから、昇進できたんだね」なんていうのも多かったです。

私の年齢で管理職になれたのは、社内では結構なスピード出世。現状、管理職の同期はほとんどいません。「若い」「女性」、叩きたくなる要素がそろってしまったのかもしれません。


複雑な悩みとどう戦うか。人に話して自分の気持ちを整理する


女性管理職を取り巻く、モヤモヤのタネは尽きません。特に会社という組織であれば、とやかく言う人は必ず出てきます。黙っていると、不安は膨れ上がるばかりです。では、ここからどうやって腹をくくって管理職の道に進んだのか。

私は基本的に人に話を聞いてもらいながら、複雑な悩みと対峙していました。
人に伝えるために自分の気持ちを脳内で「言語化」し、「思考の整理」を進めます。そうすることで、周囲からのノイズに惑わされず、自分の気持ちに耳を傾けやすくなりますし、決意も固まりやすく
なります。

といっても、そんな小難しいことをしているわけでもなく、夫にわーっと話して聞いてもらったり、会社の人に相談したり。そういう意味では、信頼できる人を見つけておくことは大事かもしれません。

先ほどの周囲のノイズもこう捉え直してみました。「上長のお気に入りだから」は、「気に入られるのも能力のうち」。よく思っていただけるように上長と接することができたのは、コミュニケーション能力を認められたということ

そして、「女性だから管理職になれた」のかもしれないですが、それは「会社側の女性管理職を増やしたいという意向と、私のやりたいという気持ちがマッチした」だけ。やりたくもない人を形だけで管理職にするのは問題かもしれませんが、私の場合はやりたいという気持ちがあったわけで、お互いのニーズが一致しただけのこと。何の問題もありません。


正直、管理職の仕事は大変だけど、うまく循環している


管理職に就いて1年弱。正直、大変です。でも、どこかうまく循環している感じもあるんです。

リーダーとしてのプレッシャーを感じたり、実働時間が増えたり、妊活との両立がハードだったり、今でも悩みは盛りだくさん。でも、その分増えた報酬は、健康のためにジムに行ったり、妊活にかかる費用を賄えたりといった自己投資に回せています。

そして、もうひとつ。仕事に新たにモチベーションが生まれました。それは会社の後輩たちのモデルケースになること。
「管理職×妊活」という事例は、まだうちの会社にはありません。だから「うちの会社で、両方諦めず頑張った人がいたよ!」という、最初の参考事例になりたいなと思うようになりました。

これから活躍する後輩たちが悩んだときに、選択肢をひとつでも多く持ってほしい。そのためにも日々がんばれています。




イラストレーション:高橋由季








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