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管理職になりたい部下。だけど明らかに向いていない…… こんなとき、どうする? 《部下の育成編-10》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
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管理職になりたいと意欲を見せる部下。しかし、現実には必要なスキルや覚悟が不足している……。そんな部下に上司としてその事実をどう伝えるべきか。葛藤を抱えながらサチコさんはどんな行動をとったのでしょうか。
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自信満々で昇進を希望する部下に対してモヤモヤ
「私には管理職になるための十分な能力があります!」
自信に満ちた表情で、昇進の意欲を繰り返しアピールする部下がいたことがありました。しかし、彼女が管理職に必要な覚悟やスキルに欠けていることは明らか。
例えば、自分の仕事が評価されていないと感じたり、ミスを指摘されることなどがあると、すぐにモチベーションが落ちてしまうところ。リーダーとして部下を引っ張るには、このような感情の波を抑える自己管理能力が不可欠です。
「周囲の管理職の人をよく見て、どういう仕事の仕方をしているか。どんな姿勢で仕事にのぞんでいるか。それが自分にできるのか。よく観察してみたら?」と伝えて、自分に何が足りないのか意識してもらおうとするも、「能力は同じです。私にも務まると思います」の一点張り。彼女のマインドを変えることはできませんでした。
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次第に彼女は「正当に評価されていない」と不満を募らせるように。会社に対する不満も大きくなっていくので、接し方には細心の注意を払っていました。個人的な攻撃だと受け取られる恐れもあるため、直接「向いていない」と伝えるわけにもいかず。どうにか気づいてもらう方法はないかとモヤモヤする日々を過ごしていました。
管理職になる覚悟があるのか、自問自答してほしい
「あなたが目指す管理職には、どんなスキルが求められると思いますか?」
うちの会社には、役職ごとに求められるスキルや責任が明確に言語化された指標があります。それを彼女に認識してもらうために、「ここに書かれていることをしっかりクリアできますか?」と、ひとつひとつ丁寧に根気よく伝えることも。これは私が主観で評価していると思われないよう、客観的な評価だと理解してもらうためです。
管理職の素養があるかないかは少し見ればわかるものですが、彼女にそれは感じませんでした。本人は「昇格することが幸せ」と信じていますが、実際にはそうでないこともあるでしょう。その現実をどう伝えたらいいのやら……。
部下全員へのメッセージとして話したこともありました。「管理職を目指すのはすばらしいことです。でも、そこには責任とプレッシャーが伴います。その覚悟があるか自問自答してみてください」と。しかし、彼女に変化はありませんでした……。
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そのポジションは本当に自分に合っているのか。適性のズレが招く不幸
「女性だから管理職に抜擢された」とかつて言われ、悔しい思いをしたことがあります。そのときの私は「成果で証明するしかない」と腹をくくり、目の前の仕事に全力を注ぎました。少しずつ結果を積み上げることで、信頼を勝ち取ることができたと考えています。
この経験から、女性活躍推進はすばらしい取り組みと思う反面、私のように嫌味を言われたり、本人の希望に反して登用されたりといった良くない側面もあると思うようになりました。実力や適性を無視した昇進は、周囲の反感を買うだけでなく、本人に重圧を背負わせ、不幸を招きます。だからこそ「そのポジションが本当に自分に合っているのか」をしっかり見極めることが大切だと思うのです。自分を俯瞰し、自問自答すること。これが幸せなキャリアを築くためにできることなのではないでしょうか。
彼女がいつか自らの適性に気づき、納得する日が来るのか。それとも、視座を高め、管理職にふさわしい資質を身につける日が来るのか。私は、ただただ成長を見守るしかありません。
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イラストレーション:高橋由季